映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

メラニー・ロラン

エタニティ 永遠の花たちへ



19世紀末のフランス。上流階級の令嬢で、17歳のヴァランティーヌは、親が決めたジュールとの婚約を一度は破棄するが、彼の熱心な求愛に心を動かされ結婚する。二人は、深い絆で結ばれた夫婦となるが、病気や戦争で子どもが亡くなる悲劇に見舞われる。ジュールも亡くなり失意のヴァランティーヌだったが、残った息子アンリが幼なじみのマチルドと結婚し、孫が生まれたことが彼女に再び喜びをもたらした。マチルドの従妹のガブリエルと彼女の夫も頻繁に家を訪れ、大家族のような、穏やかな幸せな日々が続く。だがヴァランティーヌと家族たちの運命には、思いがけない形で転機が訪れる…。

花と緑に囲まれたフランスの美しい大邸宅を舞台に、ある富豪の一家の3人の女性たちの人生を描く大河ドラマ「エタニティ 永遠の花たちへ」。アリス・フェルネの原作小説をベースに「青いパパイヤの香り」「夏至」などの名匠トラン・アン・ユン監督が、圧倒的な映像美で描く物語だ。テーマは、生と死が永遠(エタニティ)に繰り返され、受け継がれていくこと。命の連鎖を支える時間の存在を、美しいものとしてとらえて、受け入れていくことだろう。

オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョという仏映画界を代表する人気女優の贅沢な競演は見所のひとつだ。19世紀から20世紀にかけての上流社会の優雅な暮らしぶりや、衣装や家具調度品が美しく、思わず見惚れてしまう。だが、あまりにもストーリーが平坦でメリハリがない。戦死や病死、時に修道院に入って俗世から離れるなど、家族に降りかかる悲劇が何度か描かれるが、女性たちは悲しみを胸に秘めながら静かに乗り越えていくといった描写だ。そもそも、3世代の女性を描くという触れ込みなのに、よくよく見れば、母、娘、孫ではなく、母、息子の嫁、その嫁の従妹という3人の関係性が微妙に不自然だったりする。そんな「?」もあるにはあるが、トラン・アン・ユン作品を支えてきた名撮影監督マーク・リー・ピンビンの、しびれるような映像美に酔いしれ、しばし別世界へと誘われれば、心地よい陶酔感を味わえるだろう。監督の妻トラン・ヌー・イェン・ケーの、しみいるような美声のナレーションが、これまた独特の優美なムードを醸し出している。
【55点】
(原題「ETERNITY」)
(仏・ベルギー/トラン・アン・ユン監督/オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ、他)
(映像美度:★★★★★)
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グランド・イリュージョン

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マジックをモチーフに破天荒な犯罪が展開する異色のサスペンス「グランド・イリュージョン」。ラストの謎解きが怒涛のような展開で、騙される快感を味わえる。

凄腕マジシャンのアトラスら4人のスーパー・イリュージョニスト・グループ“フォー・ホースメン”は、ラスベガスのショーの最中にパリの銀行から大金を奪うというマジックを成功させ観客の喝采を浴びる。悪徳実業家の資産をかすめとるなど、度肝を抜くショーを連発する彼らを追うFBI捜査官のディランと、フランスから来たインターポールのアルマらは、フォー・ホースメンの犯罪を事前に阻止しようとするがまったく歯が立たない。やがて最後のショーが始まり、彼らのトリックと真の目的が明らかになる…。

マジックは古代エジプトより長い歴史を誇る魅力的なパフォーマンスだ。そのスタイルは、時代と共に、破天荒で華麗なエンタテインメントに変化していく。本作に登場する4人のイリュージョニストは、トランプ・マジック、水槽脱出、催眠術とメンタリズム、船上ハスラーと、それぞれタイプは違うが、彼らはある目的で大掛かりなマジックを行っている。フォー・ホースメンは、自分たちを追う捜査官の、常に一歩先を行く行動を取るのだが、それは、まるで何かのシナリオに沿っているかのようだ。大掛かりなマジックにも、周到な種明かしがあり、本作ではそれを詳細に明かす演出があるのがユニークで面白い。つまりこのストーリーではマジックが本物かどうかは問題ではなく、彼らが何の目的でド派手な犯罪まがいのショーを行っているかが焦点となる。サスペンスなので詳細は明かせないが、過去の因縁と現在の愛が交錯し、何を信じて何を疑うかが観客にも問われることになる。誰もが騙されるラストには、どこかファンタジーの香りも。イリュージョニストを演じるジェシー・アイゼンバーグ、ウディ・ハレルソンら、出演者は芸達者で個性豊かだし、マーク・ラファロも出色。ベテランのマイケル・ケインやモーガン・フリーマンも怪しげでいい感じだ。豪華キャストのアンサンブルを大いに楽しみたい。
【65点】
(原題「Grand Illusion」)
(アメリカ/ルイ・レテリエ監督/ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、メラニー・ロラン、他)
(コン・ゲーム度:★★★★☆)
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グランド・イリュージョン@ぴあ映画生活

黄色い星の子供たち

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ナチス・ドイツ支配下のパリで行われた、仏政府による史上最大のユダヤ人一斉検挙“ヴェル・ディヴ事件”を描いた歴史秘話。悲痛な内容だが、忘れてはいけない事実を正面から描いている。

1942年ナチス占領下のパリ。ユダヤ人たちは胸に黄色い星を付けて不自由な日々に耐えていたが、11歳のジョーはそれでも優しい両親や隣人たちと楽しい日々を過ごしていた。しかし、7月16日に突如として政府がユダヤ人の一斉検挙を行う。およそ1万3000人もの人々がヴェル・ディヴ(冬季競輪場)へと集められ、非人道的な扱いの末に、ロワレ県の収容所へと送られる。非ユダヤ人の看護師アネットは懸命に彼らを助けようとするが…。

長い間、仏政府が公に語らなかったユダヤ人一斉検挙は、レジスタンス活動でナチズムと闘ったことが誇りのフランスにとって汚点ともいえる事件だ。映画は、看護師アネットの視点から描くことで、政府が政治的取引で行った暴挙を告発する一方で、名もないパリ市民の中には人間性を失わなかった人々が大勢いたことを知ってほしいと訴えている。ジョーとその家族を襲う運命は、あまりに残酷なもので、最終的に全員が、死を意味する国外の強制収容所へ向かうと知るだけに、時に明るく、時に無邪気な彼らの言動が悲劇を際立たせる。監督のローズ・ボッシュは3年に渡るリサーチで、生き残ったわずかな人々の証言を集め、物語として構築したという。一連の事件を、誇張でも美談でもなく、ただ事実として伝えるべきという作り手の意識の表れか、過剰な演出は抑えられている。それでも、すでに死亡した母に会えると思い込みまっさきに収容所行きのトラックに向かう幼い少年ノノの姿には涙した。フランス映画界の若き演技派メラニー・ロランと、ベテランのジャン・レノが、歴史の悲劇を真摯に演じきっている。原題は「略奪」の意味。輝かしい未来を奪われた人々のことを忘れてはいけないとのメッセージだ。
【70点】
(原題「LA RAFLE」)
(仏・独・ハンガリー/ローズ・ボッシュ監督/メラニー・ロラン、ジャン・レノ、シルヴィ・テスチュー、他)
(歴史教育度:★★★★☆)



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黄色い星の子供たち@ぴあ映画生活

オーケストラ!

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落ちぶれた元楽団員のリベンジの物語は、笑いと涙の感動作だ。かつて一流オーケストラ・ボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレイは、ある事件が原因でキャリアの絶頂期に職を追われ、今はやむなく清掃員として劇場で働いていた。ある日、出演できなくなったオーケストラの代わりを探しているというFAXを入手。アンドレイは、かつての仲間たちを集めてニセの楽団を結成し、生涯の夢だったパリ公演を実現するという無謀な計画を思いつく。ソリストとして指名したのは、パリ在住のヴァイオリニストのアンヌ・マリーだ。アンドレイには、再び音楽で輝きたいという望みとは別に、ある思惑があったのだが…。

元プロとはいえ、急場の寄せ集めオーケストラがここまで出来るのか?という疑問はある。だが、そんないいかげんな設定が、この物語では何やらスラブ的でステキなのだ。彼らがコンサート以外の場所で奏でる演奏が、自由で雑多なエネルギーに溢れ魅力的だからかもしれない。ブレジネフ政権下、ユダヤ人の排斥が強行され、彼らをかばったロシア人までもが弾圧・冷遇された。旧ソ連やロシアの歴史に係わらず、政治は芸術家たちをしばしばヒドい目に遭わせるのだが、そのことを映画では、時にシリアスに時にコミカルに描いていく。アンドレイがなぜフランスの売れっ子女性バイオリニストと共演したがるのか。歴史の悲劇であるその理由が、クライマックスの演奏会と共に語られる場面がすばらしく感動的だ。ラストに演奏されるチャイコフスキーの名曲ヴァイオリン協奏曲のドラマチックなメロディで興奮が沸点に達してしまう。音楽から離れざるをえなかった楽団員たちの表情は、悲運に泣いた同僚への思いと共に、再び楽器を手にする喜びに溢れて輝いていた。アンドレイを演じるアレクセイ・グシュコブ、アンヌ=マリー役のメラニー・ロラン、共に好演。自らもルーマニア出身のユダヤ人であるラデュ・ミヘイレアニュ監督のバイタリティ溢れる演出が功を奏した、音楽ドラマの佳作だ。
【70点】
(原題「LE CONCERT」)
(フランス/ラデュ・ミヘイレアニュ監督/アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、他)
(名曲堪能度:★★★★☆)

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