映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「オリエント急行殺人事件」「DESTINY 鎌倉ものがたり」「ルージュの手紙」etc.

北野武

アウトレイジ 最終章

映画「アウトレイジ 最終章」オリジナル・サウンドトラック
関東の山王会と関西の花菱会の間で起きた熾烈な権力闘争の後、韓国に渡った元大友組組長・大友は、日韓の裏社会を牛耳る実力者の張会長のもとに身を寄せていた。ある時、大友が仕切る済州島の歓楽街で、韓国に出張中の花菱会の幹部の花田が問題を起こし、張会長の部下が殺害される事件が発生。これに怒りが収まらない大友は、手下を連れて日本に戻るが、この事件はやがて花菱会内部の権力争いと、さらには張グループとの抗争に発展していく…。

裏社会の男たちが繰り広げる極悪非道の権力闘争を描いて大ヒットを飛ばした「アウトレイジ」シリーズの完結編「アウトレイジ 最終章」。第1作では、関東の巨大暴力団組織・山王会の権力闘争を、第2作では、関東の山王会と関西の花菱会の熾烈な抗争と裏で手を回す警察組織の陰謀を描いた。北野作品初のシリーズものの完結編である本作は、どこか日本映画の伝統である任侠映画の良さを醸し出している。しぶとく生き延びた主人公・大友は、自分を守ってくれた張会長の恩義に報いるため、また、過去の抗争で殺された兄弟分・木村の仇を取るため、韓国から日本に戻り、自ら非情な抗争の渦中に飛び込んでいく。

裏切りや打算、因縁をひきずりつつ、エゴまるだしで暴走するこの群像劇は、とにかく不敵な面構えの俳優たちの顔が魅力だ。特に新キャラで、狂気と笑いが同居するピエール瀧がいい。劇中、西田敏行演じる花菱会の若頭・西野が、大友を「あんな古臭いヤクザ」と吐き捨てるように言う場面がある。つまり全員悪人のアウトレイジであっても、大友は結局、義理や恩義に囚われた過去の遺物で、そういう類の人間は消え去る運命にあるのだ。相変わらず凄惨で、それでいて笑える凝ったバイオレンス描写が満載だが、暴力の中に、古き良き任侠映画の終焉の時を見るようで、哀愁がひときわ際立つ最終章となった。だからだろうか、冒頭の済州島でのんびり釣りをしている大友の姿に、北野映画の大きな魅力である虚無感が色濃く漂っている。
【60点】
(原題「アウトレイジ 最終章」)
(日本/北野武監督/ビートたけし、西田敏行、大森南朋、他)
(クラシック度:★★★★☆)
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龍三と七人の子分たち

龍三と七人の子分たち [Blu-ray]
元ヤクザの老人たちが若い新興犯罪組織相手に暴れまわるコメディー・ドラマ「龍三と七人の子分たち」。社会問題をからめつつ、まるで説教臭くないところがいい。

かつて“鬼の龍三“と恐れられた元ヤクザで70歳の龍三は、引退した今では家庭にも社会にも居場所がなく、世知辛い世の中を嘆いていた。そんなある日、オレオレ詐欺に遭遇したことをきっかけに、元暴走族の京浜連合と因縁めいた関係になってしまう。高齢者を騙す若い連中を成敗するべく、龍三はかつての仲間たちを招集し、勢いで一龍会を結成して、京浜連合のチンピラたちの邪魔をするのだが…。

北野武監督の「アウトレイジ」は壮絶なヤクザ映画だったが、同じヤクザを扱っていても、本作は、元ヤクザのおじいちゃんたちが主人公。ストーリーはシンプルで、元ヤクザの老人たちが、彼らなりのやり方で、高齢者を喰いものにする犯罪集団に一泡ふかせるというもの。高齢化社会、福祉・老人問題、オレオレ詐欺や悪徳商法などの社会問題を扱い、時事ネタも多いが、社会派のメッセージはなく、どこかズレた昔気質の老人たちの言動に、しばしばほろ苦い笑いがこみあげる。世直しといっても元ヤクザ、やることなすことハチャメチャで、そのギャグは北野武、いやビートたけし、いやいやツービートの漫才やギャグのノリなのだ。高齢者に頑張れとエールを送るわけでもないし、若者を非難も擁護もしない。龍三と息子が感動的に分かり合うハズもなく、老人(劇中ではジジイと連呼する)たちの暴れっぷりときたらまるで子供じみているのだ。北野武監督自身、刑事役で出演するが、監督もまた“ジジイ”世代。キャッチコピーにもある通り“俺たちに明日なんかいらない!”とばかりに開き直ったことで、パワーが生まれた。終盤にはまさかのカーチェイスまである。藤竜也はじめ、ベテラン俳優たちの肩の力がぬけた名演で、老人映画の快作に仕上がっている。
【65点】
(原題「龍三と七人の子分たち」)
(日本/北野武監督/藤竜也、近藤正臣、中尾彬、他)
(ペーソス度:★★★★☆)
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アウトレイジ

アウトレイジ [DVD]アウトレイジ [DVD]
ヤクザ社会の下剋上をすさまじい暴力描写で描く、温故知新のキタノ映画だ。関東一円で勢力を張る巨大暴力団組織・山王会組長が、直参である池本組の組長・池本に直系でない村瀬組を締め付けるように命令する。池本にとって村瀬は兄弟分。池本はその厄介な仕事を配下である大友組の組長・大友に押し付ける。そのことが、非情なヤクザ社会で、裏切りと駆け引きの壮絶な権力闘争の幕を切って落とすことになる…。

ヤクザ世界を描くことや暴力描写は北野武監督の原点である。だがここにはかつてのキタノ映画に見られた静謐なムードは微塵もない。大量のセリフと怒号が飛び交うこの群像劇には、キタノ映画に初参加の俳優の顔触れが功を奏して、新鮮な“男の映画”の趣がある。全員が極悪非道(アウトレイジ)という設定だが、監督自身が演じる大友のキャラクター造形が面白い。弱小組織の組長・大友は、サラリーマンでいう中間管理職のようなのだ。上からは無理難題を押し付けられ、下に対しては何かと面倒を見て気を配らねばならない。なんともやるせない立場で、ため息ものだ。もちろん、エゴイズム丸出しのヤクザ社会の中に、キタノ節である、とぼけた笑いも。キャラクターは皆、見事に立っているが、中でも加瀬亮が突出している。今までのナイーブで草食系のイメージを払拭する、知性の中に狂気を秘めた凶暴な役柄を見事なキレッぷりで演じている。最後の最後に見せる表情は、なんとも気味が悪い怖さを漂わせていた。残酷描写の連打に目をそむけたくなることも多かったが、それでも北野監督が暴力の世界をリロードして臨む、ニュー・バイオレンス映画には、圧倒的な迫力がある。
【65点】
(原題「アウトレイジ」)
(日本/北野武監督/ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、他)
(バイオレンス度:★★★★★)


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アキレスと亀

アキレスと亀 [DVD]アキレスと亀 [DVD]
夫婦愛の形を借りた芸術残酷物語だ。画家の真知寿(まちす)は妻の支えで絵を描き続けるが、まるで評価されない。やがて夫婦は奇行に走るようになる。絵のことしか頭にない真知寿と彼がとり憑かれている芸術は、いわば怪物。献身的な妻でさえ、夫がアーティストでなかったらここまで彼につきあったかどうか。主人公の周囲の人が次々に死ぬのが象徴的で、芸術は麻薬のように中毒になる。それは映画も同じで、流行に翻弄される風潮を北野流ギャグで批判するスタイルが素晴らしい。取って付けたようなハッピーエンドは芸術へのリバウンド。薄気味悪くも鋭い作品で、油断禁物だ。
【70点】
(日本/北野武監督/ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、他)
(タイトルが上手い度:★★★★☆)

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それぞれのシネマ〜カンヌ国際映画祭第60回記念製作映画〜

それぞれのシネマ ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~
映画好きをときめかせる贅沢なオムニバス映画は、名監督揃い。総勢34名(ダルデンヌ兄弟は2人と換算)の大所帯だが、作家性が強いだけにすぐに誰の作品かわかる。映画館と映画を描くため、過去の名作も豊富に登場。これまた嬉しい。わずか3分で“物語”を語るのは難しいが、記念映画ならそれもいいだろう。最も気に入ったのは、意外にもユーモラスなケン・ローチの「ハッピーエンド」。この企画自体を笑い飛ばすセンスが洒落ている。
【70点】
(英語原題「TO EACH HIS CINEMA」)
(フランス/北野武他、34名監督/ジャンヌ・モロー、ミシェル・ピッコリ、北野武、他)
(百花繚乱度:★★★★★)

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監督・ばんざい!

監督・ばんざい! <同時収録> 素晴らしき休日 [DVD]監督・ばんざい! <同時収録> 素晴らしき休日 [DVD]
様々な作風の映画のさわりを見せる前半はおもしろい。だが後半の展開には監督の確信犯的迷走ぶりが見えて、ドッと疲れた。暴力映画は二度と作らない!と宣言し、恋愛、SF、ホラーなどに挑戦しては自分自身にツッコミを入れて映画をぶちこわす北野監督。映画の常識を壊すのが意図ならば成功だろう。
【50点】
(日本/北野武監督/ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、他)
(破綻度:★★★☆☆)

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座頭市

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]座頭市 <北野武監督作品> [DVD]
◆プチレビュー◆
勝新にどれだけ思い入れがあるかで評価が分かれる作品だ。海外での好評は、座頭市そのものを知らないことが吉と出たか。芸者遊びやお祭りなどの日本文化を盛り込んだサービスにも抜かりがない。ギャグは個人的にはあまりノレなかった。

ヤクザの銀蔵一家が仕切る宿場町に、3組の旅人が入る。盲目で居合い斬りの達人の座頭市。凄腕の浪人で病気の妻の薬代を稼ぐため用心棒稼業をする服部源之助、親の仇を探す旅芸者の姉妹おきぬとおせい。三者の思惑が絡み合い、やがて壮絶な闘いが繰り広げられる…。

子母沢寛の随筆集「ふところ手帖」に、ほんの数行登場する座頭市。博打好きで女好きのヤクザものだ。座頭市と言えば故勝新太郎の一世一代のあたり役で、他の俳優によってきちんとした形で演じられるのはおそらくこれが初めてだろう。イメージが固定している傑作時代劇のキャラクターに挑戦するだけでも勇気がいることだ。しかし“世界のキタノ”が打ち出したのは単なるリメイクではない。盲目で居合い斬りの達人ということ以外全てが新しく、斬新なのだ。

金髪、ギャグ、タップダンス…。こういう話題が先行すると、もしやパロディかと思ってしまうが、実は驚くほど正統派時代劇の趣が漂っている。宿場町での旅人の出会いや、剣の達人同士の一騎打ち、仇打ちの助太刀などは、時代劇の典型的スタイル。石灯篭を砕き、とっくりを斜めに切り、障子の向うの見えない敵を倒すのもお約束通りだ。おぉ、時代劇してるじゃないか!とヘンに感心させられる。今だから言うが、座頭市リメイクの噂を初めて耳にした時は、ダンスとコント満載の珍作“狸御殿”シリーズの勝新を連想して、密かに身構えていたのだ。

では、いったいどこが新しいのか。何しろたけしの市は、殺陣(たて)が凄い。そして速い。まさに瞬殺で、カメラが動きを追えなかったというのも、あながち宣伝用の誇張ではなさそうだ。このスピードは「椿三十朗」の三船敏郎といい勝負じゃなかろうか。第一、切り合う前にクドクドと講釈をタレたりしないところがいい。正義の啖呵など切らずにいきなり狂ったように斬る。寡黙でストイックな浪人を演じるアサチュウが魅力的で、市の宿命のライバルとして、善悪とは全く異なる命のせめぎあいの興奮を観客に与えている。大義など関係ない。闘わずにはいられないのだ。

もちろんキタノ流のバイオレンスも満載で、容赦なく腕を切り落とし、指をそぐ。血しぶきが飛ぶ過激な場面も多いが、激闘の後、記憶に残るのは血の赤より仕込み杖の朱の色だった。クワの音、つまびく三味線、雨の水滴と、リズム・パフォーマンスによって物語を導き、遂にはタップの群舞を登場させて高揚感は頂点に。伝統と革新のバランスと、エンタメ映画へのチャレンジ精神に、北野武の才を見る。

最後の最後に用意された驚愕は、座頭市という超有名アウトローを固定観念の呪縛から解き放つかのようだ。極めつけの見せ場は静寂の中にある。市の最後のセリフが強烈で、シビれてしまった。リメイク流行りの昨今だが、これくらいの気概と根性を見せてくれれば、何も文句はない。

□2003年 日本映画  原題「座頭市 ZATOICHI」
□監督:北野武
□出演:ビートたけし、浅野忠信、大楠道代、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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