Catch .44 [DVD]クチコミを見る
ダイナーに集まったクセ者たちのバトルを描く「キリング・ショット」。時間軸を多重に操作した語り口が面白い。
薬物の取引が行われるという、ラスベガス郊外の古びたダイナー。犯罪組織のボス、メルの命令で、ドラッグ・ディーラーのテスと、仲間の姉妹ドーンとカラの3人は、メルのシマを荒らす奴らの正体を暴くためそのダイナーへと乗り込む。だがそこには真夜中だというのに数人の客がいて、しかも脅そうとした女主人の逆襲に遭う。さらにコックのビリーは「おまえらを殺せばメルが大金をくれる」と言いながらテスたちに向かってライフルを構えた。混乱するテスだったが、そこに警官の制服を着た殺し屋ロニーが現れて、全員で銃を構えてにらみあうことになる。はたして誰を、何を信じればいいのか。そしてメルの本当の狙いとは…。
監督のアーロン・ハーヴェイは新人でこれがデビュー作だが、オリジナル脚本である本作の出来に惚れ込んで、大物スターのブルース・ウィリスやオスカー俳優フォレスト・ウィテカーらが出演するという異例の豪華キャストが実現したらしい。激しく時制が行き来し、常に観客に疑問符を投げかけながら、最後の最後にピタリとパズルのピースが合うこんな物語には、物語をひっぱるカリスマ性のある俳優がいると、作品がぐっと締まる。冒頭、ブルース・ウィリスの謎めいたセリフ「7年も一緒に仕事をしたのに…。おまえが好きだった。信用はしてなかったけれど」というセリフから始まって、物語は何度も過去へと遡る。しかも遡った過去からさらに回想シーンへとつながり、少しずつもつれた糸がほどけていくスタイルは、クエンティン・タランティーノやガイ・リッチーを思い出させるものだ。マフィアのボス、ドラッグ・ディーラー、殺し屋、妄想癖のあるコックらが、三つ巴、いや、四つ巴状態で、誰を、何を信じていいのか分からない事態の中、フォレスト・ウィテカー演じる殺し屋ロニーの存在感がアクセントになっている。不気味な狂気と切ない愛が同居するロニーが、この血まみれの群像劇のキーパーソンなのだ。94分という短さの中で、何度も過去へと戻る手法は、ややテンポが悪い。だが、この監督、今回の“タランティーノ愛”全開の作品から見ても、かなりの映画好きと見た。次回作がちょっぴり楽しみである。
【55点】
(原題「CATCH .44」)
(アメリカ/アーロン・ハーヴェイ監督/ブルース・ウィリス、フォレスト・ウィテカー、マリン・アッカーマン、他)
(ポスト・タランティーノ度:★★★★★)

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