映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

マンディ・ムーア

海底47m



リサとケイトの姉妹は休暇を楽しむためにメキシコにやってくる。海の中の檻から野生のサメを見る“シャークケイジダイビング”に参加することにした二人は、最初はサメの迫力に興奮して楽しむが、突如、保護用の檻と水上の船をつなぐケーブルが故障し、二人は檻ごと水深47メートルの海底へ落下してしまう。檻は壊れ、酸素も残り少ない。無線も通じない中、巨大な人喰いザメが二人に迫る…。

シャークケイジダイビング中の事故で海底に取り残された姉妹のサバイバル劇を描くパニックスリラー「海底47m」。夏だ!海だ!サメ映画だ!!…ということで、海という開かれた“密室”を舞台に、美女とサメを組み合わせるサバイバル劇は、新たな夏向けホラー・ムービーの定番になりつつある。同種のサメ映画「ロスト・バケーション」が海上でたった一人というシチュエーションだったのに対し、本作は真っ暗な海底で姉妹が二人ぼっち。迫りくる危機は、サメ以外にも、酸素欠乏、潜水病、窒素酔いなど、バラエティーに富んだピンチの連打で飽きさせず、心が休まるヒマがない。

社交的なリサと違い、失恋したばかりで臆病なケイトはもともとシャークケイジダイビングに乗り気じゃなかった。だが、彼氏から「君は退屈」と言われ、自分だって冒険心があることを証明したくて、この怪しげなツアーに参加したのだが、ネガティブ思考のケイトが極限状態で「こんなところで死ねない!」と勇気を示すのがいい。どんな状況でも人間はあきらめちゃ終わりなのだ。物語の終盤には思わぬ仕掛けとオチがあって、これがなかなかうまい。あえて難点を言えば、ほとんど水中マスクを着けているので姉妹の区別がつきにくいことか。それにしても「ジョーズ」の昔から、血の匂いを嗅ぎつけ、巨大な身体で体当たりし、鋭く尖った歯をむき出しに襲い掛かるサメの恐怖演出は見慣れているはずなのに、何度見てもやっぱり怖い。これこそ、映画では不動の人気キャラとなる要素だ。恐るべし、サメ映画!の、快作である。
【70点】
(原題「47 METERS DOWN」)
(アメリカ/ヨハネス・ロバーツ監督/クレア・ホルト、マンディ・ムーア、クリス・J・ジョンソン、他)
(恐怖疑似体験度:★★★★★)
チケットぴあ

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塔の上のラプンツェル

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ディズニーの記念すべき50作目は、グリム童話“髪長姫”のヒロイン・ラプンツェルを主人公にしたファンタジー・アドベンチャー「塔の上のラプンツェル」。プリンセス・ストーリーであると同時に、自分の殻をやぶって未知の世界へと飛び出していくという普遍的な成長物語になっている。深い森の中の高い塔の上に住む少女ラプンツェルは、18年間一度も外に出たことがない。びっくりするほど長い、黄金の魔法の髪を持つ彼女は、美しいが怪しげな母親から「外の世界は危険。絶対に出てはダメ」と言われている。ラプンツェルは、毎年、自分の誕生日になると夜空いっぱいに現れる“不思議な灯り”を近くまで見に行くことが夢だった。そんな彼女が暮らす塔に、お尋ね者の大泥棒・フリンが追手を逃れて迷い込んでくる…。

欧州の童話は、その原型は残酷だったり悲劇的だったりと、大人もビックリの内容が多い。“髪長姫”も、なかなかシビアな話だったりするが、ディズニー映画として生まれ変わるとなれば、現代の空気を反映しつつ、ポジティブで魅力的なヒロインであることは絶対条件。美しい映像とうっとりするような音楽も欠かせない。ラプンツェルには出生の秘密があり、母親にはある企てがある。その秘密の象徴が、永遠の美を与える力を持つという長い長い髪の毛だ。本人も時々持て余すこの不思議な髪が、時に塔を降りるロープになり、泥棒を縛るヒモになる。もちろん魔法の効果で、人を癒す薬にも。ラプンツェルは世間知らずだが、想像性にあふれ、また、フライパンを武器に泥棒をつかまえてしまうほどおてんばな女の子だ。何よりいつも好奇心旺盛である。泥棒なのにどこか人が良さそうなフリンを案内役に、ついに塔を脱出するのは、見知らぬ世界への不安よりも期待が勝ったからに違いない。その気持ちこそが冒険への招待状だ。塔の中は居心地がよく、守られてはいるが、そこにいてはラプンツェルが恋焦がれる美しい灯りには決して近づけない。灯りを見るためには、怖い思いやつらい現実にも対峙しなければならないが、それを補って余りある素晴らしい出会いがあるというメッセージは、パーフェクトに前向きなもの。これは、ファンタジーの世界における“脱・引きこもり”のストーリーともいえる。もちろん、そこにはラプンツェルとフリンのロマンスも。恋するときめきや生きる喜びを歌いあげるミュージカルの場面は、ディズニーの独壇場だ。何千ものランタンの灯りが夜空に舞う場面の幻想的な美しさは、まさに映画のマジックで、現時点の視覚効果の頂点といえよう。秀逸なストーリーと映像美で、50作目にふさわしい魅力的な作品になった。
【70点】
(原題「TANGLED」)
(アメリカ/バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ監督/(声)マンディ・ムーア、ザカリー・レヴィ、ドナ・マーフィ、他)
(ポジティブ度:★★★★☆)


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塔の上のラプンツェル@ぴあ映画生活

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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