映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

リーヴ・シュレイバー

完全なるチェックメイト

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1972年、アイスランドの首都レイキャビクで開催されたチェスの世界王者決定戦で、アメリカの若き天才ボビー・フィッシャーと、ソ連の最強王者ボリス・スパスキーが対戦する。フィッシャーはIQ187を誇る天才プレイヤーだったが、その言動には奇行が多く、気に入らないことがあると試合を放棄することさえあった。米ソ冷戦の真っただ中に行われたこの対戦は、国家の威信をかけた両国の代理戦争でもあったことから、世界中の注目が集まる。対局1局目はスパスキーが完勝。フィッシャーは2局に現れず、その後の対局は、フィッシャーは絶対不利と見られたが、極限状態の中で彼は信じられないような戦略をうちたてる…。

変わり者の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの実話を描く「完全なるチェックメイト」。フィッシャーのことは映画「ボビー・フィッシャーを探して」でも描かれたが、かつて日本でも暮らしていた経緯があり、チェス界から忽然と姿を消すなど、彼の存在そのものが伝説と化している。天才というより神経衰弱と呼びたいフィッシャーは、エゴイストで誇大妄想、自信家でエキセントリックという常識の枠から離脱した人物だ。究極の対戦となると、当然それに拍車がかかる。奇人フィッシャーVS威厳ある王者スパスキーという構図だが、実はスパスキーにも静かな狂気が。つまりチェスというのは、頭脳戦であり、心理戦でもあり、プレイヤーの人格を破壊しかねない“戦争”なのだ。しかも本作で描かれる対戦は、米ソの代理戦争という政治戦という意味まであって、これでは天才じゃなくても、神経が持たない。フィッシャーを演じるマグワイヤの怪演、スパスキー役のシュレイバーの威厳と、役者陣はみな熱演。エドワード・ズウィック監督の演出も緊張感があって素晴らしい。チェスのルールなどはほとんど説明しないし、米ソ代理戦争の政治的演出も極力控えめ。おかげであまりにも個性的なボビー・フィッシャーその人の人物がより際立った。
【70点】
(原題「PAWN SACRIFICE」)
(アメリカ/エドワード・ズウィック監督/トビー・マグワイア、リーヴ・シュレイバー、マイケル・スタールバーグ、他)
(エキセントリック度:★★★★☆)
チケットぴあ

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完全なるチェックメイト@ぴあ映画生活

映画レビュー「ソルト」

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◆プチレビュー◆
アンジーの七変化が楽しめるスパイ・アクション「ソルト」。リアリティーはないがタフなヒロインの活躍は嬉しい。 【55点】

 CIAの敏腕分析官イヴリン・ソルトは、何者かの企てによってロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。自分の無実をはらすため逃亡を図り、CIAの追跡をかわしながら陰謀の真相を探ろうとするが…。

 映画界では主役のキャスティングが紆余曲折するのは日常茶飯事だ。「ティファニーで朝食を」のヒロインは、最初はマリリン・モンローを念頭に置いていたという。モンロー版ホリー・ゴライトリーを見てみたかった気もするが、今ではオードリー・ヘプバーンで誰も文句はないだろう。主人公のイメージは脚本次第でどうにでも対応できるのだ。そうはいっても、本作はかなりムチャである。何しろ、もともとはトム・クルーズ主演で作られるはずだったという本作、男性でもかなりハードなアクションをそのまま女性に換算してしまうとは。現在の映画界で最もアクションがさまになる女優アンジェリーナ・ジョリーといえども、この展開は“いくらなんでも”だ。

 スパイの疑いをかけられたソルトが、お手製の即席爆弾を作り、周囲の小道具を利用しながら逃げる展開は、同じく“逃げるCIA”ジェイソン・ボーンのようで面白い。だが、高速道路を走るトラックの屋根から屋根へと飛び移り、暴走する地下鉄からジャンプ、エレベータシャフトを降下、屈強な男たちを殴り倒すとなると、いくらアンジーでもフィジカル的に納得しがたい。しかも、ソルトの謎めいた行動で物語は二転三転。米国内でテロを遂行するのはロシア側である証拠だが、ロシア人たちにも平気で銃を向ける。自分を本当に愛してくれる優しい夫をみつめるまなざしはどうやら本物のようだ。謎めくというよりバランスが悪くて落ち着かない。こうなると映画の見方を変えるしかない。

 そこで提案だが、ハリウッドで最もタフで美しい女優アンジェリーナ・ジョリーに焦点を合わせて楽しむというのはどうだろう。金髪から黒髪へ。タイトなグレーのスーツからクールな黒装束、ファー付きのマントへ。瞳の色も変え、ついには顔にラバーを張り付けた男装の変装まで。さしずめアンジー七変化だ。なんだか可笑しなコスプレ映画の様相を呈し始めたところで、意外な人物の正体がわかりクライマックスへと突入する。まったく命がいくつあっても足りないのだが、アンジーだからと居直ってしまえば、ムチャな活劇を楽しむ余裕も生まれよう。逃げるだけでは物足りない、攻めてこそアンジーだ!とテンションを上げてしまえばもうこっちのものだ。ちなみにアクションは、イスラエル生まれの武道“クラヴ・マガ”の技が基本だそう。攻撃や殺人ではなく護身がベースのこの動きは接近戦に向いているので、女性は要チェックである。

 ヒロインの超絶タフネスぶりが際立つこの物語、そもそも特殊機関で教育を受け、何十年も敵国に潜伏して要人暗殺の機会を待つという背景に気が遠くなるが、まるっきり絵空事ではないらしい。つい最近でもスパイ同士の引渡し劇という、まるで映画のような事件が起こったばかりだ。完全に信頼していた人物が実は…というプロットは、スパイものでは定番。こんな荒唐無稽な作品が、計らずも現実とリンクしてしまうところが、映画の面白さであり不確定要素だ。やっぱり映画は“生きもの”なのかもしれない、思ったりするのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)女性活劇度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「SALT」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、他


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映画レビュー「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」

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◆プチレビュー◆
「X-MEN」のスピンオフ作品はウルヴァリン誕生秘話。厭世的な彼の性格が納得できる。 【65点】

 幼い頃に兄ビクターと共に特殊能力に覚醒して以来、人としての幸せを捨てて生きてきたローガン。やっと愛する女性に巡り会ったが凶暴化したビクターによって彼女は殺される。復讐を誓うローガンは謎の巨大組織と取引するが…。

 アメコミの映画化の中でも「X-MEN」シリーズは特別に人気がある。その理由は、チームで戦う個性と、ミュータントたちの多彩な能力の面白さ、さらに登場人物の悩みとせめぎあいが、ドラマとして奥深さを醸し出すためだろう。「X-MEN」には魅力的なキャラが多いが、とびきり危険で興味深いのがウルヴァリンだ。彼の最大の謎は、過去の記憶をすべて失っていることである。

 映画は秘密を紐解くためウルヴァリンの過去を描くが、19世紀末に生まれた彼は最初はローガンという名前だ。何しろ父殺害によってミュータントとしての能力が覚醒するのだからスタート地点から悲劇である。不老不死で異形の自分を追い込むかのように、南北戦争からベトナム戦争まで数々の戦いに加担するのも、自分自身の居場所がないためだ。心の平和を求める気持ちと闘争本能の狭間で苦悩するローガンとは裏腹に、同じくミュータントの兄ビクターは次第に凶暴性を増していき、ついにローガンの最愛の女性ケイラを殺してしまう。ローガンは兄ビクターへの復讐を誓うのだが、父親殺しに兄への憎悪と、彼の過去はまるでギリシャ悲劇のよう。かくして、壮大な兄弟ゲンカの幕が開く。

 ただしそれは単なる復讐ではなかった。ローガンが選んだ道は、謎の組織と取引し、自分自身を最強の武器に作り変えること。地上最硬の超金属アダマンチウムを全身の骨に移植する改造手術を受けて生まれたのが人間兵器“ウルヴァリン”なのだ。拳から飛び出していた脆い骨は、すべてを切り裂く超金属の爪に変わった。驚異的な治癒能力と、戦場で培った戦闘能力に磨きがかかったのもこの時だ。ウルヴァリンを象徴する要素はすべて復讐のために作られたという事実が悲しい。さらに、鋭利な爪が切り裂く運命は、巨大な陰謀と衝撃的な事実へと導いていく。それは、彼の記憶すべてを奪うほどの絶望的な宿命だ。

 悲劇的な過去だけでなく、超絶アクションも見逃せない。軍用ヘリと大型バイクのチェイスや、最終決戦の場となる廃墟の原子力工場の上での激しいバトルはまさに破壊の美学。螺旋状に切り裂かれていく建物はまるでアートだ。そこは実はミュータントを閉じ込める秘密の実験施設で、ウルヴァリンにはある再会が待っている。「ファイナル・デシジョン」では愛する女性を敵に回す苦悩を味わったが、ウルヴァリンの爪は大切な人との絆を断ち切ってしまうのか。

 意外なのは、監督が南アの過酷な現状を少年の目から描いた秀作「ツォツィ」のギャヴィン・フッドだということだ。ハリウッド製アクション映画を撮る監督とは思わなかったが、善悪の葛藤を軸に物語を構成し、なかなかの健闘を見せている。ともあれ、ウルヴァリン誕生を語るこの「ZERO」は、未来へと続く気配を濃厚に漂わせた。ウルヴァリンとは先住民の言葉で、小型だが獰猛な哺乳類クズリを意味する。愛した女性との思い出であるこの名前の由来さえ、覚えていない悲しき戦士。それがウルヴァリンなのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)破壊度:★★★★☆

□2009年 アメリカ映画 原題「X-Men Origins:Wolverine」
□監督:ギャヴィン・フッド
□出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、ダニー・ヒューストン、他


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ウルヴァリン:X−MEN ZERO@ぴあ映画生活

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◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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