大統領の料理人 [Blu-ray]
仏大統領の専属シェフになった女性の実話を描く「大統領の料理人」。目にも美味しそうなグルメものだが、物語は意外にもビター・テイスト。

仏の片田舎で小さなレストランを経営する女性オルタンスは、突然のスカウトで、仏大統領のプライベートシェフに任命され、大統領官邸にやってくる。そこは完全な男社会で、その上、独特の決まり事や堅苦しいメニューが横行する世界。だがオルタンスは、素朴な料理が食べたいという食通の大統領の希望を知り、自らの料理の腕と確かな素材選びで、官邸の常識を打ち破っていく…。

フランス大統領官邸史上唯一の女性料理人で、フランソワ・ミッテラン大統領のプライベート・シェフを2年間務めたダニエル・デルプシュさんの実話に基づく物語は、なんと南極から始まる。オルタンスは南極基地で働く一流のシェフで、偶然取材にやって来たTV局のクルーたちが、基地の全員から愛される彼女に興味を持つ。「素晴らしい料理を作るこの女性は何者?」。南極基地と大統領官邸であるエリゼ宮を行ったり来たりしながら、少しずつ主人公の過去が語られるスタイルだ。オルタンスは、男性社会の厨房では完全に“招かれざる客”。さまざまな嫌がらせや堅苦しいルールにもメゲずに奮闘する様子は、いわゆる女性の社会進出もの。彼女の料理は、食通の大統領を唸らせ、官邸のお客からも認められる。彼女の熱意と腕前は、確かに官邸に新しい風を吹き込むのだが、政治や経済が第一で、男性社会の大統領官邸でのしきたりはそう簡単には変わらない。オルタンスが南極で仕事をしているその理由というのも、愛と情熱だけでは通用しない世界があるという証拠なのだ。女性が奮闘し周囲を良い方向に変えていく、さわやかな感動ストーリーかと思っていたが、ストーリーの根底にあるのは、挫折と諦観。それでも新世界を目指すヒロインの“その後の行動力”にこそ本当の勇気を見るべきだろう。それにしても、映画に登場する料理は素晴らしく美味しそうで眼福だ。このゴージャスな料理が、フランスではシンプルで素朴な地方料理なのだから、やはり食通の国はレベルが違う。
【60点】
(原題「HAUTE CUISINE」)
(フランス/クリスチャン・ヴァンサン監督/カトリーヌ・フロ、ジャン・ドルメッソン、イポリット・ジラルド、他)
(グルメ度:★★★★★)
チケットぴあ

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