映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

フランシス・マクドーマンド

スリー・ビルボード

スリー・ビルボード
ミズーリ州の田舎町。数ヶ月前に何者かに娘を殺された女性ミルドレッドは、犯人がつかまらず警察の捜査が一向に進展しないことに腹を立て、3枚の巨大な看板に広告を出す。そこには警察署長ウィロビーへの非難の言葉が書かれていた。署長を敬愛するディクソン巡査のいやがらせや、町の人々からの抗議、一人息子からの反発を受けても、ミルドレッドはまったく引かないばかりか、ますます過激な行動で小さな町に波紋を広げていく。ミルドレッドが孤立無援に陥る中、事態は予想もしなかった方向へと動き出すのだが…。

田舎町に出現した3つの看板を巡り人々の思惑が交錯する物語「スリー・ビルボード」。娘を無残なレイプ殺人事件で失った母親が犯人逮捕を望んで過激な行動を起こすことが事件の発端だが、この物語は単純なサスペンスではない。看板を出した母親ミルドレッドは口も態度も悪く、時には法にも触れるような過激な行動を繰り返す。警察署長ウィロビーは知的で温和な人物で、事件こそ解決していないが真摯に捜査を続け町の人々から慕われている。ウィロビーを父のように慕うディクソン巡査は、暴力的な差別主義者な上、マザコンのダメ男なので、この愚か者が敵役なのかと思ったら、そうはならない。何より、犯人捜しがこの物語の主目的にはなっていないのだ。善悪では割り切れない型破りなキャラクターと、先が読めず、見るものの予想をどんどん裏切る展開に、思わず釘付けになる。

ではこの映画のテーマとは? それは“許すこと”である。人はなぜ憎み合い、いがみあうのか。そんな深淵な問いを、物語は、ブラック・ユーモアや滑稽さを交えて少しずつ解きほぐしていく。娘を守れなかった後悔と自分への怒りや孤独を全方位にぶつけるミルドレッドを演じるのは、名女優フランシス・マクドーマンド。大きな変化と成長を見せるキーパーソンのディクソンを演じるサム・ロックウェルや慈愛に満ちたウィロビー役のウディ・ハレルソンもベスト・パフォーマンスを披露している。監督・脚本は俊英のマーティン・マクドナー。一筋縄ではいかない群像劇を、怒りや憎しみから思いがけない方法で救い出すクレバーな演出は、目の肥えた映画ファンを虜にするだろう。クライム・サスペンスかと思わせておいて、見事なヒューマン・ドラマへと昇華する本作は、憎しみの連鎖を断ち切るひとつの答えを提示してくれる。柔らかな光が差すラストシーンに、極上の逸品を味わった時だけに感じる満足感を覚えた。
【90点】
(原題「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」)
(アメリカ/マーティン・マクドナー監督/フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、他)
(先読み不能度:★★★★★)


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きっと ここが帰る場所

きっと ここが帰る場所 [DVD]きっと ここが帰る場所 [DVD]
ショーン・ペンの怪演と意外性たっぷりのストーリーで綴るロードムービー「きっと ここが帰る場所」。パオロ・ソレンティーノ監督、ただものではない。

アイルランド・ダブリンの豪邸で、妻と共にひっそりと暮らす元ロック・スターのシャイアンは、30年以上音信不通の父の危篤の報を受けアメリカへ渡る。臨終には間に合わなかったが、ホロコーストを生き延びたユダヤ人の父が、元ナチス親衛隊員のランゲを探すことに、生涯をかけて執念を燃やしていたことを知る。シャイアンは、わずかな手掛かりを頼りに、ランゲを探してアメリカ横断の旅に出るのだが…。

「“これ”とは言えないけど、何かがヘンだ」が口癖のシャイアンは、引退したロック界の元スーパースターだ。長い間音楽からは遠ざかっているが、株で大儲けしながら豪邸で静かに過ごし、ごく限られた親しい人だけと接しながら、自分の世界で暮らす、初老の引きこもりである。彼の風体は、ゴス・ファッションに、ボサボサの逆毛、濃いアイラインに真っ赤な口紅という異様なもの。中身はいえば、どこか大人になりきれないアンバランスな人間なのだ。こんなつかみどころがない元ロック・スターが、広大なアメリカ大陸の原風景の中を、ゴロゴロとキャリーバッグを引きずりながら、ナチの残党狩りに赴くなどというストーリーを思いつくだけでも、天才的だと感心してしまう。監督のパオロ・ソレンティーノは、ショーン・ペンがカンヌ映画祭で審査委員長を務めた時に“発見した”逸材だが、なるほど、この浮遊感といい、オリジナリティといい、ただものではない。計算された構図の映像や音楽のセンスの良さ、オスカー俳優ショーン・ペンを見事に変身させただけでなく、実力派の名優たちを絶妙に使うキャスティングにも驚かされる。ミステリアスな人探しの旅と、とぼけたエピソードの数々を通して描くのは、父と子の時空を超えた和解。さらには、自分自身に向き合うことだ。シャイアンのハイセンスな復讐と、ラストにみせる素顔の穏やかさには、完全にヤラれてしまった。タイトルはトーキング・ヘッズの名曲から。デヴィッド・バーンのライブが挿入されるというあまりに贅沢な演出には、映画ファンと共に音楽ファンも驚くだろう。類まれな物語とキャラクターの個性に魅了されるオフビートな復讐劇。久しぶりに、新鮮な驚きを感じる映画だった。
【85点】
(原題「THIS MUST BE THE PLACE」)
(伊・仏・アイルランド/パオロ・ソレンティーノ監督/ショーン・ペン、フランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、他)
(オフビート度:★★★★☆)
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スタンドアップ

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◆プチレビュー◆
ミネソタ州の寒々とした映像が素晴らしい。この北の国の雪景色は、まるで一人のキャラクターのように物語を引っ張る。でも劇中の女性イジメはヒドすぎ!

子どもを連れて故郷ミネソタにもどったシングル・マザーのジョージー。彼女は生活のために、賃金のいい鉱山で働き始めるが、男の仕事を女が奪うと考える労働者たちは、数少ない女性労働者に対し、時には企業ぐるみで壮絶ないやがらせを行う…。

セクハラやいじめとかいう言葉があるが、この映画のそれはそんな生易しいものではない。もはや虐待だ。実話をベースにしたこの物語の素材は、全米で初めて、企業を相手取って起こした、セクハラの集団訴訟。保守的な田舎町で、伝統や権力に対してNOという難しさは想像してあまりある。見ていてつらい場面も多いが、男女ともに目をそむけてはいけない。

物語は進行中の裁判を中心に、回想を交えて進んでいく。ジョージーが過去に受けた傷や家族との溝も含めて、彼女の過酷な人生とそれに負けない人間性を描くことで観客を映画に引き込んでいく。ニキ・カーロという監督は思った以上に実力者だ。さらに脇を固める“地味”系のオスカー女優たちが見事。この脇役の俳優たちが、フェミニズムの説教くささを消し、女性映画というよりも、全ての不正に対して立ち上がる人間のための物語にしてくれた。

典型的なハリウッド・ビューティーのシャーリーズ・セロンが「モンスター」に勝る熱演で、この汚れ役を演じている。結婚に失敗し実家に戻ったヒロインは、保守的な町では完全な異分子。容姿の良さを全面に出す場面もほとんどない。人生負け組の主人公は、同僚の女性からの協力もなく、孤立無援の中で立ち上がる。この孤独な姿がヒロインの勇気をより崇高なものにしている。

□2005年 アメリカ映画 原題「North Country」
□監督:ニキ・カーロ
□出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ウッディ・ハレルソン、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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