映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

二階堂ふみ

リバーズ・エッジ

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版
郊外の工業地帯の町。女子高生のハルナは、自由に生きていても、何事にも執着できず、息苦しさを感じていた。ある時、カレシの観音崎から執拗なイジメを受けているゲイの山田を助けたことがきっかけで、山田から「僕の宝物を見せてあげる」と誘われ、夜の河原にある死体を見る。同じく宝物として死体の存在を共有する摂食障害のモデル・こずえが現れ、3人は友情とは異なる歪んだ絆で親しくなっていく。一方で、ハルナと山田の距離が近くなるのを見て、暴力を加速させる観音崎、ハルナの友人なのに観音崎と身体の関係を続けるルミ、山田が同性愛者と知らずに思いを過激に募らせるカンナなど、若者たちのさまざまな感情が交錯していく…。

都市に生きる若者たちの不安をすくい取った異色の青春映画「リバーズ・エッジ」。原作は「ヘルタースケルター」など多くの代表作を持つ岡崎京子による人気同名コミックだ。時代背景は90年代だが、本作に描かれる漠然とした焦燥、欲望、衝動などは、不思議なほど現代の若者たちの心の揺らぎを照射している。時折挿入されるキャラクターのインタビューが90年代から現代へのメッセージに思えてくるほどだ。河原に放置された死体を見て、勇気や安心を感じる歪な感情は、死をまのあたりにしないと生を感じられないからだろうか。死体を共有することで繋がりを感じる彼らの心の隙間は、想像以上に深く暗い闇に思える。そしてその闇は、爆発寸前まで感情が膨らんだ若者たちをある悲劇へと導いていくのだ。

行定勲監督にとって初めての漫画原作ものだそう。この作品を選ぶとは、なかなかのセンスだ。暴力、いじめ、セックスなど、描かれる内容はハードだが、R15も辞さない演出は的確なものだ。俳優たちは皆、体当たりの演技で好演しているが、やはり若き演技派の二階堂ふみが群を抜く。物事にも人にも執着できず、空虚を抱えながらも、生きることを切望するハルナ。ハルナのインタビューが、キャッチコピーにある“平坦な戦場”で生き抜く不器用なヒロインの覚悟を物語っていた。
【70点】
(原題「リバーズ・エッジ」)
(日本/行定勲監督/二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、他)
(焦燥感度:★★★★☆)


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SCOOP!

SCOOP! 豪華版Blu-ray/DVDコンボ
かつて写真週刊誌「SCOOP!」に所属し、数々の伝説的なスクープ写真を撮ってきた凄腕カメラマンの都城静は、ある出来事をきっかけに報道写真への情熱を失い、今ではフリーの芸能スキャンダル専門パパラッチに転身。何年も、借金まみれの自堕落な日々を送っていた。そんな静が「SCOOP!」に配属されてきた新人記者・行川野火とタッグを組むことになる。まったくかみ合わない静と野火はケンカばかりだったが、情報屋のチャラ源からのネタと、場数を踏んできた静のカン、そしてド新人の野火の度胸を武器に、やがて次々にスクープをものにするようになる。そんな中、二人は、日本中が注目する大事件に遭遇するが…。

写真週刊誌の編集部を舞台に、落ち目の中年パパラッチと新人記者のコンビの活躍を描く「SCOOP!」。原作は、1985年製作で幻の作品と呼ばれる原田眞人監督・脚本作品「盗写 1/250秒」だ。福山雅治の初の汚れ役ということで話題だが、ダーディーでエロくて、だらしないのに、それでもカッコイイ男に見えるのが、福山の強みである。物語前半は、凸凹コンビの軽妙なやり取りから、次々にスクープをものにしながら共に成長していく姿を、中盤はまさかの奇策で大スクープをものにするカメラマンと記者、そして編集部の仕事ぶりを描く。終盤には、衝撃的な展開が待っているのだが、何しろこの映画、配給会社よりかん口令(ネタバレ禁止)が出ているので、詳細は明かせない。思わず「!」のラストとだけ言っておこう。芸能人のスキャンダルを追うパパラッチは、一般的に好印象を与えない仕事だが、本作では、そんな写真週刊誌を作る人々の意地や本音、低俗なスキャンダルを欲する大衆心理をも垣間見ることができる。静はカメラマンとしての誇りや情熱を心のすみに隠しながら、あえてワルぶっていて、彼を愛する女たちはそのことを知るからこそ、惹かれていくのだ。ミュージシャン、俳優以外にも写真家としての顔を持つ福山雅治には、願ったりの役だったのかもしれない。若手演技派の二階堂ふみは、エキセントリックな演技で持ち味を発揮するが、今回は素直さが魅力の女の子の役で、上手さと新鮮さを見せている。一番印象に残るのはチャラ源を演じるリリー・フランキーの怪演。チャラ源と静の、少しいびつな友情に哀愁が漂っていた。
【60点】
(原題「SCOOP!」)
(日本/大根仁監督/福山雅治、二階堂ふみ、リリー・フランキー、他)
(ダーティー度:★★★★☆)
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オオカミ少女と黒王子

オオカミ少女と黒王子 ブルーレイ プレミアム・エディション(初回仕様/2枚組) [Blu-ray]
恋愛経験ゼロなのに、周囲に合わせるため、彼氏がいると嘘をついてしまった篠原エリカ。友人から疑われたため、街で見かけたイケメンの男子を盗撮し、友人に彼氏だと言ってその写真を見せるが、それは学校一のイケメン同級生・佐田恭也だった。エリカは恭也にワケを話し、彼氏のフリをしてもらうように頼むが、恭也は優しそうな外見とは裏腹のドSな性格。エリカに自分の言うことを何でもきく犬になるように命令する。やむを得ず承知したエリカは、恭也に振り回される日々を送るが、恭也が時折見せるやさしさにときめくようになる…。

八田鮎子による人気コミックを実写映画化した学園ラブストーリー「オオカミ少女と黒王子」。「黒崎くんの言いなりになんかならない」といい、本作といい、昨今はドSのイケメン男子が人気なのか? それはさておき、物語はすべてが予想通りに進んでいき、驚きは皆無。それにしても主人公・エリカのダメっぷりはひどい。ミエで嘘をつく、ひとりぼっちがイヤというだけで友達がいのないグループに所属する、しっかりものの親友から大事なアドバイスを受けても聞こうとしない。こんなに共感できないヒロインは珍しく、何なんだ、このコ?と腹が立ってくるのだが、そんな思春期のダメな女の子を、若手演技派筆頭の二階堂ふみが演じているところが最大の驚きだ。しかも上手い。個性的でブチ切れた役柄ばかり演じているが、フツーの女の子を演じることもできるのだ!と改めて感心してしまった。コメディエンヌの素質も感じるし、新しい二階堂ふみを見るという意味で意義ある作品。胸キュン率は意外と低い気がするが、原作ファンの反応が知りたいところだ。
【40点】
(原題「オオカミ少女と黒王子」)
(日本/廣木隆一監督/二階堂ふみ、山崎賢人、鈴木伸之、他)
(共感:★★☆☆☆)
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園子温という生きもの

園子温という生きもの [DVD]
園子温(そのしおん)は、50歳近くまで食うや食わずの映画監督だったが、「冷たい熱帯魚」から「新宿スワン」までの5年の間に激変した。国際映画祭の常連監督となり、女優の神楽坂恵と結婚し、バンドや作家活動でも才能を発揮する。そんな彼の多彩な活動を、ゆかりの人物へのインタビューを交えて検証し、生きもの・園子温の姿に迫る。

音楽、絵画、路上パフォーマンスなど、さまざまな分野で精力的に活動し、才能を発揮している園子温監督の日常を追った長編ドキュメンタリー「園子温という生きもの」。2014年にテレビ番組「情熱大陸/映画監督・園子温」を演出した大島新監督が、テレビでは収まらない規格外の園の魅力を描きたいという思いで完成させたのが本作だ。今、日本で最も多作な監督である園監督の日常は、とにかく目まぐるしいほど忙しい。新作映画の企画会議、マスコミへの露出、アトリエでの自由奔放な絵画制作、ミュージシャンとしてライブを行うかと思えば、路上パフォーマンスで警察に事情徴収されたりもする。なんだか「生き急ぐ」という言葉を思い浮かべてしまうが、それほどまでに精力的に動くのは、やはり東日本大震災を経験したこの日本で生きる以上、やれることはすべてやる!という彼なりの決意表明に思えてならない。新作「ひそひそ星」の撮影で、福島の被災地をロケ地に選んだのも、「ヒミズ」「希望の国」でいち早く福島の現状を描いたものも、そのためだろう。インタビューで登場するのは、園作品に出演した染谷将太、二階堂ふみ、妻であり園映画のミューズである神楽坂恵、映画プロデューサーや雑誌編集長など、彼を知る多彩な人々だ。また、家族(妹で、この方がまたユニーク!)が登場するなど、まさにプライベートをさらけ出している。園監督自身が、まったく芽が出ず売れなかった時代を、悲壮感よりも面白がって話す姿が興味深い。この監督、自分をむきだしにして、まだまだ面白いことをやってくれそうだ。
【50点】
(原題「園子温という生きもの」)
(日本/大島新監督/園子温、染谷将太、二階堂ふみ、他)
(むきだし度:★★★★☆)
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蜜のあわれ

蜜のあわれ [Blu-ray]
老境の作家と、自分のことを“あたい”と呼び、丸いお尻と愛嬌のある顔をした少女・赤子は、共に暮らしながら、少しエロティックなおしゃべりをして過ごしている。作家を“おじさま”と呼ぶ赤子の正体は、実は真っ赤な金魚だった。そこに、老作家への愛を募らせて蘇った女・ゆり子の幽霊が現れて、奇妙な三角関係に陥るが…。

昭和の文豪・室生犀星の晩年の小説を映画化した「蜜のあわれ」は、大人のファンタジーだ。室生犀星にこんな前衛的で幻想的な作品があったことを初めて知った。映画は、金魚の少女を、二階堂ふみが演じたことで“勝ったも同然”で、犀星自身を投影している作家を無邪気に翻弄する小悪魔ぶりがあまりにハマッている。老いた知識人の願望は、つまるところ、こういう変幻自在の女性のエロティシズムなのだろうか。金魚の少女はもとより、美しい女幽霊や、盟友で天才作家・芥川龍之介の幽霊、すべてを知り事態を見守る金魚売りの男と、登場するキャラクターのすべては老作家の分身に違いない。大正ロマンをかきたてられる美術が繊細で美しく、北陸でロケした映像もまた幻想的だ。さらに、いかにも映画的なのは、ミュージカル要素が入っていること。畳の和室で、コケティッシュなダンスを踊るシークエンスは、レトロモダンで、妙な色気があったりする。明確なストーリーはなくラストも唐突だが、幻想的な文芸ロマンの世界に遊んでみるのも悪くない。
【60点】
(原題「蜜のあわれ」)
(日本/石井岳龍監督/二階堂ふみ、大杉漣、真木よう子、他)
(文芸ロマン幻想的度:★★★★☆)
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この国の空

この国の空 [Blu-ray]
終戦末期を舞台に19歳の少女の許されぬ恋を描く「この国の空」。戦時下の話にしては“食べる”場面が多いなぁ…。

1945年、終戦間近の東京、杉並。母と叔母と一軒家で暮らす19歳の里子は、空襲におびえて暮らしながら、自分は適齢期なのに、恋愛も結婚も知らないまま死んでいくのだろうかと不安を抱えている。そんな時、妻子を疎開させ、徴兵を免れた隣家に住む男性・市毛の世話をするうちに、里子は市毛に惹かれていく…。

実力ある脚本家である荒井晴彦監督が久し振りにメガホンをとった本作は、庶民の暮らしをリアルに描きながら、死と隣り合わせの非常時の中で思春期の少女が女に目覚める瞬間を切り取っている。ヒロインの里子は19歳。たとえもんぺをはいていても化粧っけなどなくても、一番美しい年齢だ。なのに彼女の周辺には若い男性はどこにもいない。年寄りばかりの町内では、妻子持ちとはいえ隣家の市毛は“マシ”な恋愛対象なのだ。里子の母親が明日死ぬかもしれない娘にとって市毛を受け入れるのが最善なのだと口にするのは、里子に対し、せめて男性と結ばれてから死なせてやりたいという戦時下ならではの屈折した母心だ。監督自身が自覚しているように、本作は、庶民のつつましい暮らし、男女の恋愛の機微など、名匠・成瀬巳喜男監督の影響がはっきりと見て取れる。終盤、ついに終戦という時、里子は戦争が終わる喜びや安堵より、戦争が終われば市毛の妻子が戻ってくる、自分の恋愛の行く末は…と心を悩ませる。戦争終結が決して単純な平和に結びつかず「これから自分の戦争が始まるのだ」と予見するラストは、この映画が成瀬の代表作「浮雲」のプロローグのように思えてならない。「そろそろ、そろそろ」という意味不明の擬音を発しながら畳の上を転がる二階堂ふみが、妙にエロティックだった。
【60点】
(原題「この国の空」)
(日本/荒井晴彦監督/二階堂ふみ、長谷川博己、工藤夕貴、他)
(エロティック度:★★★★☆)
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味園ユニバース

味園ユニバース 初回限定 [Blu-ray]
記憶喪失の男が自分自身と向き合う物語「味園ユニバース」。映画初主演の渋谷すばるのパンチの効いた歌声がいい。

大阪のとある広場で行われていた、バンド・赤犬のライブの最中に、傷だらけの男がふらふらと現れ、突如マイクを奪って歌い始める。圧倒的な歌声を披露した後、意識を失って倒れたその男に興味を持った、赤犬のマネージャーのカスミは、彼を自宅に連れ帰り、ポチ男と名付けて面倒を見ることに。やがてバンドのヴォーカルを務めることになったポチ男だが、彼の過去には、トンデモナイ問題があった…。

タイトルになっている味園ユニバースとは、大阪“ウラなんば”にある複合施設のビルの名称で、関西のサブカルチャーの発信地として知られている。その独特の雰囲気や庶民感覚は地元の人にしかわからないかもしれないが、レトロな香りが漂うその街は、身元不明の人間を迎え入れるおおらかさがあるのだろう。さらに、インディーズ音楽シーンの熱気からもわかるように、雑多で熱い文化を発信するスポットのようだ。記憶喪失で歌が上手いポチ男こと大森茂雄は、断片的な記憶から自分自身の情報を集めているのだが、行きつく事実は決して甘くない。薄汚れてイタい本当の自分自身に向き合うためにも、彼には歌が必要なのだ。アイドルグループ、関ジャニの渋谷すばるは、映画には過去にも出演しているが、単独主演は本作が初めて。彼の歌唱力を最大限に引き出すために、歌やライブのシーンがふんだんに盛り込まれるが、青春音楽映画の傑作「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督は、渋谷を決してアイドル扱いせず、むしろ、クタビれ具合が味がある枯れた男として描いた。それが渋谷の個性に驚くほどマッチしていて、この人は、案外、俳優としていいものを持っているかも…と感じさせる。二階堂ふみ演じるカスミも、記憶を失くしたポチ男も、時にやり場のない怒りやいらだちを音楽にぶつけ、すべての思いをのせたクライマックスのライブへと昇華していく。恋愛要素はほぼないのだが、それが案外、清々しさの要因かもしれない。
【65点】
(原題「味園ユニバース」)
(日本/山下敦弘監督/渋谷すばる、二階堂ふみ、鈴木紗理奈、他)
(音楽映画度:★★★★☆)
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日々ロック

日々ロック [Blu-ray]
ヘタレロッカーの音楽への情熱を描く「日々ロック」。音楽界こそ究極の格差社会かもしれない。

さえない高校生の拓郎は、ロックをこよなく愛する気持ちだけは人一倍だ。友人とバンドを結成した拓郎は卒業後上京し、ライブハウスで住み込みで働きながら音楽を続けるが、さっぱり人気は出ない。そんなある日、世界的に名高いトップアイドル・宇田川咲が拓郎らのライブに乱入。その後、自分に歌を書いてほしいと依頼してくる。売れないバンドとトップアイドルの出会いは、彼らの運命を変えることになるのだが…。

原作は、榎屋克優の同名コミック。いじめられっ子、勉強もスポーツもダメ、女にもてない。どこから見ても負け組だが、ロックを愛する心だけは誰にも負けない。主人公はそんな音楽バカだ。とはいえ、音楽の道は険しく、自分のやりたい音楽を目指せば売れないし、売れるためには世間に迎合せねばならない。薄暗いライブハウスでも、人気バンドとそうでないバンドとでは待遇も違うし、客の態度もはっきりとしている。音楽プロデューサーからは才能がないときっぱり言われる始末。これほど過酷な環境でもロックへの熱い魂を忘れない拓郎の情熱を、自分が使い捨てのアイドルだと自覚する咲は、本物だと見抜いたのだ。やりたい音楽を、自由に歌い叫ぶ拓郎に自分の夢を託して。もっとも、クライマックスは拓郎のサクセスではない。ある秘密を抱えた咲のため、音楽への情熱を共有できた咲のため、ヘタレの拓郎がド根性を見せるのである。それが嵐の中での命がけの爆音ライブだ。このエモーショナルなシーンは本当に素晴らしく、挫折や苦悩を突き抜けたピュアな情熱が胸を打つ。その後のノホホンとしたシークエンスもまた良し。売れっ子の二階堂ふみが、歌、ダンス、ギターを熱演。勢いのある女優は何でもできるんだなぁ…と感心した。
【65点】
(原題「日々ロック」)
(日本/入江悠監督/野村周平、二階堂ふみ、前野朋哉、他)
(ロック愛度:★★★★☆)
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日々ロック@ぴあ映画生活

私の男

私の男 [Blu-ray]
雪に閉ざされた世界を舞台に禁断の愛を描く「私の男」。北海道パートの映像が素晴らしく魅力的。

北海道・奥尻島を襲った大津波によって家族を失った10歳の少女・花は、遠い親戚だという腐野淳悟に引き取られ、互いに寄り添うように暮らす。高校生になった花と淳悟のただならぬ関係に気付いた地元の名士・大塩は、そのことを花に問い詰め、淳悟と離れるように諭す。やがて大塩の死体が流氷の海で発見され、花と淳悟の二人は、逃げるように北の海から東京へと向かうが…。

原作は直木賞を受賞した桜庭一樹の同名小説。近親相姦や殺人など、ショッキングな要素が散りばめられた、官能的な衝撃作だ。何と言っても、オホーツクの北の海、流氷、雪に閉ざされた街といった寒々しい空気をとらえたカメラワークが素晴らしい。閉ざされた世界で生きる孤独な男女のゆがんだ関係と、雪と氷の世界が呼応して、インモラルな愛の物語を構築しているのだ。北海道パートの物語がこのように魅力的なのに対し、逃避行先の東京は、花の小悪魔ぶりが紋切型で面白味に欠ける。とはいえ、若き演技派の二階堂ふみの、無垢と淫蕩の二面性は、見事なファム・ファタールぶりだ。熊切和嘉監督は「海炭市叙景」と同じ北国を舞台に、「夏の終り」にも通じる暗く濃密な愛を描いたが、本作では、禁断の愛に溺れる部屋が血の海になるといった異様な幻想シーンなど、らしからぬ演出も織り交ぜている。原作では様々な語り部が登場する物語を、時系列に沿って分かりやすく構築したのは、花が結果的にすべての主導権を握るストーリーを浮き彫りにするためなのだろう。グロテスクな後味が残る本作は、好きな映画かと問われれば、明らかに違うのだが、記憶に強く焼き付く作品だった。
【65点】
(原題「私の男」)
(日本/熊切和嘉監督/浅野忠信、二階堂ふみ、藤竜也、他)
(ファム・ファタール官能度:★★★★☆)
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地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い コレクターズエディション [Blu-ray]
ヤクザの抗争を背景にトンデモない映画愛が炸裂する任侠娯楽作「地獄でなぜ悪い」。お約束の血みどろ描写はいつも以上に過激だ。

ヤクザの組長の武藤は、服役中の愛妻のため、娘のミツコを主演に映画を作ることを決意する。手下をスタッフにし、たまたまミツコの男と勘違いされた気弱な青年・公次と、うだつのあがらない自主映画の監督・平田を巻き込むことに。背景は、武藤組が、敵対するヤクザの池上組に殴りこみをかけるというものだが、池上はミツコに恋しているから事態はややこしい。本物のヤクザ同士の抗争を舞台に、史上最も命がけの映画がクランクインするが、やがてそれはトンデモない方向へと向かっていく…。

園子温監督といえば、性と暴力を過激に描くのが定番。近年は社会派映画に傾いていたが、本作は、彼が20年前に自らの体験を盛り込んで書いた脚本で、自身初のコミカルな痛快なエンタテインメントだ。中身はまるでごった煮状態で、任侠、恋愛、アクションとハチャメチャな内容に唖然とする。無駄にかっこいい國村隼と堤真一が、敵対するヤクザを演じるが、堤演じるヤクザの池上は、元少女アイドルのミツコを熱愛。さらにへたれ青年の公次もミツコに純愛を捧げているから、恋愛度数もかなり高い。だが最もテンションが高いのは“映画愛”だ。これが映画ファンの琴線に触れるのは間違いない。ヤクザ映画班は、俳優、照明、音響と大活躍だが、映画作りとヤクザの抗争が一体化する展開は、ついには、一大スプラッタ状態へ。最初は日本刀、次に銃、はたまたどこから用意したのかマシンガンまで飛び出して、スクリーンは鮮血に染まっていく。もとより、園作品は誰にでもすすめられる口当たりのいいものではないのだが、本作は娯楽作といいながら、しっかりマニアックな作りなのが素晴らしい。荒唐無稽と言ってしまえばそれまでなのだが、誰よりも濃い映画愛と、最後の最後で虚実をミックスするオチにはガツンとやられてしまった。映画への愛を形にできるのなら、そこが地獄でもかまわない。まさしく園ワールドである。…しかし、ハミガミのCMの歌が頭にこびりついて離れない。どーしてくれる!
【65点】
(原題「地獄でなぜ悪い」)
(日本/園子温監督/國村隼、長谷川博己、堤真一、他)
(スプラッタ度:★★★★★)
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