映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

フィリップ・ノイス

映画レビュー「ソルト」

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◆プチレビュー◆
アンジーの七変化が楽しめるスパイ・アクション「ソルト」。リアリティーはないがタフなヒロインの活躍は嬉しい。 【55点】

 CIAの敏腕分析官イヴリン・ソルトは、何者かの企てによってロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。自分の無実をはらすため逃亡を図り、CIAの追跡をかわしながら陰謀の真相を探ろうとするが…。

 映画界では主役のキャスティングが紆余曲折するのは日常茶飯事だ。「ティファニーで朝食を」のヒロインは、最初はマリリン・モンローを念頭に置いていたという。モンロー版ホリー・ゴライトリーを見てみたかった気もするが、今ではオードリー・ヘプバーンで誰も文句はないだろう。主人公のイメージは脚本次第でどうにでも対応できるのだ。そうはいっても、本作はかなりムチャである。何しろ、もともとはトム・クルーズ主演で作られるはずだったという本作、男性でもかなりハードなアクションをそのまま女性に換算してしまうとは。現在の映画界で最もアクションがさまになる女優アンジェリーナ・ジョリーといえども、この展開は“いくらなんでも”だ。

 スパイの疑いをかけられたソルトが、お手製の即席爆弾を作り、周囲の小道具を利用しながら逃げる展開は、同じく“逃げるCIA”ジェイソン・ボーンのようで面白い。だが、高速道路を走るトラックの屋根から屋根へと飛び移り、暴走する地下鉄からジャンプ、エレベータシャフトを降下、屈強な男たちを殴り倒すとなると、いくらアンジーでもフィジカル的に納得しがたい。しかも、ソルトの謎めいた行動で物語は二転三転。米国内でテロを遂行するのはロシア側である証拠だが、ロシア人たちにも平気で銃を向ける。自分を本当に愛してくれる優しい夫をみつめるまなざしはどうやら本物のようだ。謎めくというよりバランスが悪くて落ち着かない。こうなると映画の見方を変えるしかない。

 そこで提案だが、ハリウッドで最もタフで美しい女優アンジェリーナ・ジョリーに焦点を合わせて楽しむというのはどうだろう。金髪から黒髪へ。タイトなグレーのスーツからクールな黒装束、ファー付きのマントへ。瞳の色も変え、ついには顔にラバーを張り付けた男装の変装まで。さしずめアンジー七変化だ。なんだか可笑しなコスプレ映画の様相を呈し始めたところで、意外な人物の正体がわかりクライマックスへと突入する。まったく命がいくつあっても足りないのだが、アンジーだからと居直ってしまえば、ムチャな活劇を楽しむ余裕も生まれよう。逃げるだけでは物足りない、攻めてこそアンジーだ!とテンションを上げてしまえばもうこっちのものだ。ちなみにアクションは、イスラエル生まれの武道“クラヴ・マガ”の技が基本だそう。攻撃や殺人ではなく護身がベースのこの動きは接近戦に向いているので、女性は要チェックである。

 ヒロインの超絶タフネスぶりが際立つこの物語、そもそも特殊機関で教育を受け、何十年も敵国に潜伏して要人暗殺の機会を待つという背景に気が遠くなるが、まるっきり絵空事ではないらしい。つい最近でもスパイ同士の引渡し劇という、まるで映画のような事件が起こったばかりだ。完全に信頼していた人物が実は…というプロットは、スパイものでは定番。こんな荒唐無稽な作品が、計らずも現実とリンクしてしまうところが、映画の面白さであり不確定要素だ。やっぱり映画は“生きもの”なのかもしれない、思ったりするのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)女性活劇度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「SALT」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、他


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ソルト@ぴあ映画生活

映画レビュー「輝く夜明けに向かって」

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◆プチレビュー◆
人種差別によりテロリストを生む構造と、自由のためにテロリストになる人間。世界の暴力行為の根は複雑で深い。解決策より不安感をあおる映画だと思う。 【50点】

1980年代の南アフリカ。そこでは、少数の白人による過酷なアパルトヘイト(人種隔離政策)が大多数の黒人たちの尊厳を奪っていた。パトリックは黒人としては豊かな暮らしの中で平穏に生きていたが、ある日、テロ対策班の大佐ニックから、工場爆破事件の犯人として無実の罪をきせられる…。

近年、アフリカを舞台にした映画が多い。もちろん昔からあるが、貧困、飢餓、内戦、環境破壊と止まるところを知らないアフリカの社会問題の源に、欧米が明らかに荷担していることを知らしめるため、映画人が声をあげているのだ。南アのアパルトヘイトは、現在は終結しているが、世界の人種差別問題に終わりは見えない。

無実の罪から、自分や家族が拷問されたことが、平穏な人生を送っていたパトリックを激変させる。彼は自由を勝ち取るために、急進派組織のアフリカ民族会議に身を投じた。政府側から見れば「テロリスト」、民衆側からは「自由の戦士」。この二つは紙一重なのだ。主人公を英雄として扱うのではなく、矛盾をはらみ欠点を持つ人間として描いたことが、テロ行為と自由の戦いの境界線の複雑さと重なって上手かった。

テロ対策班のニック・フォスを演じたティム・ロビンスは、実際はリベラル派として知られる俳優だ。この冷酷な役は、さぞ抵抗があったに違いない。だがそこは実力派俳優。人種差別を祖国の崩壊の阻止と考える誤った愛国者として、奥深く演じている。ニックのやり方は明らかに間違っている。だが彼は、アパルトヘイト政策の限界とその終焉を心の中で悟っていた。ニック・フォスという怪物は、あきらめを内包しながら職務を全うし、そして滅びていく男なのだ。「祖国と自由のために戦う」という大義名分の、多面的な恐ろしさを見せられる作品である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)社会派度:★★★★☆

□2006年 アメリカ・フランス合作映画 原題「Catch a Fire」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:ティム・ロビンス、デレク・ルーク、ボニー・ヘナ、他

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