映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ベニチオ・デル・トロ

エスコバル 楽園の掟

エスコバル 楽園の掟 [Blu-ray]
南米コロンビアを訪れたカナダ人サーファーの青年ニックは、そこで美しい女性マリアと運命的に出会い、激しい恋に落ちる。やがてニックはマリアが敬愛する大切な叔父に紹介されるが、その叔父の名は、パブロ・エスコバル。彼は国会議員を務め民衆からの支持も厚い一方で、コロンビア最大の麻薬カルテルのボスでもあった。愛する姪マリアが連れてきた恋人ニックを、エスコバルは優しくファミリーに迎え入れるが、楽園のような彼の王国の恐ろしさに、ニック徐々に気付いていく…。

実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの光と影を描く犯罪ドラマ「エスコバル 楽園の掟」。国会議員を務め、慈善事業を行い、民衆からの支持も厚い富豪のエスコバルは、犯罪組織メデジン・カルテルの創始者であるコロンビアの麻薬王だ。本作では、架空の外国人青年の目を通して、エスコバルの矛盾や狂気を描いているのが上手い。何しろこの麻薬王、やることなすことビックリ行天で、刑務所を豪華ホテル並みに改装したり(その刑務所にやがて自分が意図的に収監され贅沢三昧)、アメリカの特殊部隊デルタ・フォースと本気で戦ったり(個人でアメリカ軍と闘うところがスゴイ)。そんな尋常ではない世界に放り込まれた、何も知らないお気楽な青年がどう変化するか、がポイントとなっている。それにしても80年代の話とはいえ、ニック青年は、コロンビアという国や、エスコバルのことをあまりに知らなすぎだ。勢いで結婚したとはいえ、相手のことはもう少し調べてからにすべきだろう…と思わずツッコミを入れてしまう。南米のゴッドファーザーともいえる人物エスコバルを演じるベニチオ・デル・トロの怪演…いや、狂演がすさまじい。俳優として「夜になるまえに」などに出演したアンドレア・ディ・ステファノの監督第1作目だが、監督としてもなかなかの力技を見せてくれた。
【55点】
(原題「Escobar:Paradise Lost」)
(フランス、スペイン、ベルギー、パナマ/アンドレア・ディ・ステファノ監督/ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ハッチャーソン、クラウディア・トレイザック、他)
(二面性度:★★★★☆)
チケットぴあ

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ウルフマン

ウルフマン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]ウルフマン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
狼男といえば恐怖映画の不動のレギュラーメンバーで、ホラーにもコメディにもなる便利な素材。意外性のあるキャスティングと、格調高く正統派アプローチで描く本作は、さしずめゴシック・ホラーだ。19世紀末、人気俳優のローレンスは生家ダルボット城がある村に帰郷する。到着早々、無残な兄の遺体と対面するが、それは人間以外の魔物の手による犯罪としか思えぬほど切り裂かれていた。村人はウルフマンの仕業として恐れ、犯人の捜索が行なわれるが、ローレンスはウルフマンに襲われた上、自らもウルフマンに変身してしまう…。

ウェアウルフやライカンなど、獣人伝説は世界中のあらゆる時代に存在する。だが科学と魔術が共存する19世紀末の英国はもっともふさわしい舞台のひとつだろう。本来、狼男の物語は、満月の夜になるとおぞましい殺人鬼に変身してしまうという、いわば多重人格の変種のようなもの。普段は押さえ込んでいる本能が目覚めてしまうところから、精神医学的な解釈も多くなされた。だが、映画は主人公の内面の深みにはあまり言及せず、父と息子の確執へと移行する。これがホラー映画から離れてしまった要因なのだが、それはそれで俳優の演技を際立たせた。ウルフマンに変身し苦悩するローレンスを、わざと凶行に走らせた上に警察へ引き渡す父親ジョンの不可解な行動には、25年前の妻の死にまつわる秘密が。それを解き明かす過程はサスペンス、ウルフマンの蛮行はスプラッタ、ローレンスの苦悩と顛末は人間ドラマと、多重性のある物語は、狼男の出自とも重なり合うものだ。狼男映画には、ロン・チェイニー・ジュニアが主演した1941年の決定版「狼男」をはじめ、数多くの作品がある。お勧めはニール・ジョーダンの赤頭巾異聞「狼の血族」だが、ほとんどノーメイクのジャック・ニコルソンが立派に狼男に見える「ウルフ」も捨てがたい。特殊メイクの第一人者リック・ベイカーに、初めてのオスカーをもたらした「狼男アメリカン」も必見だ。本作では、CG全盛の時代に、あえて大部分を、前述のリック・ベイカーによる特殊メイクで表現した。映像と物語とで、変身、救済、再生とが構築される様が興味深い。人の手によるモンスターの創造という意味でも。
【60点】
(原題「THE WOLFMAN」)
(アメリカ/ジョー・ジョンストン監督/ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント、他)
(クラシック度:★★★★☆)

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チェ 39歳 別れの手紙

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信念を持って戦うゲバラの姿に胸が熱くなる2部作の後編。困難を乗り越えてキューバ革命を達成する前編が希望に満ちていたのに比べ、死へと向かう本作はあまりに悲痛だ。1965年、ゲバラは変装してボリビアに潜入、独裁政権を倒すべくゲリラ活動を開始するが、彼の理想は厳しい現実に打ち砕かれていく。革命運動に挫折し、処刑されるという史実を知っていても、映画の緊張感はまったく失われていない。前作同様、余計な説明はいっさいないが、農民たちと笑顔で接する彼の姿は、自由と平等の実現を信じたゲバラの思いを写すようだ。既成の映画文法に迎合せず、たとえ難解になろうと自分のスタイルで撮り上げたソダーバーグに拍手を贈りたい。
【75点】
(原題「Guerrilla」)
(スペイン・仏・米/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ベニチオ・デル・トロ、ジュリア・オーモンド、ロドリゴ・サントロ、他)
(悲壮感度:★★★★☆)

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チェ 28歳の革命

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連続しない人生の一部分を二部作で構成する個性的な伝記映画だ。カリスマ的な革命家チェ・ゲバラの半生を描くが、今回はカストロと出会いキューバ革命を成功に導く、最も“生きた”瞬間を描く。25kgも減量して熱演するベニチオ・デル・トロが素晴らしく、まるでゲバラに生き写しだ。ただし革命が起こる前の状況説明がほとんどなく、NYの国連での名演説やインタビューの場面を断片的に挿入する演出は、決して分かりやすいとは言えない。この作品を十分に味わうには、50年代の国際情勢など多くの予備知識を必要とする。つまり観客に積極的に参加を促す映画なのだ。ただ、時には犠牲や厳しい粛清も強いるゲリラ戦が奇跡的に成功する実態は、興味深い。世界中で、無条件にカッコいいと思われているゲバラ。叙情的な演出はいっさい省き、行動のみを追うこの映画は、その謎を解き明かす正しい入り口になりそうだ。
【70点】
(原題「THE ARGENTINE」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ベニチオ・デル・トロ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ、他)
(分かりやすさ度:★★☆☆☆)

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映画レビュー「悲しみが乾くまで」

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◆プチレビュー◆
デンマークの俊英女性監督がハリウッド進出。喪失感を抱えた男女の感情を描く静かな人間ドラマだ。 【70点】

 美しい主婦オードリーは平凡だが幸せに暮らしていた。だが突如、夫のブライアンが事件に巻き込まれ死亡する。どうしても彼の死を受け入れることができない彼女は、夫の親友で麻薬中毒に陥っているジェリーを思い出し連絡を取るのだが…。

 デンマークのスサンネ・ビア監督は、秀作「アフター・ウェディング」などで、その実力は証明済み。ハリウッド・デビューとなる本作でも、小手先の技術や派手なアクションに頼らず、商業路線の映画とは異なる質感を感じさせた。喪失感にからめとられた男女が懸命にもがく姿は「ある愛の風景」のテイストに極めて近い。

 その力強さと揺るぎない演出はどこから来るのか。何気ない日常からハードな展開になるのがビア監督の持ち味だが、この人は私たちの平凡な人生がとても脆い土壌の上に立っていることを知っているのだ。突然、愛する家族を失うことや、ふとした誘惑からドラッグに溺れ堕落していくことは、誰にでも起こり得る。そしてそれが、私たちの幸せを暴力的に奪うことを改めて突きつける。

 オードリーは、ずっとジェリーのことが好きになれなかったが、幸せをもぎ取られて初めて、人間の弱さや脆さを理解し始める。ジェリーもまた、必要とされる自分を見出し再生を決意した。心理描写はオードリーの側を重視していて、幼い息子に泳ぎを教えたり、行方不明になった娘が映画館にいたことを知るジェリーに嫉妬する形で描く。助けが必要なのは、麻薬中毒の彼ではなく、物質的に恵まれた暮らしをおくるオードリーの方なのだ。心の充足を渇望する平凡な人間。これが二人の共通項である。

 このように、繊細でごまかしの効かない演技を要求する監督の熱意に、ベリーとデル・トロというオスカー俳優が気合の名演で答える。特に、稀代の怪優デル・トロのリアルな麻薬中毒演技に圧倒されるが、鬼気迫るデル・トロに、ベリーは「あなたが死ぬべきだった」と、ナイフのような言葉を静かに吐いたりするのだ。相討ちになりかねない二人の奇妙な共同生活は、悲しみが沸点に達した時に新たな局面を迎える。

 物語をセリフより雄弁に語るのは、独特のインパクトのある映像だ。突如アップになる、顔、瞳、指先。ポッカリ空いた心の穴を、主人公たちがベッドに横たわる危うい演出で見せながら、耳をひっぱるという個性的な官能描写で描いたのには驚いた。完璧な美女ハル・ベリーをありきたりにカメラに収めず、耳たぶを大写しにしてみせるとは。セックスではなく、ただ体をからめて横たわる男女の姿は、彼らの心がいかに冷え切っていて安らぎを欲しているかを表して、非凡な演出である。

 この映画の個性は、繊細な人間性の中にふと混じる荒々しい感情だ。物語は安易な恋愛の方向へは向かわず、登場人物たちにある種の平安をプレゼントして静かに終わる。過去の作品に比べて、少々甘さを感じるラストなのだが、ビア監督がハリウッドとの妥協点を探ろうとしている姿が見えた。この才人の今後を見守りたい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)喪失感度:★★★★☆

□2008年 アメリカ映画 原題「THINGS WE LOST IN THE FIRE」
□監督:スサンネ・ビア
□出演:ハル・ベリー、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ドゥカヴニー、他

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トラフィック

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◆プチレビュー◆
オスカー受賞のベニチオ・デル・トロは今後に注目。全員が主役の重みを持つ群像劇だ。

映画は、アメリカの裏社会に根深く浸透する麻薬社会の実態に迫る、かなり硬派な社会派ドラマ。3つの異なったストーリーが同時進行する手法は、ドキュメンタリータッチとでもいいたくなるほど、迫真のもの。アメリカとメキシコを結ぶ巨大な麻薬コネクション“トラフィック”をめぐって、様々な陰謀に満ちた事件が繰り広げられ、じわじわと暴かれていくその闇の実態。問題の根深さに、全ての楽観的な意見を否定するほどアメリカの病んだ部分がうきぼりにされていく様は映画ならではの迫力だ。

個人の力や思いなど無力に近いアメリカの麻薬経済の実態。3つのストーリーが微妙にからみあい、ストーリー展開のうまさをきわだたせる。キャサリン・ゼダ・ジョーンズ扮するヘレナが妊婦という設定を生かして自分の生活と家族を守るためならどんなことでも辞さない女の強さを演じて力強い。彼女がこんなに上手い女優だったとは。夫のM・ダグラスと共演とはいえ、同じ場面には一度も登場しない。

メキシコの警官ハビエル・ロドリゲスに扮する、ベニチオ・デル・トロの上手さと圧倒的な存在感には参った。このラテン系古谷一行殿がオスカーをとるのは納得としても、彼が助演男優賞なら、いったいこの映画の主演は誰だ?全ての役者が主演といいたくなるような秀逸な映画ということか。

しかし、でも、作品賞を逃した理由も理解した。アメリカ人は勧善懲悪が好きだが、この映画はそうじゃない。完全無敵のヒーローは存在せず、誰もが弱い部分を持っている。麻薬戦争はこれからも続くし、家庭内の奥深くまで浸透してアメリカ社会の闇の部分として生き続けるだろう。どんなに正義に燃えた人物がひとつの組織を叩き潰したとしても…。証人のルイスが発する言葉が如実にそれを示していた。「おまえたちは敗戦を認めずに穴にたてこもっていた日本兵と同じだ。麻薬戦争は、とっくにおまえたちの負けなんだよ。」

国家としての働きの前に自分の大切な家族を守りたい…。家庭、仕事、政治、全てに大きな影を投げかける麻薬問題。夜の公園で子供達が野球に興じる姿を見つめるベニチオ・デル・トロが見せる表情には、安堵とも不安とも見て取れる複雑な思いがあった。

メキシコの乾いた砂埃を感じさせる映像。胸にずっしりとした余韻を残し、観客に何かを決めつける見方は決してしない。それは現実を鋭くえぐる上質なリアリティだ。

□2000年 アメリカ映画 原題「TRAFFIK」
□監督:スティーブン・ソダーバーグ
□出演:マイケル・ダグラス、ベニチオ・デル・トロ、キャサリン・ゼダ・ジョーンズ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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