映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「ユダヤ人を救った動物園」etc.

フェリシティ・ジョーンズ

怪物はささやく

Ost: a Monster Calls
イギリスに住む13歳の少年コナーは、難しい病気を抱えた母と二人で、墓地が見える家で暮らしている。コナーは毎晩のように悪夢にうなされていたが、ある夜、樹木の姿をした怪物がやってくる。怪物はコナーに3つの真実の物語を語るから、4つめはコナーが隠している物語を話せと迫る…。

怪物が語る奇妙な真実の物語を通して人間の本質に迫っていくダーク・ファンタジー「怪物はささやく」。原作は児童文学で、シヴォーン・ダウドの未完の遺作を、パトリック・ネスが引き継いで完成させた。ネスは本作で脚本も担当している。スペイン出身の監督J.A.バヨナは長編デビュー作「永遠のこどもたち」同様、本作でも母親と息子の関係性に重点を置いて、現実と空想の間を行き来する不思議なストーリーを作り上げた。主人公のコナー少年が生きる現実は、とてつもなく過酷である。母はガンのためゆっくりと死に向かっており、母と離婚した父は遠いアメリカで新しい家庭を持っている。怖い祖母とは折り合いが悪い。学校ではいじめを受けている。彼の周囲は苦難に満ち、居場所がないコナーは毎晩悪夢にうなされているのだ。そんなコナーに、巨大なイチイの木の姿をした怪物が語る物語は、決して単純なおとぎ話ではない。3つの真実の物語は、どれも意外な結末でコナーを翻弄し、現実の不条理をつきつける寓話である。怪物は、安易なハッピーエンドや単純な善悪でコナーを子ども扱いせず、人間としてしっかり現実と対峙できるよう導こうとしているのだ。そして、ついにコナーが心の奥底にひた隠す真実の物語を話すときが訪れる。コナーが話す“告白”は、衝撃的だが切なく、激しく胸が揺さぶられるものだ。何千年も生きて、人間の美醜のすべてを見てきた怪物は、決して恐ろしいだけの存在ではない。コナーのメンターであり、コナーの心の奥底にある潜在意識であり、母親からのメッセンジャーでもある。幻想的なアニメーションの素晴らしいビジュアル、怪物の声を担当するリーアム・ニーソンの深くしみいるような声、コナーを演じるルイス・マクドゥーガル少年の繊細な演技が心に残る。そして原作にはない新たな結末が深い余韻と感動を残してくれた。物語の力を描く映画は数多く存在するが、本作の物語はどれも複雑で深く、考えさせられるものばかりだ。不安な現代を生きるための沢山のヒントが隠されている秀作である。
【85点】
(原題「A MONSTER CALLS」)
(米・スペイン/J・A・バヨナ監督/ルイス・マクドゥーガル、フェリシティ・ジョーンズ、リーアム・ニーソン、他)
(大人向け度:★★★★☆)
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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー MovieNEX(初回限定版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
銀河全体を脅かす帝国軍の究極兵器、デス・スター。その設計図を奪うために、反乱軍は、窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン・アーソに白羽の矢を立てる。彼女と共に闘うのは、情報将校キャシアン、盲目の僧侶で武術の使い手チアルート、チアルートの相棒で巨大銃ブラスターを駆使するベイズ、貨物船の凄腕パイロットのボーディーら。この極秘部隊ローグ・ワンは、困難かつ無謀なミッションに立ち向っていくが、その運命のカギは天才科学者であり、何年も行方不明になっているジンの父ゲイリン・アーソに隠されていた…。

「スター・ウォーズ」(以下、SW)サーガのスピンオフ作品「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」。「エピソード4」でレイア姫がR2-D2に託した帝国軍の究極兵器デス・スターの設計図が、いかにして反乱軍にもたらされたかを語るアナザー・ストーリーだ。何しろ、配給会社から、最上級のセキュリティとネタバレ禁止令が出ているので、物語の詳細は明かせない。ただ、今まで語られてきた、スカイウォーカー家や、ジェダイという特別な力を持つキャラクターではなく、名もない人々の勇気を描くこの物語は、多くの観客の共感を呼ぶのは間違いない。ヒロインのジン・アーソをはじめ、ローグ・ワンのメンバーたちは、生きるために時には犯罪にも手を染めてきた無法者だ。そんな彼らが銀河の平和と希望を信じて命がけで戦う姿と、SWの通奏低音である家族の物語に胸が熱くなる。クライマックス、ローグ・ワンの死闘とその先の運命は、興奮と感動で満たされるだろう。映像は文句なしに素晴らしいが、何よりもドラマ・パートが秀逸なのである。劇中には数々の小ネタのお楽しみも用意されていてSWファンには嬉しいかぎり。お決まりのセリフ「嫌な予感がする」もちゃんと登場する。ディープなファンはもちろん、独立した物語のため、SW初心者にも楽しめる作りなので安心してほしい。SWは最先端テクノロジーの映像メディアによる現代の神話だ。例えば、ギリシャ神話や三国志に、多くの英雄や豪傑がいて、魅力的なエピソードが多数あるように、SWの本流の周辺には、星屑にも似た数限りない物語が存在している。それらこそ、SWを輝かせる、かけがえのないスターダストなのである。
【85点】
(原題「ROGUE ONE A STAR WARS STORY」)
(アメリカ/ギャレス・エドワーズ監督/フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ドニー・イェン、他)
(家族愛度:★★★★☆)

インフェルノ

インフェルノ (初回生産限定) [Blu-ray]
宗教象徴学者のロバート・ラングドン教授は、記憶喪失状態でフィレンツェの病院で目覚める。おぼろげな意識の中に浮かぶのは、地獄のイメージ。理由もわからず病院で命を狙われたラングドンは、医師のシエナの助けで何とか逃げ延びる。世界的な大富豪で生化学者ゾブリストが、人口増加問題の過激な解決策として伝染病を利用した人口淘汰を目論み、殺人ウィルスの拡散計画を目論んで、ラングドンに挑戦状を突きつけたのだ。ゾブリストは、詩人ダンテの叙事詩「神曲」の地獄篇(インフェルノ)に暗号を隠し、ラングドンは、人類滅亡を阻止するため、その謎を解きながら、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールへと向かう…。

ダン・ブラウン原作の“ロバート・ラングドン”シリーズの映画化最新作で「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続く第三弾「インフェルノ」。今回は対処法のない殺人ウィルスの拡散を阻止するため、敵も味方も、皆がラングドンを追いかける。そのラングドンは、頭部を強打し負傷したことが原因で記憶が曖昧という設定が効いていて、彼の見る幻覚と、恐ろしい地獄のイメージがまるでホラー映画のように重なっている。中世の疫病の地獄絵と、現代の風景がミックスされたそのヴィジュアルは、まさに世界の終わりという様相だ。誰が敵で誰が味方なのかがわからない状況もこの恐ろしさに拍車をかけている。例によって博識のラングドン教授が、一般人では知りえないような、宮殿や大聖堂といった宗教建造物の抜け道や秘密の扉や天井裏の構造まで熟知していて、次々にあらわれる暗号の謎を瞬時に解きながら、警察や敵の包囲網をすんなりとくぐり抜ける。この展開があまりにも早業すぎて、見ている観客は、謎を考えたり、首をひねったりするヒマさえないという有様だ。ラングトンの“走り”についていくだけで精一杯なのだが、何しろフィレンツェのヴェッキオ宮殿、ヴェネツィアのドゥカーレ宮殿、イスタンブールのアヤソフィア大聖堂という壮麗な歴史建造物を背景にしているので、知的好奇心をたっぷりと刺激される。思いがけない人物の思いがけない行動も含めて、あっという間に駆け抜ける2時間だった。
【65点】
(原題「INFERNO」)
(アメリカ/ロン・ハワード監督/トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ、オマール・シー、他)
(スピード感度:★★★★★)
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アウトバーン

アウトバーン ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/特製ブックレット付) [Blu-ray]
ドイツ、ケルン。かつて凄腕の車泥棒として名をはせたアメリカ人青年ケイシーは、偶然出会ったジュリエットと運命的な恋に落ち、真面目に働こうと決心する。だがジュリエットに重い病が発覚し、彼女を救うためケイシーは再び危険な仕事を引き受けることに。車を盗んで届けるだけの仕事だったはずが、トラックには麻薬、高級車に500万ユーロが隠されており、ケイシーは巧妙に仕掛けられた危険な取引に巻き込まれてしまう。二つの巨悪組織から逃れながら、恋人ジュリエットを救うため、高級車を乗り換えながらアウトバーンを爆走するケイシーだったが…。

闇取引に巻き込まれた天才車泥棒の青年の奮闘を描くアクション「アウトバーン」。ヨーロッパの高級車を惜しげもなく使った、速度無制限のドイツの高速道路・アウトバーンでの壮絶なカーチェイスが最大の見所だ。知的なワルと下品なワルを演じる、二大オスカー俳優アンソニー・ホプキンスとベン・キングスレーの豪華すぎる競演も見逃せない。だが、アウトバーンでのチェイスの時間が思ったより短く物足りないし、アクションというよりは、ラブストーリーの要素が強いのも肩透かしだ。難病もの演出も唐突すぎる。それでも、主演のニコラス・ホルトはどこかウブな感じで、純愛ものにはぴったりハマる俳優だ。「ウォーム・ボディーズ」のような愛らしい小品から、「マッドマックス」「X-MEN」のようなメガヒット大作まで、縦横無尽に出演する若手売れっ子スターなのだが、「アバウト・ア・ボーイ」のあの少年がこんなにりっぱになって…と、つい感慨にふけってしまう。物語は、ケイシーがジュリエットを救うためならと八面六臂の大活躍、ラストにはどんでん返しもちゃんと用意されている。監督は隠れた佳作「ビトレイヤー」のエラン・クリーヴィー。裏社会に生きる男たちの意地やプライドをしっかりと盛り込みながら、手堅くまとめている。
【55点】
(原題「COLLIDE」)
(英・独/エラン・クリーヴィー監督/ニコラス・ホルト、フェリシティ・ジョーンズ、ベン・キングズレー、他)
(カーアクション度:★★★☆☆)
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博士と彼女のセオリー

博士と彼女のセオリー ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
理論物理学者スティーブン・ホーキング博士と妻ジェーンの半生を描いた「博士と彼女のセオリー」。あざとさや感動の押し売りはいっさいない特異なラブストーリー。

天才物理学者として将来を嘱望されるスティーヴン・ホーキングは、ケンブリッジ大学で詩を学ぶ美しいジェーンと出会い恋に落ちる。だが直後、ホーキングは、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症、余命2年の宣告を受けてしまう。ジェーンは彼と一緒に病気と闘う道を選択することを決意し、結婚。2人は愛の力で困難に共闘するが、ホーキングの症状は悪化し、さらなる試練がふりかかる…。

理論物理学や宇宙の法則などで独自の理論を打ち立てた、車椅子の天才科学者スティーヴン・ホーキングと彼を支えた妻ジェーンの物語だが、これは単なる夫婦の美談物語ではない。映画は、見ているこちらが気恥ずかしくなるようなキラキラした青春ラブロマンス風に始まる。やがてホーキングがALSを発病しジェーンが彼を支える構図になるが、結婚し出産し、余命2年が予想外に“永遠”となることから、夫婦の関係性は少しずつ変化し始める。満足に動かない身体に苦悩するホーキングと介護に疲れはてるジェーンが見出した解決策は、夫婦の間に別の人間(異分子)を入れるという驚きの法則だ。博士の介護を手助けするジョナサンに惹かれるジェーン。そのことを黙認するホーキングの複雑な心境。さらにホーキングの助手で看護師の女性の登場でジェーンの立場が曖昧になる。天才の偉業は星や炎や悠久の時間などでどこかファンタジックに描写されるのに、夫婦の三角関係とも四角関係ともとれる愛情は、妙に生々しいのだ。世界中から尊敬される存命の人物に、よくここまで赤裸々に迫ったものだと映画の作り手に感心してしまう。さらに本作でオスカーを射止めたエディ・レッドメインの迫真の演技にも脱帽だ。終盤は身体の自由だけでなく言葉まで奪われるが、表情のわずかな動きだけで崇高な“天才”と、悩める“男性”の両方を表現した演技力が素晴らしかった。
【80点】
(原題「THE THEORY OF EVERYTHING」)
(イギリス/ジェームズ・マーシュ監督/エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、他)
(共闘度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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