映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

ヘイデン・クリステンセン

ファクトリー・ガール

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60年代NYの独特の空気を、時代のミューズのイーディ・セジウィックを通して描く異色伝記映画。今もファッション雑誌が取り上げるイーディは資産家の娘だが、ウォーホールに見いだされ時の人としてブレイク、やがて飽きられ、薬物で身を滅ぼしていく。60年代のサブカル・シーンは魅力的だが、イーディは現代から見るとあまりに空虚で脆い。時代の輝きを体現したと見れば幸せだったのか。ボブ・ディラン役のクリステンセンが超ミス・キャストだ。
【60点】
(原題「FACTORY GIRL」)
(アメリカ/ジョージ・ヒッケンルーパー監督/シエナ・ミラー、ガイ・ピアース、ヘイデン・クリステンセン、他)
(おしゃれ度:★★★☆☆)

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ジャンパー

ジャンパー (特別編)
瞬間移動をスタイリッシュに映像化するコンセプトのみで中身は空っぽ。あまりに観客をナメているのだが、ワン・アイデアだけで突破してくる強引さが、潤沢な資金を持つハリウッドの力だ。テレポート能力を持つジャンパーと彼らを抹殺しようとするパラディンとの攻防を描く。物語は何一つ解決せず、宙ぶらりんのままシレッと終了。これほど成長しない主人公も珍しい。見所は、世界各地のゴージャスなロケ。さして来る必要のない東京にもやって来る。
【20点】
(原題「JUMPER」)
(アメリカ/ダグ・リーマン監督/ヘイデン・クリステンセン、サミュエル・L・ジャクソン、ジェイミー・ベル、他)
(続編はやめて度:★★★★★)

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スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐

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◆プチレビュー◆
やっぱりSWは映画のお祭り!タイトルが映し出されただけでワクワクする。自分の能力が認められる場を求めてシスの元へ走るアナキン。サラリーマン社会でいうところの「転職」だが、職場選びを誤った。

クローン大戦末期。ジェダイの騎士アナキンは、パドメと極秘結婚、子供の誕生を待っていた。一方で、共和国最高議長バルバティーンを分離主義者同盟の誘拐から救出したりと活躍するが、ジェダイ評議会から正統に評価されず、不満を募らせる…。

全6作の3作目をもってシリーズが完結するのは、非常に異質なことだ。アナキンが闇黒面(ダークサイド)に堕ち、ダースベイダーになるという、誰もが知っているストーリーは、なんの意外性もなく予想通り描かれる。だが、子供だましのチャンバラSFと“大人の”ファンから小ばかにされたこの映画のスピリットは、終わってみれば、崇高なオペラの世界に近いもの。徹底した悲劇性は最終章にふさわしい。

選ばれし者であるにもかかわらず、闇黒面(ダークサイド)の魅力に強く惹かれるアナキン。矛盾したキャラクターの主人公は、映画史上で最も魅力的な悪のヒーローになった。自らの不完全さ、愛するものへの執着、師との葛藤。全ては悲劇のパズルのピースとなってゆく。

素晴らしすぎる映像と迫力のバトルに心ゆくまで酔いしれよう。冒頭から大音響で響く耳慣れたメロディ。“昔、昔、銀河で…”の語り。遠近法で流れ去る文字。これら全てに胸が躍る。偉大なシリーズの完結をその目で見届けてほしい。

□2005年 アメリカ映画
□監督:ジョージ・ルーカス
□出演:ヘイデン・クリステンセン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、他

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ニュースの天才

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◆プチレビュー◆
悪事に手を染めるクリステンセンの姿に「スター・ウォーズ」のアナキンがダブる。ダーク・サイドに堕ちるのは本望か。もしやSWの隠れ宣伝映画か?

名門雑誌「ニューリパブリック」の人気ジャーナリスト、スティーブン・グラスは若干25歳の若者。他の一流誌からも執筆の依頼が舞い込む彼の記事は、日常的な話題ながら刺激に富み、見事に読者を魅了していた。しかし、実は彼の記事の多くは、捏造(ねつぞう)記事。そのことは、同僚にも気付かれていなかったが、やがて、他誌の記者により追求を受けることになる…。

クリントン元大統領のおかげで、政治とゴシップがごちゃまぜになってしまった90年代末。合衆国大統領専用機に唯一置かれている政治誌の、実在の人気ジャーナリスト・スティーブン・グラスの栄光と転落を描いた物語が本作だ。

グラスという人物の顕著な特徴は、その幼児性。社内をソックスのまま歩き回り、女性社員に非常にマメマメしく気配りをしながら、甘えてみせる。記事捏造の事実が明るみに出ても彼は「ごめんなさい」と言えば済むと思っている。さらには編集長が自分をかばってくれないことをなじる始末だ。発達した知性と未発達の精神を同時に抱えたグラスを演じるクリステンセンが、実にハマり役だった。

グラスの周囲の女性たちがどこまでも彼をかばおうとするのが、男性の観客には腹立たしいかもしれない。クリステンセンが美形だから?まぁ、それもあるが、実際は彼らにもジャーナリズムの本質から逸脱したところに楽しみを求める気持ちがあったのではなかろうか。実だけではおもしろくない、虚もまじえてしまえ!という気持ち。人間は快楽に弱い。実際90年代末のアメリカは政治さえも娯楽に近かった。そのツケが9.11テロだと思う。

グラスの言い分は「愛されたかった。自分が書いた記事を通して」というもの。愛というオールマイティの言葉が付けば、なんとなく格好がつくあたりが空恐ろしくもある。真実であろうが作り物であろうが、読者というものは刺激を求め、そして必ず飽きる。グラスは一種の犠牲者なのだろう。断じて同情は出来ないが。

□2003年 アメリカ映画  原題「SHATTERED GLASS」
□監督:ビリー・レイ
□出演:ヘイデン・クリステンセン、ピーター・サースガード、クロエ・セヴィニー、他

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海辺の家

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◆プチレビュー◆
みんなで建てる家は絆の象徴。日本の住宅事情とは違う次元で話が展開する。

ジョージ・モンロー42歳。ある日突然、長年務めた建築事務所を解雇されてしまう。さらにガンで余命数ヶ月と宣告されてしまった彼は、残された時間でずっと手付かずにほおっておいた海辺の家を建て直そうと決意する。別れた妻にひきとられた息子サムはドラッグに溺れた無意味な生活を送っているが、そんなサムをジョージは、夏休みの間強引に引き取って、一緒に家を建てようと誘う。激しく抵抗し、憎しみをあらわにするサムだったが…。

アメリカ映画は、伝統的に母娘ものより父と息子のドラマの方が上手い。息子サムと暮らして家を建て直すのを人生最後の目標に定めたジョージ。父親失格だった自分を変えるのにはあまりにも時間が少ないが、とにかく頑張る。最初はジョージ一人だけの作業だったのが、次第に周りの人間を巻き込んでいく過程で、それぞれが抱える心の悩みを浮き彫りにさせる展開が巧み。心にぽっかりと空いた穴を「家を建てる」作業に加わることによって、どう埋めていくかが見所だ。登場人物が皆、自然体で好感が持てるキャラなのも、物語を前向きなものにしている。しかし、人が増えていく賑やかさと対照的にジョージの病状は徐々に悪化する。

予告編や宣伝文句では「家を建てよう!」という新築部分が強調されているが、その前に、オンボロの古い家を壊す作業がある。これが実はとても重要なところだ。ジョージが残り僅かな人生に向き合うためには、今までの自分を一度リセットする必要がある。そのために思い出のつまった家を壊さなければならない。破壊行為に意義があるのであって、単に家を新築するのとは明らかに違うのだ。古いものを壊すという勇気ある決断を下したジョージは、心を一度“更地”にすることで自分自身を変えようと決心していた。

ドラッグ、離婚、同性愛など、今のアメリカが日常的に抱えている問題をさりげなく盛り込んであったり、親子関係が変化していく過程でジョージとその父の関係が、ジョージの口から語られる部分があり、登場人物の背景にただのお涙ちょうだい話にはない深みが加わっている。

この映画で登場する海辺にたつ家は、なんともうらやましい環境で、ため息ものだ。日本人にとって、国土の広さや経済事情からいって、家はあくまで“買う”もの。長い歴史と伝統のあるヨーロッパでは、たぶん、家はそこに“ある”もの。一方、アメリカは西部開拓時代からの伝統からか、家は「作る」ものなのだ。この映画のように全てを手作りできなくても、僅かでも自分の手で作業して完成させてこそ意義がある。歴史が浅いアメリカならではの感覚かもしれない。自らの手で作る家は、どんなに小さくてもそれは家族と幸福の象徴になる。

孤独感の塊のようだったオンボロ小屋が、人の息吹と温かさに満ちた住まいへと生まれ変わっていくのは、周囲の人間みんなで家を支えあっているから。サムの手で家が遂に完成したとき、ジョージの命は静かに消える。夏休みの前とは明らかに違う人間に生まれ変わったサムが、出来上がった家をどうするのかを観てほしい。そこには父親の思いを確かに受け継いだ思いやりに溢れたサムの姿がある。人生の最後に生きた証しを印し、次の世代に引き継ぐものを残したジョージの人生は、十分に意味のあるもので、創造へと続くことを、映画は告げている。

□2001年 アメリカ映画 原題「LIFE AS A HOUSE」
□監督:アーウィン・ウィンクラー
□出演:ケビン・クライン、クリスティン・スコット・トーマス、ヘイデン・クリステンセン、他

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スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃

スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃 [DVD]スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃 [DVD]
◆プチレビュー◆
期待はずれの平凡なラブ・ストーリー。悲恋の本質はエピソード3へもちこしか。

物語はエピソード(EP)1から10年後。共和国の元老院議員のアミダラが何者かによって命を狙われる事件が発生。ジェダイの騎士を目指して修行中の青年アナキンは、彼女の護衛を命じられる。後のダース・ベイダー、アナキンは、美しいアミダラ姫と再会してジェダイには禁じられている恋に落ちる。一方、アナキンの師であるオビ・ワンは、アミダラの暗殺未遂事件を捜査するうち、何者かによる巨大な陰謀の存在を知ることに…。

かれこれ四半世紀近く続いているシリーズ。しかも、全6作からなる物語の後半3作が先に登場して、約20年後にそれ以前を描く3作を作るという超異色の構成。登場人物の悪役にあたるキャラを再構築するのが新3部作というから、これまた変わっている。再構築されるキャラは、アナキン・スカイウォーカー。後に彼がダース・ベイダーになることを、私たちは十分に知っている。

全6作のうち、後半のEP4から6とEP1が既に出来上がっていて、全てが明らかになるEP3への布石となる部分がEP2。位置付けとしてかなり難しい。正直言って、辻褄合わせだ。大まかな骨格は、銀河系の共和国の政治ドラマの陰謀と、シリーズ初と騒がれるラブ・ストーリー。大いなる予定調和だ。

デジタル撮影による技術は、作り手にとっては画期的でも、視覚的には表情以外はそれほどでもない。量は凄いが質は並。では、EP2の見所と噂のラブ・ストーリーはどうなのか?美男美女だから何とか耐えられるものの、何とも古風にして稚拙なので苦笑してしまう。話の展開上、愛し合う定めとはいえ、落ち着いて考えたら、ジェダイの修行で長年の禁欲生活を強いられたアナキンと、女王の重責から解放されてタガがはずれたアミダラが、いっきに色気づいただけとも思える。壮大なサーガの運命の恋のわりには、導入にドラマチックさが足りないのだ。それに、アナキンのマザコンぶりに、アミダラは不安はないのか?

話自体は、基本的に冒険活劇ものなので、バトルシーンも満載、たとえ字幕がなかったとしても十分に楽しめる内容になっている。但し、旧作を既に観た人ならば。いろいろと不満をくすぶらせながら観ていると、突如、この映画最大にして、唯一と言ってもいい見せ場がやってくる。待つこと2時間、画面に現われたのは今までのイメージをかなぐり捨てた偉大なジェダイ、マスター・ヨーダその人だぁ〜〜〜!いったいなぜ、このよぼよぼのちびっこ爺さんが、これほどまでに皆の尊敬を集めているのかが解るこの場面は、EP2最大の見所、いえ、笑い所なので大いに期待。誰もが認めるナンバー・ワンのジェダイであるヨーダは今回フルCGで作られていて、従来の人形では不可能なバリバリのアクションを披露。しかも非常識なまでに強いのだ!ヨーダと、ある人物の意外な関係が明らかになり、白熱のバトルの幕が開く。鋭い眼光、空挺部隊を自ら率いて指揮をとる気高い姿、専用の短いライト・セーバーを手にところ狭しと暴れまくるその姿に、「やっぱりただの老賢者じゃなかったのね!」と、狂喜乱舞。フォースの技巧と男気がミックスしたヨーダの勇姿に、ファン急増必至だ。

禁じられた愛の感情と、師オビ・ワンへの反発を匂わせながら、EP3で決定的になる銀河帝国誕生とアナキンの暗黒面転落への序章。ルーカスの心は既にEP3へと飛んでいる。まぶたの裏に“中継ぎ”という言葉が浮かぶのは私だけだろうか。

□2002年 アメリカ映画 原題「STAR WARS EPISODE2 ATTACK OF THE CLONES」
□監督:ジョージ・ルーカス
□出演:ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、他

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古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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