映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

原田芳雄

大鹿村騒動記

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阪本組の常連俳優たちによる大人のコメディ「大鹿村騒動記」。役者たち自身が楽しんで演じているのが伝わってくる。

長野県の山麓地帯にある大鹿村。村歌舞伎で有名なこの村で鹿料理の店を営む善は、村歌舞伎を生きがいにしている花形役者だ。そんな彼のもとに18年前に駆け落ちして村を出奔した妻の貴子と幼馴染の治が戻ってくる。脳の病気で記憶を失っている貴子を、治は「ごめん。善ちゃんに返す」という。困惑し、心乱れる善はついに芝居を降りる!と言い出し、そこに大型台風まで接近。果たして伝統ある村歌舞伎の幕は開くのだろうか?!

この映画、ひと言でいえば、初老の男女3人の色恋騒動だ。作品の規模も物語のスケールもごく小さいのだが、妙に心地よいのは芸達者な俳優たちの存在が際立っているからである。だが実はそれだけではない。村歌舞伎の演目とストーリーがリンクする展開、リニア新幹線誘致と戦争の影という新旧のバックグラウンド、さらにひょっこりと村に現れる性同一性障害の青年という異化効果。脚本がなかなかひねりが効いていて秀逸なのだ。撮影期間はわずか2週間だったそうで、監督はじっくりと演出するのではなく名優たちの一発勝負の演技とアドリブで、勢いを大事にしたという。それはそのまま舞台が持つ一期一会の魅力にもつながっている。大鹿村に実在する300年の伝統を誇る村歌舞伎の演目は、平家の落ち武者が大暴れする「六千両後日文章 重忠館の段」。認知症を患う貴子は、自分が駆け落ちしたことさえ忘れているが、なぜか善と結婚するきっかけになったこの芝居で演じたセリフを覚えていた。このことが、小さな村に吹き荒れる恋の嵐に答えを出してくれる。にぎやかな群像劇は阪本順治にしては珍しいスタイルだが、本作は味わい深い人情喜劇に仕上がった。鹿料理店の名称が名作映画をもじったような「ディア・イーター」というのが可笑しかった。
【65点】
(原題「大鹿村騒動記」)
(日本/阪本順治監督/原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、他)
(ほろ苦度:★★★★☆)
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たみおのしあわせ

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これほどの豪華キャストなのに、作品にまったく好感が持てないのは、登場人物全員がイヤな奴だからか。悪いヤツならまだ救われるものを。子離れできない父と成り行きまかせの息子が、結婚しようと奮闘する。名作青春映画を意識したラストは、幸せな未来ではなく、大人になることを拒み過去へと逃避するものだ。不完全燃焼は狙ってのことだろうが、これでは共感は得られない。ダサいオダジョーと謎の人物・忌野清志郎は秘かにウケた。
【20点】
(日本/岩松了監督/オダギリジョー、原田芳雄、麻生久美子、他)
(ツボが違いました度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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