映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

ユマ・サーマン

ダイアナの選択

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死を前に、助けてとつぶやいた主人公を誰が責められよう。だが、彼女自身の良心がそれを許そうとしない。高校内で銃乱射事件が起き、ダイアナと親友のモーリーンは、銃を構えた犯人から殺すのは二人のうちどちらか一人と告げられる。理不尽な暴力のトラウマが、悪夢となって精神を蝕むさまが痛々しい。現実でも頻発する銃乱射事件では、助かるものとそうでないものに何の差もない。ただかけがえのない青春を奪うだけだ。映画は、反抗的な少女だった10代と幸福に暮らす30代のダイアナを交互に描くが、終盤にどんでん返しが待つ。哀しい充足感に満ちたラストが忘れがたい。
【70点】
(原題「The Life Before Her Eyes」)
(アメリカ/ヴァディム・パールマン監督/ユマ・サーマン、エヴァン・レイチェル・ウッド、エヴァ・アムーリ、他)
(トラウマ度:★★★★★)

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Gガール 破壊的な彼女

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正義の味方Gガール。その恋人が、彼女のパワーにひるんで別れ話を切り出したことから嫉妬と破壊の限りを尽くす超能力コメディ。北欧系大型美女ユマ・サーマンがキレまくる姿はかなりの迫力だ。副題そのままに破壊の限りを尽くす。VFXは満載でにぎやか、ノリは楽しくあくまで軽い。
【60点】
(原題「My Super Ex-Girlfriend」)
(アメリカ/アイヴァン・ライトマン監督/ユマ・サーマン、ルーク・ウィルソン、 アンナ・ファリス、他)
(おバカ度:★★★☆☆)

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プロデューサーズ

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◆プチレビュー◆
コケる芝居を目指しても、やっぱり芝居に命を懸けてしまうのがショービズの人々。まったくヤクザな商売だ。オリジナルの監督メル・ブルックスが最後にチラリと登場。エンディングまで大笑い。

落ち目のプロデューサーのマックスはお人好しの会計士レオの「時にはショーが失敗した方が儲かる場合がある」とのひと言に目を輝かせる。出資者からかき集めた資金はショーがコケれば配当金を払わずにすむという抜け道だ。かくして、コケる芝居を実現すべく、最低の脚本と演出家、最低の役者探しが始まった…。

ミュージカルに再び光が当たりはじめたのは「ムーラン・ルージュ」あたりからか。「シカゴ」のオスカー受賞がとどめだが、ハリウッドのスターたちが、実は歌や踊りがすこぶる上手いことが分かったことの方が、日本の映画ファンには驚きだった。本作は、もともと映画で、それがブロードウェーに渡り、さらにミュージカル映画となった経緯がある。ほとんどが舞台版の役者で、驚くほど芸達者だ。

自分の懐を潤すため、最初からコケる芝居を打つなど不謹慎の極み。だが映画はそれをゴージャスな歌と踊りで笑いとばす。演目はナチ礼賛の「春の日のヒットラー」だが、この劇中劇が最高に楽しい。出来ることなら全編通して見たいくらいだ。芝居はヒットラーをゲイ風に演じたことがウケてしまい、なんと大ヒットになってしまう。

映画版から加わったのは、頭がカラッポのブロンド美女役のユマ・サーマンと、ヒットラーを熱愛するアブナイ脚本家役のウィル・フェレル。二人ともとことん笑わせてくれる。ミュージカルが苦手という人は多いものだが、この作品は、あくまで上質のコメディ映画。見逃すとちょっと損だ。

□2005年 アメリカ映画  原題「The Producers」
□監督:ス−ザン・ストローマン
□出演:ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック、ユマ・サーマン、他

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Be Cool

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◆プチレビュー◆
ラストのライブ・シーンが素晴らしい。プロレス界より映画界入りしたザ・ロックが、サモア人のゲイの役者を演じて笑わせる。

映画業界で成功した元ギャングのチリ・パーマーは、思わぬことから殺人事件に巻き込まれ、はからずも音楽業界に足を突っ込むことになる。マフィアや悪徳プロデューサー、ラッパーのギャング集団など、無法地帯のこの業界で、チリは才能溢れる女性シンガーのリンダを売り出そうとするが…。

95年の「ゲット・ショーティ」は映画業界の舞台裏を描いた作品。今回はその続編に当たるが、断然、本作の方が楽しめる。過剰に内輪ウケをねらった前作と違い、本作では、音楽業界を舞台にしたことでリズム感がアップ、スター誕生という盛り上がりも加味した。ハチャメチャな出来事も上手く辻褄を合わせて、なかなか上手い。

クールが売り物の元取立て屋チリは、映画業界よりさらに無秩序な音楽業界の水があったのか、あっさり馴染むところが可笑しい。ロシア・マフィアやギャング集団が平気で銃をぶっ放す緊張感は、チリには馴染み深い世界だったのだ。ユマ・サーマンとのダンス・シーンは明らかに「パルフ・フィクション」にオマージュを捧げたサービス映像。こういう遊び心が似合う作品だ。

チリが才能を見込んだ若き歌姫ははたしてスターになれるのか?エアロスミスのスティーブン・タイラーも本人役で出演し、豪華ゲストは数え切れない。サクセスを夢見て、殺人さえも辞さないクレイジーな音楽業界。リズムに身を任せてそのイカレっぷりを存分に楽しもう。

□2005年 アメリカ映画 原題「Be Cool」
□監督:F.ゲイリー・グレイ
□出演:ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン、ハーベイ・カイテル、他

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キル・ビル Vol.2

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◆プチレビュー◆
「キル・ビル Vol.2」は、女版“子連れ狼”を思わせるラストにワクワク。10年後にVol.3が出来ても驚かないゾ。結婚式のリハーサルの場にいるヘンなオルガン奏者は、サミュエル・L・ジャクソンが演じている。

かつての仲間から襲われ、身ごもっていた娘を奪われた殺し屋ザ・ブライドは、4年後に奇跡的に目覚め、復讐の旅に出た。憎い毒ヘビ軍団のうち、まずは2人の命を奪ったザ・ブライドは、残りの2人と子供の父親であるビルを殺すため、新たな旅に出る…。

“彼女は知っているのか?娘がまだ生きているということを”。この思わせぶりなセリフで前回は終わっていた。おバカ満載でハジけてくれたVOL.1が日本映画へのオマージュとするならば、VOL.2はカンフーとマカロニ・ウェスタンへの偏愛。自分の大好きなものを映画にまとめるには、特別な才能が必要なのだ。

セルジオ・レオーネ風の埃っぽい映像の中で、光るのは白黒のパート。ザ・ブライドが観客に語りかけるように話すシーンは、ヌーベルバーグを連想させる。結婚式でのビルとの緊張感溢れる会話もいい。マカロニ・ウェスタンというのは、ちょっと大げさなくらいの残酷描写と、かっこう付けすぎなポーズが特徴。もちろんお約束の棺桶も登場する。生きたまま棺桶に入れられて土中に埋められたザ・ブライドがどうやって生還するかは見てのお楽しみだ。

VOL.1に比べて随分とおとなしくなった印象だが、それはザ・ブライドとビルの愛情に焦点をあてているため。ザ・ラブ・ストーリーという副題からも判るように、この映画のテーマは愛だ。2人の屈折した愛情が何とも切ない。ザ・ブライドのフェミニンな面が強調され、母性愛も見所。ビルと娘が揃ったところで3人仲良く暮らせば良さそうなものだが、生まれながらの殺し屋同士は武器でしか理解しあえない。決め手は“五点掌爆心拳”。ほとんどマンガだが、これが不思議と涙を誘う。

もともとは1本として製作予定だった「キル・ビル」。併せて4時間半を越えることになっても、やはり2本ぶっ続けで見せてほしかった。そうすれば面白さも倍増したものを。かつてケネス・ブラナーが、原作にどこまでも忠実にとの思いで作った「ハムレット」は、インターバルを挟んで全5時間で上映されたではないか。やってやれないことはなかったと思う。

□2004年 アメリカ映画  原題「KILL BILL Vol.2」
□監督:クエンティン・タランティーノ
□出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、他


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キル・ビル Vol.1

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◆プチレビュー◆
「キル・ビル Vol.1」ではラストの「恨み節」で大爆笑!日本刀を機内持ち込みにするいいかげんさも笑えた。オーレン・イシイの生い立ちを語る日本製アニメが出色。故深作欣二監督に捧げられているが、巨匠も草葉の陰で笑いながら楽しんだに違いない。

かつて最強の殺し屋だったザ・ブライドは、自分の結婚式で、夫やおなかの子供、友人まで皆殺しにされ、自らも頭を撃ち抜かれる。一命を取りとめ、4年間の長い昏睡状態から奇跡的に目を覚ました彼女は、かつてのボスであるビルとその手下たちに復讐するため、世界を股にかけた闘いの旅に出る…。

自分の大好きなものを映像化するのは、監督にとって案外難しい作業だと思う。正統派のアプローチで冗長の力作になり観客を疲れさせるか、思い入れが強すぎて自身の力量とバランスがとれず空回りすることが多い。だが、そこは才人タランティーノ。ヘタな色気は出さずに、徹頭徹尾のアクションで押しまくった。既成概念をブチ壊す本作は、ハンパじゃないB級映画への偏愛で、極上の娯楽作となっている。

タイトルが示す通り“ビルを殺(や)る”のが大筋の、いたって単純な話だ。但し、Vol.1とVo.2に分けて公開されるので、まだまだ明かされない部分は多い。タランティーノが得意とする時間軸をバラバラにする語り口で、時と場所を自由に移動する登場人物たちは、誰もがヘンテコで大仰なキャラばかり。ヤクザの女親分、寿司屋と刀鍛冶を兼ねる剣術指南、高校生の殺し屋などなど、まるでマンガだ。まったくリアリティがない分、ヒロインの強い思いが際立ち、様式美に溢れた映像はどこまでもクール。スタイリッシュなトホホ感覚というものが存在するなら、まさにこれだ。

今回の主な舞台はLAと沖縄と東京。予想通り、ニッポン勘違い度炸裂で、我々には2倍は楽しめる。日本のヤクザ映画や時代劇、香港のカンフー、マカロニ・ウェスタン、スパイ映画などのエッセンスを全てごちゃまぜにして映像化。元ネタがあまりにマニアックなので、ほとんど理解不能だが、それを知らなくても、十分にエモーショナルな興奮が味わえる。タランティーノが“日本映画で知るニッポン”がうかがい知れて、非常に興味深い。

映像的には、血の見せ方には並々ならぬこだわりを感じる。青葉屋でのユマの百人斬りは、首が飛び手足が吹き飛ぶ壮絶な血まみれシークエンスだが、残酷というより笑いが漂っていた。“ほがらか”に噴きあがる血の噴水と強引なギャグセンス。匿名性の強い相手を次々に倒す様は、ゲーム感覚だ。その果てのクライマックスは、おかしな日本語を棒読みするユマとルーシーの対決で、舞台は雪の日本庭園。さっきまで晴れていた気象事情はさておき、長身で重心が高くなりがちなユマも、着物姿で長ドスを持つ寄り目のルーシーも、結構サマになっている。けれん味たっぷりのフラメンコの音楽が、巨匠セルジオ・レオーネを彷彿とさせ、興奮必須だ。

デタラメでいいかげんな活劇ワールドを、一流の技術で作ってしまう。一方的な趣味の世界だが、単なるパロディや模倣ではなく、独自性をもって昇華、転生しているので、他に類を見ない躍動感とゴージャスさが生まれた。バイオレンス描写が苦手な人にはお勧めできないが、新感覚のハリウッド流チャンバラで、女性賛美映画と取れなくもない。バカバカしいものに真摯に取り組むタランティーノは、やっぱりスゴい。映画ファンは、結局こういう映画を愛していることを、彼はちゃんと知っている。

□2003年 アメリカ映画  原題「KILL BILL Vol.1」
□監督:クエンティン・タランティーノ
□出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、栗山千明、他


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◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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