映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ラ・ラ・ランド」「トリプルX 再起動」「彼らが本気で編むときは、」etc.

ヒュー・ジャックマン

PAN ネバーランド、夢のはじまり

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~ ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
ロンドンの孤児院で暮らすピーターは、いつか母親が迎えにきてくれると信じていた。ある時、地下室で母からの手紙をみつけたピーターは母に会いたい思いを募らせる。ある夜、現れた空飛ぶ海賊船にさらわれ、ネバーランドへと旅立つことに。そこには、妖精や人魚、若き日のフック船長や戦うプリンセス、タイガー・リリーらがいた。だが母を探すピーターの前に冷酷な海賊・黒ひげがたちはだかる。ピーターは自分自身さえ知らなかった出生の秘密を知ることになるのだが…。

ディズニーアニメで有名なピーター・パンの前日譚を描くファンタジー「PAN ネバーランド、夢のはじまり」は、ピーターパンがいかにして生まれたか、その出生の秘密や成長(ずっと子供なのだが…)を描く。誕生秘話は、なるほど興味をそそるが、児童文学、しかもファンタジーを、「つぐない」のジョー・ライトが監督するというのが何より興味深い。戦時下のロンドンでいきなり始まる英国空軍と海賊船とのバトルなど、導入部からかなりテンションが高い作りだ。映像も美しくクオリティが高い。だが、宣伝の方向が“あの“ハリー・ポッターのワーナー・ブラザースがおくる…”というキャッチコピーなので、どうしてもハリポタと比べたり類似点を見たりしてしまうのは、かえってマイナスでは?と思わないでもない。過去の伝説を、木目や水紋で語る演出などは、神秘的なネバーランドにふさわしい幻想的でオリジナリティーあふれる場面だ。キャラはどれも見事に立っていて、特にヒュー・ジャックマンが怪演する黒ひげは、怖いようなコミカルなような絶妙な味わいがあるのはさすが。それにしてもピーターと宿敵フック船長が共に戦うコンビだったとは。この後、2人にいったい何があったのか?と気になってしかたがない。ということで続編に期待!だ。
【70点】
(原題「PAN」)
(アメリカ/ジョー・ライト監督/ヒュー・ジャックマン、ギャレット・ヘドランド、ルーニー・マーラ、他)
(幻想的度:★★★★☆)
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PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜@ぴあ映画生活

チャッピー

CHAPPIE/チャッピー アンレイテッド・バージョン プレミアムエディション(初回限定版) [Blu-ray]
無垢な人工知能のロボットと人間たちとの関わりを描くSFアクション・ドラマ「チャッピー」。設定はありがちだが、ラストには意表をつかれた。

2016年、凶悪犯罪が後を絶たない南アのヨハネスブルグ。街の治安は兵器会社が作る警察ロボットによってかろうじて保たれていた。研究所のロボット開発者・ディオンは、世界で唯一、自身で考え、感じ、成長することができる自立型ロボットをこっそり開発する。だが、ロボットはストリートギャングにさらわれ、ギャングを手本にさまざまなことを学んでしまう…。

タイトルは、人工知能A.I.を搭載したロボットに付けられた名前。起動したばかりの無垢な赤ちゃんのようなチャッピーは、驚くべき速さでさまざまなことを学習する。育ての親のストリートギャングの男女はパパとママになり、さまざまな犯罪を仕込むが、チャッピーは生みの親・ディランから教えられた優しさや善意をも持ち合わせている。チャッピーを単純な善悪に描きわけないのは、そこに人間の本質を投影し、警鐘を鳴らしているからだ。ギャングのカップルは、確かにワルだが、次第に彼らに共感してしまうのは、ギャングなど足元にも及ばない、悪質な研究所員の存在があるから。この敵役をヒュー・ジャックマンが怪演に近い熱演で演じるのが面白い。モーション・キャプチャーで演じるシャールト・コプリーも見事だ。物語の入口は、異形の人造人間「フランケンシュタイン」あるいは「シザーハンズ」に似ているが、最終的には予想もつかない決着を見る。思えばニール・ブロムカンプ監督はデビュー作の「第9地区」でも決して人間に味方しなかった。チャッピーは人間になりたいピノキオとは本質的に異なる。生きたい。それがチャッピーの願いだ。過激なアクションの向こう側に切ない“人間”ドラマが透けて見える。
【75点】
(原題「CHAPPIE」)
(アメリカ/ニール・ブロムカンプ監督/シャールト・コプリー、ヒュー・ジャックマン、シガーニー・ウィーヴァー、他)
(警鐘度:★★★★☆)
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チャッピー@ぴあ映画生活

X-MEN フューチャー&パスト

X-MEN:フューチャー&パスト 3枚組コレクターズ・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]
未来と過去を舞台にX-MENたちの生存をかけた戦いを描くSFアクション「X-MEN フューチャー&パスト」。タイムトラベルもののタブーをこうまで堂々と破ってくるとは!

2023年。史上最強のバイオメカニカル・ロボット“センチネル”によって地球は破滅の危機を迎えていた。プロフェッサーXとマグニートは共闘し、1973年にウルヴァリンの“魂”を送り込むことで、未来に起こる危機の根源を絶とうする。タイムトラベルのダメージに耐え、50年前の自分の肉体に宿り、センチネル・プログラムの開発を阻止しようとするウルヴァリンだったが…。

マーベル・コミックの人気シリーズの最新作は、久し振りにブライアン・シンガーが監督を務める。ド派手なCGとアクションに目を奪われるこのシリーズのキモは、実はマイノリティの孤独と虐げられた者たちの怒り、そして自らの存在意義という実に悶々とした人間(ミュータントだが…)ドラマなのだ。本作では宿敵であるプロフェッサーXとマグニートが手を組むほどの危機が起こり、それを阻止するためにはミスティークことレイヴンのある行動を食い止める必要があるというサスペンスフルな設定である。ここで、治癒能力があるウルヴァリンが危険なタイムトラベルに挑むことになるが、過去にいる仲間たちとのやりとりは中々楽しい。なんといってもクイックシルバーの活躍が嬉しくなるが、過去と未来のプロフェッサーX(チャールズ)とマグニート(エリック)2人の複雑な関係性も興味深い。時は70年代でJFK暗殺やベトナム戦争の話題がチラリと出てくるが、せっかく過去に来たというのに、それらは深く語られず、時空を旅したウルヴァリンも実はさして活躍しないという、ある意味、意外な展開が待つ。何しろ、過去と未来のX-MENたちがオールスターよろしく総出演するので、どうしても駆け足になってしまうのだ。そもそもタイムトラベルもののお約束では「過去は変えてはいけない!」とあるのに、それを堂々と破ってくるのは、特殊能力を持つX-MENだからこそだろうか。こうなってくると、次回作の方向性が気になる。これが許されるのなら何でもアリなのだから。ともあれX-MENファンには見逃せない最新作であることは間違いない。
【65点】
(原題「X-MEN:DAYS OF FUTURE PAST」)
(アメリカ/ブライアン・シンガー監督/ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、他)
(サスペンス度:★★★★☆)
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X-MEN:フューチャー&パスト@ぴあ映画生活

プリズナーズ

プリズナーズ [Blu-ray]
愛する娘を誘拐された父が狂気に陥るサスペンス・スリラー「プリズナーズ」。アメリカの田舎には底知れない闇が潜んでいる。

誰もが家族と和やかに過ごす感謝祭。マサチューセッツ州の平穏な田舎町で幼い少女が失踪する事件が起こる。刑事ロキが捜査に当たるが手がかりは少なく、父親のケラーは第一容疑者アレックスを犯人と確信。だがアレックスは10歳程度の知能しかなく犯行は不可能として釈放される。警察をあてにできないと判断したケラーは自力で娘を取り戻す決意をし、アレックスを拉致。決して超えてはいけない一線を超えてしまう…。

「灼熱の魂」が全世界で高く評価されたドゥニ・ヴィルヌーブ監督のハリウッド・デビュー作だ。完全オリジナルのストーリーで勝負し、並々ならぬ気合いを感じる秀作に仕上がった。二転三転するストーリー、濃厚な心理描写と容赦ないバイオレンス。そんな陰鬱な物語にハリウッドスターが加わって、実に興味深い味を出している。もしも自分が最愛のわが子を奪われたらどうするか。映画はまずこの問いを観客に投げかける。壮絶な暴力をふるうケラーと、彼の行為に否定的なのに中途半端な立ち位置の友人。この状況では我が子を思う親の悲しみや怒りに目がいくだろう。だがストーリーは意外な方向へと転がっていく。事件を冷静に調べる刑事ロキは、現場で大量の血痕や謎めいた記号を発見。さらに何の繋がりもないような幼児失踪事件が思いがけない形でからんでくる。ミステリーなので詳細は明かせないが、広大なアメリカ大陸には、華やかな都会とは正反対の、閉鎖的で鬱屈した田舎町があり、そこに狂気や闇が潜んでいるということだ。「悪魔のいけにえ」を例に出すのは極端すぎるが、何の罪もない子供が犠牲になる事件の多発は、神の不在さえ感じさせるほど重苦しい。ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホールの入魂の演技は胸を打つ。何よりもドゥニ・ヴィルヌーヴという俊英監督の重厚な演出力とストーリーテリングの才能に、映画から一瞬も目が離せなかった。
【80点】
(原題「PRISONERS」)
(アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーブ監督/ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ビオラ・デイビス、他)
(二転三転度:★★★★☆)
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プリズナーズ@ぴあ映画生活

ウルヴァリン:SAMURAI

ウルヴァリン:SAMURAI 4枚組コレクターズ・エディション (初回生産限定) [Blu-ray]
「X-メン」シリーズの人気キャラ、ウルヴァリンを主人公にしたスピンオフ作品の第2弾「ウルヴァリン:SAMURAI」。ヘンな日本もアメコミの舞台と思うとなぜか許せる。

カナダの山奥で隠遁生活を送るウルヴァリンことローガンは、かつて命を救った日本人・矢志田の願いで日本を訪問する。再会後まもなく矢志田は死去するが、彼の孫のマリコが謎の組織から追われていることを知ったローガンは、混乱の中でマリコを助けて逃避行することに。いつしか二人は恋に落ちるが、ローガンは不老不死の力を奪うワナにはめられ、絶対絶命の危機に陥ってしまう…。

「X-メン」シリーズのウルヴァリンといえば、鋭いカギ爪と治癒能力がトレードマーク。それゆえに彼は、不老不死のミュータントのままあらゆる時代を生きねばならない。それは永遠の孤独に等しい悲しすぎる宿命だ。全編日本ロケという異例のアクション大作である本作の冒頭では、ウルヴァリンは原爆投下時の長崎にいて、日本兵の矢志田の命を救う。数十年後、大実業家となり、瀕死の状態の矢志田の“ウルヴァリンへの礼”とは、彼を苦しみから救う「死」を与えるというものだった。この提案と矢志田一族の複雑な思惑には、さまざまな罠がある。それは映画を見て確かめてもらうとして、本作で注目したいのは、やはり“日本”という要素を最大限に生かした点だろう。純和風の家屋に着物、鎧に剣術と古風な日本もあれば、パチンコやラブホテルのようなステレオタオプの日本文化も。さらにウルヴァリンを迎えに来た、矢志田家に仕える女性で、剣の達人ユキオのどこかアニメチックなビジュアルは現代日本のポップカルチャーそのものだ。アクションも高速で疾走する新幹線の上なのだから、過剰なほどの日本へのリスペクトといえるだろう。無論、ヒロインのマリコが和装の喪服姿でうろうろしたり、長崎の隠れ家まであっさりとたどり着いたりと、おかしな設定は数多い。真田広之演じるマリコの父親のキャラもワケが分からない。だが、これは超絶ヒーローのウルヴァリンの物語。多少の矛盾が何だというのだ!という太っ腹な気持ちも必要だ。本作で一番重要なテーマは、不老不死のウルヴァリンが、力を失うことで初めて“限りある命”を自覚するところにある。命の尊さを知る不死身のヒーローだからこそ、彼は孤高のSAMURAIになっていくのだ。ハリウッドが得意とするド迫力のヒーロー映画に和のテイストがドッキングした、ハイブリッドなアクション映画は、日本人の私たちこそ、その魅力を最大限に堪能できる。
【65点】
(原題「The Wolverine 」)
(アメリカ/ジェームズ・マンゴールド監督/ヒュー・ジャックマン、真田広之、TAO、他)
(和風テイスト度:★★★★★)
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ウルヴァリン:SAMURAI@ぴあ映画生活

映画レビュー「レ・ミゼラブル」

レ・ミゼラブル 〈ブルーレイ(デジタル・コピー付) [Blu-ray]レ・ミゼラブル 〈ブルーレイ(デジタル・コピー付) [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
伝説的大ヒットミュージカルの映画化「レ・ミゼラブル」。音楽の力に圧倒される、力強い作品だ。 【70点】

 19世紀のフランス。パンを盗んで19年間服役したジャン・バルジャンは、仮釈放されるが生活に窮し、再び盗みを働く。だが、司教の真心に触れて改心。名前も変え工場経営者兼市長となるが、バルジャンを執拗に追う警部ジャベールに追われることに。そんな時、薄幸の女性ファンティーヌと出会う…。

 原作は文豪ビクトル・ユーゴーの大河小説「ああ無情」。誰でも一度は読んだことがある名作で、これをミュージカル化した舞台は、世界43ヶ国、21ヶ国語で上演され、27年間という驚異的ロングランと6千万人を超える動員数を達成した伝説の大ヒット舞台ミュージカルだ。

 つまり物語は誰もが良く知るもので、ドラマチックな展開や結末まで熟知しているということ。映画で描かれるストーリーも、予定されたことしか描かれない。それでも圧倒的な風格を持つ物語に、惹きつけられるだろう。

 登場人物の人生は皆、苦難に満ちている。改心してからのジャン・バルジャンは人として正しくありたいと願いながら、常に難しい選択を強いられる。女工ファンティーヌもまた、娘コゼットのため、娼婦へと身を落とし極貧生活の末に死んでいく。それら個人の悲しみが、格差と貧困にあえぐ19世紀フランスで、自由を渇望する時代の空気に重なり、大きなうねりとなってバルジャンらを呑みこんでいく様は、まさしく大河のようである。

 このミュージカル映画の最大の特徴は、感情の高まりや劇的な展開をすべて歌だけで表し、ダンスはいっさいないということだ。「英国王のスピーチ」でオスカーを受賞したトム・フーパー監督は、通常のミュージカル映画製作の常識を覆し、演技と歌を同時に収録するという撮影スタイルをとった。メインキャストには有名スターがひしめくが、ミュージカルに慣れた俳優もそうでない者も、一律、情感豊かなのはそのためだ。音楽そのものがこれほど観客の感情を揺さぶる作品はめったにない。

 アン・ハサウェイが歌う「夢やぶれて」を筆頭に、「オン・マイ・オウン」や「民衆の歌」など、珠玉のナンバーが素晴らしい。登場人物の多くが命を落とす中、美しく成長したコゼットと情熱あふれる青年マリウスの若い2人の純愛にすべてを託すことによって、未来への希望を謳いあげた。無償の愛、贖罪と救済、人間精神の尊さ。いつの時代もそれは生きる喜びとなる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)壮大度:★★★★☆

□2012年 イギリス映画 □原題「LES MISERABLES」
□監督:トム・フーパー
□出演:ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウ、他
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レ・ミゼラブル@ぴあ映画生活

映画レビュー「リアル・スティール」

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◆プチレビュー◆
近未来のボクシング界を舞台に父と子の絆を描く娯楽アクション「リアル・スティール」。古典的なストーリーに安心感とまっすぐな感動がある。 【70点】

 西暦2020年。リングの上でボクシングを繰り広げるのは、生身の人間ではなく、高性能の格闘技ロボットたちだった。かつては才能あふれるボクサーだったチャーリーは、闘う場所を失い、今やロボット格闘技のしがないプロモーターとしてようやく生計を立てる失意の日々を送っている。そんな彼の前に、離婚して別々に暮らしていた11歳の息子マックスが現れる。最愛の母を亡くしたマックスは父に心を開かず、ぎくしゃくした関係のまま2人は暮らし始めた。そんなある日、2人はゴミ捨て場でスクラップ同然に捨てられた旧式ロボット“ATOM”を発見する…。

 最新技術で描くロボットもの。あるいは怒涛のボクシングもの。いや、この作品はむしろ、ハリウッドが昔から得意とする父子愛ものだ。近未来を舞台とするが、そこはロボットが格闘技を繰り広げる以外は、ほとんど現代と変わらない。勝ち組と負け組による格差や、他者との関係をうまく築けずに悩む姿は、現代社会をリアルに投影している。

 11歳の少年らしくゲーム好きのマックスは、ロボット操作にコ慣れていて、“命を助けた”旧式ロボット・ATOMには特別な絆を感じている。一方、チャーリーにはロボットは、自分の生きる場所を奪った存在でありながらも、収入の糧でもある。苦く複雑な思いを抱えるチャーリーと、ロボットへの、ひいてはATOMへのピュアな愛があるマックス。2つの思いが歩み寄って共鳴したとき、誰かの動きを真似て学習する“シャドー機能”を備えたATOMは、チャーリーの愛弟子になるというわけだ。

 欲を言えば、特別なロボット・ATOMの出自と、ATOMとマックスの強い絆をもう少し深く描いてほしかったところだが、それでもチャーリーとマックス親子が二人三脚で闘ううちに強い絆で結ばれていくプロセスは、父子愛の感動ドラマとして申し分がない。逞しく肉体改造したヒュー・ジャックマンと、素直な演技が光る子役ダコタ・ゴヨの二人が好演だ。

 失意の主人公の奮闘と再起、連戦連勝の痛快さ、強敵への無謀な挑戦、父と子の絆。「チャンプ」を例に出すまでもなく、すべては過去に何度も描かれてきた手垢のついた素材なのに、やっぱり感動してしまう。ウェイルメイドなエンタテインメントの隠し味がオンボロ・ロボットだというのが、案外効いているのかもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)父子愛度:★★★★☆

□2011年 アメリカ映画 原題「REAL STEE」
□監督:ショーン・レヴィ
□出演:ヒュー・ジャックマン、エヴァンジェリン・リリー、ダコタ・ゴヨ、他
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リアル・スティール@ぴあ映画生活

映画レビュー「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」

ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray]ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
「X-MEN」のスピンオフ作品はウルヴァリン誕生秘話。厭世的な彼の性格が納得できる。 【65点】

 幼い頃に兄ビクターと共に特殊能力に覚醒して以来、人としての幸せを捨てて生きてきたローガン。やっと愛する女性に巡り会ったが凶暴化したビクターによって彼女は殺される。復讐を誓うローガンは謎の巨大組織と取引するが…。

 アメコミの映画化の中でも「X-MEN」シリーズは特別に人気がある。その理由は、チームで戦う個性と、ミュータントたちの多彩な能力の面白さ、さらに登場人物の悩みとせめぎあいが、ドラマとして奥深さを醸し出すためだろう。「X-MEN」には魅力的なキャラが多いが、とびきり危険で興味深いのがウルヴァリンだ。彼の最大の謎は、過去の記憶をすべて失っていることである。

 映画は秘密を紐解くためウルヴァリンの過去を描くが、19世紀末に生まれた彼は最初はローガンという名前だ。何しろ父殺害によってミュータントとしての能力が覚醒するのだからスタート地点から悲劇である。不老不死で異形の自分を追い込むかのように、南北戦争からベトナム戦争まで数々の戦いに加担するのも、自分自身の居場所がないためだ。心の平和を求める気持ちと闘争本能の狭間で苦悩するローガンとは裏腹に、同じくミュータントの兄ビクターは次第に凶暴性を増していき、ついにローガンの最愛の女性ケイラを殺してしまう。ローガンは兄ビクターへの復讐を誓うのだが、父親殺しに兄への憎悪と、彼の過去はまるでギリシャ悲劇のよう。かくして、壮大な兄弟ゲンカの幕が開く。

 ただしそれは単なる復讐ではなかった。ローガンが選んだ道は、謎の組織と取引し、自分自身を最強の武器に作り変えること。地上最硬の超金属アダマンチウムを全身の骨に移植する改造手術を受けて生まれたのが人間兵器“ウルヴァリン”なのだ。拳から飛び出していた脆い骨は、すべてを切り裂く超金属の爪に変わった。驚異的な治癒能力と、戦場で培った戦闘能力に磨きがかかったのもこの時だ。ウルヴァリンを象徴する要素はすべて復讐のために作られたという事実が悲しい。さらに、鋭利な爪が切り裂く運命は、巨大な陰謀と衝撃的な事実へと導いていく。それは、彼の記憶すべてを奪うほどの絶望的な宿命だ。

 悲劇的な過去だけでなく、超絶アクションも見逃せない。軍用ヘリと大型バイクのチェイスや、最終決戦の場となる廃墟の原子力工場の上での激しいバトルはまさに破壊の美学。螺旋状に切り裂かれていく建物はまるでアートだ。そこは実はミュータントを閉じ込める秘密の実験施設で、ウルヴァリンにはある再会が待っている。「ファイナル・デシジョン」では愛する女性を敵に回す苦悩を味わったが、ウルヴァリンの爪は大切な人との絆を断ち切ってしまうのか。

 意外なのは、監督が南アの過酷な現状を少年の目から描いた秀作「ツォツィ」のギャヴィン・フッドだということだ。ハリウッド製アクション映画を撮る監督とは思わなかったが、善悪の葛藤を軸に物語を構成し、なかなかの健闘を見せている。ともあれ、ウルヴァリン誕生を語るこの「ZERO」は、未来へと続く気配を濃厚に漂わせた。ウルヴァリンとは先住民の言葉で、小型だが獰猛な哺乳類クズリを意味する。愛した女性との思い出であるこの名前の由来さえ、覚えていない悲しき戦士。それがウルヴァリンなのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)破壊度:★★★★☆

□2009年 アメリカ映画 原題「X-Men Origins:Wolverine」
□監督:ギャヴィン・フッド
□出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、ダニー・ヒューストン、他


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ウルヴァリン:X−MEN ZERO@ぴあ映画生活

オーストラリア

オーストラリア (ニコール・キッドマン 主演) [DVD]オーストラリア (ニコール・キッドマン 主演) [DVD]
オーストラリア出身の監督・俳優・主要スタッフが、国の威信をかけて作った大河ロマンだ。第二次大戦前夜のオーストラリアにやってきた英国貴族サラと野性的なカウボーイ・ドローヴァーの恋を軸に、悪徳牧場主との対決、1500頭の牛を連れての大陸横断、夫殺しの謎、日本軍の襲撃による戦争スペクタクルと、てんこ盛り。大味で詰め込みすぎの内容はまとまりに欠けると感じつつ、何だか得した気分にもなる。白いタキシード姿のヒューとチャイナドレスのニコールのラブシーンは、まるでハーレクイン・ロマンスのようで苦笑したが、美男美女なので許そう。特筆は、先住民アボリジニの旅立ちの儀式“ウォークアバウト”の神秘性。アボリジニの精神風土とも言える気高い心と美しく壮大な豪州の自然こそが最大の魅力だ。大自然のパワーが人の生き方を変えていく。オーストラリアは、その舞台に最もふさわしい場所だということなのだろう。
【55点】
(原題「AUSTRALIA」)
(オーストラリア/バズ・ラーマン監督/ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、デヴィッド・ウェンハム、他)
(盛り沢山度:★★★★★)

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彼が二度愛したS

彼が二度愛したS [DVD]彼が二度愛したS [DVD]
好漢ヒュー・ジャックマンが悪役を演じるのは新鮮だが、内容は平凡な官能サスペンス。孤独な会計士ジョナサンは偶然知り合ったハンサムな弁護士ワイアットに導かれハイソな秘密クラブにのめり込むことになる。だが謎めいた美女Sを愛したことから運命が狂いはじめる。中盤から主人公がハメられたのが分かる展開だが、あまりに先が読めてサスペンスとしての魅力が薄い。だが、官能シーンはエロティックというよりスタイリッシュに描かれているので上品さがある。謎解きやどんでん返しの驚きは少ないが、意外にもセンスある邦題と、都会の孤独をすくい取ったムードは良かった。
【55点】
(原題「DECEPTION」)
(アメリカ/マーセル・ランジェネッガー監督/ヒュー・ジャックマン、ユアン・マクレガー、ミシェル・ウィリアムズ、他)
(エロティック度:★★★☆☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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