映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワンダーウーマン」「エル」「関ケ原」「ボブという名の猫」etc.

ビル・コンドン

美女と野獣

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック<英語版[1CD]>
ある城に魔女の呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまった、一人の美しい王子が住んでいた。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、誰かを心から愛し、愛されることができなければ、永遠に人間には戻れない。希望を失いかけたその時、美しい村娘のベルが城に現れる。聡明で進歩的な考えを持つベルは閉鎖的な村になじめず悩みながらも、人と違うことを受け入れる女性だった。そんなベルと触れ合ううちに、外見に縛られて自分の価値を見出せずにいた野獣の心は変化していく。互いに惹かれあう二人だったが…。

アニメーションとして初のアカデミー賞作品賞にノミネートされたディズニー・アニメの不朽の名作を実写映画化したラブ・ストーリー「美女と野獣」。近年のディズニー・アニメの実写化では、おとぎ話を現代的な解釈で再構築するのがコンセプトだったが、本作は、1991年のアニメ版をほぼ忠実に実写化しているので、ストーリー的な驚きはほとんどない。だがその分、実写ならではの絢爛豪華な美術、衣装などのきらびやかな映像と、抜群に芸達者な俳優たちの素晴らしい歌声で、観客の心を鷲づかみにしてくれる。もともとはフランスの民話なので、フランスで何度かの実写化がなされているが、本作はアニメ版はもちろん、1946年のジャン・コクトー版へのリスペクトが見て取れる。「ドリームガールズ」のビル・コンドンはミュージカルが得意な監督で、本作でも美しく繊細、かつスピード感あふれる演出が冴えていた。ベルと野獣のダンスシーンは有名な主題歌“美女と野獣”も含めて最高にロマンチックだし、ベルを迎えて城の住人(ポットや時計、燭台たち)がファンタジックな大騒ぎを繰り広げる“ひとりぼっちの晩餐会”の躍動感は、近年のミュージカルでは出色の楽しさだ。そして、自分の輝きを信じること、本物の美しさは外見ではなく内面に宿るという、いつの時代も変わらない「美女と野獣」の普遍的なメッセージが、しっかりと伝わってくる。アニメ版に忠実すぎる実写化という点は、賛否が分かれるかもしれないが、完成度が極めて高いエンタテインメントを見る幸福感に素直に酔いしれたい。
【80点】
(原題「BEAUTY AND THE BEAST」)
(アメリカ/ビル・コンドン監督/エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス、他)
(エンタテインメント度:★★★★★)
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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 [Blu-ray]
93歳になった名探偵シャーロック・ホームズは、引退し、海辺の家で静かに暮らしている。しかし彼は、30年前の未解決事件のことが、ずっと気になっていた。その事件とは、子どもを亡くし正気を失った女性の調査依頼と、彼女が夫の殺害を計画しているという疑惑。だが、調査したホームズの失態で未解決となった上に、自身も探偵引退を余儀なくされたのだった。日本への旅行で事件解決のヒントを得たホームズは、家政婦の息子で、10歳になるロジャー少年に探偵の素質があることを見抜き、彼を助手に事件を再捜査していく…。

93歳になった名探偵シャーロック・ホームズが、30年前の未解決事件の謎に挑む「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」。原作は、ミッチ・カリンの小説だ。シャーロック・ホームズの物語は、幾度となく映像化されているが、晩年の、しかも悔恨を描く本作は、いわば番外編の趣である。それにしてもあのホームズが記憶も推理力も衰えた、ボケ老人…、失礼、93歳という高齢の老人とは!シャーロッキアンでなくても、少なからずショッキングな設定である。自分の失態、結果、引退へと追い込まれた事件の詳細を思い出そうとするが、記憶は混濁し、鍵を握る日本人ウメザキから過去のことを責められても「思い出せない」というばかり。真田広之演じるこのウメザキとの関係が、未解決事件の捜査にほとんど活きていないのが、ちょっと残念である。それでも、ホームズの老いを際立たせる効果は、確かにあった。過去と現在を行き来しながら物語は進むが、味わい深いのは、現代の方で、10歳の理知的な少年ロジャーを相棒に事件に挑む老ホームズはなんとも微笑ましいし、凸凹コンビのような2人の関係が実にあたたかい。孤独と死を現実のものとして受け止めたホームズが、真実を追求しながら最終的に知ったのは、深く傷ついた人間にそっと寄り添うことの意味なのだろう。本作はミステリーというより、人間ドラマとしての深みが勝った。隠れた秀作「ゴッド・アンド・モンスター」でも名優マッケランと組んだコンドン監督は、最晩年を迎えた人間の贖罪という共通したテーマを、本作でも丁寧に描いている。
【70点】
(原題「MR.HOLMES」)
(英・米/ビル・コンドン監督/イアン・マッケラン、ローラ・リニー、真田広之、他)
(ヒューマニズム度:★★★★☆)
チケットぴあ

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映画レビュー「ドリームガールズ」

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
物語は、ダイアナ・ロスが所属したシュープリームスをモデルにしているのは明らか。モータウンサウンド好きにはたまらなくシビれる映画。 【80点】

仲良しの友達同士で結成した女性コーラス・グループ、ドリー・メッツは、実力はあるのにコンテストでは落選続き。そんな彼女たちに目をつけた敏腕マネージャーがいた。人気歌手のバックコーラスとなり、続いてザ・ドリームスと改名してスターになるが、グループの実力派シンガーのエフィより、美貌のディーナを前面に出して時代の潮流に乗るマネージャーのやり方に、彼女たちの関係は次第にひずんでいく…。

60〜70年代のモータウンサウンド全盛期、情熱と実力だけでは成功しないショー・ビズの世界で夢を追った女性たちのストーリーだ。音楽業界の華やかな表舞台と、卑怯な裏事情を交互に見せながら、成功と挫折、そしてあざやかな再生を、ゴージャスな歌でつづる。物語はミュージカル形式のメリットを生かし、ひたすらアップ・テンポ。一曲歌えば、もう大スターという目まぐるしさなので、文字通り、目が離せない。登場人物が歌手という設定なので、物語と歌が自然に溶け合っている点は、唐突に歌いだすミュージカルが苦手な人にも比較的違和感なく受け入れられるだろう。

物語の軸は新人のジェニファー・ハドソン演じるエフィ。彼女の実力と自我がストーリーを転がしていく。ブラック・ミュージックが白人に安易に模倣され侵害されたり、同じ黒人同士でも、成功のためには卑劣な手段で襲いかかる仁義なき音楽業界。エフィが魂を込めて歌った「ワンナイト・オンリー」が、かつての恋人の手で握りつぶされるくだりなどは、とても胸が痛む。残酷なのは物語だけではない。ビヨンセをルックスだけの平凡な歌い手に設定し、エディ・マーフィーには時代に取り残されるスターを演じさせるなど、辛らつなキャスティングをやってのけたのは「シカゴ」の脚本家であるビル・コンドン監督だ。しかし、俳優たちは、堂々とした演技と見事な歌でこの挑戦を受けてたっている。

男優、女優ともに実力派揃いだが、やはり輝いているのは女性たち。男の野望や愛情よりも、女同士の友情が物語を熱くする。失ったものを取り戻す彼女たちの強さがまぶしかった。ブロードウェイという素地がある米国エンタテインメントは、本当に豊かである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ゴージャス度:★★★★★

□2006年 アメリカ映画 原題「DREAMGIRLS」
□監督:ビル・コンドン
□出演:ビヨンセ・ノウルズ、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ハドソン、他

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ゴッド・アンド・モンスター

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◆プチレビュー◆
イアン・マッケラン入魂の演技に注目。この作品は掘り出しモノだ。

99年アカデミー賞脚色賞を含む世界の数々の賞を受賞しながら、当時日本では劇場公開も行われず、ビデオリリースのみ。いわくつきの映画となるとますます観たくなるのが常だ。

戦前のハリウッド黄金期に、フランケンシュタイン映画によって一躍人気監督となり、頂点を極めながらも、同性愛者であるために映画界を追われたジェームズ・ホエール。ハリウッドの伝説の監督の最期の日々を描く。

映画界から謎の引退を遂げた名監督ジェームズ・ホエール。彼は老いと病に直面し、日に日に悪化する精神錯乱に怯えて暮らす。正気を失う前に、誰か自分を抹殺してくれと心に願いながら。謎めいた隠遁生活を送るこの老人の庭師として、ある日、若い青年が雇われる。彼こそが自分の苦悩に終止符を打つ男。どうか自分を解放してくれと、友情と同性愛と死への期待感をもって彼を挑発し、この庭師の男に自分の過去を打ち明け始める…。

最初は結構ユーモラスな場面も多く、隠居中でボケ気味のゲイのじいさんと、若くてマッチョなピチピチ兄ちゃんとのラブストーリーかと思っていると、これが実は違うのだ。エキセントリックなホエールの苦悩の日々がフラッシュバックで巧みに描かれ、庭師の青年ならずともジワジワと監督に心が吸い寄せられる。見終われば、これは孤独な芸術家の挫折と複雑な愛を描いた純度の高い感動作なのだと理解した。

主人公のホエールは常に過去に縛られ、昔を嫌悪する。ゲイであり、祖国イギリスを追われた過去、映画監督として栄光を掴んでいた過去。現在の自分の存在はいったい何のためか?自分の人生の価値は何か?と苦悩する姿が痛々しい。死への恐怖と、過去の栄光と挫折が胸に去来し、心の傷に苦しむ孤独な魂。どうか彼に救いの手を、と願ってやまぬ気持ちが湧き上がる。

ハリウッドメジャーの大作のような、わかりやすい感動はない。しかし、ジェームズ・ホエールという謎の多い実在の映画監督を、実話とフィクションを交えて、映画として上手く仕上げている。ラストは、悲しいようなほっとしたような、実に淋しくせつない空気が漂う。

監督役の、イギリスの名優イアン・マッケランは自らゲイであると宣言し、カミングアウトした後の出演だった。彼のユーモアと狂気が、観る者に訴えかけて、素晴らしい。この役は彼しかいない。アカデミー主演男優賞にノミネートされたのも納得だ。かつて静岡ではファンの署名運動により1日だけの劇場公開も実現したという、知る人ぞ知る幻の傑作が本作だ。

□1998年 アメリカ映画 原題「GODS AND MONSTERS」
□監督:ビル・コンドン
□出演:イアン・マッケラン、ブレンダン・フレイザー、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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