映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アサシン・クリード」「ラビング」「お嬢さん」etc.

中谷美紀

繕い裁つ人

繕い裁つ人 ブルーレイ [Blu-ray]
洋裁店の頑固な女主人と彼女を取り巻く人々が織りなす人間模様を描く「繕い裁つ人」。職人のプライドと夢が同居するファンタジーのような物語。

神戸の街を見下ろす丘の上にある小さな仕立て屋「南洋装店」は、2代目の店主・市江が丁寧に作る一点ものの服が評判の店だ。祖母が始めた店で馴染みの客一人ひとりにオーダーメイドの服を仕立てる市江に、百貨店の営業マン・藤井がブランド化の話を持ち込む。頑なに断り続ける市江だったが「自分だけのオリジナルの服が作りたいはずだ」との藤井の言葉に心が揺れ始める…。

原作は池辺葵の人気コミック。三島有紀子監督は、これまで食にこだわった映画を作ってきたが、今回は衣。どこか安易な癒しが気になった過去作に比べて、今回は仕事に対する情熱の中に繊細な感情が込められていて、とても出来がよく、好感度が高い。主人公の市江は、劇中で“頑固じじい”と表現されるほどの職人肌だ。彼女の仕事は、祖母が始めた店を継ぎ、祖母が作った服の仕立て直しやサイズ直しをし、祖母のデザインを流用した服を作ることに徹している。コンセプトはたった一人のためだけに作る服。その服は直しながら一生着続けることができる宝物だ。今どき珍しいほど古風なヒロインを、中谷美紀が凛とした表情や繊細な視線の動きで好演する。ミシンを踏む後姿にプライドと誠実さを漂わせる一方で、チーズケーキをホールで食べる時の子供のように嬉しそうな顔が実にいい。伝統を守ることに徹すると決めていたヒロインは、それでもどこかで自分だけのオリジナルえの憧れがあったのだろう。伝統の中に変化する部分を認めた彼女が、小さな一歩を踏み出す姿が清々しい。少女マンガが原作だが、過剰な恋愛描写などなく、登場人物たちの思いは淡々と静かで、それがこの映画の雰囲気を洗練されたものにしている。見終わった後は、柔らかな逆光とカタカタと響くミシンの音が心に残っていた。
【70点】
(原題「繕い裁つ人」)
(日本/三島有紀子監督/中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、他)
(職人肌度:★★★★☆)
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繕い裁つ人@ぴあ映画生活

利休にたずねよ

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希代の茶人・千利休の秘めた恋を描く「利休にたずねよ」。市川海老蔵の眼光が美にこだわる狂気を物語る。

雷雨の中、3000人もの兵士に屋敷を囲まれ、千利休は、天下人の豊臣秀吉の命によって今まさに切腹しようとしていた。利休の妻・宗恩が「あなた様にはずっと想い人がおられたのでは…」と尋ねる。利休には、放蕩の限りをつくした若い頃、高麗からの貢物である美しい女と出会い、激しく心を奪われた恋があった。さらに、織田信長、豊臣秀吉に仕えた波乱万丈の人生を思い出していく…。

原作は直木賞作家の山本兼一の同名小説。千利休を枯れた茶聖ではなく、恋や美に身を焦がす情熱の人だったと解釈し、利休の美意識は若い頃に経験した悲恋がベースになっているという仮説に基づいて描かれるものだ。若い頃、遊郭に入り浸っていた利休は、異国の地・高麗からきた高貴な美女と出会い、一目で恋に落ちる。一緒に逃げて心中しようとまで思いつめるが結局一人生き残ってしまう。しかも彼女の最期の言葉は「あなたは生きてください」だったのだから、これは利休の人生と価値観を変えてしまうのも無理はない。織田信長にさえ自分の美意識を曲げない利休は人々を虜にするが、あまりに高まる名声に秀吉が嫉妬し、やがて利休を死に追いやるという展開は、歴史通りだ。不満な点は、秀吉や家臣の石田光成が利休の名声や美意識を恐れる背景が、掘り下げられていないこと。胸からチラリと見える緑色の小壷だけでは説明不足なのではなかろうか。ただ10代から晩年までを演じ分けた市川海老蔵の熱演は見事。この人の歌舞伎仕込みの演技は映画では浮くことが多いのだが、今回は静の場面になればなるほど情熱を感じさせる演技で、利休になりきっていた。故・市川団十郎との最初で最後の父子共演も見もの。何より、実際に利休が使用した国宝級の茶道具や建造物を使って撮影された映像は、本物志向。重みのある歴史絵巻に仕上がっている。
【60点】
(原題「利休にたずねよ」)
(日本/田中光敏監督/市川海老蔵、中谷美紀、大森南朋、他)
(本物志向度:★★★★☆)
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ひまわりと子犬の7日間

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2007年に宮崎県で起こった感動の実話をベースに描く「ひまわりと子犬の7日間」。動物と子供には誰もかなわないのだ!

5年前に妻を亡くし、シングルファーザーとして二人の子どもを育てている保健所職員の神埼彰司。大の動物好きの彰司は「引き取り手がない犬は7日間後には殺処分」という保険所の規則をしばしば破り、なんとか犬たちの里親をみつけようと懸命に働いていた。ある日彼は、命がけで我が子を守ろうとする母性の強い母犬と出会う。人間に心を開かず近付くと激しく威嚇するその母犬は、きっとかつては人に愛されていたに違いないと確信した彰司は、何とかして母犬と子犬の命を守ろうと決意する。だが、状況が改善されないまま処分が決まる7日目が迫ってくる…。

殺処分。いやな言葉だが、現実に、保健所に連れてこられた飼い主のいない犬の多くはこの悲しい運命をたどる。資料によると、日本全体で1年間に約87000頭が保健所に収容され、そのうち約53000頭が殺処分されていると知って、ショックだった。本作は、宮崎県の保健所で実際に起こった奇跡の実話をベースに、命の大切さを訴えると共に、身勝手な人間のペットブームにも静かに警鐘を鳴らす内容だ。同時に、一人のシングルファーザーが、子供を育てながら自分の仕事に向き合い成長していくヒューマン・ドラマでもある。何とか助けたいと願って、ひまわりと名付けたその犬が、人間に心を開いて“凶暴な犬ではない”と判断されない限り、助けることはできない。物語は、人によって傷ついた動物が、もう一度人を信頼するには、人間の方が謙虚になるしかないのだと訴えている。母犬ひまわりを演じる犬は、「マリと子犬の物語」でマリ役を務めた柴犬の“名女優犬”。喜怒哀楽を的確に表すその演技は、ドッグトレーナーの力量も含めて見事だ。加えて子供たちも自然でいい。動物と子供、そして人気実力派俳優の堺雅人という鉄壁の布陣で初監督に臨んだのは、山田洋次監督の下で長く助監督を務めた平松恵美子氏。名匠の手腕をしっかりと受け継ぎ、厳しい現実の中に希望を見いだす、優しいまなざしが効いていた。温暖な風土を感じさせるのんびりとした宮崎の方言の響きが耳に心地よい。
【60点】
(原題「ひまわりと子犬の7日間」)
(日本/平松恵美子監督/堺雅人、中谷美紀、吉行和子、他)
(信頼関係度:★★★★☆)
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ひまわりと子犬の7日間@ぴあ映画生活

源氏物語 千年の謎

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古典文学をフレッシュなキャストで映像化した「源氏物語 千年の謎」。現実世界と物語世界を交錯させた構成は新機軸で面白い。

平安時代。絶大な権力を握る御堂関白・藤原道長は、その栄華をさらに極めるべく、紫式部に物語を書くことを命じる。式部の物語によって、娘・彰子のもとに一条天皇を少しでも長く留まらせ、天皇の子を宿させることが目的だ。式部は道長への思いを秘めながら、絶世の美男・光源氏と、彼を取り巻く宮中の女性たちの物語を紡ぎ出す…。

世界屈指の恋愛小説「源氏物語」は、数え切れないほどの研究書があるが、何しろ謎が多い。それだけに想像力も広がり、さまざまな解釈が可能となる。高山由紀子の原作による本作では、物語が権力の道具として誕生したこと、式部の道長への思い、物語世界と現実世界の重なりと、まさに自由奔放だ。光源氏を中心に、さまざまな愛が描かれるが、原作からピックアップされる女性は、藤壺、葵の上、夕顔、六条御息所の4人。物語も現実も宮中が舞台で、すべてが幻想的な人工美にあふれている。生田斗真が元祖・イケメンをハマリ役で演じ、華麗な舞「青海波」まで披露する熱演ぶりだが、新鮮なのは、情念や嫉妬から生霊となる六条御息所を、田中麗奈が演じていること。見る前はミスキャストに思えたが、フタを開けてみれば彼女の切れ長の瞳に狂気が宿って、女優としての新境地を拓いたように思う。壮麗な寝殿作りのセット、優雅な衣装、美男美女の登場人物たち。美しき王朝絵巻は、時空をも越える陰陽師・安倍晴明を登場させて、アクション・ホラーの隠し味も。映画は、女性の手の中で踊る光源氏の、マザコン風味の青春物語というイメージだ。しばし風雅な世界を楽しみたい。
【60点】
(原題「源氏物語 千年の謎」)
(日本/鶴橋康夫監督/生田斗真、中谷美紀、窪塚洋介、他)
(優雅度:★★★★☆)
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源氏物語 千年の謎@ぴあ映画生活

阪急電車 片道15分の奇跡

阪急電車 片道15分の奇跡 blu-ray  特別版阪急電車 片道15分の奇跡 blu-ray  特別版
片道15分のローカル線・阪急今津線に乗り合わせた乗客たちの人生がクロスする物語「阪急電車 片道15分の奇跡」。大きな感動はないが、見終われば少しだけ心があたたかくなる。

えんじ色のレトロな内装の阪急今津線。そこには、恋人を後輩に寝とられたOL、カレシのDVに悩む女子大生、おしゃれな大学になじめない地方出身の男女、セレブ気取りの奥様たちとの付き合いに戸惑う主婦らがいた。ある時、やりきれない思いを抱えた白いドレス姿の女性に、孫を連れた老女が声をかける…。

物語は心温まる小品なのだが、おせじにもリアルとは言えない。電車の中でこんなにも“イイ出会い”ばかりが集まるか? 普通に考えて、初対面の他人同士がじっくりと話し込むか? すべてがきれいごとのようにスイスイと流れていく展開に、ディープな人間描写など期待できない。だがその“スイスイ感”こそが、電車を舞台にしたストーリーの良さかもしれないと、ふと思う。狭い車内で少しだけ同じ空間を共有し、また別れていく。ライトな距離感が、明るい車窓の風景のように自然と目を和ませる。ありふれた風景がもしかしたら小さなファンタジーにつながっていると思うと、前向きになれる気がしてくるのだ。いい味を出してくれたのは、出番は少ないが、心優しいホテルマンを演じる大杉漣。阪急電鉄の全面協力によるロケのおかげで、車内の風情や沿線の風景がとても丁寧に描かれていて好感が持てる。
【55点】
(原題「阪急電車 片道15分の奇跡」)
(日本/三宅喜重監督/中谷美紀、戸田恵梨香、宮本信子、他)
(楽観主義度:★★★★☆)
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阪急電車 片道15分の奇跡@ぴあ映画生活

スイートリトルライズ

スイートリトルライズ [DVD]スイートリトルライズ [DVD]
穏やかさの中にただならぬ気配がある作品だが、どこか空虚で共感できない話だ。IT会社勤務の聡と人気テディベア作家の瑠璃子は結婚3年目の夫婦。今も恋人同士のような二人はハタから見れば理想的だが、互いに心の距離を感じている。寂しさを抱えた瑠璃子は、ある日、非売品のベアを欲しがる青年・春男と出会い、急速に惹かれていく。一方、聡も大学の後輩であるしほと深い関係に。聡と瑠璃子は互いの相手と逢瀬を重ねるのだが…。

夫の聡は帰宅すると自室に鍵をかけTVゲームに興じ、妻の瑠璃子は夫に用があるときは携帯でメールする。その不自然さを他者に指摘されれば、実は危機と感じているのに平気なふりをする。彼らの関係は波風をたてないための小さな嘘で成り立っているのだ。瑠璃子が「この家には恋が足りないと思うの」とうっかり本心を口に出したことから、嘘がもたらす不安が広がることに。ヒロインは子供がいないせいか、生活感をまったく感じさせない夢の中にいるような女性。だが春男に対し「人は守りたいものに対して嘘をつく」と残酷なことを言う。瑠璃子の心の澱みはかなりどす黒い。聡もまたしほとの関係にのめりこみながらも答えを出そうともしない。夫婦は日々の暮らしの中で互いの澱みを認識するが、それを浄化する唯一の方法が、生活臭い本音のつきあいではないのか。瑠璃子は「腕に入れて」と何度も聡に頼むが、そこは安全でも充足でもないポッカリと空いたブラックホールだ。この物語に白々しさを感じるのは、勇気を出して現実に向き合うことなく、透明で美しいと錯覚した嘘を正当化する姿に嫌悪感を覚えるからかもしれない。「もうすぐ帰る」という言葉は、ハッピーエンドではなく、嘘と嘘の間に生まれた僅かな休息。今回のW不倫はなんとか乗りきれても、夫婦の幸せな未来が見えてこない。この映画の暗い味わいは、不誠実な孤独感にあるのかもしれない。
【45点】
(原題「スイートリトルライズ」)
(日本/矢崎仁司監督/中谷美紀、大森南朋、池脇千鶴、他)
(孤独感度:★★★☆☆)

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しあわせのかおり

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地味だが大崩れもないヒューマン・ドラマ。金沢を舞台に、小さな中華料理店に強引に弟子入りしたシングル・マザーと、病気で老齢の店主との心の触れ合いを描く物語だ。店主の王(ワン)さんとヒロインの貴子の控えめな距離間が少々物足りないが、サッパリと健全な空気は悪くない。ただ貴子の病はあまり効果的ではなかった気も。中国で食と人生のルーツを探るなど意外な広がりがあるが、作品はあくまでも小品。中華料理の猛特訓をしたという主演二人の頑張りとグルメ映画として丁寧な作りを評価したい。海産物や野菜など、北陸特産の食材を活かした料理がどれも美味しそうだ。
【50点】
(日本/三原光尋監督/中谷美紀、藤竜也、田中圭、他)
(ごちそう度:★★★★☆)

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自虐の詩

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不幸と貧乏が2本柱の現代版「夫婦善哉」。原作の4コマ漫画の味わいと、堤監督得意の小ネタ満載の演出がピッタリかみあった。ダメ男にひたすら尽くす幸江役に中谷美紀、パンチパーマがキモ新しい(?)イサオ役に阿部寛と、配役も絶妙。お約束はCGを駆使したチャブ台返しだ。幸江がイサオに耐える理由と少女時代のエピソードの2つの回想パートのバランスの悪さが気になるが、見終われば心があったかくなる。
【65点】
(日本/堤幸彦監督/中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀、他)
(M度:★★★★☆)

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あかね空

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江戸の下町を舞台に前向きに生きる豆腐屋夫婦の人情物語。オンボロ長屋や庶民の街の風景が美しすぎるのが気になるが、その分、人間ドラマはあたたかくて丁寧だ。内田聖陽と中谷美紀という売れっ子俳優の共演が話題。原作は山本一力。
【50点】
(日本/浜本正機監督/内野聖陽、中谷美紀、中村梅雀、石橋蓮司、岩下志麻、他)
(人情度:★★★★☆)

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力道山

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◆プチレビュー◆
修行時代は本当はもっと差別されたはず。日本にやや遠慮した作りでは?力道山の得意技「空手チョップ」は日本と日本人に振り下ろされたものだろうか。試合の場面では多くのプロが出演しているので格闘技ファンの人は必見。

北朝鮮出身の金(キム)は、日本で横綱を目指して相撲にはげむ日々を送る。実力もありスポンサーにも恵まれて力道山という名前をもらうが、彼の前には常に激しい国籍差別が横たわっていた。相撲界での可能性に見切りをつけた彼は、新しいスポーツであるプロレスに転向して活躍してゆく…。

映画は力道山がクラブで刺されるという衝撃的な場面から始まり、彼の苦難の半生を回想するスタイルを取る。プロレスラーの力道山という名前は知っていても、本当の姿を知る機会はなかった。朝鮮人と侮蔑され、その出自を隠して生きていかねばならないつらさ。有名になればなるほど深まる孤独。映画は昭和のヒーローという輝かしい姿をことごとく打ち砕く。

実在の人物を描く場合、演じる役者のアプローチが何よりものを言うが、主演のソル・ギョングの役者根性は凄い。彼は本物の韓国実力派俳優だが、その人物が体重を28キロ増量し、プロレスの技を修得し、さらに映画の97パーセントのセリフを日本語でこなしている。外国人が話す日本語は概ねたどたどしいが、本作では、たくましい格闘家という役柄上、不器用な話し方がかえって効果的となった。そもそも力道山はいつのときも全身で闘ってきた人物。セリフはもともと重要ではないのかもしれない。

「自分は何人でもない。世界人なんだ」とは、力道山の有名な言葉だ。朝鮮人でありながら、日本にやってきて、アメリカへも修行に行き、敗戦後の昭和の日本人のヒーローとなった男。この前向きなセリフの裏側には、どこにも帰る場所がない、故郷を持たない深い悲しみが満ちあふれている。

□2005年 韓国・日本合作映画 英語原題「Rikidozan」
□監督:ソン・ヘソン
□出演:ソル・ギョング、中谷美紀、萩原聖人、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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