スパイ・コード 殺しのナンバー [Blu-ray]
極秘指令を発信する“乱数放送”を扱った異色サスペンス「殺しのナンバー」。地味な内容だが、素材の面白さと静かなリアリズムがある。

CIAの敏腕エージェントのエマーソンは任務中に目撃者を消すことをためらったミスのため、イングランド東部の人里離れたCIAナンバーズ・ステーション(乱数放送局)に左遷される。そこでの任務は、暗号作成のエキスパートで送信係の女性キャサリンを護衛すること。仕事は平凡だが、心に傷を負ったエマーソンは、キャサリンの温かな人柄に触れ、次第に人間らしさを取り戻していく。だが、ある日、70年間事件など起こらなかった放送局が、謎の武装集団に襲撃された上、世界中の重要な諜報員を暗殺するという偽の指令が送られてしまう事件が発生。間一髪で襲撃を逃れた二人は、なんとかその指令を取り消そうと奔走するが、CIA本部からの指令は、内部事情を知りすぎたキャサリンを抹殺せよという非情なものだった…。

乱数放送とは、特定の時間に謎の数字や文字を送る放送で、各国の諜報機関などがエージェントに指令を暗号化して送信するもの。公共電波をシレッと使って、暗殺、テロ、クーデターなどのトンデモない極秘指令が送られているというからビックリだが、無論、どの国もその存在を認めることはない。乱数放送は、世界のスパイ活動の必須ツールだが、映画にするとなると、機械の前で暗号をコツコツと操るという、ビジュアル的にきわめて地味な作りになる。そんな本作では、謎の武装集団の目的がわからず、困惑する主人公が危機を乗り越えていくプロセスがスリリングだが、描かれるのは、組織の非情な体質だ。敏腕エージェントといえども、歳をとれば使い捨て。サラリーマン社会でのリストラは、スパイの世界では死を意味するのだから、たまらない。非情な掟への憤りは、武装集団の犯人の動機から、そしてキャサリン暗殺を指令したCIA幹部の決断を聞いた主人公からもにじみ出る。すっかりサスペンスの顔と化したジョン・キューザックが、今回も、暗いキャラクターで静かに熱演。派手な立ち回りやワイヤー・アクションではなく、あくまでもリアルに徹した銃撃戦や、イングランドのド田舎の旧アメリカ軍基地内に隠された乱数放送局があるというのも妙にリアルだ。何より、どの国も認めないが実際は「日本人拉致事件」や「大韓航空機爆破事件」の金賢姫元工作員への指令にも使われたと言われる乱数放送を本格的に扱った素材の面白がある。華やかさはないが、なかなか渋いサスペンスだった。
【55点】
(原題「THE NUMBERS STATION」)
(イギリス/カスパー・バーフォード監督/ジョン・キューザック、マリン・アッカーマン、リーアム・カニンガム、他)
(地味度:★★★★★)
チケットぴあ

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