映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

ヨン・サンホ

我は神なり



ダム建設のためにもうすぐ水没する田舎の小さな村に、粗暴なトラブルメーカーの中年男ミンチョルが久しぶりに戻ってくる。だがミンチョルの妻子を含む村人たちは皆、彼の不在中に建てられた教会に通い、若い牧師のソンを崇めていた。背後には、インチキ教団を率いる詐欺師ギョンソクがいて、これが、神の救いという甘言で、村人たちのなけなしの財産を狙う陰謀であることを見抜いたミンチョルは、ギョンソクの正体を村人に必死で教える。だが札付きのワルのミンチョルの言うことなど、村人も警察も耳を傾けず、ミンチョルは“悪魔に憑かれた男”の烙印を押されてしまう…。

信仰をテーマに、人間の善悪を追求する韓国発の社会派アニメーション「我は神なり」。ゾンビ映画「新感染」で日本でも知名度を上げたヨン・サンホ監督は、実はもともとアニメーション作家だ。アニメといってもファンタジックな設定など皆無で、本作は実写映画を想定してシナリオを書いたというだけあって、強烈にシビアな内容である。偽りの信仰、偽善と詐欺、暴力と性、格差など、あまりにも生々しい内容と、救いのない展開に言葉を失った。日頃の悪行ゆえに誰からも信じてもらえない主人公という設定はどこか寓話のようだが、人には言えない過去を持つ牧師の背景も複雑なもので、彼の迷いや苦悩が善悪の境をより曖昧にしている。生真面目な性格で大学進学を望んでいたミンチョルの娘の、壮絶な転落が物語るのは、真実から目を背けた者が払う代償だ。

ミンチョルの声を担当しているのは、日本映画への出演も相次ぎ、今最も注目されているヤン・イクチュン。韓国映画のアニメーションを見る機会は少ないが、少なくとも本作を見る限りは、情け容赦ないほど冷徹に現実を投影する作風のようだ。原題のサイビとは、THE FAKE(嘘、偽り)の意味。真実を語る悪人と、偽りを言う善人という構図は、人間は信じたいものしか信じない愚かな生き物だと言わんばかり。強烈なパンチ力を持った社会派アニメの怪作である。
【85点】
(原題「THE FAKE」)
(韓国/ヨン・サンホ監督/(声)ヤン・イクチュン、クォン・ヘヒョ、オ・ジョンセ、他)
(救い度:★☆☆☆☆)
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新感染 ファイナル・エクスプレス

Train To Busan [Blu-ray]
ファンドマネージャーのソグは、別居中の妻のもとへ幼い娘スアンを送り届けるため、ソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込む。だが発車直前に未知のウィルスに感染し凶暴化した女性が乗り込み、ゾンビ化した彼女に噛まれた乗務員や乗客らを発端に、車内は瞬く間にパニック状態に陥る。異変に気付いたソグは娘を守りながら車内を移動するが、感染者が次々に襲い掛かり、生き残った者たちも醜い本性を露わにしていった。終着駅まで2時間。ソグはひた走る列車の中で、決死のサバイバルを続けることになるが…。

高速で走る鉄道を舞台にした新感覚のゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」。韓国発のこのゾンビ映画は、ゾンビ・パンデミックものと、鉄道車内の密室サスペンス・アクション、さらにはソウルからプサンまで移動しながらサバイバルするロード・ムービーというさまざまな側面を持った秀作だ。アニメーション出身のヨン・サンホ監督は、今回はコン・ユというスターを起用し、親子愛や人間ドラマをしっかり組み込んでエンタメ映画として仕上げている。ゾンビ映画という手垢がついたジャンルだが、家庭を顧みず、時に汚い手段での金儲けに余念がない仕事人間だったソグが、極限状態に置かれることで、幼い娘を守る父親として、弱者を助ける人間として変化していくヒューマン・ドラマでもあるのだ。他人を犠牲にして自分だけ助かろうとするエゴイストや、保身に走って正義を見失う大衆など、社会風刺もしっかり描きこまれている。

乗客たちは、ソグ父娘以外に、身重の妻を守る男性や、学生のカップル、年老いた姉妹など、バラエティに富み、それぞれのドラマが丁寧なのがいい。韓国映画らしい、涙を誘うエピソードももちろん健在だ。その一方で、ビジュアルもなかなか強烈である。ゾンビものなので、スプラッタ描写は容赦ないが、大挙して凶暴化したゾンビが、列車の後方で、磁石に吸い付く鉄砂のような形で連なるなど、今までのゾンビものにない新鮮なビジュアルを楽しめる。いったい誰が生き残り、終着駅にはどんな結末が待っているのか。息をもつかせぬ展開はまったく先読みできない。この移動型密室ゾンビ・サバイバル・ホラー、世界中の映画祭で評判というのが納得の、見事な出来栄えだ。群れになって襲い掛かるゾンビと、醜いエゴまるだしの生存者たち。どっちが怖い? ぜひ映画を見て確かめてほしい。
【80点】
(原題「TRAIN TO BUSAN」)
(韓国/ヨン・サンホ監督/コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク、他)
(家族ドラマ度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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