映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

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長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

中川大志

坂道のアポロン

映画「坂道のアポロン」サウンドトラック&ジャズ演奏曲集
横須賀から、親戚が住む長崎県佐世保市の高校に転校してきた薫は、真面目な秀才だが、学校でも家庭でも居場所を見つけられずにいた。だがひょんなことから不良生徒の千太郎、千太郎の幼なじみで町のレコード屋の娘・律子と親しくなる。千太郎とは友情を育み、律子に淡い恋心を抱いた薫は、二人を通じてジャズと出会い、その魅力に取りつかれる。しかしそんな幸せな日々は、ある事件をきっかけに変わってしまう…。

高校生たちの友情と恋、ジャズとの出会いを描く青春ラブストーリー「坂道のアポロン」。原作は小玉ユキの名作コミックで過去にアニメ化もされている。本作全体を覆うノスタルジックな空気は、成長して医者になった薫の回想形式の語り口、昭和40年代という時代背景、異国情緒あふれる長崎・佐世保の風情などが要因だ。長い原作ものの実写映画化の常で、有名なエピソードをつなぎあわせ、駆け足で進む感じは否めないが、少なくとも、高校時代の薫、千太郎、律子の3人のキャラクターは丁寧に描かれている。

居場所がない薫や、複雑な出自を秘めた千太郎の抱える孤独を癒すのが、律子の明るさとジャズだ。青春映画と音楽の組み合わせは数多いが、ジャズという難しいジャンルに果敢に挑んだ、出演者たちに拍手を送りたい。吹替えなしで挑んだというセッションシーンは迫力たっぷりで、印象的に使われる名曲“モーニン”、“マイ・フェイバリット・シングス”などの曲のチョイスもいい。少女マンガにしてはあっさりとした絵柄の原作マンガのイメージを壊すことなく、青春のキラキラ感は残しながら、さわやかに仕上げた三木孝浩監督の手腕を評価したい。友情と恋がほぼ同じ重さで存在できた“あの頃”の輝きがまぶしい青春映画だ。
【65点】
(原題「坂道のアポロン」)
(日本/三木孝浩監督/知念侑李、中川大志、小松菜奈、他)
(ノスタルジー度:★★★★☆)


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27歳の海崎新太は、就職した会社を退職して以来、ニート生活を送っている。ある事件をきっかけに人と関わることに臆病になってしまった彼は、ある日、リライフ研究所の夜明了と出会い、1年限定で研究所が行う社会復帰実験の被験者になることに。外見だけを若返らせて1年間高校生活を送るというその実験で、再び高校生活を送る新太は、最初はとまどうが、仲間と出会い少しずつ変化していった。やがて成績優秀だがコミュニケーションが苦手な千鶴に惹かれていく。だが、実際には自分は彼女より10歳も年上、実験が終わる1年後には関わった人々の記憶から消えてしまうため、思いを伝えらずに葛藤する…。

ニートの青年が2度目の高校生活を送る青春ファンタジー「ReLIFE リライフ」。原作は、スマホ・アプリで読めるマンガ・ノベルサービスで大人気の夜宵草の人気コミックだ。27歳でニートという負け組の青年が突如容姿だけ若返り、高校生活を送る…という展開は「セブンティーン・アゲイン」を思い出す。本作で、主人公を奇妙な実験に誘うリライフ研究所の目的は、生きる意欲を失った人間を社会復帰させること。もともと新太は、面倒見のいい明るい性格だったのだが、就職先でのいびつな人間関係を味わって、他者と関わることに怯えてしまうようになった。青春学園ものなので、夏祭りや学園祭、旅行や卒業式などの1年の行事に沿って物語が進んでいくが、恋や友情の素晴らしさを再体験した新太が、ひたむきに“今”を生きる若者たちに感化され、変わっていくという展開は予想通りで驚きはないし、27歳から17歳ではわずか10年しか差がないので、メリハリも希薄だ。一種のタイムリープものだが、自分の過去に戻るわけではなく、現在関わっている人間と出会うわけでもない(リライフ研究所の夜明はお目付け役なので例外)、まったく新しい環境に身を置くという設定では、なぜ今の自分がどん底の人生を送ることになったのかを学べるのだろうか??と首をかしげてしまう。それでも「頑張ることをあきらめない」を思い出すストーリーは、悪くないし、ラストを映画オリジナルにしたのは工夫が感じられる。売れっ子の中川大志をはじめ、高校生を演じるのが自然な年齢の若手俳優が勢ぞろいしているのが見所だが、中でもちょっと風変わりな女子高生を演じる平祐奈が、いい味を出していた。
【55点】
(原題「ReLIFE リライフ」)
(日本/古澤健監督/中川大志、平祐奈、高杉真宙、他)
(前向き度:★★★★☆)
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