映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
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どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

パトリシア・ハイスミス

キャロル

キャロル スペシャル・エディション [Blu-ray]
1952年、ニューヨーク。クリスマスシーズンでにぎわう高級デパートのおもちゃ売り場で働くテレーズは、ある日、娘へのプレゼントを探す、優雅で気品に満ちた人妻キャロルと出会う。テレーズは、裕福そうだがどこかミステリアスな雰囲気を持つキャロルにたちまち心を奪われる。やがて親しくなると、テレーズは、キャロルが娘の親権を巡って泥沼の離婚訴訟中であることを知る。クリスマス休暇を孤独に過ごすキャロルから、車での小旅行に誘われたテレーズは、キャロルへの憧れが予想もしない感情へと変化していくことに気づくのだった…。

「太陽がいっぱい」で知られる作家パトリシア・ハイスミスが別名義で発表した小説「よろこびの代償」を映画化した大人の恋愛ドラマ「キャロル」。テレーズとキャロルは強く愛し合うが、時は50年代。同性同士の恋愛は禁忌で病気とみなされていた時代だ。だが映画は同性愛であることや女性の自立といったフェミニズムには傾かない。むしろ、恋人との恋愛に違和感を感じ、自分の将来を模索する若い女性テレーズ、お飾りの妻であることを強要する周囲の不寛容に耐えられない人妻キャロルという二人の人間が、どうしようもなく惹かれあう純然たるラブ・ストーリーなのだ。二人は、年齢、階級、境遇などまったく異なるが、それでもあふれる思いは抑えられない。トッド・ヘインズ監督の演出は「エデンより彼方へ」以上に、艶やかで美しく、クラシックでエレガントな衣装、きめ細やかな美術セットなど、時代色豊かな映像は見応えたっぷりだ。何より、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラの二人の実力派女優が素晴らしく、まなざしひとつ、指先の動きひとつで繊細な感情を表し、見事である。保守的な時代に、周囲の重圧に負けず人間として成長する姿に、気高さを感じる。「心に従って生きなければ人生は無意味よ」。キャロルのこの言葉こそ、本作が本当に伝えたいメッセージなのだ。それがどんなに困難で、だからこそ価値があることだということも。
【80点】
(原題「CAROL」)
(英・米/トッド・ヘインズ監督/ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、他)
(映像美度:★★★★★)
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ギリシャに消えた嘘

ギリシャに消えた嘘 [Blu-ray]
人を殺め逃避行をする夫婦と彼らに巻き込まれた青年の運命を描くサスペンス「ギリシャに消えた嘘」。謎解きの醍醐味やスリルはないが、クラシカルな魅力が楽しめる。

1962年のギリシャ、アテネ。ツアーガイドの青年ライダルは、優雅なアメリカ人紳士チェスターと彼の若くて美しい妻コレットに出会う。だがリッチそうなチェスターの裏の顔は詐欺師で、ホテルを訪ねてきた探偵を誤って殺してしまう。ホテルに偶然居合わせたライダルは、国外逃亡を図る夫妻と同行することに。クレタ島へと向かった3人は警察に追われるが、やがてライダルとコレットが親密になり、3人の関係に変化が訪れる…。

原作は「太陽がいっぱい」の作者として有名なパトリシア・ハイスミスの「殺意の迷宮」。ギリシャやトルコでロケされた地中海のムードが異国情緒を醸し出し、1960年代のクラシックな衣装もまた優雅だ。クラシックなのは衣装だけではない。この物語、殺人事件は起こるが、ミステリーやサスペンスとしては、いささか弱い。イマドキの派手なチェイスや血生臭い描写があるわけでもない、クラシックというより古めかしい展開なのだ。では見どころがないかと言えば、決してそうではない。詐欺師のチェスターに父親の面影を重ねるライダルの屈折した感情、コレットと親密になるライダル、チェスターとの歪な三角関係、ニヒルなチェスターが警察に追いつめられた上、嫉妬にかられて弱さを暴露していくなど、心理劇として見るならば、かなり見ごたえがある上質なドラマだ。製作陣が、渋いスパイ映画「裏切りのサーカス」のスタッフというのも納得がいく。ラスト、イスタンブールの路地裏での思いもよらない運命の後に、随所で語られるギリシャ神話のメタファーが浮かび上がった。
【60点】
(原題「TWO FACES OF JANUARY」)
(英・仏・米/ホセイン・アミニ監督/ヴィゴ・モーテンセン、キルステン・ダンスト、オスカー・アイザック、他)
(エレガント度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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