桜田門外ノ変【DVD】
幕末を背景にした正統派歴史劇。井伊直弼暗殺をクライマックスにせず、その事件が個人をどう変えていったかを描くことで、歴史を俯瞰している点が意義深い。黒船来航により開国か攘夷かで揺れる日本。開国派の大老・井伊を暗殺することで日本を諸外国から守ろうと決意した水戸藩士らは、大雪が降りしきる3月3日、壮絶な斬り合いの果てに井伊を討ちとる。だが水戸藩士たちと合流して京都を制圧する約束だった薩摩藩から、挙兵慎重論が持ち上がり計画が瓦解。幕府からも水戸藩からも追われる立場になってしまう。襲撃の指揮をとった関鉄之介は、潜伏・逃亡しながら事件に至る経緯を思い返していく…。
桜田門外ノ変は一大クーデターで、この事件が後に幕末の志士たちに衝撃を与え徳川幕府の終焉と明治維新への道筋を開くことは、歴史の教科書にも載っている。だが映画は、襲撃をクライマックスにしないことで、事件を美化せず、大きくうねった時代の流れの中で先を見据えることの難しさを丁寧に描いた。物語序盤で早々と訪れる桜田門外ノ変の場面が、個よりも集団を意識した混沌としたバトルになっているのがリアルだ。白い雪に鮮血が散る様子は壮絶な美しさだが、その赤も降り積もる雪の白に覆われていく。井伊の命を奪ってもそれがやがて激動の時代に飲み込まれ、無名の個人の存在など歴史がすぐに覆い隠す運命を象徴するような悲壮な場面だ。権力へ反旗を翻す政治闘争のモチベーションは、ほとんどが“憂国”という思想。その志は高くとも、代償はあまりにも大きい。主人公・鉄之介が「我らは、井伊一人の命を奪うのに、いったい何人の命を犠牲にしたことか」と遠い目でつぶやくのが印象的だ。
かつて岡本喜八監督は、桜田門外ノ変を、映画「侍」で豪快なアクションと出生の秘密というフィクションを織り交ぜて描いた。一方この映画は、非常に真面目て堅い印象なのだが、昨今のTV局主導の作品ではなく、茨城県民が立ち上げた、地方創世の映画だということが特筆である。地域振興や観光誘致という目的もあろうが、水戸藩の下級武士たちの真摯な思いを残したいとの願いがあったに違いない。さらに映画は、彼らが目指した先にあった理想と現代日本との差異に無言で言及している。だからこそ、最後に映しだされるのは他でもない国会議事堂。国政というのは苦難と失意の積み重ねなのだと感じさせるショットだった。
【60点】
(原題「桜田門外ノ変」)
(日本/佐藤純彌監督/大沢たかお、北大路欣也、長谷川京子、他)
(硬派度:★★★★☆)
![GOEMON (江口洋介 主演) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51O7s0eRZPL._SL160_.jpg)
![ICHI スタンダード・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51k-uH7AQgL._SL160_.jpg)
![築地魚河岸三代目 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51OCZfzS4dL._SL160_.jpg)
![ミッドナイトイーグル スタンダード・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51qGrAcYVuL._SL160_.jpg)



メールはこちらから↓







