アメリア 永遠の翼 [DVD]
実在した女性飛行家アメリア・イヤハートの半生を描く伝記映画だが、物語が表層的で魅力に欠ける。アメリア自身の人生には興味深い素材が多いのに、この映画ではそれに踏み込む勇気が見受けられない。1928年、空が大好きなアメリア・イヤハートは、大西洋を横断した初の女性となった。彼女は数々の飛行記録に挑戦し、新記録を打ち立て、不況にあえぐアメリカ国民、とりわけ女性にとっての希望の象徴となっていく。そんな彼女を支えたのはプロモーターの夫ジョージだ。1937年、アメリアは、世界一周飛行という難関にチャレンジすることになるのだが…。
20世紀初頭、飛行機は夢の乗り物だった。リンドバーグによる大西洋横断は成功していたが、女性として初の横断は、アメリアにとって単なる“乗客”でしかなく、彼女は自分の力で空を飛ぶことを切望した。そこにはまだまだ女性差別の空気もあったはずだし、その後、アメリアが女性パイロットの育成に尽力を尽くすなど、フェミニズムという観点から大きな足跡を残しているにも係わらず、映画はそれらを表面的にしか描かない。アメリア自身は女性運動より次回の飛行の資金稼ぎのため、講演や執筆、CMなどの慣れない仕事に割く時間が多かった。そのあたりのジレンマも深く掘り下げられてない。さらに彼女は、当時としては進歩的な女性で、ジョージとの結婚も条件付きのものだったし、結婚という制度に囚われまいとしていたのに、後の米国の航空産業を支える人物ジーン・ヴィダルとの恋愛でも、結局は彼女の恋愛観がよく分からない。つまりは、焦点がぼやけてしまった印象の作品なのだ。それならばせめて、未だに謎に包まれている、彼女が行方を絶った最後のフライトについて、もっと自由な描き方をしても良かったのではないだろうか。ラストにアメリア・イアハート本人の記録映像が登場し、それが映画の中で最も興味をそそる部分だったということを考えれば、優等生的なこの伝記映画に魅力が欠けていたと言わざるを得ない。ミーラー・ナーイルは好きな監督だが、素材が彼女に合わなかったのだろうか。この作品の平凡な出来には首をかしげる。ただひとつ、アメリアが飛行機の窓からスカーフを飛ばすシーンが美しく印象に残る。空を愛し、空と同化するほど自由でいたいと願ったヒロインを象徴する場面だった。
【50点】
(原題「AMELIA」)
(アメリカ/ミーラー・ナーイル監督/ヒラリー・スワンク、リチャード・ギア、ユアン・マクレガー、他)
(表層的度:★★★★☆)
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