映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

レダ・カテブ

永遠のジャンゴ

Django
1943年、第二次世界大戦でナチス支配下にあったフランス。ジプシー出身の天才ジャズ・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトは、絶大な人気を誇っていた。一方、ナチスによるジプシー迫害が激化し、各地でジプシー狩りが起きていた。ジャンゴの才能に惚れこんだナチス官僚がドイツ公演の話を持ち込むが、ジャンゴの愛人で独軍の動向に通じたルイーズは、家族全員でのスイス逃亡を促す。スイス国境の町に身を潜めたジャンゴだが、ナチス官僚が集う晩餐会での演奏が命じられる…。

不世出の天才ジャズ・ミュージシャン、ジャンゴ・ラインハルトの壮絶な生き様を描くドラマ「永遠のジャンゴ」。ベルギー生まれのジャンゴ・ラインハルトは、ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィング(マヌーシュ・スウィング)の創始者で、世界中のミュージシャンに影響を与えた偉大なギタリストだ。本作ではそんなジャンゴの超絶技巧による音楽がたっぷり楽しめるが、いわゆる音楽映画でも伝記映画でもない。これはジャンゴ・ラインハルトという天才が、ジプシーを迫害し、ジャズを堕落した音楽として禁止したナチスと、いかに戦って生き抜いたかを描く、知られざる苦悩と葛藤の物語なのだ。

ナチスのユダヤ人迫害は誰もが知る暴挙だが、その裏側で、ジプシーや同性愛者などの迫害も行っていた史実は、ユダヤ人迫害ほどは有名ではない。ジャンゴは、最初は「国と国の戦争など、自分たちには関係ない。俺たちミュージシャンは演奏するだけだ」とうそぶいている。だが仲間が殺され、自分もプロパガンダに利用されようとするなど、事の重大さを実感すると、理不尽に迫害されるジプシーの悲しみと怒りを強く感じ、政治意識とも無縁ではいられなくなるのだ。純粋に音楽だけに生きることが許されなかった困難な時代の哀しみを、ジャンゴの華やかでいながら哀愁を帯びたギターのメロディが体現している。ジプシーを軽蔑するナチス将校がジャンゴを嘲るように「音楽を知っているか?」と尋ねるが、その時のジャンゴの答えがいい。「音楽は知らない。音楽が俺を知っている」。ジャンゴ・ラインハルトが単なるギターの天才ではなく、ギターの英雄と呼ばれる理由がよく分かる。
【65点】
(原題「DJANGO」)
(フランス/エチエンヌ・コマール監督/レダ・カテブ、セシル・ドゥ・フランス、ビンバン・メルスタイン、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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涙するまで、生きる

涙するまで、生きる [DVD]
フランスからの独立運動が高まる1954年のアルジェリア。元軍人で今は小学校の教師をしているダリュのもとに、殺人の容疑をかけられたアラブ人のモハメドが連行されてくる。ダリュは、モハメドを裁判にかけるため山の向こうの町まで送ることになるが、復讐を誓うものたちの襲撃や反乱軍の襲撃に遭遇。共に危機を切り抜けるうちに、二人の間には友情が芽生え始める…。

文豪アルベール・カミュの短編小説「客」をベースにしたロードムービー「涙するまで、生きる」は、静かなたたずまいだが、不条理や葛藤がじわりと浮かび上がり、たとえ無力だとしても行動しなければならないと訴える。モハメドの罪と動機は、聞けばあまりにも悲劇的だが、彼は、残された者を守るため、自らの名誉を保つため、最も望ましい形の死を切望するしかないのだ。一方で、教師ダリュの諦念の表情には、フランス人なのにアルジェリアで生まれ育ち、アンデンティティーを模索し続けたカミュの宙ぶらりんの姿がダブる。それでも、命をかけて荒涼とした道を行く2人がやがて友情を育み、ついにはある決断を下すラストでは「決してあきらめるな」というメッセージがこだまするのだ。英語、スペイン語を話すデンマーク人の国際俳優ヴィゴ・モーテンセンは、本作ではフランス語とアラビア語を話している。この俳優の無国籍なムードが、民族間の対立による憎悪の無意味さを俯瞰しているようにみえる。
【65点】
(原題「LOIN DES HOMMES/FAR FROM MEN」)
(フランス/ダヴィド・オロファン監督/ヴィゴ・モーテンセン、レダ・カテブ、アンヘラ・モリーナ、他)
(友情度:★★★★☆)
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