映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ヴァンサン・カッセル

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 [DVD]
スキー場での事故によって膝(ヒザ)に重症を負った弁護士のトニー。彼女はリハビリのために入院し治療に励むが、そこで医師から「心の痛みと身体(とりわけ膝)の傷みは連動する」と言われ、かつて愛した夫ジョルジオとの波乱に満ちた関係を思い出す。10年前、レストラン経営者でいつも女性を引き連れていた華やかなジョルジオと再会したトニーは、憧れの存在だった彼に大胆にアプローチし、激しく愛し合うように。結婚し子どもを授かって幸せの絶頂を迎えるが、かつての恋人との関係を断ち切れないなど、ジョルジオの度重なる不実な態度にトニーの心はズタズタになっていく…。

事故で負傷した女性弁護士がリハビリに励みながら、元夫との激しい愛をふり返っていくドラマ「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」。夫の度重なる裏切りに遭った妻の苦悩を描くが、それを膝の大怪我のリハビリをしている現在から、回想する形で描く手法が興味深い。医学的なことはわからないが、体をいたわることで心も癒されるというのはよく聞く話だ。傷みをこらえてリハビリする合間に思い出す10年は、ダメ男を愛してしまったがゆえに、何度も傷つけられ、それでも彼との関係が断ち切れなかった波乱万丈の日々で、心の傷はまだ完全に癒されてはいなかったのだ。元カノとの関係、無責任な債務不履行、浮気にクスリと、まるでダメ人間の見本のようなジョルジオを、自立し教養もあるトニーはなぜ許すのか。答えは、恋愛至上主義のフランス映画らしく、劇中に登場する「それが愛」というセリフが代弁している。この盲目的ともいえる愛には、正直、共感する部分はほとんどなかったが、社会から隔離された施設でリハビリすることで心の平穏を取り戻し、文字通り、再び自分の足でしっかりと歩き出して再生する姿には好感が持てる。注目の女性監督マイウェンは、トニーを被害者のようには描かず、映画は、欠点だらけのダメ男・ジョルジオのことも決して責めない。トニーが本当に強い女性だからこそ、傷ついたその日々は人生の糧となっているのだから。エマニュエル・ベルコは、いわゆる美人ではないが、揺れ動き、傷つき、それでも立ち直ろうする激しさと柔軟さを併せ持つヒロインを体当たりで演じて好演だ。
【65点】
(原題「MON ROI/MY KING」)
(フランス/マイウェン監督/ヴァンサン・カッセル、エマニュエル・ベルコ、 ルイ・ガレル、他)
(恋は盲目度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由|映画情報のぴあ映画生活

五日物語 3つの王国と3人の女

五日物語‐3つの王国と3人の女‐ [DVD]
3つの王国が君臨する世界。子どもを熱望するロングトレリス国の女王は、魔法使いの言葉に従い、国王の命を犠牲にして海獣の心臓を手に入れる。それを食べて男児を授かるが、やがて息子は親離れの年齢を迎える。人目を避けて暮らす老姉妹は、その美しい歌声を好色なストロングクリフ国王に気に入られる。姉は不思議な力で若さと美貌を取り戻し妃の座に収まるが、見捨てられた妹もまた若さと美を熱望していた。一方、城で暮らすハイヒルズ国の王女は城の外の世界に憧れていたが、父王の不手際で醜いオーガ(鬼)と結婚することに。断崖の洞窟で過酷な日々を過ごしながら、何とか逃げ出す機会をうかがっていた。3人の女たちの願いは叶えられるが、その果てには、運命の裏切りが待っていた…。

17世紀のナポリで書かれ、世界中のおとぎ話の原点ともいわれるイタリアの民話集“ペンタメローネ(五日物語)”を映画化したダーク・ファンタジー「五日物語 3つの王国と3人の女」。子供と母性、若さと美貌、理想の結婚と、現代にも通じる女性の性(さが)をテーマとする物語だ。おとぎ話は実は残酷なものであるという定説通り、3つの物語は、それぞれの女たちの欲望に比例するかのように皮肉で凄惨な運命が待ち受ける。特に、若い王女が醜い鬼と結婚するパートは「美女と野獣」の形ではあるが、野獣は醜く粗暴で、王女を救うヒーローもいない。ボロボロになりながら自ら運命に抗う彼女は、昨今流行の闘うプリンセスの原型のようで、興味深い。「ゴモラ」「リアリティー」で世界的にも評価が高いマッテオ・ガローネ監督は、もともと画家を志していただけあって、その美意識が突出している。本作は、イタリアに実在する世界遺産の城でロケされていたり、たっぷりと時間をかけたゴージャスかつシュールな美術が圧巻だ。ゴヤの版画集や古典ホラー映画にインスパイアされたその独特の映像は、幻想的で毒気たっぷり。CG全盛の昨今の映画の中で、本物の手触りを感じさせてくれる。サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズら、国際色豊かな名優たちの競演も見所だ。こだわりのアーティストが作った、大人のための濃厚なファンタジーである。
【75点】
(原題「TALE OF TALES/IL RACCONTO DEI RACCONTI」)
(仏・伊/マッテオ・ガローネ監督/サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、他)
(ダーク度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
五日物語−3つの王国と3人の女|映画情報のぴあ映画生活

ジェイソン・ボーン

ジェイソン・ボーン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
世間から姿を消して暮らしていたジェイソン・ボーンの前に、CIAの元同僚ニッキーが現れ、CIAが世界中の情報を監視・操作する事を目的とした極秘プログラムが始動したこと、さらにボーンの過去にまつわる衝撃的な真実を告げる。再び姿を現したボーンを追うため、CIAはボーンの追跡を開始。追跡をまかされた若手エージェント、リーは、ボーンを再び組織に取り込もうと接触を図るのだが…。

CIAの暗殺者養成極秘プログラム・トレッドストーン計画によって生み出された最強の暗殺者ジェイソン・ボーンの孤独な戦いを描く大人気アクション・シリーズの新章「ジェイソン・ボーン」。旧3部作は記憶を失ったボーンが全ての記憶を取り戻すまでを描いたが、新シリーズのスタートとなる本作では、ボーンがトレッドストーン計画に志願した理由と、ボーンの父の死の新たな真相に迫る物語になっている。やはりボーン・シリーズは、マット・デイモンとポール・グリーングラス監督でなくては!と思うファンの一人としては、この新シリーズのスタートは心から喜ばしい。リアルを追求してきた過去作同様、世界中を監視するプログラムという、生々しすぎる設定や、ギリシャの抗議デモに紛れ込むボーンの姿は、現実に起こっている出来事としっかりとリンクして、臨場感たっぷりである。さらに、ラスベガスでのカーチェイスのド迫力には、驚かされた。約10年、待たされただけあって、期待感がハンパないので、何を見ても興奮してしまいがちだが、落ち着いて考えると、マット・デイモンはさすがにちょっと老けたと感じる。アクションの創意工夫も物足りない。やはりもう少し早くこの新章をスタートさせるべきだったのではなかろうか。それでもボーン・シリーズのストーリーのリアリティーは秀逸だ。自分で自分の首をしめるかのようなCIAの作戦とその後始末、ハッキングに対するそれぞれの思惑、殺人と憎しみが新たな因縁となるボーンと暗殺者の関係は、まるで現代アメリカの病んだ姿そのものではないか。上昇志向の強い切れ者エージェントのリーの、ストイックな仕事ぶりと暗躍がとびきりクールで、オスカー女優のアリシア・ヴィキャンデル演じるリーのニコリともしない冷徹な表情が、彼女が敵か味方が最後までわからないというサスペンスの緊張感を増加させてくれた。
【70点】
(原題「JASON BOURNE」)。
(アメリカ/ポール・グリーングラス監督/マット・デイモン、トミー・リー・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、他)
(リアリティー度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ジェイソン・ボーン|映画情報のぴあ映画生活

美女と野獣

美女と野獣 [Blu-ray]
野獣とその館に囚われた美女の恋模様を描くファンタジー「美女と野獣」。フランス映画らしいロココ調美術が美しい。

美しく純粋な娘ベルは、バラを盗んだ罪を命で償うように命令された父の身代わりに、野獣の城に囚われる。だが、野獣は、ベルにはディナーを共にすること以外は何も要求しなかった。死を覚悟したベルだったが、次第にその恐ろしい外見とは裏腹の野獣の優しさに惹かれ、野獣の過去の悲恋の秘密を解き明かそうとする…。

フランスのおとぎ話をベースにした「美女と野獣」は、ジャン・コクトー版やディズニーアニメが有名だ。今回の実写映画化は、今まで語られなかった野獣の過去を描く点が新しい。「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ監督は、ファンタジックな異世界を、徹底的に過剰なロココ趣味で埋め尽くし、ハリウッドとは一味違う、フランス文化を意識した映画を作ってみせた。ベルの身勝手な家族の転落、野獣の城に囚われたベルの物語、さらには野獣の過去の恋が絡み合う物語は、すべてが幻想的な筆致で語られる。だが、欲深い人間の業が幾度も登場することからも、これは単なるおとぎ話ではないと分かる。ベルの家族の金銭欲や野獣の支配欲は、おとぎ話には不似合いなほど生々しいものだ。華麗な美術や衣装は女性ファンの目を楽しませ、後半には宮崎駿ファンで、日本の精霊信仰にも目配せしたガンズ監督が本領を発揮したクリーチャーも登場。意外にもアクション・ムービーの趣も。主演のレア・セドゥは仏映画界で今最も旬な女優だし、ヴァンサン・カッセルはオーラ十分。古典に現代的な味付けをしたキャスティングが見事に決まっている。
【65点】
(原題「LA BELLE ET LA BETE/BEAUTY AND THE BEAST」)
(仏・独/クリストフ・ガンズ監督/レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、アンドレ・デュソリエ、他)
(華麗度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
美女と野獣@ぴあ映画生活

トランス

トランス [Blu-ray]
記憶をテーマにしたスタイリッシュなクライム・サスペンス「トランス」。多彩な引き出しを持つダニー・ボイルらしい不思議な陶酔感が残る作品。

アート競売人のサイモンは、ギャングのフランク一味に協力して、オークション会場からゴヤの傑作「魔女たちの飛翔」を盗み出す。だがサイモンは予期せぬ行動に出たあげくフランクから頭を強打され、絵の隠し場所を含む記憶を失ってしまう。何としてでも絵を手に入れたいフランクは、サイモンの記憶を取り戻すため、催眠療法士エリザベスを雇うことに。やがてフランクの企みと絵画紛失事件を知ったエリザベスはフランクに手を組むことを申し出て、本格的な催眠療法が始まる。だがサイモンの記憶の底には誰も予想さえ出来なかった“真実”が待ち受けていた…。

「トレインスポッティング」「スラムドッグ$ミリオネア」「127時間」と、多彩なジャンルの傑作を世に送り出す才人ダニー・ボイル。最近ではロンドン・オリンピック開会式の総監督としてのネーム・バリューが上回ってしまったのはご愛嬌だが、映画ファンには何よりも彼は、スタイリッシュな映像と音楽でファンをしびれさせる映画監督なのである。本作では記憶、潜在意識、心をテーマに、絵画強奪というクライム・サスペンスから始まり、人間の深層心理を巡る3人の登場人物の関係性を、鮮烈なタッチで描いた。物語には大きな秘密が隠されているので、詳細は明かせないのだが、この物語が、初期の作品で、登場人物3人ののっぴきならない関係性を描いた「シャロウ・グレイブ」にどこか似ていると言ったらヒントになってしまうだろうか。さらに、記憶という映画界ではセオリーになりつつあるプロットを利用しながら、他作品のようにSFタッチにはせず、あくまでも会話で記憶を探っていく催眠療法というプレーンな手段を用いるところが逆に新鮮で面白い。この催眠療法を操る女性エリザベスが、超がつくほど優秀でなければこのストーリーは成り立たないのだが、そこには別の仕掛けがあって…と、話はかなりややこしいのだ。サイモンが語り部かと思ったらいつしかエリザベスが心情を吐露しているという語り口のスライドもまた、トリックのひとつである。見終われば「そんなこと、ありえるのか?!」との思いもよぎったが、少なくともこの映画の陶酔感は本物だ。マカヴォイ、カッセル、ドーソンと三者三様に、一筋縄ではいかない役者を配したセンスがいい。キーワードは愛。ダニー・ボイルはやっぱりロマンチストだった。
【70点】
(原題「TRANCE」)
(米・英/ダニー・ボイル監督/ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン、他)
(どんでん返し度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

トランス@ぴあ映画生活

映画レビュー「ブラック・スワン」

ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]
◆プチレビュー◆
バレリーナの狂気を描く心理劇はまるでサイコ・ホラー。ナタリー・ポートマンの入魂の演技が最高だ。 【85点】

 幼い頃からバレエ一筋に励んできた生真面目なニナは「白鳥の湖」の主役に抜擢されて喜ぶ。だが、純真で汚れのない白鳥は踊れても、狡猾でセクシーな黒鳥の踊りがつかめずに悩む。奔放で妖艶な新人バレリーナのリリーの存在もあり、ニナは次第に精神的に追いつめられていく…。

 これは心の迷宮に迷い込む物語だ。プリマに抜擢された内気なニナは、プレッシャーから狂気をはらんでいき、やがて悪の化身である黒鳥そのものになっていく。物語の途中では、皮膚や指先から血を流し、足首をねじるなど、痛い描写も満載。黒鳥とは、実はニナの深層心理だ。その証拠に、ニナは自分の分身さえ見てしまう。こうなるとほとんどホラー映画である。

 自分を支配する母親、過剰な要求をする芸術監督、主役の座を脅かす新人。何より役への苦悩。これらすべてに追いつめられるニナと同様に、観客も、現実と妄想の境界を見失う。スタジオや楽屋にある鏡が、無数のニナを具現化していく演出が効果的で素晴らしい。クライマックスの舞台では、文字通り、黒鳥と化すニナに、見ているこちらも鳥肌がたった。

 作品を支えるのは何と言っても9キロも減量し過酷なバレエのトレーニングに耐えて熱演したナタリー・ポートマンの存在だろう。たとえ汚れ役を演じてもどこか優等生のようなイメージだった彼女だからこそ、ニナ役がピタリとハマッた。オスカー受賞も納得の熱演で、本作が、この小柄な美人女優の代表作になるのは間違いない。

 同時にこの映画は、個性派監督アロノフスキーの代表作にもなろう。何かに取り憑かれ、ついに自分を見失う展開は、初期作品「パイ」や「レクイエム・フォー・ドリーム」と同じ軌道にある。そこに、役者の魅力を最大限に引き出した「レスラー」の演出力が加わったのが「ブラック・スワン」の迷宮世界なのだ。一歩間違えば陳腐になる心理サスペンスを、見事なエンタメ作品として仕上げたダーレン・アロノフスキー。今、最も目が離せない監督の一人である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)狂気度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「BLACK SWAN」
□監督:ダーレン・アロノフスキー
□出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、他




にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ブラック・スワン@ぴあ映画生活

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編

ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part2 [DVD]ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part2 [DVD]
フランスに実在した不世出のギャング、ジャック・メスリーヌの半生を2部構成で描く大作の完結編。Part2 ルージュ編では、70年代、フランスに舞い戻ったメスリーヌが、犯罪と脱獄を繰り返したあげく“社会の敵No.1”と呼ばれるようになる過程と、壮絶な最期を遂げるまでを描く。

メスリーヌのそばにはなぜか“優秀な犯罪者”が集まるが、彼自身の個性は、大衆にアピールすることを重視したことだ。初めはそれが功を奏したが、結局はマスコミという敵に踊らされ、墓穴を掘るのが皮肉である。メスリーヌと同じ脱獄王だが、地味で内向的だった相棒のフランソワと違い、新聞の一面を飾り、アンチヒーローとして目立ちたいというメスリーヌの嗜好が興味深い。政治思想などないのに、あっさりと感化される“素直さ”。殺人さえ平気なのに、重病で入院した父親を見舞い、「何があろうとお前は私の息子だ」との父の言葉に泣き崩れる“繊細さ”。これらは、彼の矛盾した多面性が顕著な場面だ。息子としてのメスリーヌ、そして子供たちを愛してやまない父親としてのメスリーヌは、犯罪者としての顔の裏側に常にある。最後の愛人と共に遂げた壮絶な最期は、死して伝説になった彼にとっては本望だったのかもしれない。ヴァンサン・カッセルが、体重を20キロも増やして主人公を熱演。鬼気迫る演技は、仏映画が得意とするフィルム・ノワールの伝統を受け継ぐものとして映画史に残るだろう。
【70点】
(原題「MESRINE:PART 2 - L'ENNEMI PUBLIC N°」)
(フランス/ジャン=フランソワ・リシエ監督/ヴァンサン・カッセル、リュディヴィーヌ・サニエ、マチュー・アマルリック、他)
(破滅度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編

ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]
フランスに実在した伝説のギャング、ジャック・メスリーヌの壮絶な半生を2部構成で描く大作。Part1 ノワール編では、1959年、ジャック・メスリーヌが、アルジェリア戦争で非情な戦場の実態を体験し、60年代、パリに帰還後、幼馴染に誘われて次第に悪事に手を染め、若いチンピラからいっぱしのギャングになって犯罪に手を染めていく様子を描く。

冒頭にメスリーヌの最期を映すことから、観客は彼の運命を最初から知ることになる。長い映画は、そのままメスリーヌの死へのカウントダウンだ。最初は強盗から始まったメスリーヌの犯罪は、どこかトボけたところもあって明るさが漂う。海外逃亡の末にカナダで捕まるが、やがて脱獄。映画はメスリーヌを義賊のようなイメージで描いているのが興味深い。実際、一度脱獄した刑務所を、仲間を解放するために危険をおかして襲う様子は、痛快ですらある。自分なりのルールに従って罪を重ねて生きる男が、破滅に向かうと分かっていながら犯罪の世界で覚醒していくのがノワール編だ。初体験の相手である娼婦サラの敵討ちをしたり、スペイン人の妻ソフィアを熱愛したり、愛人で相棒のジャンヌと運命的に惹かれあったりと、女性関係は常に華やかで、メスリーヌの不思議な魅力を裏付けている。32回の銀行強盗、4回の脱獄を繰り返した実在の犯罪者をドライなタッチで描くが、悪だけでは語れない複雑な人物像が面白い。
【70点】
(原題「MESRINE:PART 1 - L'INSTINCT DE MORT」)
(フランス/ジャン=フランソワ・リシェ監督/ヴァンサン・カッセル、セシル・ド・フランス、ジェラール・ドパルデュー、他)
(覚醒度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が趣味で運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり更新中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
当サイトはリンクフリーです
★相互リンクは設けておりませんが、当サイトはリンクフリーなので自由にリンクしてください。リンクの報告は基本的に不要です。
リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ