映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

マシュー・マコノヒー

ゴールド/金塊の行方



破産寸前の採掘会社ワショー社の経営者ケニー・ウェルスは、全財産をつぎ込んで金発掘のためにインドネシアへと足を運ぶ。協力者は、異端の地質学者マイク・アコスタただ一人。何とか資金を調達しジャングルで発掘作業を進めるが、一向に金鉱は見つからず、ケニーはマラリアで生死の境を彷徨うことに。だが、ついにマイクが過去最大と呼ばれる巨大金脈を発見する。投資銀行や、全世界の金山を牛耳ってきた黄金王までが一攫千金の夢を成し遂げたケニーを称賛し、ケニーは一躍スターとなる。そんな中、ワショー社保有の170億ドルの金塊が一夜にして消えるという衝撃的な事件が発生。「俺は何も知らない!」。ケニーの主張もむなしく、会社の株価は大暴落し、メディアや株主からの厳しい追求が続く。そしてついにFBIによる捜査が始まった…。

実際に起きた金脈偽装詐欺事件にインスパイアされたクライム・サスペンス「ゴールド/金塊の行方」。モデルとなったのは、90年代、カナダのBre-X社が起こした史上最大といわれる金鉱詐欺事件“Bre-X事件”だ。時代を80年代に、場所をアメリカに置き換えて、野心的な探鉱者が一攫千金の夢を追う姿を描く。祖父の代からの会社を継いで鉱山ビジネスに携わるケニーは、いわば夢追い人だ。あるかどうかもわからない金の鉱脈を探し続ける彼は、金(かね)ではなく金(ゴールド)に取りつかれている。だがケニーの周囲が興味があるのは金(かね)の方だ。事業に失敗し破産寸前のケニーが金鉱を狙う話をした時は、バカにしていた大手投資銀行が、金脈を発見した途端、ハイエナのようにケニーの富に群がる。ケニーもまた、彼を献身的に支える恋人ケイの「あなたは利用されているだけ」という助言も聞かず、派手に金をばらまき、享楽的な日々を送る。これが西部開拓時代の話なら、単純な山師の武勇伝だが、時は80年代。格差社会のアメリカで、ジェットコースター並の浮き沈みの人生を生きるケニーは、NYの金融界に挑み、採掘地インドネシアの独裁政権とも渡り合うしたたかさを秘めている。オスカー俳優のマシュー・マコノヒーが、激痩せの「ダラス・バイヤーズクラブ」とは対照的に、体重を増量し、でっぷりとした太鼓腹、落ち武者風のハゲ頭、時には全裸やパンツ一丁の姿で怪演に近い熱演を披露しているのが見所だ。男たちの友情、信頼、裏切り。世紀の詐欺事件の顛末には、驚くべきどんでん返しが用意されている。お世辞にも品があるとはいえない主人公だが、それでも彼のつきないエネルギーと野望、粘り強さには恐れ入る。ケニーのその後は…。きっと懲りずにゴールドの夢を追っているに違いない。
【70点】
(原題「GOLD」)
(アメリカ/スティーヴン・ギャガン監督/マシュー・マコノヒー、エドガー・ラミレス、ブライス・ダラス・ハワード、他)
(一攫千金度:★★★★☆)
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SING/シング

SING/シング ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
動物だけが暮らす、どこか人間世界と似た世界。倒産寸前の劇場支配人でコアラのバスター・ムーンは、何とか劇場の経営を立て直そうと、大規模な歌のオーディションを開催する。予選を勝ち抜いたのは、個性的な6人の候補者たち。ギャング一家の息子で歌への夢を捨てきれないゴリラの青年ジョニー。彼氏の浮気で傷心のパンクロッカー少女のヤマアラシのアッシュ、傲慢で自己チューだが才能はピカイチのジャズ・ミュージシャンのネズミのマイク、ブタのロジータとグンターは、それぞれ、子育てに追われる主婦と、歌って踊れるハイテンションのエンターテイナー。そして歌唱力は抜群なのに、あがり症のゾウの女の子ミーナ。人生を変えるチャンスをつかむため、参加者たちはそれぞれの想いを胸に、歌を披露する…。

動物たちが歌唱コンテストで奮闘する姿を描くアニメーション映画「SING/シング」。このストレートなタイトルが何よりもこの作品の長所を物語っている。歌というのは、こんなにも人を楽しませ、喜ばせ、勇気づけるものなのかと改めて教えてもらった気分だ。ストーリーは単純明快。劇場を再建しようとするコアラの支配人が開催する歌のコンテストに、何とか今の自分を変え、ダメな現状を打破したいと願うワケありの動物たちが集結し、さまざまなピンチを乗り越えて、最高の歌を披露する。それ以上でもそれ以下でもないのだが、この物語がこんなにも愛おしいのは、動物たちがパーソナルな理由で歌い、大切な一歩を踏み出すという身近で前向きな物語に大いに共感できるからだ。もちろん歌の魅力は絶大で、懐かしい名曲から、近年のヒットナンバー、なんと日本の楽曲も含めて、誰もが一度は耳にしたヒットソングが60曲以上流れるのだから、いやがおうでもテンションが上がる。ミュージカルはちょっと…という人も心配ご無用!何しろキャラクターが歌う場面で歌が登場するという、きわめて自然な演出なのだから違和感などまったく感じない。それにしても、演じる実力派俳優たちの歌の上手さには改めて感心させられる。特にスカーレット・ヨハンソンの歌唱力には驚いた。個人的に気に入っているのは、きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲を歌うレッサーパンダのアイドルグループ・キューティーズの可愛らしさ。歌の魅力を全面に押し出したシンプルなこの映画には、コ難しいメッセージなどない。笑って、楽しんで、ちょっとだけホロリ。クライマックスの熱唱を聴く頃には、もうこの映画の虜になっているはずだ。映画と音楽の最良な関係を味わいたなら、こんな作品に限る。
【75点】
(原題「SING」)
(アメリカ/ガース・ジェニングス監督/マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、他)
(高揚感度:★★★★★)
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追憶の森

追憶の森 [Blu-ray]
人生に絶望したアメリカ人アーサーは、死に場所を求めて、日本の富士山の北西に広がる青木ヶ原にやってくる。樹海の奥に分け入ったアーサーは、出口を求めて彷徨う日本人タクミと出会う。タクミは一度は死のうと考えたものの、思いとどまり、妻子のもとに帰ろうとしていた。アーサーは、ケガをしているタクミを放っておけず、出口を求めてさ迷ううちに、2人は、互いのことを語り合う。やがてアーサーも、これまでの人生を見つめなおし、生きるために樹海からの脱出を試みるのだが…。

自殺するために青木ヶ原樹海にやって来たアメリカ人男性の不思議な体験を描く人間ドラマ「追憶の森」。実は日本は、アメリカと並ぶ自殺大国。富士の樹海といえば、言わずと知れた自殺の名所で、そのことはネットを通して全世界中に知れ渡っている“隠れた名所”でもある。日本人にとっては恐ろしく忌まわしい場所というイメージの樹海だが、本作では、その場所は、人生を見つめなおし心を再生させる不思議な空間として描かれていて、そのことが、この映画にちりばめられている、意図的な違和感につながっているのだろう。アーサーが謎めいた日本人タクミに出会って語り合う合間に、喪失感を抱えたアーサーと亡き妻との過去が回想形式で語られていく。物語にはある仕掛けがあるのだが、スピュリチュアルといえば聞こえはいいが、どこか安っぽさは否めない。そもそも、大きな天災を体験した今の日本で、死に場所を求めてさ迷うという主人公に、共感することが難しいのだ。ただ、オスカー俳優のマコノヒーと、ハリウッドやブロードウェイでも活躍する国際派俳優の渡辺謙の演技合戦は見応えたっぷりで素晴らしい。ほぼ出ずっぱり、ほぼしゃべりっぱなしの会話劇は舞台のように緊張感がある。タクミの妻子の名前が不思議な響きなのは、最後の最後になって意味が判明。ちょっとこじつけすぎないか?とも思うが…。ともあれ、サント監督の死生観を描いた「永遠の僕たち」に続き、ここでも日本人俳優がキャスティングされているのが興味深いところだ。
【55点】
(原題「THE SEA OF TREES」)サント監督
(アメリカ/ガス・ヴァン・/マシュー・マコノヒー、渡辺謙、ナオミ・ワッツ、他)
(度:★★★★☆)
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追憶の森@ぴあ映画生活

インターステラー

インターステラー ブルーレイ スチールブック仕様(2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
人類の存亡をかけて宇宙へ旅立つ壮大なミッションを描くSFドラマ「インターステラー」。驚愕の映像と父娘愛のドラマで、169分の長尺をグイグイ引っ張っていく。

近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類は滅亡の危機を迎えていた。元パイロットのクーパーは、居住可能な新たな惑星を探すという危険なミッションに挑むことになる。幼い娘を地球に残して旅立つ苦悩と、人類を滅亡から救う使命の間で葛藤するクーパーだったが、やがて「必ず戻ってくる」との約束を胸に、数人のクルーと共に、前人未到の宇宙空間へと旅立つことになる…。

人類を救うために未知なる宇宙へ。この「アルマゲドン」な設定に、実は、見る前は、期待度は薄かった。だが、蓋をあけてみれば、やっぱり才人クリストファー・ノーラン、時間と空間、そして愛をテーマに、壮大な宇宙への旅をスタイリッシュな映像で描いてくれた。相対性理論とキップ・ソーン博士のタイムワープ論などは、根っからの文系の私には難しすぎて困ったが、映画のベースは父と娘の親子愛なので、意外なほどすんなりとストーリーを追うことができる。人類が居住可能な星は本当にあるのか?とのサスペンスフルな展開で緊張感をはらみつつ、映像派のノーラン監督が魅せてくれるのは今まで見たことがないような宇宙のヴィジュアルだ。ワームホールを通過しブラックホールに突入、宇宙空間で時空を超越すれば、4次元、5次元の世界が見えてくる。終盤に登場する、本棚のシークエンスは、時空を超えた親子愛の神秘とでも言おうか。マコノヒー、ハサウェイ、チャステイン、ケインら、実力派俳優が勢ぞろいするが、話が壮大すぎて彼らの演技の素晴らしさのことを、しばし忘れてしまっていた。このことが、人類の歴史や英知など、広大な宇宙の中では、些細なことにすぎないとの思いに重なった時、改めてノーラン作品のスケールの大きさを実感するのである。
【90点】
(原題「INTERSTELLAR」)
(アメリカ/クリストファー・ノーラン監督/マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、他)
(壮大度:★★★★☆)
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インターステラー@ぴあ映画生活

MUD マッド

MUD -マッド- [DVD]
犯罪者の流れ者と出会った少年の成長物語「MUD マッド」。オスカー俳優のマコノヒーの怪演と男気が見所の小品。

米国アーカンソー州。14歳のエリスは川辺のボートハウスで両親と暮らしている。ある日、親友のネックボーンとミシシッビー川の中州にある島に行くと、無人のはずのその島でマッドと名乗る謎めいた男と出会う。ネックボーンは警戒するが、エリスは、マッドに興味を示す。彼はどうやら殺人を犯して、警察や賞金稼ぎ、被害者の家族らに追われているらしい。島に隠れて、最愛の女性ジェニパーを待ち、彼女との逃亡を願うマッドのために奔走するエリスだったが…。

アメリカ映画には、南部を舞台にした、いわゆる“南部もの”というジャンルがある。中南部のアーカンソー州を舞台にした本作もその系譜に連なるものだ。時代に取り残されたような田舎町、諦念を抱いて生きるプア・ホワイトなど、よどんだ空気が独特で、ミステリアスな風情を醸し出している。何もない田舎の風景の中で圧倒的な存在感をみせるのが水だ。ボートでいくミシシッピー川は濁った大河だが、それだけが人々を外界へと連れて行ってくれる唯一の道のように横たわっている。14歳という大人でも子供でもない微妙な年齢の少年エリスは、川を行き来しながら、恋愛だけでなく、友情や親子愛など、さまざまな愛を学ぶことになる。エリスは、離婚寸前の両親の不仲に心を痛め、初めての恋にときめき、傷つく繊細な少年。ワケありの逃亡者マッドに肩入れするのは、マッドが愛する女性のために罪をおかし、来るか来ないかもわからない彼女を待つ、無償の愛の体現者だからだ。むろんエリスはその愛の思いがけない行く末や傷みやほころびを知ることになる。これは恋や愛の現実を目の当たりにする少年のほろ苦い成長物語なのだ。今やオスカー俳優のマシュー・マコノヒーが複雑な男を好演。デビュー当時はパッとせず、セクシーなイケメン俳優時代は印象が薄かったマコノヒーだが、「ペーパーボーイ」や「マジック・マイク」あたりのクセのある役から路線変更、「ダラス・バイヤーズクラブ」の激ヤセと怪演で俳優魂をみせつけた。彼の“変わり目”に目をつけたジェフ・ニコルズ監督の審美眼が光った青春映画である。
【65点】
(原題「MUD」)
(アメリカ/ジェフ・ニコルズ監督/マシュー・マコノヒー、タイ・シェリダン、ジェイコブ・ロフランド、他)
(成長物語度:★★★★☆)
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MUD −マッド−@ぴあ映画生活

ダラス・バイヤーズクラブ

ダラス・バイヤーズクラブ [Blu-ray]
HIVを患った男が生きるために闘い自分自身と向き合った実話に基づくヒューマン・ドラマ「ダラス・バイヤーズクラブ」。激やせのマコノヒーをはじめ役者陣が秀逸。

1980年代のテキサス。電気工とロデオカウボーイをしているロン・ウッドルーフは、多くの女性との刹那的な性交渉のため、HIV陽性と診断され、余命30日を宣告される。納得がいかないロンは、エイズについて猛勉強し、アメリカで認可されていない薬を求めてメキシコへと渡る。密輸した薬をそのまま販売すれば違法になることから、ロンはトランスジェンダーのレイヨンを仲間に引き入れて、会費を集めて、薬を無料で配る合法的な組織“ダラス・バイヤーズクラブ”を設立する。連日、薬を求めて長蛇の列が出来る中、ロンは治療薬を求めて世界中を飛びまわった。だがそんな彼の行動に司法当局が目をつける…。

ロック・ハドソンがエイズにかかった1980年代は、エイズとその治療法に関して、不条理な規制や偏見がはびこっていた。保守的なテキサスではなおさらだが、患者に麻薬常習者と同性愛者が多かったのが偏見を生んだ最大の理由だ。主人公のロン自身、「同性愛者でもない自分がなせ?!」と憤る。だがロデオと女を愛する荒くれカウボーイは、余命を宣告された途端に貪欲なまでに生きることに執着する。政府や、製薬会社と結託した病院側が治験や不認可を理由に、有効な薬を処方しないことを知ると、法など軽く飛び越えて海外から薬を密輸しダラス・バイヤーズクラブというシステムを作ってしまうのだから、その情熱は尋常ではない。面白いのは、この主人公がインテリでも善人でもないことだ。その“自分勝手なキャクター”は、クラブを設立して薬の認可に向けて奔走するようになってからも変わらない。ゲイを嫌うロンがレイヨンを仲間にするのは、販路を拡大するためだし、クラブに入りたいのに会費が払えない人間に対しては「慈善事業じゃない」ときっぱりと門前払い。合理的で現実主義のロンが、自分が助かりたい一心で始めた活動は、やがて絶妙なつながりで患者を救い、世の中に、国や司法と闘う気概を見せていくから不思議だ。20kg以上の減量で骨と皮だけのような容姿になりながら怪演したマコノヒーが絶品だが、女装姿を披露して繊細な名演をみせるジャレッド・レトや、強烈な男性キャラを邪魔することなく人間の良心を表現した女医役のジェニファー・ガーナーも、とてもいい。勇気と希望にあふれた実話だが、感動描写を極力抑制して描いたことで、人間の生命力が際だつリアルな秀作に仕上がった。
【70点】
(原題「DALLAS BUYERS CLUB」)
(アメリカ/ジャン=マルク・ヴァレ監督/マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、他)
(生存本能度:★★★★☆)
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ダラス・バイヤーズクラブ@ぴあ映画生活

ペーパーボーイ 真夏の引力

ペーパーボーイ 真夏の引力 [Blu-ray]
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殺人事件を調査する兄弟が奇妙な人間関係にからめとられていく「ペーパーボーイ 真夏の引力」。ニコール・キッドマンのビッチぶりがすごい。

1960年代のフロリダ。大学を辞めたジャックは父親が経営する小さな新聞社で新聞配達を手伝う退屈な日々を送っていた。ある時、新聞記者をしている兄ウォードが、4年前に起きた殺人事件の再調査をすることになり、ジャックはそれを手伝うことに。依頼主は事件の犯人で死刑囚のヒラリーと文通だけで愛し合い、婚約までしている風変わりな美女シャーロットだった。ジャックはシャーロットに強く惹かれるが、シャーロットの目的やヒラリーの真偽は謎のまま。事件を追い真相を探るウォードとジャックの兄弟は、やがて悪夢のような事件に巻き込まれていく…。

原作はピート・デクスターの同名小説。物語の骨格そのものは、青年のひと夏の初恋スタイルをとっているのに、映画全編を南部特有のねっとりした高温多湿の空気が覆い、異様な嗜好の男女が入り乱れて、血と汗と臭気が漂うスキャンダラスな問題作に仕上がっている。主人公のジャックは人間としても男としても半人前の新聞配達(ペーパーボーイ)で、どこかあきらめたような、それでいて何かを渇望するような不安定な青年だ。得意の歌や踊りを封印したザック・エフロンが好演しているが、この決して大作とはいえない本作の豪華キャストの演技合戦の前に貫禄負けは否めない。秘密を抱えた兄役のマシュー・マコノヒーや犯罪者ヒラリーを怪演するジョン・キューザック、さらに出番は少ないが兄弟の父親役のスコット・グレンなど、クセ者が勢ぞろいした。だがなんと言ってもバービー人形のように美しく、それでいて淫らで下品な謎の女シャーロットを演じるニコール・キッドマンの迫力が群を抜く。「誘う女」や「イノセント・ガーデン」でも妖艶な美女を演じているが、本作の品位のなさは演技とはいえあっけにとられるほどで、この美人オスカー女優の演技者としての底力と肝っ玉を再確認した。刑務所の面会室でのヒラリーとの“やりとり”や、クラゲにさされたジャックの身体に放尿して救う場面など、あっぱれなビッチぶりである。もはやヒラリーの事件や彼が無実かどうかなどの謎は脇に置いて、歪んだ闇を抱え持つ男女の行く末を、沼地の奥の奥まで行って見守りたくなる。主人公の大人への通過儀礼はあまりに痛切。見終わったらグッタリと疲れるが、「プレシャス」で注目されたリー・ダニエルズ監督は、残酷な大人たちが本性をむき出しする世界をスキャンダラスなドラマで描いてみせた。やはり才人である。
【65点】
(原題「THE PAPERBOY」)
(アメリカ/リー・ダニエルズ監督/ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、他)
(いかがわしさ度:★★★★☆)
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リンカーン弁護士

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地味ながらひねりが効いた法廷ドラマ「リンカーン弁護士」。表と裏の正義を使いこなすマシュー・マコノヒーのチョイ悪弁護士がハマッている。

LAに住むミック・ハラーは、高級車リンカーン・コンチネンタルの後部座席をオフィス代わりにする、犯罪専門の弁護士。麻薬の売人や娼婦のようなアブない連中をも顧客に持つ彼は、有利な判決のためなら、賄賂も使うし、時には依頼人をだまして金をふんだくるというやり手だ。そんなミックが新しく請け負った仕事は、女性への暴行事件で訴えられた資産家の息子ルイス・ルーレの弁護。司法取引で裁判を有利に進め、楽勝に終わると思ったこの事件は、調査を進めるうちに、ミックが過去に手がけた殺人事件とからみあっていたことが分かる。しかも、最初は無実を訴えていたルイスに疑惑が。やがてミックは自分が巧妙なワナにはめられたことを知る…。

マシュー・マコノヒーは、映画初主演の「評決のとき」では正義感あふれる新米弁護士を演じて注目された。あれから15年以上が経ち、今回演じるのは、仕事は一流だが金に強欲で汚い手も使うという、中年弁護士。大人になったものよと感慨深いが、決して悪人になったわけではない。自分なりの倫理観で、最終的には、きっちりと正義の帳尻を合わせる、型破りで頭脳派のやり手なのだ。原作は、マイクル・コナリーの同名小説で、法廷ものらしい会話と駆け引きに見応えがある。中でも、新旧の二つの事件がからみあい、窮地に陥った主人公が、ひねった戦略を繰り出す様が見もの。派手なアクションや爆発、カーチェイスなどには頼らない、正攻法の法廷ドラマで、主人公が、法廷の内外で清濁を使い分けるのが面白い。チェスにサクリファイスというものがある。より良い状況を作り最終的に勝つために、自分の駒を犠牲にする戦法で、この映画のストーリーはそれとよく似ている。加えて“毒を以って毒を制す”的要素も。善と悪。勝ち組と負け組。世の中というのはそんな単純な図式ではないと知っている大人のための佳作だ。主人公の元妻役のマリサ・トメイ、主人公の親友で私立探偵役のウィリアム・H・メイシーなど、脇役も渋い。ちょっぴり不満なのは、疑惑の依頼人ルイスを演じるライアン・フィリップの存在感に凄みが欠ける点か。ともあれ、スケールは小さくても、面白い映画はちゃんと作れる。鑑賞後は爽快だ。
【70点】
(原題「THE LINCOLN LAWYER」)
(アメリカ/ブラッド・ファーマン監督/マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、他)
(清濁度:★★★★☆)
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フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石

フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石
宝探しよりロマ・コメの比重が高いので、スケール感はいまひとつ。陽気だが無責任なトレジャー・ハンターが、ギャングや大富豪、元妻まで巻き込んで、カリブ海に沈んだスペイン王朝の財宝探しに挑む。物語は、勢い勝負でかなりいい加減だが、かつて共演したハドソンとマコノヒーの息のあった掛け合いが楽しい。大富豪令嬢のおトボケ・キャラを活かしきれてないのは惜しいが、ハドソンのひまわりのような笑顔こそ魅力だった。
【55点】
(原題「FOOL'S GOLD」)
(アメリカ/アンディー・テナント監督/マシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソン、ドナルド・サザーランド、他)
(ノリのよさ度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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