映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ゲット・アウト」「ブレードランナー 2049」「先生」etc.

ヤン・イクチュン

あゝ、荒野 後篇

写真集 あゝ、荒野
プロのボクサーとしてデビュー後、トレーニングに明け暮れる新宿新次とバリカン建二。復讐を誓った因縁の相手・裕二との対戦が決まった新次だったが、母から、兄貴分の建二の父が自分の父の自殺に関わっていることを知らされる。一方、建二は、心惹かれる女性と出会ったりもするが、父親との確執から逃れられずに孤独を抱えていた。建二は新次に特別な感情をいだくようになるが、二人は別々の道を行き、やがてリングで対戦することになる…。

寺山修司の長編小説を前後篇の2部作で描く人間ドラマの後篇「あゝ、荒野 後篇」。私はこれを前後編一気に見たので、1本の映画ととらえてしまったが、あくまでも前篇と後編の2本の作品だ。前篇のレビューはまだ作品の半分だけという意味で暫定の点数を付け、評価をしない状態で保留にしていたが、実は前篇が後篇よりはるかに素晴らしい。後篇は複数のエピソードと人間関係のつながりをまとめようと必死で(しかも、今一つまとめきれてないのが残念!)、物語そのものがトーンダウンしてしまっている。新次と建二は、逃れられない運命にからめとられるように、リングで戦うことになる。それは必死でつながろうとする愛の形ではあるが、新次と建二が戦わねばならない理由だけでもしっかりと掘り下げてほしかったところだ。

それでもこの5時間近い作品には、見所がたくさんある。まず菅田将暉とヤン・イクチュンの二人の役者が素晴らしいことだ。一人一人でも魅せる俳優たちだが、二人が揃うことによって不思議な化学反応が生まれている。さらに、かなり頑張って身体作りやトレーニングをしたであろうボクシングシーンの迫力がすごい。クライマックスで新次と建二は拳を交えることになるが、これは二人だけが分かる“会話”だと伝わり、ボクシング映画としては文句ない出来栄えである。もともといわゆる商業映画ではなく、一種のカルト・ムービーのような作品なのだから、すべてを収束する必要はないのかもしれない。“これでいいのか? つながったのか? これで生きていると言えるのか?”との問いかけが、残像のように残ることこそが、寺山修司作品の意匠なのだという気がする。現代に寺山がもしいたら、この意外性を楽しむことだろう。
【70点】(前篇90点+後篇50点÷2)
(原題「あゝ、荒野 後篇」)
(日本/岸善幸監督/菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、他)
(死闘度:★★★★☆)
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あゝ、荒野 前篇

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2021年。かつて母に捨てられ、荒んだ暮らしを送っていた新次は、自分を裏切った昔の仲間でボクサーの裕二を恨み、復讐を誓っていた。一方、自分を暴力で支配しようとする父を捨てた健二は、吃音と赤面対人恐怖症に悩んでいた。新宿で偶然出会った二人は、元ボクサーの片目こと堀口から、ボクシングジムに誘われる。少年院上がりの不良の新次と床屋で働く心優しい健二。それぞれの思いを胸にボクシングを始めた二人は、奇妙な友情を育んでいく…。

生まれも育ちも違う二人の男がプロボクサーを目指す姿を2部作で描く青春ドラマの前編「あゝ、荒野 前篇」。原作は、劇作家、歌人、映画監督など、マルチな才能で時代をけん引した故・寺山修司の小説だ。寺山の聖地であった新宿を、拠り所のない荒野に見立てて、不思議な因縁で結ばれた人間たちが、もがきながら生きていく様を描いている。ボクシングが重要な要素ではあるが、無論、スポ根映画ではなく、ボクシングは、行き場のないエネルギーを肉体を痛めつけることで、昇華するための手段なのだ。この前篇では、新次と健二がボクシングを始めるいきさつや、現代を代表する事件や病巣である、東日本大震災、振り込め詐欺、自衛隊派遣、自殺願望やホームレスなどのエピソードが断片的に描かれる。それらが不思議な因縁でつながっていくのは、後篇を待たねばならない。

時代設定を近未来の2021年に変更しながらも、あまりにも昭和チックな演出は、原作者が活躍した時代へのオマージュだろう。ただ映画オリジナルの設定もいくつかあって、それらは現代を生きる登場人物の孤独をより際立たせる効果がある。群像劇なのだが、主軸となるのは新宿新次とバリカン健二。このキャラクターに、菅田将暉とヤン・イクチュンの二人をキャスティングできた時点で“勝ったも同然”という気がする。それほど二人の演技が素晴らしい。前編157分、後篇147分、合計で約5時間という大長編で、見る側にもパワーを要求する力作だが、どうかその長さだけでひるまないでほしい。後篇の怒涛の展開に備えて、リングでは血、ベッドでは汗にまみれる登場人物の心の荒野の景色を確認しておこう。
【50点】←前後編のため、暫定
(原題「あゝ、荒野 前篇」)
(日本/岸善幸監督/菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、他)
(昭和度:★★★★☆)
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息もできない

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傷だらけの魂からヒリヒリした叫びが伝わってくる鮮烈な内容で、韓国映画のポテンシャルの高さを感じる映画だ。借金の取り立て屋のサンフンは母と妹を死に追いやった父を激しく憎み、周囲の人間に対して粗暴な振る舞いを繰り返す男。社会の底辺で生きるサンフンは、ある日、勝気で生意気な女子高生ヨニと出会い、不器用な付き合いを始める。ヨニもまた家庭に問題を抱えて悩みながら生きていた。互いの境遇はよく知らなくても心で引かれ合う二人だったが、ヨニの弟ヨンジェとサンフンが仕事でつながってしまってから運命が変わり始める…。

冒頭のシークエンスからすさまじい。女を殴る男、その男を殴るサンフン。サンフンは女を罵倒し、さらに男に反撃され後ろから殴られる。サンフンは女子高生ヨニのことも、出会ってすぐに殴り倒す。容赦ない暴力描写が続き疲労感に襲われるが、やがて現在の不幸の元凶のような悲劇的な過去が浮かび上がる。物語が進むにつれて、暴力描写は決して得られない家族愛への慟哭に思えてくるのだ。サンフンとヨニは父への愛憎というトラウマを抱える共通項があるが、そのことを確かめ合ったりはしない。魂の底で同じ痛みを分かち合う二人には、お互いの前で涙を流すことだけで十分に通じ合う。サンフンは自分を恐れないヨニに生まれて初めて引き合う何かを感じたことは事実。2人の関係は友情でも恋愛でもなく、またその両方のようにも思える。単独行動の獣の出会いにも似た、孤独な共感とでも言おうか。終盤、確かに変わったサンフンに思わぬ悲劇が訪れる。その後の幻想のような情景がやるせない。

主演のヤン・イクチュンは、製作・監督・脚本・編集を兼ねていて、これが監督デビュー作。映画製作は資金難に悩まされ、彼は家を抵当に入れてまでこの作品を完成させたそうだ。妥協とは無縁の驚くべき情熱と才能が映画に結実し、世界中で絶賛された。題名通り息苦しくなるような物語は見る側にも体力を要求するが、この圧倒的なドラマを見逃してほしくない。
【70点】
(原題「Breathless」)
(韓国/ヤン・イクチュン監督/ヤン・イクチュン、キム・コッビ、イ・ファン、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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