映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

マルジャン・サトラピ

チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜

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マルジャン・サトラピ監督初の実写映画「チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜」。甘くて苦い夢のようなファンタジーだ。

天才音楽家ナセル・アリは、壊されたバイオリンと同じ音色が出せないことに絶望し、自殺を決意。最期の8日間で、彼はこれまでの人生を振り返る。厳しい修行の日々、バイオリニストとして成功した栄光の時、叶わなかった恋、間違った結婚。大好きなソフィア・ローレンと大好物のチキンのプラム煮。ナセル・アリは思い通りにならなかった過去を振り返っていくが…。

自伝的コミックをアニメ映画化した「ペルセポリス」が世界中で高い評価を得たマルジャン・サトラピの監督2作目は、初の実写映画だ。意表をつくのは、映画が始まってすぐに主人公のナセル・アリが死んでしまうこと。そこから彼の哀愁をおびた回想がはじまる。バイオリニストの彼が世にも美しい音色を手に入れたのは、ひと目で恋に落ちた美しい女性イラーヌとの恋に破れるという悲劇を経験したからだ。だがそれ以上に悲劇なのは、ナセル・アリが、周囲から愛されているのに、そのことに気付かず自己中心的な人生を過ごしてきたことだろう。唯一愛した女性と引き裂かれ、妻子や弟から理解されないと思いこむ孤独の中にいるからこそ、芸術家として才能が開花したのだとしたら、芸術家の栄光とはなんと残酷なことだろう。アニメーション作家・漫画家としてスタートしたサトラピ監督らしく、背景の美術や、演技の随所にアニメ風のデフォルメした演出が見られて面白い。死の天使アズラエルもどこかおちゃめだ。とりわけ、映画全体を覆う魔法のようにファンタジックな色彩にはうっとりする。主人公を演じるアマルリックが適役だが、イザベラ・ロッセリーニ、キアラ・マストロヤンニといった欧州の名女優を意外な役で使うセンスが良かった。“夢の女性・イラーヌ”を演じるゴルシフテ・ファラハニが、ほれぼれするほど美しい。イラーヌとはイランの意味。過ぎ去ったイランの夢、存在し得たかもしれない民主主義の夢を表しているのだそう。ほろ苦い後悔と甘い記憶に包まれた哀切に満ちた作品だ。ユニークな映像感覚のおかげで、見終わってもなお陶酔感を味わえる。
【70点】
(原題「POULET AUX PRUNES」)
(仏・独・ベルギー/マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー監督/マチュー・アマルリック、マリア・デ・メデイロス、イザベラ・ロッセリーニ、他)
(アニメ風演出度:★★★★☆)
チケットぴあ

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チキンとプラム@ぴあ映画生活

ペルセポリス

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センス溢れる映像は、ほとんどが美しいモノクローム。色彩がないからこそ際立つ構図の鋭さや作画の個性など、このアニメの魅力は尽きない。常に前向きなイラン人女性マルジの激動かつユーモラスな半生を活写する。意外とのびやかだった王政期のイランの事情も巧みに盛り込み、自由の意味を問う知的な映画だ。優しくりりしい祖母がマルジに言う「これから沢山のバカに会うだろう」のセリフが最高だ。イランでは上映禁止の話題作である。
【80点】
(原題「PERSEPOLIS」)
(フランス/マルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー監督/(声)キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ダニエル・ダリュー、他)
(ユーモア度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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