映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ゲット・アウト」「ブレードランナー 2049」「先生」etc.

吉高由里子

ユリゴコロ

ユリゴコロ (双葉文庫)
カフェを営む亮介の平穏な日常は、父が余命宣告され、さらに婚約者の千絵が失踪するという事態で、突如崩れ去ってしまう。失意の亮介は、父が住む実家で“ユリゴコロ”と書かれたノートを発見。そこには、人間の死でしか、生きていくための拠りどころを感じられない殺人者・美紗子の告白の物語がつづられていた。繰り返される殺人、友人の自殺、自分を心から愛してくれる男性・洋介との出会い…。これは創作か、事実か。誰が何のために書いたのか。なぜ自分はこれほどまでにこのノートに惹きつけられるのか。そんな時、亮介のもとに、千絵とかつて同僚だったという女性が、千絵の伝言を持って現れる…。

人間が死ぬ瞬間を見ることを唯一の心の拠りどころとして殺人を繰り返す女の壮絶な人生を描くミステリー「ユリゴコロ」。原作は沼田まほかるの同名小説で、いわゆる“イヤミス(読後にいやな気分になるミステリー)”と呼ばれるジャンルだ。映画は、亮介が読む手記の中の過去の物語と、亮介と父、失踪した婚約者・千絵らの現在のパートが交錯しながら、進んでいく。

殺人でしか心が満たされないという設定上、かなり凄惨な描写が登場するが、同じく死に取りつかれた美紗子の友人・みつ子のリストカットといった、殺人とは少し違う流血場面も相当に生々しい。ミステリーなので詳細は明かさないが、ノートに引きこまれる前半が心をザワつかせる異様なサスペンスなのに対し、後半は一気にラブストーリーに傾き、トーンダウンする感は否めない。さらに終盤には衝撃の事実が用意されているが、これが、あまりに偶然に頼る設定なのが、気になった。とはいえ、終始、暗い情念を感じさせるヒロイン役の吉高由里子は熱演だし、心に深い傷を抱えながら美紗子を愛し抜く洋介を演じる松山ケンイチもいい。サイコ・スリラーから純愛ラブストーリー、そして家族愛のドラマへ。テイストの変化がこの作品の個性だろう。
【60点】
(原題「ユリゴコロ」)
(日本/熊澤尚人監督/吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ、他)
(流血度:★★★★☆)
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真夏の方程式

真夏の方程式 Blu-rayスペシャル・エディション
「ガリレオ」シリーズ劇場版第2弾「真夏の方程式」。謎解きミステリーよりも人間ドラマの比重が高い。

美しい海をたたえる玻璃ヶ浦。そこで行われた海底鉱物資源の開発計画の説明会に招かれた物理学者の湯川学は、“緑岩荘“という旅館に滞在する。川畑夫妻が経営するその旅館で、列車の中で出会った、夫妻の甥の少年・恭平と再会。恭平は湯川に興味津々だ。一方、旅館の一人娘の成実は開発計画の反対運動にのめりこんでいた。翌朝、緑岩荘に宿泊していた元刑事の塚原の遺体が岩場で発見される。こんな場所で死ぬはずはないと疑問を持つ恭平。秘密を抱える川畑夫妻。やがて塚原と家族の思わぬ因縁、そして一家の秘密が解き明かされていく…。

原作はベストセラー作家、東野圭吾の同名大ヒット小説。今回は、クールなガリレオ・湯川が少年とともにひと夏を過ごす。美しい海とは対照的に、描かれる事件の背景は暗く悲しいものだ。この対比の構図が象徴するように、今回の事件は、緻密な謎解きの妙というより、互いを愛するあまり秘密を胸に抱いて生きる家族と、そうとは知らずに事件に関わってしまう無垢な少年の人間ドラマの趣が強い。子供嫌いなはずの湯川は、なぜか恭平とはウマが合い、行動をともにするが、そこで湯川が科学の面白さと有益さを教えていく図は、擬似親子のようでほほえましい。だがそれは結果として、恭平少年に科学の恐ろしさをも学ばせることになるのだ。本作では、開発か環境保護かで揺れる現実社会を投影した設定が盛り込まれていて興味深いが、そこで住民、とりわけ環境保護活動に不自然なほどのめりこんでいる旅館の娘の成実に、科学技術と自然がどう共存してきたかを解き「すべてを知った上で結論を出せ」と諭す。理論派の湯川らしい持論だが、これが、最終的に、殺人事件の謎を解いた後の人々への問いかけに繋がっていくのが見事だ。前作に引き続き、福山雅治がクールなたたずまいで主人公を好演。夏休み、海、花火、少年。夏を彩るアイテムが散りばめられ、ほろ苦く切ない余韻を残す物語になった。
【65点】
(原題「真夏の方程式」)
(日本/西谷弘監督/福山雅治、吉高由里子、北村一輝、他)
(切なさ度:★★★★☆)
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真夏の方程式@ぴあ映画生活

横道世之介

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人のいい主人公と彼に関わった人々をオフビートな笑いで描く青春映画「横道世之介」。彼がいた過去と彼がいない現在がブレンドされほろ苦い記憶となっている。

1987年。長崎から上京してきたばかりの大学一年生の横道世之介は、人の頼みが断れないお人よし。嫌味のない図々しさで周囲に好かれる彼は、同級生の一平や女性に興味がない雄介、お嬢様育ちのガールフレンドの祥子らと過ごしたり、年上の女性・千春に心惹かれたりしながら大学生活を送っていた。そして時は流れて2003年。それぞれに年を重ねた彼らは、あるニュースを聞き、日常のふとした瞬間に、世之介の笑顔を思い出していた…。

原作は「悪人」「パレード」の吉田修一の小説。物語は、2003年の現在と、1987年の過去を、振り子のように行きつ戻りつしながら進んでいく。世之介という憎めない青年を誰もが思いだすが、現在のその場所に彼はいない。この映画は、甘くてほろ苦い後日談だ。キャラクターも含めた本作の長所は、いい意味で“普通”であることだろう。80年代という時代は、小道具や音楽で表現されてはいるが、バブルの華やかさはない。友情、恋愛、お気楽な大学生活のエピソードは、誰もがどれかひとつは自分の中でヒットするありふれたものばかりだ。そんな中にも小さな悩みや事件があるが、世之介は彼らしいやり方でそれらを受け入れて行く。大学を辞めた友が借金を頼めばポンと引き受け、友が同性愛を衝撃告白してもサラリと流す。詐欺まがいのパーティガールに無邪気に憧れたりもする。不器用でお調子者の世之介のすごいところは、目の前の人間の存在をありのままの状態で全肯定してしまうところなのだ。そんな彼を周囲は好きにならずにはいられない。普通の人間のちょっとユニークでズレた感覚も見所で、この作品の独特の間合いとなってオフビートな笑いを生んでいる。映画は単なる青春映画ではなく、大人になった彼らの記憶の扉を開ける仕掛けだ。世之介とやがて恋仲になる富豪の令嬢の祥子の言動が突拍子もなく浮いているのだが、16年後の彼女の落ち着きと好対照となって、ラストの感動へとつながる。160分の長尺が本当に必要か?!との疑問は残るが、見終われば、皆を笑顔にした横道世之介の存在がたまらなく愛おしかった。クセのある役が多い高良健吾が、珍しく、天然の好青年を演じていて新鮮だ。
【60点】
(原題「横道世之介」)
(日本/沖田修一監督/高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、他)
(ほろ苦度:★★★★☆)
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横道世之介@ぴあ映画生活

僕等がいた 後篇

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小畑友紀の大人気コミックを2部構成で実写映画化した「僕らがいた 後篇」。甘く切ない前編のトーンから、後篇はドロドロの展開に。

東京と北海道で遠距離恋愛を続けていた、矢野と七美。七美は東京の大学へと進学し、出版社に就職するが、彼女の隣に矢野の姿はなかった。消息不明となった矢野の代わりにそばにいるのは、矢野の親友で、七美をずっと見守ってきた竹内。ある日、出版社の同僚で、矢野の高校時代の同級生の千見寺が彼の姿を目撃。矢野と七美は久しぶりに再会するが、彼はまるで別人のようだった。空白の6年間に矢野に何があったのか、なぜ七美の前から姿を消したのか。そんな中、七美は竹内からプロポーズされるが…。

まるで制服のコスプレのようだった前篇と違い、後篇は、見た目が落ち着くので、ひとまず安心できる。初恋の、甘く切ないムード全開だった前篇は、10代の恋愛のある種の理想を描くもの。社会人となり分別が出来たはずの後篇も、基本的に恋の切なさを描くのは同じだ。働くことのやるせなさや疲労感とは無縁で、愛に生きる主人公たちの姿は、まだ社会の荒波をかぶったことがないティーンエイジャーには、これまた理想と写るのだろうか。それはさておき、後篇では、矢野が七美の前から姿を消した理由が明かされ、二人とも別の相手へどう対処するかが問われることになる。この物語の重要なポイントは、主人公たちは、いつもいつも、自分のことより、相手のことを思いやるということ。「私の願いは、矢野の願いが叶うこと」とのセリフがそれを如実に表している。ドロドロの修羅場も用意されている後篇には、もうひとつのチェックポイントが。それは“後悔してはいけない”ということだ。「伝えたいことはちゃんと伝えないと後悔する。後悔ってイヤなもんだ」とつぶやく矢野は、20数年の人生を、母親や、事故死した恋人、恋人の妹など、他人に振り回されて生きてきた人物。このキャラクター設定が、感情移入を難しくするし、そもそも矢野と七美の二人が別れなければいけない理由が弱いのが、物足りなさを感じさせる。前後篇共通して、北海道の空気感があまり生きてないのも個人的には残念だった。ともあれ、2部構成をごく短いスパンで劇場公開するという異例の映画だったこと、原作より先に映画でエンディングを描いたことなど、流行の漫画原作の実写版としては、スタイルに個性を感じる作品だ。ひたむきに愛を貫く主人公たちに共感できれば楽しめる。
【55点】
(原題「僕等がいた 後篇」)
(日本/三木孝浩監督/生田斗真、吉高由里子、高岡蒼甫、他)
(ひたむき度:★★★★★)
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僕等がいた 後篇@ぴあ映画生活

僕等がいた 前篇

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大長編コミックを2部作で映画化した「僕等がいた 前篇」。高校時代を中心に描く前篇はみずみずしさを前面に出している。

北海道・釧路に住む高校2年生の高橋七美は、同じクラスになった、人気者だがどこか陰のある矢野元晴に惹かれていく。彼は年上の恋人・奈々から裏切られ、さらに彼女を事故で失くすというつらい過去を引きずっていた。それでも矢野への思いが抑えられない七美は、ついに矢野に告白。一途な七美に対し、矢野も次第に心を開いていくが、2人には次々に試練が訪れる…。

原作は、小畑友紀による大ベストセラー・コミック。主要キャスト3人が高校生を演じるというのはいくらなんでも年齢的に無理がある…というツッコミはさておき。壮大な“回想”スタイルで描く、純愛路線ド真ん中のラブストーリーは、くっついたり離れたりしながら、韓国ドラマ並みの数々の障害が用意されている。ただし、本当にドロドロ状態になるのは後篇の方で、この前篇は、出会いのみずみずしさと初恋の喜びを中心に描くので、むしろ学園ものといえようか。過去の恋愛のトラウマを抱える矢野と、どこまでも一途な高橋。そこに高橋に思いを寄せる、矢野の親友で心優しい竹内や、奈々の妹で、矢野の秘密を握りながら彼を慕う有里らがからみ、四つ巴状態。この構図そのものは、手垢がついたもので、新鮮味はほとんどない。本作を楽しむには、後篇も含めて、主人公の高橋、もしくは矢野にどれだけ感情移入できるかにかかっている。10年という長期連載の原作では、キャラクターの一人一人について詳細な背景やエピソードがあるのだろう。映画ではどうしても駆け足になるのはやむを得ないが、矢野のキャラの魅力が、前篇ではまったく伝わってこなかったのは残念。これでは、名セリフと言われる大切な言葉の数々も、どこか白々しく聞こえてしまう。この映画の評価を下すことや、原作ファンの感想は、後篇まで待つとして、まずは大人になる前の高橋と矢野の“ひたむき”モードにどっぷり浸ってみてほしい。
【50点】
(原題「僕等がいた 前篇」)
(日本/三木孝浩監督/生田斗真、吉高由里子、高岡蒼甫、他)
(キャスティング度:★☆☆☆☆)
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僕等がいた 前篇@ぴあ映画生活

ロボジー

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デジタルとアナログを足して優しさを生む「ロボジー」。リアルな事情はしばし忘れて楽しむのが正解だ。

弱小家電メーカーの木村電器の社員、小林、太田、長井の3人組は、ワンマン社長の命令でロボット博で流行の二足歩行のロボットを開発していた。だが、博覧会直前に試作品が大破してしまう。困り果てた3人は、苦肉の策で、ロボットの中に人間を入れて急場をしのぐことを思いつく。痩せ型の老人を中に入れて出場したところ、そのロボット“ニュー潮風”が大評判になってしまう…。

「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督は、まるで人間が入っているかのように滑らかなロボットの動きに感心し、「もし本当に人が入っていたら…?」とこの脚本を思いついたという。文字通り、中に入ることになるのは鈴木重光という名のお爺さん。木村電器のへっぽこ3人組を大いに困らせる偏屈で頑固、わがままな老人だ。これに、ニュー潮風に夢中になるロボットおたくの女子大生がからみ、ストーリーはにぎやかに進んでいく。だがいつも笑って泣ける矢口作品にしては、どうにもパンチ不足は否めない。なぜならこの話、根源的な部分に企業の隠蔽というシャレにならない問題が横たわっているからなのだ。もちろん映画はフィクションだし、このお話そのものが性善説に基づいて作られているのだからヤボなことは言わない。だがそれにしても、ニュー潮風の秘密がバレるかバレないかの“サスペンス”の部分が弱すぎる。それでも、新人俳優・五十嵐信次郎が実はミッキー・カーティスだということや、日本全国の有名ロボットが惜しげもなく集結するなど、見所は多い。生きがいをみつけられない孤独な老人に「あなたが必要なんです」との言葉は何よりも嬉しかったはずだ。主題歌「MR.ROBOT」をカバーして高らかに歌うのは“五十嵐信次郎とシルバー人材センター”。設定は表層的だが軽い楽しさがあり、後味は決して悪くない。
【55点】
(原題「ロボジー」)
(日本/矢口史靖監督/五十嵐信次郎、吉高由里子、濱田岳、他)
(笑い度:★★★☆☆)
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ロボジー@ぴあ映画生活

カイジ2〜人生奪回ゲーム〜

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命懸けのギャンブルを描く「カイジ2〜人生奪回ゲーム〜」は、原作者の福本伸行自身が脚本を手掛けている。ゲームのネーミングが「沼」というのが象徴的だ。

多額の借金を命懸けのゲームに勝利することで帳消しにした伊藤カイジだが、1年もたたないうちに再び借金まみれになってしまう。地下からの脱却と仲間の希望を背負って、再逆転に挑むのは、当たれば10億円以上を稼げるが難攻不落と呼ばれるモンスターマシーン“沼”だ。裏カジノの若き支配人・一条は、カイジと同じく帝愛グループの死のゲームから生還した人物で、カイジには激しいライバル心を燃やしていた。一発逆転を狙って裏カジノに通う坂崎、帝愛グループから父を殺され復讐の時を伺いながら裏カジノで働く石田裕美、さらに、かつてカイジの行く手を阻んだ利根川が、それぞれの思惑からカイジの仲間となるが…。

大人気ギャンブル漫画を原作とする「カイジ」の続編では、新たなゲームに挑まざるを得ないカイジの挑戦を描く。今回は原作者自身によるオリジナルゲームが登場しているのが売りだが、地下から脱出するための“地獄チンチロ”はイカサマも含めて単純すぎて感心しないし、本物のライオンまで登場する三択“姫と奴隷”も主人公が基本的に他者を信頼するキャラであることから先は読める。だがメインとなる巨大モンスターマシーン、通称“人喰い沼”を攻略するプランは、リアリティには少々欠けるが、かなり大がかりで面白い。帝愛グループから信頼される一条が、挑戦者を決して勝たせず、ゲームに引きずり込む泥沼のような巨大パチンコ“沼”の弱点を、ささいなことから見抜くプロセスは痛快だ。何度も絶対絶命の危機に見舞われる演出は少々くどいのだが、カイジを救うのは、またしても仲間との絆と信頼だ。この話、設定は荒唐無稽だが、根っこの部分は非常にまっとうで前向きなのである。今回のキーパーソンは、吉高由里子演じる石田裕美。前作ともつながる彼女は敵か味方かわからない謎めいたキャラだが、ラストに彼女がカイジに向かってつぶやくひと言は、彼女自身を歪んだ世界から解放して“人生を奪回”するもので、ほっとする。
【55点】
(原題「カイジ2〜人生奪回ゲーム〜」)
(日本/佐藤東弥監督/藤原竜也、香川照之、吉高由里子、他)
(信頼度:★★★★☆)
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カイジ2 〜人生奪回ゲーム〜@ぴあ映画生活

カメリア

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タイ、日本、韓国の3つのアジアの才能が結集し、釜山を舞台にした3話オムニバス映画が出来上がった。テーマは愛。過去、現代、未来と、時を飛び越えるように展開する物語は、無国籍な都市の空気を醸し出している。

第1話「IRON PUSSY」:1979年、タイから来て、女装して釜山でスパイ活動をしているアイアン・プッシーは、ある時、韓国人男性ジホンと恋に落ちる。だが次なる暗殺のターゲットは、ジホンその人だった…。第2話「Kamome」:映画の撮影で釜山にやってきたカメラマン、ヨンスは、夜、裸足で街をさまよう美少女カモメと出会う。不思議な雰囲気の少女に付き合って歩き回るうちに、やがてほのかな恋心を抱くのだが…。第3話「LOVE FOR SALE」:近未来の釜山では、脳から愛の感情と記憶を取りだして売り買いするビジネスが流行。かつてこのビジネス組織から愛する人との仲を引き裂かれたジェイは、復讐を誓い、すべてを賭けて闇の組織に立ち向かう…。

3話とも釜山を舞台とするが、いわゆる観光案内的な映像がないところがいい。共通するのは、男のピュアな愛情だ。「IRON PUSSY」は、女装するスパイが若くも美しくもないのに、レトロシックな装いでキメキメなのが妙に可笑しい。デタラメさが魅力のコメディかと思いきや後半は不必要にシリアスになるのが残念。一方、行定勲の「Kamome」が、とても綺麗にまとまっているのが、いかにも真面目で“日本的”だ。なりきり俳優として知られる名優ソル・ギョングの無骨さに、ふわふわしたイメージの吉高由里子がうまくマッチング。この物語のオチは予想できるが、それでもピュアな切なさが残る好編だ。面白いのは「LOVE FOR SALE」。イケメン俳優カン・ドンウォンが愛に翻弄される姿は、ファンにはたまらないだろう。釜山らしさはあまり感じないが、愛の記憶を売り買いするというアイデアは、ハリウッドが買いそうなプロットで、冴えている。3人の監督は、いずれも釜山国際映画祭と縁がある監督たちだ。オムニバス映画としては荒削りで、決して洗練されているとは言い難いが、こういう形でアジアの才能がコラボする企画は大歓迎。都市を変え、作り手を変えての次回作を期待したい。
【60点】
(原題「Camellia」)
(タイ・日本・韓国/ウィシット・サーサナティアン、行定勲、チャン・ジュナン監督/ミシェル・シャオワナサイ、キム・ミンジュン、ソル・ギョング、吉高由里子、カン・ドンウォン、ソン・ヘギョ、他)
(男の純情度:★★★★☆)



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カメリア@ぴあ映画生活

蛇にピアス

蛇にピアス [DVD]蛇にピアス [DVD]
痛みだけを追い求め、ケータイと愛称でしか人とつきあわない主人公は生の落伍者。向かう先が分からない不安は人一倍で、それは闇の中を蛇行して走る列車のイメージに重なっていく。19歳のルイは、スプリットタン(蛇のように割れた舌)を持つ青年アマと出会い愛し合うが、タトゥーショップの店長でサディストのシバにも惹かれ、2人と同時に関係を持つ。大胆な性描写や暴力シーンがあるが、なぜかギラギラせず淡白だ。ルイの目的は肉体改造ではなく痛み。ピアスとタトゥーが完成した時点でルイの心は壊れている。「大丈夫」とつぶやく主人公は死人のよう。ギラつかないはずだ。
【50点】
(日本/蜷川幸雄監督/吉高由里子、高良健吾、ARATA、他)
(感情移入度:★☆☆☆☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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