映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ロバート・レッドフォード

ニュースの真相

ニュースの真相 [Blu-ray]
2004年のアメリカでは、ジョージ・W・ブッシュ大統領が再選を目指していた。米国最大のネットワーク、CBSの敏腕プロデューサーのメアリー・メイプスは、ベテランの名司会者ダン・ラザーと共に、ブッシュの軍歴詐欺疑惑のスクープを報道し、たちまち大反響を巻き起こす。だが、後に証拠は偽造されたものだと保守派のブロガーが指摘したことから、メアリーやダンら番組スタッフは、世間から猛烈なバッシングを受けることになる…。

2004年、アメリカで一大センセーションを巻き起こした、ブッシュ大統領の軍歴詐欺疑惑をめぐる「ラザーゲート事件」のスクープと、その報道の裏側を描く社会派ドラマ「ニュースの真相」。CBSの看板番組のプロデューサーだったメアリー・メイプスの自伝ベースにしているが、真相は今も闇の中だ。日本ではあまり大きく報道されなかった「ラザーゲート事件」は“21世紀最大のメディア不祥事”と言われた実在の事件。実際、アメリカではこの報道は捏造ということで定着しているらしく、映画化は、いまさら感満載だそうだ。だが、メイプスサイドにたって描いた本作を見ると、大手メディアと政権の結託や利益至上主義のテレビ報道の実態が浮かび上がってくる。隠ぺいされた不祥事を暴くというと、オスカーを取った「スポットライト」が思い浮かぶが、じっくりと取材をし裏をとる時間が許された新聞と違い、本作のTV番組は、常に時間に追われ、大切な部分はCM放送のために容赦なくカット。あげくのはてに証拠の捏造ばかりが話題になって、肝心のブッシュの軍歴詐欺疑惑の話はいつのまにかうやむやになってしまうという皮肉な展開だ。ハリウッド屈指の名女優ケイト・ブランシェットがメアリーを熱演するが、ダン役のロバート・レッドフォード(あぁ、こんなに老けて…)もいい味を出している。メアリーが事件を追う背景には、家族の問題があったり、共倒れに近いダンは戦友のようでありながら、擬似父娘的な関係。社会派映画ながら、家族ドラマとしての味わいも加味されている。アメリカのジャーナリズムの苦い失敗を描いた映画だが、ラストに一筋の希望の光がみえたのが救いだった。
【65点】
(原題「TRUTH」)
(米・豪/ジェームズ・ヴァンダービルト監督/ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、エリザベス・モス、他)
(苦み度:★★★★☆)
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オール・イズ・ロスト 最後の手紙

オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~ [Blu-ray]
大海原でただ一人サバイバルを余儀なくされた男を描く異色のヒューマン・ドラマ「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」。レッドフォードの演技と緊張感たっぷりの演出に圧倒される。

インド洋をヨットで単独航海する男。目覚めるとヨットに漂流物のコンテナが衝突し、船内は浸水していた。続いて無線が故障、天候も悪化したことから、男はヨットを捨て、わずかな食糧とサバイバルキットを持って救命ボートに避難する。現在地も分からないまま漂流を続けるが、自然の猛威、飢えと乾き、何よりも孤独や絶望との闘いを強いられる。すべての望みが絶たれたとき、男は大切な人に向けて、読まれるかどうかもわからない手紙を書き、偽りのない自分の気持ちを綴り始める…。

主人公の名前はただOur Man(我らの男)とだけ。彼がどんな男かの説明はない。登場人物は実質的にロバート・レッドフォードただ一人。台詞もほとんどない。大海原で繰り広げられるたった一人のサバイバル劇は、ひたすら淡々とした演出に終始する。「最後の手紙」と情緒的な副題がついているが、手紙が登場するのは劇中のわずかな時間だけで、その相手も明かされない。ありがちなフラッシュバックや回想シーン、モノローグや音楽もほとんどないこの作品は、実験映画に近いのだが、それを70歳を越えた名優レッドフォードが圧倒的な存在感でしっかりと支えている。主人公は、非常事態にも顔色を変えず言葉も発せずに、ただひたすらやるべきことをやる。船を修理し、それがだめなら必要なものを持って救命ボートに移る。沈む自家用ヨットを静かにみつめ、六分儀の説明書を読んで作業を始める。飲み水を確保する工夫やサバイバルキットを使いこなす姿から、男が知識や知恵に長け、決して生きることをあきらめていないことを観客に伝えるのだ。ボートの周りにいるサメ、近くを通過した貨物船に気付いてもらえない絶望感。それでも男は感情的にはならない。極限状態の中でも決して希望を捨てない強靭な精神力は、かつてレッドフォードが演じた「大いなる勇者」を思い起こさせるものだ。上映時間106分の間、緊張は途切れず、ラストには深い感動に満たされる。生命力という人間の根幹的な本能を、これほどストイックに描いた崇高な映画はなかなかない。
【85点】
(原題「ALL IS LOST」)
(アメリカ/J・C・チャンダー監督/ロバート・レッドフォード、他)
(淡々度:★★★★☆)
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オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜@ぴあ映画生活

ランナウェイ 逃亡者

ランナウェイ/逃亡者 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)(2枚組) [Blu-ray]
潜伏していた過激派メンバーの逃避行と秘められた真実を描く社会派サスペンス「ランナウェイ 逃亡者」。あまりにも豪華な出演者にレッドフォードの人脈の豊かさを見る。

過激派組織ウェザーマンは、1961年にベトナム戦争反対を訴えて連続爆破事件を起こす。FBIの最重要指名手配リストに載りながら、彼らは、その後、戦争の終結と共に消息を絶った。それから約30年後、元ウェザーマンのメンバーの一人が逮捕されたことで、ウェザーマンと彼らが起こした事件が再び注目されることに。新聞記者のベンは事件を追ううちに、男手一人で幼い娘を育てる、真面目な雰囲気のシングルファーザーの弁護士ジム・グラントにたどり着く。彼こそがウェザーマンの幹部だったニック・スローンだった。危機を察したスローンは逃亡し、FBIとベンの両方が彼を追うが、やがて事件の知られざる真相が浮かび上がってくる…。

名優ロバート・レッドフォードが、監督・主演を務める骨太な社会派サスペンスで、主人公はある秘密を抱えながら、30年間もの間、偽りの人生を生きている。サスペンスの詳細は明かせないが、過去に過激派として同じ思想を共有しながら闘った同士たちは、今は別々の人生を歩んでいて“あの頃の自分”に対する思いもさまざまだ。後悔や諦念もあれば、今も熱い情熱を持ち続ける者もいて、30年という年月がそれぞれに異なった年輪を刻んでいることがわかる。いずれにしても、主人公がかつての仲間を一人一人訪ねていくプロセスで少しずつ事件の輪郭が浮かび上がってくる仕組だ。最初はジャーナリストとしての使命感より名声を求めていた若い新聞記者のベンが、事件とスローンを通して、アメリカの過去と現在の真実を掴み取っていき、正義の意味を深く問い直すことになる。レッドフォードの演出は、いつもながら堅実で、政治的メッセージを感じるものだ。だが、映画のラストで、この作品が社会派であると同時に、ヒューマン・ドラマやラブ・ストーリーの要素も含んでいることが分かれば、より深みが増すだろう。それにしても、この名優たちの豪華共演には驚くばかりだ。オスカー常連俳優がずらりと並びいぶし銀の演技を披露。若手のシャイア・ラブーフやアナ・ケンドリックも、先輩たちに触発されたかのように熱演している。ウェザーマンは実在した過激派組織。アメリカ史のグレーゾーンを描く本作で、改めて過去の歴史から学ばないアメリカ社会に警鐘を鳴らしている。
【65点】
(原題「THE COMPANY YOU KEEP」)
(アメリカ/ロバート・レッドフォード監督/ロバート・レッドフォード、シャイア・ラブーフ、ジュリー・クリスティ、他)
(豪華キャスト度:★★★★★)
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ランナウェイ 逃亡者@ぴあ映画生活

声をかくす人

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アメリカで初めて死刑になった女性の知られざる真実を描く「声をかくす人」。正義の在り方を改めて問う意義は大きい。

1865年、多くの犠牲者を出した南北戦争終結後、これから新しい国を導くはずだったリンカーン大統領が暗殺される。すぐに8人の犯人グループが逮捕されるが、その中に南部出身の未亡人メアリー・サラットがいた。彼女が営む下宿屋を犯人たちのアジトとして提供したという暗殺幇助の罪だが、裁判になるとメアリーは「私は無実です」とだけ述べ、それ以外のことは口にしなかった。メアリーの担当弁護士を引き受けることになったフレデリックは、北軍出身ということもあり、最初は弁護に抵抗を感じるが、メアリーの毅然とした態度と、最初から彼女の有罪を決めつける裁判そのものに疑問を感じ、やがてメアリーは無実ではないかと思い始める…。

監督業でも高い評価を得るロバート・レッドフォードがメガホンを取る本作は、リンカーン暗殺事件の裁判の顛末を通して、法の公正、正義の在り方を問い直すものだ。それは、現代アメリカの国家権力への痛烈な批判にもつながり、レッドフォードがかつて出演した社会派映画の傑作「大統領の陰謀」と同じ香りを漂わせる。メアリー・サラットはアメリカで初めて死刑になった女性。フレデリック・エイキンは、北軍の英雄、弁護士、そして「ワシントン・ポスト」初代社会部部長を務めた人物だ。アメリカの十八番に“敵を作ってしっかり団結”があるが、敵は外国にいるとは限らず、悲劇を乗り越えるための犠牲者であってもかまわないようだ。大統領暗殺はもちろん大罪で許されないことだが、いかなる時も、法は感情に流されるべきではない。大統領暗殺の復讐と憎悪からメアリーを最初から有罪と決めてかかる裁判は、茶番そのもので、結論はすでに出ているのだ。しかもメアリーは民間人なのに軍事法廷で裁かれる。この状況に、フレデリックは弁護士としての本来の責務に目覚める。たとえ被告が誰であれ、どんな罪であれ、公正な裁判を受ける権利があり、それこそリンカーンが目指した基本的人権を尊重する法治国家なのだとの訴えは、正当で高潔なメッセージとして響いてくる。ただ、メアリーがひた隠す秘密は、さほどミステリアスなものではなく、母としての彼女の姿を見れば容易に想像できる。本作はその謎に迫ることより、理不尽な裁判を目の当たりした一人の若き弁護士の闘いと、心の成長のドラマに重きを置いて見るべきだ。強い意志を持つ女性メアリーを演じるロビン・ライトのストイックな熱演が素晴らしい。映画全体を覆うセピア色の映像も心にしみる。
【65点】
(原題「THE CONSPIRATOR」)
(アメリカ/ロバート・レッドフォード監督/ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ケヴィン・クライン、他)
(社会派度:★★★★☆)
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声をかくす人@ぴあ映画生活

大統領の陰謀

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ロバート・レッドフォードがプロデューサーを務め、ウォーターゲート事件を告発した社会派映画の秀作。各方面からの圧力もあり、レッドフォードが企画から作品化するまで3年も費やされたという力作だ。原作は、ウォーターゲート事件を追ったワシントン・ポスト紙の記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードが共同で執筆した追跡ルポルタージュ小説である。映画は、ドキュメンタリー・タッチながら非常にスリリングだ。

1972年6月17日深夜、ワシントン。民主党本部があるウォーターゲート・ビルに5人の男たちが侵入、盗聴器を仕掛けようとしたが、警備員に見つかり警察に通報された後、不法侵入の現行犯で逮捕された。当初、この事件は狂信者たちが起こした三流事件とみなされ、ホワイト・ハウスとは無関係と報じられたが、ワシントン・ポストの2人の記者バーンスタインとウッドワードは、何かがおかしいと感じ、事件を探り始める。

当時の与党である共和党のトップ、すなわち大統領が、野党・民主党を盗聴する。これは国家の自由な選挙制度と市民のプライバシーを破壊する大変な犯罪だ。謎の人物“ディープ・スロート”の存在や、事件を葬ろうとする国家権力の圧力、細かい部分に注目しながらあらゆる人物に取材を重ねる根気強さなど、映画は政治ドラマとしてもサスペンス映画としても一級で、見応えがある。結果、この作品は、大統領が関与した侵入事件と隠蔽工作を再現するという前代未聞の大胆な政治告発をやってのけた。

ベテランでたたき上げの記者カール・バーンスタインを演じたダスティン・ホフマンと、新人記者で高学歴のエリートのボブ・ウッドワード役ロバート・レッドフォードの競演も素晴らしい。加えて、気骨のある言動で彼らの取材活動を支えた編集主幹ベン・ブラッドリーを演じたジェイソン・ロバーズも見事だ。彼はこの役でアカデミー助演男優賞を受賞する。また、美術・装置も隠れた見どころで、ロケ地である国会議事堂や大蔵省、FBIなど政治を司る実在の場所が多く登場する一方、撮影許可が下りなかったホワイトハウスの内部は、美術スタッフが忠実に再現した労作だ。

二人の記者の記事は、政府を窮地に追い込み、やがてニクソン大統領を辞任させることになる。リチャード・ニクソンは、歴代でただ一人任期中に辞任に追い込まれた不名誉な大統領だ。元大統領が犯した犯罪は紛れもないものだったのだが、結局、謝罪なき会見を最後に政界から姿を消すことになる。

映画「フロスト×ニクソン」で描かれるインタビューの目的は、ウォーターゲート事件によって辞任に追い込まれたニクソンから、国民に対して謝罪の言葉を引き出すことだった。「大統領の陰謀」は、米映画が持つ“告発の力”を示した政治映画だと言える。

(出演:ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード、ジェイソン・ロバーズ、他)
(1976年/アメリカ/アラン・J・パクラ 監督/原題「All the President's Men」)

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大いなる陰謀

大いなる陰謀 (特別編) [DVD]大いなる陰謀 (特別編) [DVD]
無関心こそが罪。これが映画のテーマだ。政治、報道、教育という異なる世界の人間を通して、対テロ戦争を会話で検証する。クルーズとストリープの攻防が見せ場の一つだが、大学教授と生徒のやりとりこそ注目すべき。ただ、作品の志の高さは理解できても素直に評価できない。なぜなら善意も悪意も結局は若者を戦場に駆り立てるから。そして“10分前に始まった戦闘作戦”に対してなす術などないと判るから。映画は問題を提起するだけで結論は出していない。観客に考えさせる意図なのだが、大統領選挙前のこの時期、レッドフォードならはっきりと意見を述べてもいいはずでは。この映画の歯切れの悪さは厭世観を誘う。質は高いが困った作品だ。
【70点】
(原題「LIONS FOR LAMBS」)
(アメリカ/ロバート・レッドフォード監督/トム・クルーズ、メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード、他)
(スッキリ度:★☆☆☆☆)

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