映画通信シネマッシモ


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リチャード・マシスン

映画レビュー「リアル・スティール」

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◆プチレビュー◆
近未来のボクシング界を舞台に父と子の絆を描く娯楽アクション「リアル・スティール」。古典的なストーリーに安心感とまっすぐな感動がある。 【70点】

 西暦2020年。リングの上でボクシングを繰り広げるのは、生身の人間ではなく、高性能の格闘技ロボットたちだった。かつては才能あふれるボクサーだったチャーリーは、闘う場所を失い、今やロボット格闘技のしがないプロモーターとしてようやく生計を立てる失意の日々を送っている。そんな彼の前に、離婚して別々に暮らしていた11歳の息子マックスが現れる。最愛の母を亡くしたマックスは父に心を開かず、ぎくしゃくした関係のまま2人は暮らし始めた。そんなある日、2人はゴミ捨て場でスクラップ同然に捨てられた旧式ロボット“ATOM”を発見する…。

 最新技術で描くロボットもの。あるいは怒涛のボクシングもの。いや、この作品はむしろ、ハリウッドが昔から得意とする父子愛ものだ。近未来を舞台とするが、そこはロボットが格闘技を繰り広げる以外は、ほとんど現代と変わらない。勝ち組と負け組による格差や、他者との関係をうまく築けずに悩む姿は、現代社会をリアルに投影している。

 11歳の少年らしくゲーム好きのマックスは、ロボット操作にコ慣れていて、“命を助けた”旧式ロボット・ATOMには特別な絆を感じている。一方、チャーリーにはロボットは、自分の生きる場所を奪った存在でありながらも、収入の糧でもある。苦く複雑な思いを抱えるチャーリーと、ロボットへの、ひいてはATOMへのピュアな愛があるマックス。2つの思いが歩み寄って共鳴したとき、誰かの動きを真似て学習する“シャドー機能”を備えたATOMは、チャーリーの愛弟子になるというわけだ。

 欲を言えば、特別なロボット・ATOMの出自と、ATOMとマックスの強い絆をもう少し深く描いてほしかったところだが、それでもチャーリーとマックス親子が二人三脚で闘ううちに強い絆で結ばれていくプロセスは、父子愛の感動ドラマとして申し分がない。逞しく肉体改造したヒュー・ジャックマンと、素直な演技が光る子役ダコタ・ゴヨの二人が好演だ。

 失意の主人公の奮闘と再起、連戦連勝の痛快さ、強敵への無謀な挑戦、父と子の絆。「チャンプ」を例に出すまでもなく、すべては過去に何度も描かれてきた手垢のついた素材なのに、やっぱり感動してしまう。ウェイルメイドなエンタテインメントの隠し味がオンボロ・ロボットだというのが、案外効いているのかもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)父子愛度:★★★★☆

□2011年 アメリカ映画 原題「REAL STEE」
□監督:ショーン・レヴィ
□出演:ヒュー・ジャックマン、エヴァンジェリン・リリー、ダコタ・ゴヨ、他
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リアル・スティール@ぴあ映画生活

運命のボタン

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傑作短編を大胆に膨らませたSF不条理劇。ある朝、ノーマとアーサー夫妻の元に、赤いボタンの付いた不思議な装置が送られてくる。夕方、謎めいた男スチュワード氏がノーマを訪ね驚くべき提案を持ちかける。「このボタンを押せばあなたに100万ドル(1億円)を差し上げます。ただし世界のどこかで見知らぬ人がひとり死にますが」。期限は24時間で他言すれば取引は無効。夫妻は怪しみ、道徳的ジレンマに悩むが、結局ボタンを押してしまう…。

卓越したアイデアと巧みなストーリーテリングで知られるリチャード・マシスンは「激突!」の脚本や「アイ・アム・レジェンド」の原作者として知られる作家だ。原作は、文庫本にして20ページ未満のショート・ショート・ストーリーである。ボタンを押せば大金が…という部分は同じだが、原作では、皮肉だが極めて分かり易いオチが付くのに対し、映画の方は、1970年代の宇宙開発計画を背景に、SFダーク・ファンタジーの趣になった。大金か、見知らぬ誰かの死か。この究極の選択は、目の前に大金を見せられた、生活苦を抱える若い夫婦にはパンドラの箱だった。そこから起こる尋常ではない出来事はあっけにとられるが、スーパーナチュラルなムードの映像は不思議と魅力的で、恐ろしい展開なのに恍惚感を誘う。特筆なのは登場人物に共通の概念“欠落”が見られることだ。ボタンのついた箱を持ってくる男の顔は半分がえぐれているし、ノーマは少女の頃の事故で片足の指がない。さらには、宇宙飛行士になる道が絶たれたのに夢を追い続ける夫のアーサーには生活力がない。そんな欠損はやがて彼らの息子のウォルターからもあるものを奪うことに。怪しく切ない展開は、怪作「ドニー・ダーコ」を思わせる不条理が炸裂するものだ。人類滅亡さえ思わせる大掛かりな展開はアブノーマルなのだが、人間の本質と、倫理観を問うテーマは、意外にも古典的だったりする。何かをあきらめているような、それでいて懸命に幸福を求めてもがくノーマを演じるキャメロン・ディアスが、いつもの明るいキャクターとは違って本格的な演技をみせて素晴らしい。
【65点】
(原題「THE BOX」)
(アメリカ/リチャード・ケリー監督/キャメロン・ディアス、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、他)
(不条理度:★★★★☆)

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映画レビュー「アイ・アム・レジェンド」

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◆プチレビュー◆
古典SFの3度目のリメーク。無人の大都市NYのビジュアルが素晴らしいが、終盤の展開は物足りない。 【60点】

 西暦2012年。ウィルス感染で人類が滅び、唯一人生き残った科学者ネビルは、廃墟と化したNYから生存者に向けて無線でメッセージを送り続けていた。だが応答はない。夜行性の謎の生命体と戦い、想像を絶する孤独に耐えるネビルだったが…。

 困った映画だ。3回目のリメークだが、一応、オチがあるので、ストーリーは詳しくは語れない。主人公ネビルは、ウィルスのワクチンを開発する軍所属の学者で、科学的知識と戦闘能力を兼ね備えた人物だ。彼は、絶望的な状況の中で、殺人ウィルスの感染者が変異した闇の生物“ダーク・シーカーズ”を治療するための薬の研究を、たった一人で続けている。ネビルは、ワクチンを開発できず人類を救えなかった罪悪感を抱えているのだ。そんな正義感あふれる主人公を演じるのが、ウィル・スミスである。旧作と最も違う点は、このネビルの人間描写が丁寧なことだ。

 地球上でひとりぼっち。もし自分がそうなったら…と想像するだけで怖い。だが、このモチーフの抜群の面白さに比べ、後半の展開に魅力が薄いのだ。地球規模の災厄の後なのに、ライフラインがバッチリ整っていることへのツッコミはこの際やめておこう。物語は、はたして生存者はいるのか?というミステリアスな要素より、アクション系サバイバルのテイストの方が濃くなってしまっている。ネビル一人に免疫がある理由をもっと明確にして、そこに謎を込めることも出来ただろうに。そのサバイバル・バトルの相手、ダーク・シーカーズは、旧作では、出来損ないのゾンビが集まって作ったKKK風カルト集団のようで苦笑したものだが、今回は余計な言葉を発せず凶暴さと不気味さをグレードアップ。宗教臭さが無くなっているのはありがたい。とは言え、主人公が人類再生の鍵と信じる闇の生物に、ただ敵という役割だけを与えるのは、いささか片手落ちだ。ラストの落とし前も、方法は違うが旧作と同じスピリットではないか。せっかく21世紀にリメークするのだ。もっと大胆な新解釈があってもいいはずである。大風呂敷を広げた割に、オチはこれ?と文句のひとつも言いたくなった。これでは、来日時にネタバレしたウィル・スミスを責める気にもなれない。

 不満ばかり並べてしまったが、見所がないのかと言えば、決してそんなことはない。まず、主演のウィル・スミスの硬軟使い分けた演技が堪能できるのが嬉しい。主人公は唯一の相棒の愛犬と車に乗り、無人で荒れ果てた街を行く。食料となる鹿を追い、公園で野菜を育て、誰もいない店でマネキンに話しかけながらDVDを“借りる”。ほとんど一人芝居に近い演技をこなすスミスの上手さを改めて確認できる。ヒーローが似合う役者だが、SFやアクション、ラブコメディから人間ドラマまで、彼の守備範囲は広いのだ。アスリートのようにたくましいウィルが、打ち捨てられた軍用機の翼の上でゴルフをする様子はちょっと絵になる光景である。もう一つの見所は、廃墟になったNYのユニークなビジュアルだ。虚無感を漂わせつつ、街全体が自然に飲み込まれたように作り込んだ造形美が何ともクールで素晴らしい。地球の荒廃が宇宙からの異生物などではなく、人間自らがまいた種で引き起こされた皮肉。その上、人の気配がなく、原始に立ち返ったような大都会の光景が、映画の中で最も強い魅力を放つとは…。やっぱりこれは困った映画である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)恋愛度:★☆☆☆☆

□2007年 アメリカ映画 原題「I AM LEGEND」
□監督:フランシス・ローレンス
□出演:ウィル・スミス、アリス・ブラガ、サリー・リチャードソン、他

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