映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ロバート・デ・ニーロ

マイ・インターン

マイ・インターン ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
ジュールスは、華やかなファッション業界で会社を経営・管理する若き女社長。家庭と仕事を両立させている彼女は、すべての女性のあこがれのような存在だが、ある日、彼女に思いもよらない試練が訪れる。会社のよりよい経営のために外部からベテラン社長を迎えようというのだ。そんな彼女の部下になったのは、会社の福祉事業として雇った70歳の新人インターンのベン。最初は年上のベンに何かとイラつくジュールスだったが、共に仕事をするうちにベンの誠実な人柄と思いやりに触れ、次第に心を開いていく…。

若い女社長と70歳のインターンが育む友情を描く「マイ・インターン」は、若い世代と高齢者とが理想的な形で共存する社会を描く、現代のおとぎ話だ。だがこの物語には、学ぶべきことがたくさんある。「プラダを着た悪魔」で下っ端社員を演じていたアン・ハサウェイは、今度は自分が命令を下す側。頑張りすぎて周囲が見えなくなることはあっても、あくまでも柔軟な思考で動くしなやかな女性だ。一方、デ・ニーロ演じるベンは、豊かな経験を持つ人生の大先輩。若いジュールスの長所も短所も分かっているし、車の運転や単純作業も責任感を持って堅実にこなす誠実な人物だ。仕事も家庭も危機に陥ったジュールスにベンが用意したアドバイスは、自分を信じてシンプルに人生を楽しむこと。ハサウェイをさりげなく励ますデ・ニーロが美味しすぎる役なのは分かっているが、いい具合に力が抜けたチャーミングな演技は、ベテランならではの味だ。こんな風に異世代が共存できればどんなにいいだろう。ナンシー・マイヤーズ監督らしい女性応援ムービーだが、恋愛要素より友情を全面に出したことでさわやかな作品に仕上がった。
【65点】
(原題「THE INTERN」)
(アメリカ/ナンシー・マイヤーズ監督/ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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マイ・インターン@ぴあ映画生活

キリングゲーム

キリングゲーム [Blu-ray]
戦争の傷を抱えた男たちのサディスティックな直接対決を描く「キリングゲーム」。痛みを感じる描写が多いので要注意。

米アパラチア山脈の奥地で隠遁生活を送る元米軍人のベンジャミンの前に、元セルビア兵士コヴァチが現れる。一緒に狩を楽しむために入った山で、コヴァチはいきなりベンジャミンに対し、人間狩を仕掛けてきた。実は彼はかつて戦場で出会った国連軍のベンジャミンに処刑され、命をとりとめて復讐を誓っていたのだ。とまどうベンジャミンだったが、やがてかつての闘争本能が蘇り、コヴァチとの壮絶な死闘を繰り広げることになる…。

一人は、戦場の地獄を忘れるため山奥で隠遁生活を続けている。もう一人は、戦争の狂気の記憶を忘れられず18年間もさ迷い続けている。共に戦争後遺症を抱えた男二人が、大自然の中で1対1で戦うのは、相手を倒すというより、自らの過去に決着を付けるためだ。だがその手段は戦いというより拷問合戦に近い。ふくらはぎにロープを通して宙刷りにしたり、頬に矢を貫通させその傷跡に塩とレモンを注ぎ込んだり。単に相手の命を奪うだけではなく、とことん苦しめることを目的にする彼らは、凄惨な戦場で人間性を破壊されてしまったのだろう。もはやどっちが善でどっちが悪なのかわからない…というか、どうでもよくなる。だが、落ちついて考えると、コヴァチがなぜそこまでベンジャミンを恨むのかは今ひとつ説得力に欠けているのだ。結末は先読みできないが、甘いと感じる人もいるはず。ボスニア紛争の功罪に対しても踏み込みは浅い。それでも、デ・ニーロとトラボルタの名優二人が老体に鞭打って熱演するサバイバル・アクションは迫力たっぷりだし、戦場を知る者同士の心理戦と会話劇としても見応え十分。生きる目的を見失った男たちが、過去と決別する通過儀礼の物語は、心と身体の両方の激痛を分け合うライバルを得た二人が充実した表情をみせるのが印象的だった。
【60点】
(原題「Killing Season」)
(アメリカ/マーク・スティーヴン・ジョンソン監督/ロバート・デ・ニーロ、ジョン・トラボルタ、マイロ・ヴィンティミリア、他)
(サディスティック度:★★★★☆)
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キリングゲーム@ぴあ映画生活

グリフィン家のウエディングノート

グリフィン家のウェディングノート [Blu-ray]
オープンすぎる家族の秘密を描くドタバタコメディ「グリフィン家のウエディングノート」。超豪華キャストがほとんど活きていない。

型破りでさつな彫刻家のドンは、妻のエリーと熟年離婚し、入籍はしていないがビービーとは長年の恋人である。ある日、子供の頃コロンビアから養子にきた優秀な次男のアレハンドロが婚約者メリッサと結婚することになり、久しぶりに家族が集まることになる。超オープンなグリフィン一家だが、それぞれが問題を抱えていた。しかも、アレハンドロの実の母親が式にやってくることになり、信心深い彼女の手前、育ての親が離婚したことを隠さねばならない。当面の間ドンとエリーは夫婦のふりをすることになるのだが…。

結婚式にまつわるドタバタ劇だが、式をあげる若い二人は脇役。主役となるのは、破天荒な父親とその元妻、実質上の今の妻の三角関係だ。他にも、社会的に地位がある医者や弁護士は実は性の悩みを秘めていたり、厳格なカトリックの神父も元アル中だったりと、それぞれに問題を抱えている。最も神聖で幸福なはずの結婚式を前にして、ドタバタ騒動が起きる展開は「マンマ・ミーア!」に、新郎新婦以外の人間も含めて、本当にこの人でいいの?と思い悩むストーリーは「愛さえあれば」に、少し似ている。ウエディングというのは昔から人間ドラマを描くのに格好の舞台なのだ。佳作「最高の人生の見つけ方」のザッカム監督だけに期待していたのだが、オスカー俳優勢ぞろいの超豪華キャストの本作は、残念ながら名優たちの良さを活かしきれていない。脚本が上手く整理されていない印象を受けるが、大勢いる登場人物の中で、養子とその家族という位置付けが話を分かりにくくしているようだ。大挙して登場する下ネタ話も、笑いを喚起するところまではいかず、コメディなのにどこで笑っていいのか迷ってしまった。すべてにオープンな父親への反動か、周囲は何かを隠してしまうので、オープンなはずの家族には山ほどの秘密が発生することに。それでも最後の最後はトンデモな告白を経てハッピーエンドに収束していく。このキャストが集まる様子を見るだけでも壮観。出来の悪さも“無礼講”と思うしかない。
【45点】
(原題「The Big Wedding」)
(アメリカ/ジャスティン・ザッカム監督/ロバート・デ・ニーロ、キャサリン・ハイグル、ダイアン・キートン、他)
(下ネタ度:★★★★☆)
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グリフィン家のウエディングノート@ぴあ映画生活

マラヴィータ

マラヴィータ [Blu-ray]
フランスの片田舎に引っ越してきた元マフィア一家が巻き起こす騒動を描くアクション・コメディ「マラヴィータ」。米仏のカルチャーギャップとマフィアネタではじけまくる。

フランス・ノルマンディー地方の田舎町にアメリカ人のブレイク一家が引っ越してくる。一見、普通のこの家族、実は父親のフレッドは元マフィアで、ボスを密告したためFBIの証人保護プログラムによって家族ともども世界各地を転々としているのだ。一家は何とか地域に溶け込もうとするが、昔の血が騒ぐ父親フレッドをはじめ、妻や子供たちも超過激。だがマフィアのボスがフレッドの居所を突き止め、のどかな田舎町に殺し屋軍団を送り込む…。

製作マーティン・スコセッシ、監督リュック・ベッソン、主演ロバート・デ・ニーロ。いったい何なんだ、この無駄に豪華なタッグは?!…という素直な感想はさておいて、豪華キャストのこのアクション・コメディは、仏映画界にアメリカのアクションを持ち込み、ハリウッドに自分の仏映画を売り込むという、クロス・オーバーなベッソンならではのユニークな荒業だ。元マフィアの父を中心にした最強ファミリーは、NYのブルックリンにいれば別に珍しくないが、フランスのノルマンディー地方のド田舎にいればどうしても浮いてしまう。証人保護プログラム適用中なのだからおとなしくしていればいいものを、そろいもそろってキレやすい一家は普通の市民を装うことが出来ない。当然トラブルもてんこもりだ。アメリカ人をバカにする仏人にブチきれた妻がスーパーマーケットを爆破するエピソードは、米仏のカルチャーギャップをわかりやすく描いていて抱腹絶倒だ。ティーンエイジャーの子供たちの学園生活も、暴力と犯罪ですこぶるハイテンションそのもの。そんな彼らの家族の絆は強く、一家は強い愛情で結ばれている。だからこそ、名優トミー・リー・ジョーンズ演じる一家のお目付け役・FBI捜査官は、あきれながらもどこか楽しそうに彼らの騒動に付き合っているのだ。デフォルメされた言動の中でもデ・ニーロ扮する父親が、名作「グッド・フェローズ」を解説するシークエンスは、最強のセルフパロディで映画ファンなら拍手もの。終盤には派手好きなベッソンの血が騒いだのか、マシンガンやバズーカ砲まで飛び出す壮絶バトルへと突入する。マフィア映画へのオマージュもたっぷり。愛犬マラヴィータのあきれ顔が妙に納得できる、何とも憎めない娯楽作だ。
【65点】
(原題「MALAVITA」)
(米・仏/リュック・ベッソン監督/ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、他)
(セルフ・パロディ度:★★★★☆)
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マラヴィータ@ぴあ映画生活

レッド・ライト

レッド・ライト ブルーレイ&DVDセット (2枚組)(初回限定生産) [Blu-ray]レッド・ライト ブルーレイ&DVDセット (2枚組)(初回限定生産) [Blu-ray] [Blu-ray]
超能力と科学の対決をユニークな手法で描くミステリー「レッド・ライト」。意外なほど豪華キャストが揃っている。

科学者のマーガレットと助手のトムは、超常現象を科学の力で解き明かすため、長年研究を重ねている。だが、彼らが出会う超能力者のほとんどがイカサマで、マーガレットたちはそのペテンを暴いてきた。そんなある日、伝説の超能力者サイモン・シルバーが、30年間の沈黙を破って復活するというニュースが世間を騒がせる。過去にシルバーに挑んで、心に傷を追ったマーガレットは「シルバーは危険」と警告するが、トムは彼女の制止を振りきり、シルバーの超能力ショーに単独乗り込んでいく…。

超能力の真偽をめぐる物語だが、前半は、霊媒師の素朴な騙しのテクニックや、超能力者チームのハイテク技術を駆使したからくりを、手品の種明かしのように見せていく。これがつかみとしてなかなか面白い。冷静沈着なシガニー・ウィーバーがハマリ役だ。うさん臭い超能力者シルバーを演じるのが、ロバード・デ・ニーロで、彼の登場から様子は一変する。そこにいるだけで迫力の名優が、黒いサングラスをかけ、盲人ながらすべてを見透かすかのような表情で、スプーン曲げ、透視、空中浮遊と、人間離れした技を連打するので、これはもしや…と思ってしまうのだ。だがそこは、棺の中に閉じ込められた男を主人公にした異色作「リミット」のロドリゴ・コルテス監督、ことはそう簡単ではない。超能力が存在するかどうかという根源的な問いはさておき、人間が見たいものを見、信じたいものを信じるという脳のメカニズムは本物だ。そこに嘘や、人間の心の弱さという要素が加わって、磁石のプラスとマイナスのように反応する。つまり信じることと騙すことは、ある意味、二つで一つというわけだ。超能力というスーパーナチュラルな要素を、サスペンスとして構築、最後の最後に、意外なオチを用意する。これは少々、とってつけた感じがしないでもないが、伏線は確かにはってあるので、コルテル監督の手腕というべきだろう。小規模なインディーズ作品は無名俳優で、という常識を覆し、デ・ニーロ、ウィーバーのハリウッドの大物スター、若手実力派のキリアン・マーフィーと、豪華キャストが揃っているのも、脳の思いこみを突く意外性と言えようか。
【60点】
(原題「RED LIGHTS」)
(米・スペイン/ロドリゴ・コルテス監督/ロバート・デ・ニーロ、キリアン・マーフィー、シガーニー・ウィーバー、他)
(豪華キャスト度:★★★★★)
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レッド・ライト@ぴあ映画生活

キラー・エリート

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実話をもとにした犯罪アクション「キラー・エリート」。3人のスターがそれぞれおいしい役だが、ステイサムが一番役得。

特殊任務の残酷さに疲れ、愛する女性のために稼業から身を引いた凄腕の殺し屋ダニー。だが、師匠であり良き相棒でもあったハンターを人質にとられ、やむを得ず現役に復帰する。ダニーがハンター解放の条件として請け負う仕事とは、戦争で英国特殊部隊(SAS)に息子を殺されたオマーン首長の復讐という危険なものだった。ターゲットは、国家レベルの秘密結社“フェザー・メン”によって守られているSASの兵士たち。困難な状況下、ダニーは決死の行動に出るが…。

原作は、元SAS(英国特殊部隊)隊員で、冒険家としても知られるラヌルフ・ファインズのノンフィクション小説。英国で出版されて以来、“国家レベルの秘密結社”は本当に存在するのかと物議をかもし続けているという。SASのオマーン戦争関与や、英国政府までも絡んだ極秘組織の存在有無など、どこまでが実話かはさておき、本作は、裏社会に生きる、プロ対プロのハイレベルな犯罪活劇として楽しめる。オマーン首長の復讐のリクエストは手が込んでいて、事故に見せかけて標的を殺せというもの。用意周到な計画は、少々無理な設定もあり、また、ダニーの恋人アンが不自然にストーリーにからんでくるのが違和感がある。それでも、主演のジェイソン・ステイサムは、元トップ・アスリートだけあって、CGに頼らないキレのあるアクションを披露してくれるし、中東の憎悪や欧州の損得が絡み合う政治謀略劇として見ると、なかなか興味深いドラマなのだ。ステイサムが扮するのは、クールなプロフェッショナルで、男気あふれるキャラクター。毎度おなじみの役柄なのだが、やはりこの人にはこういうキャラが良く似合う。デ・ニーロは余裕で脇にまわり、クライヴ・オーウェンは、形としては敵役なのだが、クライマックスには見せ場が用意されている。3大スターに配慮したソツのないアクション・ドラマと言えよう。
【60点】
(原題「KILLER ELITE」)
(米・オーストラリア/ゲイリー・マッケンドリー監督/ジェイソン・ステイサム、クライヴ・オーウェン、ロバート・デ・ニーロ、他)
(生身アクション度:★★★★☆)
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キラー・エリート@ぴあ映画生活

映画レビュー「スターダスト」

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◆プチレビュー◆
一見たわいないファンタジー。でも裏側には異才の英国人原作者の皮肉めいた視線が。ベテランの脇役が豪華。 【65点】

 イングランドのはずれにあるウォール村。青年トリスタンは村一番の美女に愛の証として流れ星を取ってくると約束する。落ちた場所に行くと、流れ星は美女イヴェインに姿を変えていた。同じ頃、村の外壁の向こうの魔法の国ストームホールドでは、不老を求める邪悪な魔女や、王位継承を狙う王子たちも流れ星を狙っていて…。

 物語の中心は、流れ星争奪戦だ。魔法のロウソクやお守りの待雪草の花、空飛ぶ海賊船まで登場し、ワクワクするような冒険が繰り広げられる。こう説明すると、一見まっとうなおとぎ話だが、裏側には毒の気配が。原作者ニール・ゲイマンは、本来、ダーク・ファンタジーを得意とするグラフィック・ノベル作家だ。異才作家らしく、フツーのファンタジー映画のフリをして、英国らしい皮肉が巧みに仕込んである。映画では、物語の核となる流れ星イヴェインを、いまひとつ旬を感じない女優クレア・デインズに割り振るしかなかったところがツラいが、ベテラン俳優のお遊びを見る楽しみを用意してくれた。美人女優ミシェル・ファイファーは、醜い魔女を楽しそうに演じているし、海賊船の船長デ・ニーロは「まさか!」の格好で映画ファンを驚かせる。おまけにニタニタとよく笑うのだ。まぁ、この役をシリアスに演じられても困るのだが。主役より名優たちの自虐演技に目が行くなんて、やっぱりフツーじゃない。

 さて肝心の主人公トリスタンだが、さっぱり魅力がないからこれまたヘンである。流れ星のありがた味にも気付かず、村のわがまま美女の気を引くことばかり考えているおバカさんなのだ。もっとも最初がこれなので、劇中での成長度は極めて高い。一方、流れ星イヴェインは、頼りないトリスタンにつきあって、紐を付けられた子犬のように冒険の旅に同行する。見る目がないのか、面倒見がいいのか。理由は簡単、恋してしまったのだ。何しろ彼は最初に出会った“人間”だ。比較検討しろと言うのも無理である。そんな世間知らずの流れ星の胸には、地上に落ちた時にみつけたルビーのネックレスが。この宝石が物語を大きく揺さぶることになる。ともあれ、流れ星が恋をしたら、世界は激変する運命だ。イヴェインの必殺技は“星”らしく輝くこと。果たして二人は、邪悪な魔女や強欲な王子の追跡をかわすことができるのか?

 最もシニカルなのは、物語の随所に王室問題をからませているところだ。醜い相続争いや、亡霊になった王子たちのブラックな会話が、英国王室への皮肉に見えて仕方がない。何といっても、瀕死の王が、争いの火種を付けるようにヒョイといたずらを仕掛けて死んでいく導入部がサエている。その王を名優ピーター・オトゥールに演じさせ、格調を保つあたりも気が利いている。冒険の果てのクライマックスは、ファンタジーのお約束である強引な大団円だが、王家の血筋は意外なところからつながっていく。正統な血などもはや存在せず、王家の面目は、突然空から落ちてくる流れ星のような混入異物の活躍にすがるしかないのだ。子供向けのファンタジーとあなどるなかれ。さりげない毒気と共に深読みすれば、英国の今が鏡のように映り込んでいる。興味があったらちょっと覗いてみよう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ハッピーエンド度:★★★★☆

□2007年 アメリカ映画 原題「STARDUST」
□監督:マシュー・ヴォーン
□出演:クレア・デインズ、ミシェル・ファイファー、ロバート・デ・ニーロ、他

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グッド・シェパード

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重厚な演出とギリシャ悲劇のような展開は、「ゴッド・ファーザー」を連想させる。CIA誕生秘話と、組織と家庭の間で苦悩する男の物語だ。非情な世界で人生を狂わせるエリートをマット・デイモンが静かに熱演するが、老け役には少々無理があったか。スパイ活動の先輩英国の役割が興味深い。中盤ややダレるが、冷戦下の国家間の争いから、米国の未来に疑問を投げかける作品の熱意を評価したい。
【75点】
(原題「THE GOOD SHEPHERD」)
(アメリカ/ロバート・デ・ニーロ監督/マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、他)
(中だるみ度:★★★☆☆)

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エンゼル・ハート

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ミッキー・ローク演じる私立探偵が恐ろしい事件に巻き込まれる異色のオカルト・スリラー。

1955年のNY・ブルックリン。しがない私立探偵ハリーは、ルイス・サイファーと名乗る謎めいた紳士から、高額の依頼を受ける。それは戦前の人気歌手で失踪したジョニー・フェイバリットを探す仕事だった。ハリーは調査を進め、南部のニューオリンズに向かうが、事件を調べる彼の周辺で次々に凄惨な殺人事件が起こる…。

主人公ハリーに人探しを依頼する紳士ルイス・サイファーは、つづりからルシファー、つまり悪魔という設定だ。名優ロバート・デ・ニーロ扮するこのサイファーがハリーと待ち合わせるカフェで食べるのが、。ゆで卵に塩をかけながら、サイファーは「ある宗教では、卵は魂の象徴と言われているんだよ」と言いながら、白く長い爪をした手で卵をつかみ、がぶりとかぶりつく。ハリーの魂を悪魔が狙っているという比喩で、卵という身近で日常的な食べ物が、極めて不気味に描かれている。

原作は“悪魔のバイブル”と称されたウィリアム・ヒョーツバッグの禁断の小説「堕ちる天使」。あまりに衝撃的な内容なので、アメリカでは廃刊運動まで起こったといういわくつきの書だ。最初はハードボイルドタッチのサスペンスのようにスタートするが、悪魔との契約、ブードゥー教の不気味な儀式、猟奇的な殺害方法と、次第に驚愕のオカルト映画へと変貌する物語展開が面白い。公開当時は2トンもの牛の血が天井から降る壮絶なクライマックスが話題になった。アラン・パーカー監督らしいスタイリッシュな映像が魅力で、50年代のアメリカの空気や、南部ニューオリンズのうだるようなの風景と共に、繰り返し描かれる、黒いベールをかぶった謎の人物や、エレベーターの描写が非常に効果的だ。

(出演:ミッキー・ローク ロバート・デ・ニーロ、シャーロット・ランプリング、他)
(1987年/アメリカ/アラン・パーカー監督/原題「Angel Heart」)

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