映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「オリエント急行殺人事件」「DESTINY 鎌倉ものがたり」「ルージュの手紙」etc.

マーク・ウォールバーグ

トランスフォーマー/最後の騎士王

Transformers: The Last Knight (Music from the Motion Picture)
オートボットの指導者オプティマス・プライムが消息を絶ち、人類とトランスフォーマーの全面戦争が避けられなくなった中、人類は地球を救うためにトランスフォーマーの謎を探ることになる。発明家ケイド・イェーガー、オートボットの新リーダーとなったバンブルビー、謎めいた英国の老貴族バートン卿、オックスフォード大学の女教授ヴィヴィアンらが、チームを組むことに。トランスフォーマーの秘密には、神話のアーサー王伝説が鍵であることが判明する。だが全面戦争を目前に彼らの前に立ちふさがったのは、長年共闘してきたオプティマス・プライムだった…。

世界中で大ヒットを記録するSFアクション大作“トランスフォーマー・シリーズ”の最新作「トランスフォーマー/最後の騎士王」。地球滅亡が迫る中、人類とトランスフォーマーが共闘して危機に立ち向かう姿を描く。本作では、歴史の転換期に深くかかわってきたトランスフォーマーの謎の他、トランスフォーマーの故郷であるサイバトロン星の滅亡の危機や、金属生命体の創造主などが登場し、惑星まるごとの存亡がかかる大規模バトルは、今までの侵略戦争は、単なる前哨戦に過ぎなかったのだと思うほどだ。

オプティマス・プライムが敵になるという衝撃的な展開だが、それには深い事情が。詳細は映画を見て確かめてもらうとして、今回のウリは、トランスフォーマーと、アーサー王と円卓の騎士の伝説が密接にかかわっているという、突拍子もない設定だ。主な舞台が英国ということもあって、華麗な英国貴族の館や、ストーンヘンジなども登場し、派手なアクションもどこか優雅である。新キャストでは、名優アンソニー・ホプキンスが貫禄を見せる一方で、タフで負けん気が強い少女イザベラを演じるイザベラ・モナーが、いい味を出していた。物語そのものは、最初から最後まで、クライマックス状態の大騒ぎ。見終わった後は、見事に何も残らないのだが、この潔さこそがトランスフォーマーの持ち味だ。破壊王ことマイケル・ベイ監督らしいド派手なVFXの映像を楽しむためにも、できればIMAXでの鑑賞をお勧めしたい。
【60点】
(原題「TRANSFORMERS: THE LAST KNIGHT」)
(アメリカ/マイケル・ベイ監督/マーク・ウォールバーグ、ローラ・ハドック、アンソニー・ホプキンス、他)
(全面戦争度:★★★★★)
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パトリオット・デイ

Patriots Day
2013年4月15日。ボストン警察の刑事トミーは、アメリカ独立戦争開戦を記念した“愛国者の日(パトリオット・デイ)”に毎年開催されるボストンマラソンの警備にあたっていた。約3万人のランナーと50万人の観客で賑わう中、突如、ゴール付近で大爆発が発生し、歓声は悲鳴へと変わる。FBIはテロと断定。監視カメラに写った、不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”の存在が、容疑者として浮上する。多くの負傷者を目の当たりにしたトミーは、犯人への怒りを抱えながら、生存者に丁寧に聞き込みを開始し、手がかりを探していく…。

ボストン・マラソン中に起きた爆弾テロ事件の顛末を描く実録サスペンス・ドラマ「パトリオット・デイ」。ボストン・マラソンで大規模な爆発テロが起こり、犯人はイスラム過激派思想にそまった兄弟だったことは知っていたが、事件解決へ向けて、ボストン市民や警察の数々の勇気ある行動があったことを、本作で初めて詳細に知った。主演のマーク・ウォールバーグとピーター・バーグ監督は3度目のタッグで、すべて実話がベースになっているが、本作が最も出来がいい。ただ前2作でウォールバーグが演じたのは実在の人物だったが、本作で演じた警察官のトミーは架空の人物。事件解決に奔走した警察の、さまざまな思いや勇気、葛藤や悲しみを体現する人物として描かれている。登場人物は非常に多いのだが、ボストンの街に精通したトミー、立場上慎重に動くFBI捜査官、老保安官のような警察巡査部長など、主要キャラが立っていて分かりやすい。さらには、犯人であるツァルナエフ兄弟、ツァルナエフ兄の妻、事件で大怪我を負うカップルや、人質になる中国系の青年など、周辺の人物たちのドラマも丁寧で、観客は事件を俯瞰しながら、緊迫した犯人逮捕の瞬間へとスムーズに導かれる。途中で絶妙に挿入されるニュースや監視カメラの映像が緊張感をより高めて、実録サスペンスとしても群像劇としても見事な演出だ。何よりも、テロには決して屈しないと決意したボストン市民が一致団結して戦うクライマックスは感動的である。特殊能力を持つ一人のスーパーヒーローが活躍するのではなく、テロによって傷ついたボストンの街を愛する平凡な市民それぞれが、自分の役割を愚直に果たすことで最大の勇気と奇跡を呼び寄せた。語り継ぐのは悲劇ではなく希望。昨今、何かと評判が悪いアメリカの警察が、正義を守るために命がけで戦う姿にも間違いなく希望がある。ラストに登場する、当事者たちの今の姿とコメントが深く心に響いた。
【70点】
(原題「PATRIOTS DAY」)
(アメリカ/ピーター・バーグ監督/マーク・ウォールバーグ、ケヴィン・ベーコン、J・K・シモンズ、他)
(愛国心度:★★★★★)
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パトリオット・デイ|映画情報のぴあ映画生活

バーニング・オーシャン

Deepwater Horizon [Blu-ray + DVD + Digital HD]
メキシコ湾沖80キロに位置する海底油田施設・ディープウォーター・ホライゾン。石油会社が、スケジュールの遅れを理由に掘削再開を迫ったことから工事が強行され、天然ガスへの引火と大爆発による大事故が発生する。作業員126名がいるディープウォーター・ホライゾンはたちまち炎に包まれた。チーフ技師のマイクは、一人でも多くの作業員の命を救い、被害拡大を食い止めながら、必死で脱出方法を探るが…。

2010年4月に起こったメキシコ湾原油流出事故を描いた実録ディザスター・ムービー「バーニング・オーシャン」。巨大な海底油田施設・ディープウォーター・ホライゾンで発生した引火・爆発の大事故は、世界最大級の人災と呼ばれ、多数の死者・負傷者を出したこと、周辺の自然環境や住民の生活に甚大な被害を与えたことで知られる。主人公を熱演するマーク・ウォールバーグは、ピーター・バーグ監督とは、ネイビーシールズの兵士がタリバンから追い詰められるサバイバル・アクション「ローン・サバイバー」で組んでいるし、公開待機中のボストンマラソン爆弾テロ事件を扱った実録もの「パトリオット・デイ」でもタッグを組んでいて、このコンビは、実話の社会派アクションがトレードマークになりつつある。本作で描かれた事故は、営利優先の石油会社の幹部が、工事の遅れを取り戻すため、安全テストを省略して工事の強行稼働を迫ったことが発端。巨大な石油掘削施設での、泥水噴射、原油逆流、ガス引火、大爆発と、次々に起こる大災害の恐怖を臨場感たっぷりに描いている。ただ、ディープウォーター・ホライゾンを忠実に再現した巨大セットや、決死の脱出劇は確かに迫力たっぷりで見応えがあるが、石油掘削現場という一般人がほとんど知らない場所での災害のために、どうしても説明パートが多く、ディザスター・ムービーとしての訴求力が削がれたことは否めない。映画は、事実を追うのに精一杯で、人間の内面に迫るドラマとしての魅力には欠けてしまった。それでも、この大事故の原因が、安全より利益を優先させた結果の大惨事だったことを思うとき、遠い場所で起こった過去の出来事というだけでは片づけられない危機感が浮かび上がってくる。実際に事故に遭った人々が写真で登場し、彼らのその後を紹介するエンドロールが、強く印象に残る。
【65点】
(原題「DEEPWATER HORIZON」)
(アメリカ/ピーター・バーグ監督/マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ケイト・ハドソン、他)
(スペクタクル度:★★★★★)
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バーニング・オーシャン|映画情報のぴあ映画生活

テッド2

テッド2 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
テッドが父親になるべく人権裁判で奮闘する「テッド2」。今回は完全にテッドが主役。

アルバイト先で出会った恋人タミ・リンとついに結婚した中年テディベアのテッドは、親友のジョンと相変わらずツルむ毎日。テッドは子供がほしいと願うが、そのためにはテッドはぬいぐるみではなく人間であることを証明する必要があった。モノと見なされれば、結婚も無効になってしまう。親友をモノ扱いされ怒り心頭のジョンは、若くて美人の弁護士サマンサに協力を頼み、何とかテッドの人権を勝ち取ろうとするが…。

テディベアのテッドが命を宿すことも、見た目は可愛いぬいぐるみのテッドが中身は中年であることも、前作ですでに学習済。そういう意味でのインパクトは薄れたものの、前作では大人になりきれない“人間の”ジョンの物語だったが、今回は“ぬいぐるみ”のテッドが堂々の主役だ。命を宿したぬいぐるみであるテッドが人間だと、いったいどうやって証明するのか?!が見所である。まったく成長が見られないサンダーバディ(ジョンとテッド)が裁判に挑むが、真面目な法廷ものになるはずもなく、相変わらずお下劣、おたく、ボストン愛が満載。とはいえ、セス・マクファーレン監督は、そのバカバカしさの裏側に「人間とは果たしてどういう存在か」という哲学的なテーマをこっそりと仕込んでいる。前作で登場したテッドを偏愛する例の男が再び登場し、彼の悪知恵がテッドの人権問題を大きく揺るがすことに。映画愛やコミコンネタも楽しいが、今回のイチオシは、ある大物スターのカメオ出演だ。映画序盤とエンドロールの後のワンシーンに登場し、笑わせてくれる。個人的には映画冒頭の、ザッツ・エンターテインメントばりのダンスシークエンスがお気に入りだ。いやはや、無駄に豪華なところが素敵である。
【65点】
(原題「TED 2」)
(アメリカ/セス・マクファーレン監督/マーク・ウォールバーグ、アマンダ・セイフライド、モーガン・フリーマン、他)
(盛りだくさん度:★★★★☆)
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テッド2@ぴあ映画生活

トランスフォーマー ロストエイジ

Transformers: Age of Extinction (Music from the Motion Picture)
トランスフォーマーと人類が挑む新たな戦いをド迫力で描く人気シリーズ最新作「トランスフォーマー ロストエイジ」。最初から最後まで大騒ぎ!でもメカフェチには至福かも。

トランスフォーマーと邪悪なディセプティコンが激闘を繰り広げてから3年。今や政府は人類を守って戦ったトランスフォーマーを敵視していた。テキサスの発明家ケイドは偶然トランスフォーマーのリーダー、オプティマスプライムに出会うが、そのため政府の秘密機関KSIから命を狙われる。さらわれた娘のテッサやオプティマスを助けるため、ケイドは立ち上がるが、ディセプティコンの残党で最強の敵ロックダウンや、謎の恐竜ダイナボットなどがたちはだかる…。

最初から最後までクライマックスのような大騒ぎで、ひたすらド派手。ストーリーの細部を突っ込んでいたら、こっちの体力がもたないので、いちいち気にしない。これがマイケル・ベイ作品の鑑賞時のお約束だ。シリーズ最新作である本作は、主演のマーク・ウォールバーグを筆頭にキャストを一新している。上映時間も165分と長尺で、テキサスの田舎から始まり、大都会の香港でも破壊の限りを尽くすムチャぶりだ。シリーズ初見の観客は、トランスフォーマーは人類の味方で正義、ディセプティコンは悪ということだけ覚えておけばOK。しかし、いつまでもトランスフォーマーから守ってもらうばかりの人間の進歩のなさには、やるせないものがある。ストーリーの空虚さに反比例して、ビジュアルのド迫力は桁違いで、シリーズ最高と言っていい。トランスフォームするときの滑らかな動き、クールな新デザインのトランスフォーマーのりりしさ、恐竜型トランスフォーマーのダイナボットや、巨大宇宙船でやってくるロックダウンらが入り乱れる超絶バトルを堪能するためにも、3D、もし可能ならIMAXでの鑑賞をすすめたい。ひたすらぶっ壊し、時折挿入されるユルいギャグやセクシーショット。いつしか楽しんでいる自分がいるはずだ。
【60点】
(原題「TRANSFORMERS: AGE OF EXTINCTION」)
(アメリカ/マイケル・ベイ監督/マーク・ウォールバーグ、ニコラ・ペルツ、スタンリー・トゥッチ、他)
(破壊度:★★★★★)
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トランスフォーマー/ロストエイジ@ぴあ映画生活

ローン・サバイバー

ローン・サバイバー [Blu-ray]
ネイビー・シールズ史上最悪の惨事“レッドウィング作戦”の全貌を描く戦場アクション「ローン・サバイバー」。終盤に意外な助っ人が現れる。

2005年、アフガニスタン。マーカス・ラトレル一等兵らアメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズの4人の精鋭は、タリバンのリーダー暗殺のため、幹部の隠れ場所を偵察する特殊任務に就いていた。だが、山岳地帯で作戦遂行中に山羊飼いたちに遭遇し、迷った末に彼らを解放したことから、200人を越えるタリバン兵に囲まれる。世界最強の精鋭部隊にとっても死を覚悟する絶望的な状況の中、仲間と自分を信じて行動する4人だったが…。

アメリカ軍の作戦が失敗に終わった実話といえば「ブラックホーク・ダウン」がすぐに思い浮かぶが、本作が描くレッドウィング作戦の惨事には、美しいビジュアルもなければ、ヒロイックな行動もほとんどない。あるのは極限状態の絶望感のみ。ヒーローが助けにくる娯楽映画の展開を見慣れたものには、ショックが大きいはずだ。何しろ、実話ということで、4人のうちマーク・ウォルバーグ演じるマーカス・ラトレル一等兵以外は殉死することが分かっているのだから、さらに痛々しさは増すばかりだ。そもそも山中で、山羊飼いに遭遇したことが運のつきなのだが、そこには2つの意見があった。自分たちの任務遂行を考えれば彼らを“排除”するべきというもの。そして、子供を含む民間人を犠牲にするわけにはいかないというものだ。後者は正義感よりも、その事実が明るみになった時の世界中からの非難を恐れるがゆえの意見だろう。どちらが正しかったのかという答えは、おそらくないのだ。それにしてもこのサバイバル劇はリアルである。崖を転がり落ちる描写は、痛みが伝わってきそうなほど。シールズたちが、退却を迫られながらも勇猛に闘い、仲間には「おまえだけは生延びろ」という言うなど、やや美化された描写はあるものの、米国の絶対的正義というプロパガンダ臭は薄い。むしろ、終盤にマーカスが逃げ込む村での出来事には、驚かされる。同じ国民同士で憎み合い殺し合うのが日常の人々が、部外者の米軍に対して、助けや赦しという価値観を持っているとは。熾烈なサバイバルとアフガニスタンの複雑な現状。戦争とは、常に不条理に満ちている。
【60点】
(原題「LONE SURVIVOR」)
(アメリカ/ピーター・バーグ監督/マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、他)
(孤立無援度:★★★★☆)
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ローン・サバイバー@ぴあ映画生活

2ガンズ

2ガンズ(初回生産限定) [Blu-ray]
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互いに素性を隠した2人が強奪された資金奪還に奔走するクライム・アクション「2ガンズ」。異色のバディ・ムービーでドライなタッチがいい。

麻薬取締局(DEA)の捜査官ボビーと海軍情報部将校のマイケルは、互いの素性を知らないまま、メキシコの麻薬組織でマフィアの手先となって潜入捜査を行っていた。マフィア組織の尻尾をつかんで4000万ドル(約40億円)という大金を強奪し、晴れて互いの組織に戻れると思ったが、それがCIAの裏金だと判明。ボビーを裏切ったマイケルは金を海軍に運び込むが、上司から裏切られて金を失ってしまう。大金を失った二人はやむを得ず再び手を組むが、汚れた4000万ドルを巡って、二人は、麻薬取締局、海軍情報部、CIA、マフィアから追われることになる…。

デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグがバディを組むクライム・アクションと聞けば、映画好きならワクワクしてしまう。なぜなら、この二人、善玉も悪玉もこなせる演技派だからだ。物語は、麻薬取締局捜査官ボビーと海軍情報部将校マイケルが、互いを利用し、裏切りながらも徐々に絆を深めていく展開が見所。互いが所属する組織がともに悪に染まり、正義よりもことなかれ主義に走るというから、危険な潜入捜査をこなす二人はまったく気の毒なのだが、二人もまた裏切りや抜け駆けなど平気でやってのける。この話の登場人物たちはある意味、皆ダーティなのだ。ボビーとマイケルは、不信感マックスの状態で、生き延びるために手を組まざるをえなくなる。そこにコミカルな掛け合いを盛り込んだところがいい。バディ・ムービーは絆や信頼といった設定がセオリーのため、どこかしめっぽくなりがちなのだが、本作は、最初から信頼し合わない者同士のコンビだけに、掛け合いもドライで皮肉たっぷりなのだ。果たして汚れた大金の行方は? 二人はワルだらけの組織上層部とマフィアという絶体絶命のサバイバルを切り抜けられるのか? 一難去ってまた一難。爆破に銃撃戦に常識破りのカーアクションと、見せ場もド派手だ。原作がグラフィック・ノベルというだけあって、アクションもデフォルメされていて楽しめる。札束が舞うラストシーンでは爽快感が味わえるだろう。ワシントンとウォールバーグが、軽いタッチの役柄を楽しそうに演じている。
【60点】
(原題「2 GUNS」)
(アメリカ/バルタザル・コルマキュル監督/デンゼル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ、ポーラ・パットン、他)
(コミカル度:★★★☆☆)
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ブロークンシティ

ブロークンシティ [Blu-ray]
ブロークンシティ [Blu-ray] [Blu-ray]
大物政治家の陰謀に立ち向かう私立探偵を描くクライム・サスペンス「ブロークンシティ」。因縁の相手と対決するには刺し違える覚悟が必要なのだ。

ビリーは、7年前に警察官を辞職し、今はしがない私立探偵を開業している。NYが8日後に控えた市長選に沸くなか、ビリーは現市長のホステラーから呼び出され、ホステラーの妻キャサリンの浮気調査を依頼される。ビリーとホステラーは7年前にビリーが警察を辞めるきっかけとなったある事件の秘密を共有する間柄だった。調査を始めたビリーはキャサリンの相手が市長選の対立候補の右腕アンドリュースだと知り愕然とする。ビリーは調査結果をホステラーに渡すが、直後、アンドリュースが殺される。ビリーはホステラーの陰謀に利用されたことに気付くのだが…。

汚れた街(ブロークンシティ)とはニューヨークのことか、はたまた街を牛耳る悪徳政治家たちの隠喩か。いずれにしても一介の私立探偵である主人公が戦いを挑むには、相手は大きすぎる。現市長と対立候補の戦い、再開発業者と現市長との癒着、同性愛にそれぞれの正義と、物語のプロットそのものは、目新しさは特にない。だが、捜査中に容疑者を射殺した過去を背負う私立探偵ビリーと、裏金や癒着という悪徳を内包する市長のホステラーは、共に正義の側にはいないところに物語の深みがある。ビリーを捨て駒と考えるホステラーと、そうはさせないと意地を見せるビリーは、共に切り札を持っていて、同時にその札を切ることに。正直、先読み不能の状況になるが、ここでキーパーソンになるのが、ビリーを無実にした上で辞職をすすめた警察の上司フェアバンクス。いわばグレーゾーンにいるフェアバンクスの立ち位置が、勝敗を分けることになる。ビリーには“一寸の虫にも五分の魂”の意地があるが、そこには、過去の贖罪の意味が込められているのだ。このあたり、元警官の私立探偵という、ハードボイルドではおなじみのキャラクターの“それでも捨てられない正義”が垣間見えてグッとくる。個人的にはビリーの秘書兼助手のケイティのキャラが大いに気に入った。窮地に陥った探偵を救うのは、いつだって、仕事ができて気風がよく頼もしい助手なのだ。マーク・ウォルバーグがタフでダーティなヒーローを、ラッセル・クロウが腹黒い政治家をそれぞれ演じて適役。小品のクライム・サスペンスだが、キャスティングが意外なほど豪華だった。
【60点】
(原題「BROKEN CITY」)
(アメリカ/アレン・ヒューズ監督/マーク・ウォールバーグ、ラッセル・クロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、他)
(ノワール度:★★★★☆)
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ハード・ラッシュ

ハード・ラッシュ [Blu-ray]
伝説の運び屋が家族を守るため大勝負に出るアクション「ハード・ラッシュ」。悪役に魅力がないのが難点。

クリスはかつては国際的に暗躍する超一級の運び屋として裏社会に名を馳せていたが、今は、足を洗い、家族とともにつつましくも幸せに暮らしていた。だが義弟がコカイン密輸に失敗したため、ギャングから負債を押し付けられる。家族の命を守るための唯一の方法として、クリスは“ニセ札密輸”を計画。実行するため、刑務所にいる父や、親友に協力を仰ぎ、仲間とともに貨物船でパナマへと向かった。しかしそこでは、地元警察やマフィアなど、すべての者がクリスの目的を阻もうとする。クリスは彼ら相手に一大トリックを仕掛けるが、行く手には思わぬ罠が待ち受けていた…。

最近では「テッド」の大ヒットのおかげで、三枚目路線に傾いていたマーク・ウォールバーグ。もともとのイメージであるアクション映画へ戻ってきたのが本作だ。ただし、仲間とともに華麗なトリックであっと驚く完全犯罪を企てる痛快作というより、しがらみから闇家業に復帰した主人公が、裏切りやアクシデントの中で、泥臭くも捨て身の勝負に出る物語である。主人公クリスは男気あふれる性格だが、義弟アンディは犯罪者としても堅気の人間としても中途半端だし、親友のセバスチャンも何やら怪しい。一大トリックには信頼できる仲間が必須条件なのに、彼の周りは頼りにならないヤツらばかりで、別の意味でハラハラする。ギャングやパナマのマフィア、そして思わぬ裏切り者と、悪役キャラに強烈な個性がないのも迫力不足だ。パナマでの、マフィアとの取引はハプニングの連続で、ニセ札ばかりか名画強奪という事件まで起こってしまう。事件の発端やクリスの綿密な計画は、序盤は断片的でかなり判りづらいし、後半の展開は出たとこ勝負というより破れかぶれの作戦にしか思えない。それでも終盤はつじつまが合うし、ラストにはちょっとした爽快感も。何より、裏切り者を始末するのが、闇社会から足を洗うと決めた主人公ではなく、息子が堅気になったことを誇りに思っている、刑務所の中にいる父親というのがいい。巨大な貨物船を密室に仕立てた舞台設定がユニークだった。
【55点】
(原題「CONTRABAND」)
(アメリカ/バルタザール・コルマウクル監督/マーク・ウォールバーグ、ケイト・ベッキンセール、ベン・フォスター、他)
(家族愛度:★★★★☆)
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テッド

テッド ブルーレイ (デジタル・コピー付) [Blu-ray]テッド ブルーレイ (デジタル・コピー付) [Blu-ray] [Blu-ray]
命が宿ったテディベアと自立できない中年男の友情を描く異色コメディ「テッド」。愛くるしいルックスで中身はオヤジというギャップが最高!

1980年代のボストン。孤独な少年ジョンはクリスマスにもらったテディベアのぬいぐるみと本当の友達になりたいと祈る。ジョンの願いは叶い、命が宿ったテディベア“テッド”とジョンは「一生、親友でいよう」と誓い合う。それから27年。約束は守られ、中年になったジョンと同じく中年ベアになったテッドは、今日もソファでマリファナを吸いながらB級映画を見て怠惰に過ごしている。いい年をしていつもツルんでいる2人を見て、ジョンの恋人のローリーは「自分とテッドのどちらかを選んで!」とジョンに迫る…。

ぬいぐるみのテディベアに命が宿る。これは紛れもない奇跡だが、最初はもてはやされた奇跡も毎日続くと日常になる。魂が宿ったテッドの存在を周囲がごく当たり前として受け入れているという設定が、なにげなく可笑しい。奇跡のベアとして一時はセレブ扱いされたテッドが、一発屋の哀しさであっさりと堕落し、今や下品なジョークを連発するおっさんベアになっているというシビアな運命が、これまた可笑しい。テッドの声も担当している、セス・マクファーレン監督は、最初はこの物語をアニメ化しようと考えていたらしいが、絶妙な可笑しさが漂う実写にして大正解だ。女好きで、酒とドラッグに目がなく、パーティ好きな上にB級映画おたくの中年テディベアというだけあって、劇中には、過激なセリフやあられもないシーンが数多いのだが、これが不思議といやみがないのは、やっぱりキュートな見た目のおかげだろう。恋人のためテッドと離れる決心をしたジョンだが、テッドが就職し、一人暮らしを始めても、やっぱりツルんでしまうジョンにテッドが言う「いつも人のせいにして大人になりきれないのはおまえの方だ!」との言葉が鋭い。そのセリフの後の、実写アクション映画も顔負けの迫力の取っくみあいの大ゲンカを見ていると、ジョンとテッドは表裏一体で不可分の関係なのだと分かる。下品で粗野なテッドだが、最後にはジョンとローリーの間を取り持ち、熱い友情で感動させてしまうのだから、ガッツリ心をつかまれた。アメリカ映画のコメディは笑いのセンスがなかなか噛み合わないものだが、この作品は多くの観客のツボにハマるはず。タフガイのイメージのマーク・ウォールバーグだが、本作では、大人になりきれない中年男という脱力キャラを好演していた。凝りまくった「フラッシュ・ゴードン」ネタや、ノラ・ジョーンズ本人の出演など、細部まで意外にも豪華なのが楽しい。
【70点】
(原題「TED」)
(アメリカ/セス・マクファーレン監督/マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン、他)
(斬新度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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