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文豪シェイクスピアの最後の戯曲を、主人公を女性に変えて大胆に演出したファンタジー活劇。アヴァンギャルドな衣装が見所だ。
ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオらを乗せた船は突然の大嵐に遭い難破、一行は命からがら絶海の孤島に漂着するが、息子ファーディナンド王子を見失ったアロンゾーは絶望する。その嵐は、島に住むプロスペラが魔術を使って起こしたものだった。彼女は、かつてミラノ大公妃だったが、弟アントーニオによって国を追われ、娘のミランダと島で暮らしていたのだ。彼女は手なずけた妖精エアリアルを使い、自分を裏切った者たちへの絶好の復讐を企てる…。
監督のジュリー・テイモアはオリジナリティとけれん味あふれる演出が持ち味。同じシェークスピアものとしては「タイタス」でも独自の美意識に基づいた演出で冴えを見せた。本作では、魔法という特異な世界を幻想的なCGを多用して描き、新風を吹き込んでいる。何より主人公の性別を女性に変更したのが新しい。名女優ヘレン・ミレンが威厳たっぷりにプロスペラは、娘ミランダへの母性愛にあふれているかと思えば、一方で、妖精エアリアルや奴隷キャリバンを冷酷にこき使うなど、善悪がせめぎあう複雑な人物だ。物語のテーマは、復讐と赦し。だが、原作に忠実にとの思いからだろうか、セリフがあまりに舞台風で情報過多。せっかく新しい解釈と先進的な映像で描く21世紀のシェークスピアなのに、どうにもテンポが悪いのが惜しい。ただ、原作は約400年前に書かれたことを思うと、シェークスピア作品は、いつの時代も、どんな演出も可能にする、豊かな芸術なのだと改めて感心させられる。
【60点】
(原題「THE TEMPEST」)
(アメリカ/ジュリー・テイモア監督/ヘレン・ミレン、トム・コンティ、デヴィッド・ストラザーン、他)
(幻想的度:★★★★☆)
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