映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

堤幸彦

RANMARU 神の舌を持つ男

映画「RANMARU~神の舌を持つ男」オリジナル・サウンドトラック
舌でなめたものの全成分を瞬時に分析できる能力・絶対舌感を持つ朝永蘭丸は、失恋の痛手を癒す旅の途中で行き倒れてしまい、東北の鬼灯村で、美人女医のりんに助けられる。ひょんなことから村の温泉で働くことになり、そこへ相棒の光と寛治が合流。だが、その寂れた温泉村は不穏な空気が漂っていた。黒水、鬼火、子殺しの温泉の伝説、かごめかごめの裏解釈。そんな時、りんの恋人と噂されていた男の遺体が発見される。蘭丸は絶対舌感で村の秘密を暴こうとするが…。

絶対舌感で難事件を解決するテレビドラマシリーズの劇場版「RANMARU 神の舌を持つ男」。主人公の蘭丸は、絶対舌感を持つがゆえに、女性と恋愛もできない体質だが、美人女医りんの人工呼吸の口内細菌に不快感を覚えなかったことから、ほのかな好意を抱き、鬼灯村に滞在する。蘭丸はどこか頼りないキャラ、異常なまでにハイテンションな女性・光と、宮沢賢治を愛するツッコミ担当の寛治という3人組のメリハリは効いている。だが、すべてのギャグがユルくてサムい。特に光のキャラには、完全についていけなかった。怪事件には、迷信や因習という昔ながらの設定と、中国企業による日本進出に環境問題といった現代性を絡ませているのは、面白いが、その謎解きと真相は、主人公のおっとりとしたキャラ同様に、ピリッとしないものだった。サムいギャグも、ユルい謎解きも、おそらく狙っているのだろうが、映画館の大スクリーンでこれを見るのは、あまりにツラい。聞けば、金曜日に放送されていたTVドラマも視聴率でかなり苦戦していたそうだが、それをあえて劇場版にする必要性がどこにあるのだろうか?!と、首をかしげてしまう。数少ないコアなファン向けのサービスと思うしかない。ちなみに、本作の正式な題名は「RANMARU 神の舌を持つ男 酒蔵若旦那怪死事件の影に潜むテキサス男とボヘミアン女将、そして美人村医者を追い詰める謎のかごめかごめ老婆軍団と三賢者の村の呪いに2サスマニアwithミヤケンとゴッドタン、ベロンチョアドベンチャー!略して…蘭丸は二度死ぬ。鬼灯デスロード編」という2時間サスペンス・ドラマ風の長ーーーいタイトル。どこまでも脱力系だ。
【20点】
(原題「RANMARU 神の舌を持つ男 酒蔵若旦那怪死事件の影に潜むテキサス男とボヘミアン女将、そして美人村医者を追い詰める謎のかごめかごめ老婆軍団と三賢者の村の呪いに2サスマニアwithミヤケンとゴッドタン、ベロンチョアドベンチャー!略して…蘭丸は二度死ぬ。鬼灯デスロード編」)
(日本/堤幸彦監督/向井理、木村文乃、佐藤二朗、他)
(ファン向け度:★★★★☆)
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RANMARU 神の舌を持つ男 酒蔵若旦那怪死事件の影に潜むテキサス男とボヘミアン女将、そして美人村医者を追い詰める謎のかごめかごめ老婆軍団と三賢者の村の呪いに2サスマニアwithミヤケンとゴッドタン、ベロンチョアドベンチャー!略して・・・蘭丸は二度死ぬ。鬼灯デスロード編|映画情報のぴあ映画生活

エイトレンジャー2

エイトレンジャー2 Blu-ray八萬市認定完全版【完全生産限定】
人気グループ関ジャニ∞出演の異色のヒーロー・パロディ映画の第2弾「エイトレンジャー2」。もうちょっと笑わせてほしかったなぁ…。

近未来都市・八萬市(エイトシティ)。悪の組織・ダーククルセイドを壊滅させたエイトレンジャーのメンバーは、街のヒーローとなった。だが、ろくな治安活動もせず、優雅で贅沢なセレブ生活を送る高給取りの彼らは救世主とは程遠い堕落した生活ぶり。そんな彼らの中に、なぜかレッドの姿はなかった。同じ頃、年間数百に及ぶ人が行方不明になる不可解な事件が発生。男勝りの週刊誌記者・西郷純は、事件を調べるためにエイトレンジャーに接近するが…。

大ヒットした「エイトレンジャー」の続編は、前作から5年後の2040年が舞台。金、女、バカンスと贅沢三昧のエイトレンジャーのメンバーだが、そこにレッドの姿はなく、仲間割れやヒーロー活動への温度差が浮き彫りになっていく。エイトシティの政治家たちの陰謀や、ダーククルセイドの意外な真実、それぞれが考えるヒーローの本質と、内容を要約すれば、すこぶるまっとうだ。だが、本作はもともと戦隊ヒーローのパロディー企画としてスタートしているのだし、笑いのセンスがある関ジャニ∞が出演するのだから、もっとコメディ色を出すべきではなかろうか。前田敦子が演じる、男言葉で乱暴者の西郷純というキャラは、バカバカしくも面白いのだが、彼女にも実はある秘密が。このテの作品で、ヘンに真面目になられても困ってしまう。本作では笑いが今ひとつ突き抜けておらず、しかも伏線も雑すぎる。たが、この未収束ぶりは、3、4と続くシリーズ化への意欲のあらわれなのだそう。映画というよりバラエティショーのテイストの本作は、基本的にファン向けのサービス・ムービー。いちいち突っ込むのも大人げないので、リラックスして楽しむこととしよう。
【40点】
(原題「エイトレンジャー2」)
(日本/堤幸彦監督/横山裕、渋谷すばる、村上信五、丸山隆平、安田章大、錦戸亮、大倉忠義、前田敦子、他)
(小ネタ度:★★★★☆)
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エイトレンジャー2@ぴあ映画生活

TRICK トリック 劇場版 ラストステージ

トリック劇場版 ラストステージ 超完全版(本編Blu-ray&特典Blu-ray2枚組)
人気シリーズの14年間の集大成「TRICK トリック 劇場版 ラストステージ」。初の海外ロケでもユルユルの空気はそのまま。

自称・天才物理学者の上田次郎は、地下資源開発を進める貿易会社から、東南アジアのジャングルの秘境で立ち退きを拒む部族と彼らに絶大な影響を及ぼす呪術師のトリックを暴くよう協力を依頼される。上田は、自称・超売れっ子天才美人マジシャンの山田奈緒子を言葉巧みに誘い、同行させる。現地では医師の谷岡、そして何故か矢部刑事も合流。ジャングルの川を遡り、一行は因習に閉ざされた奥地の村を目指すが…。

00年スタートの人気ドラマは、3本の劇場版を経て、ついに完結する。マレーシアでの海外ロケ、東山紀之、北村一輝、水原希子らの豪華ゲストに驚きのカメオ出演と、話題は盛りだくさんだが、このシリーズの魅力であるユルい空気はそのままだ。騙されやすい自称・天才物理学者の上田と、自称・超売れっ子天才美人マジシャンの奈緒子のデコボコ“迷”コンビが、呪術による不可思議な現象の裏にひそむトリックを暴いていく。二人の間にかすかに流れる恋愛感情の行方も気になるところだが、今回は、奈緒子の出生の秘密が明かされるのがポイントだ。堤幸彦監督いえば、今、日本で最も忙しい監督の一人だが、自らの作品はもとより、同じ配給会社の人気シリーズからも、遠慮なくゲストや小ネタを引っ張ってくるあたりが、らしいところだ。14年間、シリーズを見守り続けたファンや出演者にとっては“泣けるトリック”なのだろうが、エンドロールのそのまた後まで仕込まれたシークエンスを見終われば、泣く必要はない気も。ともあれ、長年シリーズに携わってきたスタッフ・キャストにはお疲れ様でしたと言いたい。
【55点】
(原題「トリック 劇場版 ラストステージ」)
(日本/堤幸彦監督/仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、他)
(泣ける度:★★☆☆☆)
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トリック劇場版 ラストステージ@ぴあ映画生活

劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇

劇場版 SPEC 〜結〜 爻ノ篇 プレミアム・エディション [Blu-ray]
人気シリーズの完結編2部作の後編「劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇」。今回は笑いの要素はほとんどない。

“SPEC(スペック)”と呼ばれる特殊な力を持った犯罪者と対峙する捜査官・当麻紗綾と瀬文焚流。宿敵ニノマエとの死闘を終え瀕死の状態で病院に運び込まれるが、新たな危機が迫っていた。SPECホルダーと人類たちの間で始まろうとしている最終戦争。ある人物によって滅亡へと向かっている世界。ファティマ第3の予言。ソロモンの鍵。全ての謎が紐解かれるその時、当麻の中に眠っていたスペックが目覚める…。

TV版、スペシャル版、劇場版ときて、人気シリーズもついに完結する。過去に登場したSPECホルダーたちが大挙して登場すること、謎めいた白い服の男女の正体、そして最終戦争。その謎解きと結末は映画を見て確かめてもらうとして、刑事魂を共有する当麻と瀬文には、過酷過ぎる運命とあまりにも大きな犠牲が待っている。クライマックスの舞台は、警視庁の屋上だ。スケールの大きな話の割りには舞台設定はこじんまりとしていて、一箇所に集まっての謎解きはTVの2時間ドラマのサスペンスのようで苦笑する。だが、その狭い場所から、東京中を見渡す空が黒い鳥に覆われるシーンは圧巻だ。物語の通奏低音は、スペックという異形をどう扱うかとの問いである。スペックを持つものはもとより、国家権力、謎の男セカイなど、それぞれが独自の解釈によってスペックを操ろうとする中、死んだスペックホルダーを蘇らせる力を持つ最強のスペックホルダーである当麻は、命がけの勝負に出る。登場人物が多く、それぞれがデフォルメされたキャラな上、堤監督の十八番である小ネタも満載で実ににぎやかだ。名残を惜しむファンへのサービスが感じられ、これでは結(クローズ)が2部作の大作になるのも無理はないが、物語そのものは、この爻(コウ)ノ篇だけで十分。ただ、この完結編には凸凹コンビの笑いのかけあいはほとんどない。荒唐無稽でユーモラスな話に見えて多くの命が犠牲になる本作は、佐野元春の名曲「彼女」をほぼフルコーラスで流して終わる。“引き潮のようにすべてが遠のいていく” という歌詞が、ファンが愛した長いシリーズの終焉を静かに飾っていた。
【50点】
(原題「劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇」)
(日本/堤幸彦監督/戸田恵梨香、加瀬亮、北村一輝、他)
(ユーモア度:★☆☆☆☆)
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劇場版 SPEC〜結(クローズ)〜 爻ノ篇@ぴあ映画生活

劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇

劇場版 SPEC 〜結〜 漸ノ篇 プレミアム・エディション(ポストカードなし) [Blu-ray]
ドラマ、映画ともに人気シリーズの完結編の前編「劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇」。話はほとんど進まないが何やらシリアスな気配。

SPECホルダーの中でも、時を止めるという最強の能力を持つニノマエとの死闘を終えて、瀕死の状態で病院に担ぎ込まれた当麻紗綾と瀬文焚流。戦い抜いた二人は焦燥しきっていたが、距離は縮まり絆は深まっていた。だがそんな二人の結束をよそに、ある人物によって、世界は破滅へと進んでいた。そこにいるのは白い服に身を包んだ男セカイと、彼と行動を共にしている謎の女。SPECホルダーたちによって人類の歴史に終止符が打たれようとするその時、世界と人類を救うため当麻の秘められたSPECが目覚める…。

“SPEC”と呼ばれる特殊な力を持った者たち“SPECホルダー”と特殊な事件を専門に扱う「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」(通称ミショウ)の特別捜査官たちとの戦いを描くSF仕立ての刑事ドラマも、ついに完結編「結(クローズ)」を迎える。といっても、漸(ゼン)ノ篇は全2作の前編なので、これだけではほとんど話は進んでおらず、終わり方もまた「えっ、そこで終わるワケ?!」といいたくなるほど。ちなみに本作はエンドクレジットもないのだから「結(クローズ)」はあくまでも2作で1本という扱いだ。前作のラストで登場した白い服の男セカイが頻繁に登場するが、彼が何をしようとしているのかは本作では謎のまま。大島優子や香椎由宇など、新キャラは登場するものの肝心なことは伏せられている。さらに互いに愛情を秘めながら刑事魂で結ばれる当麻と瀬文の関係性にも、相変わらずやきもきさせられる。すべてが消化不良で困った作品なのだが、あえて言うならば見所は、当麻の父親を知る人物が登場し、彼女の父のエピソードが語られるところだろうか。それから、ゆるーい上司の野々村係長(待遇)には壮絶な運命が。いずれにしても、半分見せられただけの漸(ゼン)ノ篇では、何も解決しない。本当の決着は、後編である爻(コウ)ノ篇までおあずけだ。
【50点】
(原題「劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇」)
(日本/堤幸彦監督/戸田恵梨香、加瀬亮、北村一輝、他)
(中途半端度:★★★★★)
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くちづけ

くちづけ [Blu-ray]
障害を持つ娘とその父が直面するシビアな現実を笑いでくるんで描く「くちづけ」。舞台そのままのようなテンポと演出がちょっと気になる。

かつては人気漫画家だった愛情いっぽんは、知的障害を持つ娘マコを男手ひとつで30年間育ててきた。知的障害者の自立支援施設「ひまわり荘」にマコを入所させ、自らも施設のスタッフとして住込みで働くことに。ひまわり荘では、幼稚園レベルの知能を持つうーやんたちが、仕事にも通いつつ毎日楽しく暮らしていた。やがてマコとうーやんの間に淡い恋が芽生えるなど、そこでの暮らしは順調に見えたが、実は施設の経営は非常に苦しいものだった。さらに、いっぽんに重い病気が見つかる。一人では生きていけないマコの将来を案じるいっぽんは、ある決断を下すことになる…。

2012年いっぱいで解散した劇団・東京セレソンデラックスの人気舞台を映画化したもので、同劇団を主催し脚本を務めた宅間孝行も出演するヒューマン・ドラマだ。映画は冒頭から、マコの死と獄中のいっぽんの死を伝える悲痛なオープニング。いったい何が彼らをそうさせたのか?という謎をひも解いていくスタイルだ。物語の前半はコメディタッチで、知的障害者が暮らすグループホーム「ひまわり荘」の面々の愉快なエピソードと、いっぽんとマコの深い父娘愛が描かれる。そこだけ別世界のようにホームは平和な空気に包まれているが、施設と知的障害者を取り囲む現実はとても厳しい。ひまわり荘の経営難は深刻だし、知的障害者への世間の目は偏見に満ちている。興味本位の女子高生もいれば、うーやんの妹は兄の存在のせいで婚約破棄。そんな冷ややかな社会に娘のマコを一人置いておくことなど出来るはずがないと思いつめるいっぽんの苦悩は悲痛で涙を誘う。後半はシリアスタッチに変貌し、いっぽんが選んだ運命は、究極の親子愛とも言えるものだ。だがそれは、あまりにも悲しすぎて、他者を頼るという選択肢はなかったのか?との疑問も残る。過剰な演技のイメージが強い竹中直人が、抑えた芝居で静かに熱演するのとは対照的に、役柄とはいえ宅間孝行のそれは非常にハイ・テンションだ。舞台をそのまま見ているような演出に、正直、疲れてしまうのだが、それでも、実際に起こった事件をヒントにしたというこの物語は、悲しくて温かい涙を誘う感動を届けてくれた。名曲「グッド・バイ・マイ・ラブ」のメロディがいつまでも心に残る。
【60点】
(原題「くちづけ」)
(日本/堤幸彦監督/貫地谷しほり、竹中直人、宅間孝行、他)
(親子愛度:★★★★☆)
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くちづけ@ぴあ映画生活

MY HOUSE

MY HOUSE [Blu-ray]MY HOUSE [Blu-ray]
堤幸彦監督のフィルモグラフィーを眺めると、振り幅が広すぎて、どうにも作風が読めない。「トリック」「スペック」ら娯楽作、「明日の記憶」のようなシリアス路線、「20世紀少年」3部作などの大作やアイドル映画「エイトレンジャー」なども手掛ける。だが本当に作りたいのは、本人いわく、社会派映画。そこで5年の歳月をかけて作ったのがこの「MY HOUSE」である。

名古屋市の公園で暮らす路上生活者の鈴木さんは、とても勤勉だ。廃材やブルーシートなどを巧みに駆使して組み立てる移動式の住居に住み、空き缶拾いを生業とし、必要最低限のものを手作りして、ほぼ生活費0円で暮らす鈴木さん。エリートコースを目指す中学生で、ストレスを糖質0のコーラ缶を飲みほし投げ捨てることで発散するショータ。ショータの母で異常なまでに潔癖症で人嫌いの主婦トモコ。この3人の運命が、空き缶を捨てるショータ、それを拾ってゴミに出すトモコ、そのゴミをもらい受ける鈴木さんという3つの円環でつながっていた。さらにある事件によって彼らの運命が交錯する…。

坂口恭平の著書「TOKYO 0円ハウス0円生活」「隅田川のエジソン」などを原作とするこの映画のテーマは、家を通して、現代社会において、本当に必要なものとは何か、そして本当の幸せとは何かを問うことだ。まだ無名時代にホームレスについての作品を発表しているとはいえ、本作は、ヒットメーカーの監督・堤幸彦にとっては、かなりカルトな作品と言えよう。トレードマークである膨大な量の情報を封印、凝った映像やひねったせりふも出てこない。それどころか、せりふは最小限、音楽なしのモノクロ作品というストイックさだ。主人公の鈴木さんにフォークシンガーのいとうたかおを起用しているのは意外だが、出演者は、石田えり、木村多江、板尾創路らと、なかなか豪華である。

土地や家を所有し豊かな物質に囲まれて暮らす人がいる一方で、家に縛られず質素に生きる人々がいる。前者は拘束されるが安定し、後者は自由だが暴力や自然災害などのリスクを負う。二つを単純に比較はできないが、少なくとも、まったく違う価値観で生きるものが、図らずも、互いにつながりながら同じ時代、同じ土地で共存しているのだ。なるほど、考えさせられる。

(出演:いとうたかお、石田えり、村田勘、他)
(2011年/日本/堤幸彦監督/原題「MY HOUSE」)


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MY HOUSE@ぴあ映画生活

エイトレンジャー

エイトレンジャー  ヒーロー協会認定完全版【完全生産限定】Blu-rayエイトレンジャー ヒーロー協会認定完全版【完全生産限定】Blu-ray
関ジャニ∞のコンサートの人気キャラを映画化した「エイトレンジャー」。ゆる〜いムードを楽しむイベント・ムービー。

天変地異、経済危機、治安悪化で荒廃した近未来の日本。八萬市(エイトシティー)に住む横峯誠は、ひょんなことからスカウトされて、自警団“ヒーロー協会”のエイトレンジャーの一員になる。だが、そこに所属するメンバーは、ヒーローとは程遠く、借金まみれでやる気のないダメ人間たちばかりだった。だが、真のヒーローであるキャプテン・シルバーとの出会いと、凶悪テロリスト集団との戦いが、バラバラだった“エイトレンジャー”の運命を変えていく…。

関西出身の人気アイドルグループ・関ジャニ∞が、コンサートでコンスンスタントに上演していた人気キャラクターが“エイトレンジャー”。コンサートでのノリや決まりごとは知らないが、映画はさまざまなジャンルの作品を手がける鬼才・堤幸彦が手がけている。関西らしいボケとツッコミのギャグ、シュールな会話、どこか笑えない切実な状況設定が混在し、ポップでダークでユルいという独特のエンタテインメントが誕生した。ヒーロー協会に所属するメンバーは全員借金まみれの、いわゆる負け組。一握りの優秀な人材以外は切り捨てられる超格差社会が舞台なのだが、これが2035年という、目の前に迫った時代だというのは、なかなかブラックだ。伝説のヒーロー“キャプテン・シルバー”の謎や、彼と主人公とのつながり、暗い過去を背負った女刑事などの人間関係は、かなり唐突ながら、安易なハッピーエンドにはしてないところが、堤監督らしい。関ジャニ∞のファンのためか、やたらと登場人物のドアップが頻発。あっぱれなサービス精神だ。ファン以外の人間が見てどう思うかはさておき、ノリの良さは案外楽しい。…っていうか、ファン以外は見ない映画なので心配は無用か。小ネタ満載なので、画面の隅々まで目を凝らすと楽しめそうだ。
【50点】
(原題「エイトレンジャー」)
(日本/堤幸彦監督/横山裕、渋谷すばる、村上信吾、丸山隆平、安田章大、錦戸亮、大倉忠義、舘ひろし、他)
(ファンサービス度:★★★★☆)
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エイトレンジャー@ぴあ映画生活

劇場版SPEC〜天〜

劇場版 SPEC~天~ Blu-ray プレミアム・エディション劇場版 SPEC~天~ Blu-ray プレミアム・エディション
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特殊能力を持つSPECのバトルを描く大人気TVドラマの劇場版「劇場版SPEC〜天〜」。ユルいギャグとダジャレの連打がいかにも堤監督らしい。

通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」通称「未詳(ミショウ)」の特別捜査官、当麻紗綾(とうま・さや)と瀬文焚流(せぶみ・たける)。型破りな捜査と過激な性格の二人の元に、海上のクルーザーから大量のミイラ死体が発見されたという不可解な知らせが届く。これは特殊能力(SPEC)を持った犯人“スペックホルダー”の犯行なのか?このミイラ死体殺人事件は、やがて国家をも揺るがす大事件となっていく…。

対等の2人のコンビが活躍するバディ・ムービーだが、何しろ主人公の捜査官コンビは異常なまでにハイテンションで型破りだ。当麻はIQ201の変人、瀬文は警察特殊部隊ことSIT出身の肉体派である。清楚なイメージの戸田恵梨香も、ナイーブなキャラが十八番の加瀬亮も、共に今までにない役柄なのだが、これが不思議とハマッたようで、TV版は大人気になり、スペシャルドラマを経て、ファン待望の劇場版となった。熱狂的でコアなファンが多いだけあって、お約束のギャグや小道具がてんこもり。本作では、日本の国家基盤にまで言及する大風呂敷と、瀬文の過去の恋が描かれるのがメインだろう。だが、こうユルい内容ではドラマファン以外の映画好きは完全に蚊帳の外だ。スペックは並はずれた能力なのだが、ギャグそのもののCGで描かれる特殊能力には、苦笑を禁じ得ない。「トリック」の堤監督らしい笑いも、個人的にはスベリまくりだ。次へと続く伏線を張るのはある意味お約束。だがそれにしても問題が未解決すぎやしないか。スペック独自の世界観を、まずはドラマ未見のファンにも体験してもらおうという主旨なのかもしれない。何やらスゴい能力を秘めた、瀬文の子(らしき)潤ちゃんの大爆発も含めて、次回「欠」に期待するしかない。
【50点】
(原題「劇場版SPEC〜天〜」)
(日本/堤幸彦監督/戸田恵梨香、加瀬亮、伊藤淳史、他)
(ファン向け度:★★★★☆)
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SPEC〜天〜@ぴあ映画生活

はやぶさ/HAYABUSA

はやぶさ/HAYABUSA デラックスBOX〔初回生産限定〕 [Blu-ray]はやぶさ/HAYABUSA デラックスBOX〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
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無人小惑星探査機「はやぶさ」を支えたスタッフの苦労と情熱を忠実に映画化。長い旅を終えて燃え尽きる映像に感動する。

宇宙科学研究所(現・JAXA)で働くことになった女性研究生・恵は、様々な分野のエキスパートが集まるスタッフと共に、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトに携わる。2003年に飛び立った「はやぶさ」は、2005年に小惑星イトカワに到着するが、地球に帰還するまでの道のりで、多くのトラブルに見舞われる…。

「はやぶさ」を描く映画は複数作られるが、本作は、新しくスタッフに加わった女性研究者の視点からとらえたことと「はやぶさ」の心の声を子供に見立てたことで、素人には難しい宇宙開発という世界を極力わかりやすく描いているのがいい。姿勢制御装置の不具合や通信途絶、イオンエンジンの故障に燃料漏れと、遠い宇宙で次々に起こるトラブルを懸命に解決していくスタッフたちの努力には、胸が熱くなる。NASAでさえも成し得なかった、月以外の天体からサンプルを持ち帰る偉業の陰に、こんなにも多くの物語があったとは。対外協力室室長・的川泰宣氏を演じる西田敏行は、実在の人物の苦労話が良く似合うが、彼が演じる明るくて繊細、粘り強いキャラクターは映画の大きな魅力だ。ただ「はやぶさ」を見守る一般人のエピソードは少し煩わしい。そもそも2時間20分という長尺になったのは、これらのせいで、もう少し編集の潔さがあっても良かったのでは…とも思う。終盤、多くのトラブルを乗り越えて地球に戻ってきた「はやぶさ」が7年間の長い旅を終えて燃え尽きるシーンには、深い感動が。宇宙を舞台にしたプロジェクトXは、けなげな「はやぶさ」君の壮大な“おつかい”。見終わったら拍手を送りたくなった。
【60点】
(原題「はやぶさ/HAYABUSA」)
(日本/堤幸彦監督/竹内結子、西田敏行、高嶋政宏、他)
(不撓不屈度:★★★★★)



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はやぶさ/HAYABUSA@ぴあ映画生活
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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