映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

万城目学

偉大なる、しゅららぼん

偉大なる、しゅららぼん プレミアム・エディション [Blu-ray]
琵琶湖のほとりを舞台に不思議な力を持つ一族とそのライバルが繰り広げる騒動を描く「偉大なる、しゅららぼん」。ユルい笑いと摩訶不思議な世界観を楽しみたい。

琵琶湖畔の街・石走のお城に住む日出一族は、先祖代々不思議な力を継承してきた。本家の跡取り息子で最強の力を持つ淡十郎のもとに、分家の涼介が修行のため居候することになる。涼介は淡十郎と同じ高校に入学するが、淡十郎とお揃いの真っ赤な学生服を着せられ、いつしか殿とお供の関係に。淡十郎は、同じ高校に通う、1300年にわたり日出家とライバル関係にある棗(なつめ)一族の跡取り息子・広海とは何かといがみあっていた。淡十郎が恋した美少女・速水沙月が広海に思いを寄せていることが分かると、この小さな失恋が、やがて両家の対立を深めるだけでなく、世界を滅ぼしかねない大騒動を巻き起こすことになる…。

タイトルからして不思議系の本作は、「鴨川ホルモー」や「プリンセス・トヨトミ」が映画化され、摩訶不思議な世界観が持ち味の万城目学の同名小説を原作とする“パワースポット・アドベンチャー”だ。ライバル同士の争いや思いもよらない敵との対峙を経て、琵琶湖を真っ二つに割る神がかり的激闘へとなだれ込む…と説明すると、一大アクション大作に聞こえてしまうが、実情は、マキメ・ワールドと呼ばれて親しまれるユルユルの笑いの世界で繰り広げられる若者の成長物語だ。日本最大のパワースポット琵琶湖には、数々の言い伝えがあるが、ここでは、日出家と棗家が不思議な力を持つ一族としていがみあっているという設定だ。とにかく登場するキャラが激しく立っている。浮世離れした殿の淡十郎、淡十郎の姉で最強の力を持つグレート清子、涼介の師匠でマイペースの濤子、物忘れが激しい船頭の源次郎にどこか怪しい校長先生と、奇怪なキャラが次々に登場し、飽きさせない。だが物語の根底のテーマは、不思議な力に対する葛藤と、本当の力とその意義を問うものだから、案外真面目な作品なのだ。終盤の、琵琶湖の底に眠る“あるもの”を探しに行くシークエンスは、怒涛のファンタジー世界。非日常とは、日常のすぐそばに同居するものなのかもしれない。濱田岳と岡田将生がW主演となるが、この二人の掛け合いの面白さが見所。琵琶湖周辺の彦根城や竹生島などのパワースポット系ロケ地も楽しみたい。エンドロールの後に明かされる“しゅららぼん”の意味には、激しく脱力だ。
【65点】
(原題「偉大なる、しゅららぼん」)
(日本/水落豊監督/濱田岳、岡田将生、深田恭子、他)
(摩訶不思議度:★★★★☆)
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プリンセス トヨトミ

プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディションプリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション
荒唐無稽で壮大なホラ話系エンタテインメントだが、父と子の絆が謎解きの鍵。中井貴一の存在感が際立っている。

国家予算が正しく使われているかを調査する会計検査院調査官、松平元、鳥居忠子、旭ゲーンズブールの3人が大阪にやってくる。調査は順調に進むが、不審な社団法人「OJO(大阪城址整備機構)」の存在が浮かび上がる。やがて、大阪国総理大臣の真田幸一が現れ、400年に渡り封印されていた豊臣家の末裔に係わる秘密を語り始めた時、大阪の公共機関や商業活動など、あらゆる機能が停止する事態へと発展していく…。

関西を舞台に奇想天外な物語を生みだして大人気を博す万城目学のベストセラー小説が原作だ。東京と大阪、徳川と豊臣という対立構図以上に、現代の指導力欠如の政治構造の情けなさと、地下に潜った一枚岩の大阪男たちの団結力を比べたとき、こんなことがあってもいいんじゃないのかという気分になる。何しろ“鬼の松平”と呼ばれる調査官に「嘘をつかない男は手強い」と言わせる、普段はお好み焼屋の無口なおやじ、実は大阪国総理大臣を演じる中井貴一の、キモの座った存在感が素晴らしい。国家予算が豊臣の末裔を守ることにどう使われているかを描かないことや、個性豊かなはずの大阪女をまったく無視したストーリー、商店街の少年と少女の物語に魅力がないことなど、ツッコミどころは多い。だが、後半に大阪中の男たちが集結する場面は、不思議と胸が熱くなる。登場人物の名前に、豊臣、徳川両陣営の歴史上の人物を配するなど、歴史好きをニヤリとさせる仕掛けも楽しかった。大阪独立は昔からひそかに叫ばれる夢のプロジェクト。この映画への大阪人の率直な反応が知りたい。
【55点】
(原題「プリンセス トヨトミ」)
(日本/鈴木雅之監督/堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、他)
(ありえない度:★★★★☆)
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鴨川ホルモー

鴨川ホルモー [DVD]鴨川ホルモー [DVD]
伝統とアヴァンギャルドが同居する京都は、摩訶不思議な存在を許す場所だ。京都大学に昔から存在する怪しげなサークル「青竜会」に、なりゆきで入部した主人公は“オニ”を駆使して戦う“ホルモー”なる謎の競技で闘うことに。美男美女の若手俳優が「ゲロンチョリー」と謎の雄たけびを上げる様子がアホらしくも楽しい。特に、メガネの秀才で、ダサかわいい栗山千明がいい味を出している。どんなにバカらしいことでも、心から熱中すれば、きっと何かが見える。ホルモーに熱中した後には、卒業して就職し、普通の社会人になるであろう彼ら。せつな的でファンキーな青春讃歌として楽しみたい。
【55点】
(日本/本木克英監督/山田孝之、栗山千明、石田卓也、他)
(奇想天外度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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