映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ドリーム」「亜人」「僕のワンダフルライフ」etc.

妻夫木聡

家族はつらいよ2

「家族はつらいよ2」オリジナル・サウンドトラック
平田周造と富子の熟年離婚の危機から数年後。周造は、マイカーでのドライブが趣味だったが、近ごろ、車に凹みや傷がめだつようになった。軽い接触事故を起こしてしまった父に、家族は、高齢者の危険運転を心配し、何とか運転を止めさせようとする。一方、周造は、ドライブの途中で高校時代の友人・丸田と再会。事業に失敗し妻にも逃げられ、わびしい独居老人となった丸田を励まそうと小さな同窓会を開く。酔っぱらって平田家に泊まった丸田だったが、翌朝、彼は息を引き取ってしまった。てんやわんやの大騒ぎとなる平田家だが…。

離婚危機を乗り越えた平田家が、旧友との再会から新たな騒動を巻き起こす「家族はつらいよ2」。一軒家で二世帯三世代同居の生活。何かと問題はあるが、その度に、家を離れた妹夫婦や弟夫婦が集まり、にぎやかな家族会議を開く。核家族化が顕著な現代社会では、これ自体がもはやファンタジーだ。だが、そんな彼らが直面する問題は、ことごとくリアルで、今回は、高齢者の危険運転と独居老人の孤独、無縁社会の現実を描く。次男の庄太は、看護師の憲子と結婚し家を出ているが、憲子の母親が、認知症の祖母と同居している設定で、認知症と介護の問題もちょっぴり盛り込んでいる。憲子は、母子家庭で育ったため、大家族に憧れがあるのだろう、時に身勝手なことばかり言い合う、平田家の家族たちを、いつも口数は少ないが、優しいまなざしで見つめている。一方、二階に泊めた丸田が息を引き取っていると知った時、誰もがうろたえる中、一番、冷静でてきぱきとした対応をみせるのもまた憲子だ。看護師という職業である以上に、人の生死にきちんと向き合う覚悟が日頃からできているのだろう。ただ、平田家は誰もが根っこの部分はいい人ばかり。それが分かるのが、丸田の葬儀の場面だ。たとえ面識はなくても、こうして自分たちと少しだけでも縁があった老人をひとりぼっちで葬(おく)るのは悲しすぎる。丸田が最後に関わった平田家の家族たちが心優しく善良な人であることが、救いとなっている。今回も、前作のメンバーが全員集合。チョイ役にも豪華なキャストが揃うのがさすがは山田組だ。無縁社会の悲哀を体現する丸田役の小林稔侍も味があっていい。いい歳のおやじたちが小料理屋で嬉しそうにバカ騒ぎする様は、小津映画を見ているようだった。
【65点】
(原題「家族はつらいよ2」)
(日本/山田洋次監督/橋爪功、吉行和子、西村雅彦、他)
(悲喜劇度:★★★★☆)
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愚行録

愚行録 (特装限定版) [Blu-ray]
エリート会社員の夫・田向浩樹とその美しい妻・友季恵、幼い娘の一家が何者かによって惨殺される事件が発生し、世間を騒がせる。未解決のまま1年が過ぎ、事件が風化していく中、週刊誌記者の田中武志は、改めて事件の真相に迫ろうと、関係者に取材を始める。そこから浮かび上がってきたのは、理想の家族に見えた田向夫婦の、外見からかけ離れた実像、そして証言者たちの思いもよらない姿だった。一方、田中自身も、妹の光子が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた…。

未解決の一家惨殺事件の真相を、一人の記者が関係者の証言からあぶり出すミステリー「愚行録」。原作は貫井徳郎の同名ミステリーだ。理想的に思えた夫婦の真実の姿を浮き彫りにしていく仮定から見えてくるのは、人間が行う数々の愚かしい行為である。冒頭に、関係者に取材を行う記者の田中が、バスの中で席を譲る短いエピソードがあるが、このシークエンスから、語り部、あるいは傍観者役に見える彼の心にも、歪んだ闇があることが見て取れる。物語には、嫉妬、見栄といった感情的な悪意から、恋愛や就職で他人を利用し、弄ぶ悪行もある。過去の証言で中心になるのは、名門大学内での階級格差とでも呼べる陰湿な差別構造だ。田中が一人一人を訪ね歩きながら田向夫婦の裏の顔が明らかになる一方で、育児放棄の容疑で逮捕されている妹・光子の告白が同時進行し、やがて予想もしない形でそれらが結びついていく語り口は、見事なまでに衝撃的だ。劇中には、いくつかの驚きの仕掛けがあって、そのことが“愚行”という言葉を決定づけている。物語と呼応するかのように、映画全体の色彩が暗いトーンで統一されているのが印象に残る。本作が初長編となる石川慶監督は、ポーランド国立映画大学で演出を学んだのだそうだ。どうりで、初期のロマン・ポランスキーや、イエジー・スコリモフスキ作品と、映像全体の沈んだ色調が共通している。容赦ない現実を突きつける不穏でドライな作風もしかり。この監督、次回作が気になる人だ。
【65点】
(原題「愚行録」)
(日本/石川慶監督/妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、他)
(陰鬱度:★★★★☆)
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黒衣の刺客

黒衣の刺客 [Blu-ray]
唐代の中国。13年前に誘拐されたインニャンが両親のもとに帰ってくる。しかし彼女は女道士の手によって暗殺者に育てられ、戻ってきたのは、かつての許婚で今は地方財政を牛耳る暴君となっているテェン・ジアンを暗殺するためだった。だが、どうしてもテェン・ジアンに止めをさすことができなかったインニャンは、暗殺者としての自分に疑問を感じてしまう。ある時、任務中に窮地に追い込まれたインニャンは、遣唐使船の日本人青年に助けられるが…。

台湾の名匠・ホウ・シャオシェン監督による耽美的な武侠映画「黒衣の刺客」。セリフも少なく説明もほとんどないので、ストーリーの細部を理解するのは正直難しい。最強の暗殺者となったヒロインがかつての許婚を殺めることができず、人間性を取り戻すというのが概略だ。武侠アクションだが痛快や爽快とは無縁で、すっきりしないストーリーは、時に退屈に思えるはず。だが困ったことにこの映画、見る価値がある。なぜなら全編すべて圧倒的な映像美に満ちているのだ。水墨画を思わせる草原、深い緑、切り立った崖など自然描写は壮麗のひと言。一方で、衣装や、家具調度品などの美術の細やかさ、室内をろうそくの炎で照らす幻想的なカメラワークは、官能的だ。映像があまりに美しすぎて、ヒロインをはじめキャラクターの心情が伝わりにくいという皮肉さえ感じるほど。女刺客を助ける日本人青年の役で妻夫木聡が参加しているが、重要な役にも関わらず存在感は極めて希薄。だがこれは彼の責任ではなく、映画全体の演出によるものだ。ホウ・シャオシェン監督が、アクションという意外性のあるジャンルに挑戦していることが最大の見どころといえようか。
【55点】
(原題「THE ASSASSIN」)
(台湾/ ホウ・シャオシェン監督/スー・チー、チャン・チェン、妻夫木聡、他)
(映像美度:★★★★★)
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バンクーバーの朝日

バンクーバーの朝日 Blu-ray 通常版
20世紀初頭のカナダに実在した日系移民たちの野球チームを描く「バンクーバーの朝日」。野球映画というよりヒューマン・ドラマとして味わいたい。

1900年代初めのカナダ・バンクーバー。多くの日本人が新天地を求めて移住してきたが、そこで彼らを待っていたのは、貧困、差別、過酷な労働など、厳しい現実だった。そんな中生まれた、日系人野球チーム「バンクーバー朝日」は、はじめは弱小チームだったが、やがて巧みな戦術とフェアプレーで勝ち進み、日系移民たちの希望となっていく…。

戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「朝日」の存在をこの映画で初めて知った。地元のアマチュアリーグでは弱小だったが、体格やパワーではかなわない白人チームに対し、フェアプレーを貫きながら、バントや盗塁などテクニックと頭脳プレーの戦術で戦い、やがて白人社会からも認められて優勝争いまで演じる展開は、スポーツ系サクセス・ストーリーと言っていい。だが本作を野球映画として見ると、少々物足りなさを感じてしまうだろう。スポーツ映画特有の汗臭さや必死な形相などは見当たらない。主人公を演じる妻夫木聡の終始うつむいた姿は、ただ野球だけに熱中していれば良かった時代ではなかったことを物語る。移民として差別に耐えていた彼らには、太平洋戦争勃発という、より過酷な運命が待っているのだ。映画は、野球そのものよりも、日系移民たちの過酷な生活や彼らの複雑な心情、とりわけチームそれぞれの家族ドラマの方に軸足がが置かれている。チームのほとんどが他界した後にカナダ野球の殿堂入りを果たしたというエピソードが哀愁を誘うが、それでも本作で多くの人が「朝日」を知る。そのことがこの映画の一番の使命だ。現在、海外で活躍する日本人野球選手は多いが、そんな彼らの活躍の素地ともいえるのが無名の「朝日」のメンバーなのだから。戦前のバンクーバーの日本人街を再現した広大なセットが見事だった。
【65点】
(原題「バンクーバーの朝日」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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ぼくたちの家族

ぼくたちの家族 特別版Blu-ray
母の余命宣言で揺れる家族の本音と再生を描く「ぼくたちの家族」。難病ものなのに湿っぽさがないところがいい。

若菜家はごく平凡な家族。だが重度の物忘れで検査を受けた母・玲子に脳腫瘍が見つかり、余命1週間を宣告されてしまう。玲子は認知症にも似た言動で、今まで話すことがなかった家族への不満や本音をぶちまけ、夫・克明と独立した長男の浩介、大学生の次男・俊平を動揺させる。やがて経済破綻や家族間の亀裂などが明るみに出る中、浩介と俊平は、母のために何かしなくてはと動き始める…。

早見和真の同名小説が原作で、作者の実体験をもとにしているという本作は、家族の愛情が奇跡を呼ぶという物語だ。いわゆる難病ものだが「舟を編む」「川の底からこんにちは」の俊英・石井裕也監督の演出は、これみよがしの感動や修羅場、涙を極力避けた。母の余命宣言という非常事態によって、バラバラだった家族の本当の姿を浮き彫りにした上で、男たちがジタバタしながらも母の救済に向けて団結する姿を、ひょうひょうとしたユーモアを交えて描いていく。多額の借金を抱えた父のふがいない姿もさることながら、真面目すぎて悩みぬく性格の長男とどこか冷めている次男の対比が効いている。母親の余命を宣言されても、何をしていいかもわからない男たちが、それでも何かしようと動きだし、不恰好ながらも奮闘する姿は、難病ものというより、むしろ成長物語のようだ。不満な点をあげるとすれば、母の治療に奔走する姿よりも、金銭面でのゴタゴタの方が印象に残ってしまうことだろうか。本作は、石井監督のテーマである家族映画を、若い感性で切り取って見せた意欲作といえよう。妻夫木聡と池松壮亮の若き演技派2人が好対照で、両親役の原田美枝子、長塚京三のベテラン勢とのアンサンブルも魅力になっている。
【65点】
(原題「ぼくたちの家族」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、他)
(お涙頂戴度:★☆☆☆☆)
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ジャッジ!

ジャッジ! 豪華版 Blu-ray【初回限定生産】
CM業界を舞台にしたドタバタコメディ「ジャッジ!」。バカバカしい設定の中にふと紛れ込む名セリフに拍手。

落ちこぼれCMクリエーターの太田喜一郎は上司のムチャぶりによって国際広告祭の審査員を務めることに。同期で仕事が出来るひかりにニセ夫婦役を頼み、広告祭が開かれる米サンタモニカに向かうが、そこではライバル会社のエリートのはるかをはじめ、世界中のクセモノ揃いのクリエイターたちが激しい工作合戦を繰り広げていた。さらに太田は自社のちくわのCMがグランプリをとらなければクビになると知り、ショックを受ける…。

愛すべきダメ男を演じさせたら妻夫木聡は天下一品だ。くったくのない笑顔と困り顔のブレンド具合が絶妙なのだろう。物語はそんな妻夫木演じる落ちこぼれの広告マンがその人柄の良さとCMを愛する心意気で奮闘するというお話。だがストーリーは一筋縄ではいかず、正直、まったく先読みできない。それはお人よしの主人公の“読めない”行動とともに、無責任で変わり身の早い上司や謎の窓際社員など、CM業界ならではのクセモノたちの言動がまったく予想できないからなのだ。業界の人には内輪受けしそうな設定が満載だが、ペン回しやアニメオタクグッズ、怪しげな英語が思わぬ武器になる設定は、一般人が見ても十分に面白い。監督の永井聡はサントリーや大塚製薬などのCMを担当してきた有名CMディレクター。ギャンブル好きで仕事ができるツンデレ同期のひかりとの恋愛模様はちょっと物足りないが、人脈を生かしたキャスティングと、実体験に基づく裏話をデフォルメしてテンポよくストーリーを活写してくれた。「無茶と書いてチャンスと読む」という言葉は、劇中最大の名セリフだが、太田の「CMで人を幸せにしたい」との思いこそが強力な伏線になっていた。思いがけない役で登場する豪華キャストが楽しい、笑いと驚きの娯楽作で、大いに楽しめる快作に仕上がっている。
【70点】
(原題「ジャッジ!」)
(日本/永井聡監督/妻夫木聡、北川景子、リリー・フランキー、他)
(ハチャメチャ度:★★★★☆)
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ジャッジ!@ぴあ映画生活

映画レビュー「東京家族」

東京家族 豪華版(2枚組・横尾忠則ポスターアート使用特製アウターケース付)Blu-ray 【初回限定生産】東京家族 豪華版(2枚組・横尾忠則ポスターアート使用特製アウターケース付)Blu-ray 【初回限定生産】 [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
名作「東京物語」を現代に置き換えた家族ドラマ「東京家族」。小津の愛した“紀子”が希望を象徴する。 【70点】

 瀬戸内の小島で暮らす周吉ととみこの老夫婦が、子供たちに会いに上京してくる。だが子供たちはそれぞれ忙しくて両親の面倒を見られない。寂しさをつのらせる老夫婦だが、心配の種の次男・昌次に気立てのいい恋人がいることを知り、安心もするのだった。そんな時、とみこが突然倒れてしまう…。

 映画界の宝物である「東京物語」は、名匠・小津安二郎の代表作だ。家族のゆるやかな崩壊を、冷徹なまなざしでみつめた不朽の名作である。その傑作を、現代の名匠・山田洋次監督が、小津へのオマージュを随所に散りばめながら再構築した。その時代、時代の家族を描き続ける山田監督は、本作で、これからの日本の家族はどうなってしまうのか、どこへ向かおうとしているのかという普遍的な問いを投げかける。

 上京してきた両親に優しくしたいのに、都会で忙しく暮らす子供たちと老いた両親とでは、生活のリズムが合わない。なかなか親の思うようにはいかないものだとの老夫婦の諦観と寂しさ。家族間の溝は「東京物語」と同じだ。

 異なるのは次男の描き方である。「東京物語」では次男は戦死していて、原節子演じる次男の嫁が、実の子供たちとは対象的に、細やかに老夫婦の世話を焼く。次男の不在が戦争の傷跡を照射していたのに対し、本作では父親と確執がある次男の存在によって、若者が生きづらい不安な現代を浮き彫りにした。

 この映画は当初の脚本から山田監督自身の手により改変を加えられている。東日本大震災が起こり、もはや同じ気持ちで作品は作れないと感じたそうだ。次男と恋人は、被災地のボランティアで出会ったという設定になり、震災の影響がさりげない形で盛り込まれた。個人的には、大震災という視点がはたしてこの作品に必要だったのか?!との疑問はある。それでも、悲劇の中にもある出会いは、復興への願いと重なる。山田監督は、震災後の日本は大きく変わるのだと確信しつつも、そこには必ず希望があると訴えているのだろう。

 希望の象徴として登場する次男の恋人の名前は、もちろん“紀子”。伝説の名女優・原節子が小津作品で演じた女性の名前の多くが、紀子だった。原節子とはタイプは違うが、蒼井優演じる“紀子”はとてもいい。心優しく正直な紀子に、頑固で寡黙な父親が「息子をよろしく頼みます」と頭を下げる場面は、感動的だ。この心に染み入るシーンを、小津の代名詞であるローアングルで撮る心配りが、いかにも山田監督らしい。それぞれの場所でそれぞれが精一杯生きていく。やっかいで煩わしいのに、愛しくてたまらない家族と共に。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)普遍性度:★★★★☆

□2012年 日本映画 □原題「東京家族」
□監督:山田洋次
□出演:橋爪功、妻夫木聡、蒼井優、他
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黄金を抱いて翔べ

黄金を抱いて翔べ コレクターズ・エディション(2枚組)(初回限定版) [Blu-ray]黄金を抱いて翔べ コレクターズ・エディション(2枚組)(初回限定版) [Blu-ray] [Blu-ray]
豪華キャストで描く犯罪映画「黄金を抱いて翔べ」。無計画すぎる強奪作戦に逆にハラハラする。

20年ぶりに故郷・大阪の地を訪れた幸田は、友人の北川から、大手銀行本店の地下にある240億円相当の金塊強奪計画を持ちかけられる。幸田、北川の他、銀行担当システムエンジニアの野田、爆弾のスペシャリストのモモ、元エレベーター技師のジイちゃんらが加わる。さらに偶然計画を知った北川の弟が加わり、大胆不敵な計画が幕を開けた。だが、6人の意外な過去や裏切りが浮上し、計画は思わぬ方向へと転がり始める…。

原作は、ベストセラー作家・高村薫のデビュー作。金塊を狙う男たちの欲望がギラギラし、真夏の大阪の町のうだるような空気感にピタリと重なる。6人の男たちは皆、ワケありで、幸田は過激派や犯罪者など裏社会とつながり、元・北朝鮮スパイのモモは裏切り者として追われ、野田は多額の借金に苦しんでいるなど、彼らの背景は一筋縄ではいかない。演じる俳優は実に豪華で、妻夫木聡、浅野忠信の実力派はもとより、ベテランの西田敏行、日本映画初出演となる東方神起のチャンミンなど、キャスティングの化学反応もなかなかのものだ。だが、しかし。肝心の“入念な金塊強奪作戦”があまりにも行き当たりばったりで、脱力する。そもそもこれほどの大がかりな計画なのに、メンバー構成に計画性がまったくないのはいかがなものか。絆もないのに、さしたる特殊能力がない人間をあっさり仲間と認めるとは。これでチームと言えるのか。さらにダイナマイト入手の情報も、過激派の男がモモの居場所を知るのも偶然に頼る有様。極めつけは金塊強奪の作戦があまりと言えばあまりにもアナログで、時代背景はもしや昭和か?とさえ疑った。原作小説は別としても、映画にするのにこの設定でいいのかと呆れつつも、いいかげんでも勢いで突っ走るセンスこそが井筒監督の演出の醍醐味なのだと思ったりする。“ピカレスク”な男たちの破滅的な生きざまと、容赦ないバイオレンスに、過去の井筒作品がシンクロするのだ。浅野忠信演じるリーダー格・北川は、何の悪気もなく計画を練り、深く考えず愚弟を仲間にし、妻子を殺されてもなお、金塊を狙う。このモラルの欠如が、暗く刹那的な犯罪の原動力だったのかもしれない。
【55点】
(原題「黄金を抱いて翔べ」)
(日本/井筒和幸監督/妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行、他)
(アナログ度:★★★★☆)
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愛と誠

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昭和歌謡に彩られたミュージカル仕立ての「愛と誠」に唖然。ひさびさにお目にかかった正真正銘の珍作だ。

幼い頃、雪山で見知らぬ少年・誠に命を助けられた財閥の令嬢・愛は、成長し、新宿で乱闘騒ぎを起こした彼と再会する。誠は心を閉ざした超・不良となり、ある思いを胸に東京へやってきていた。誠を一途に愛し、彼を更正させると決めた愛は、献身的に愛情を注ぐ。不良の巣窟の花園実業高校に転入した誠を追って、愛もまた名門高校から転校するのだが…。

1970年代に一世を風靡した、梶原一騎さん、ながやす巧さんによる青春漫画「愛と誠」。当時でさえも、相当あつくるしい内容の純愛ものだが、それを現代に蘇らせるにあたって、三池崇史監督は、アニメやミュージカルという“まさか”の演出を施し、徹底して遊びたおしている。物語の軸は、超不良を愛する超お嬢様の、勘違いと空回りの純愛だ。うっとうしいまでの一途さで誠を慕う愛が「私は彼を更正させる義務があります!」と宣言すれば、愛を熱愛する優等生の岩清水が「君のためなら死ねる!」の名セリフを披露。スケバンのガムコや静かな迫力を漂わせる由紀、おっさんにしか見えない権太などの濃いキャラが次々と登場し、映画はまさにカオス状態だ。しかも妻夫木聡、武井咲を筆頭に、主要キャラたちが唐突に歌いだす。曲は「激しい恋」「また逢う日まで」「オオカミ少年ケンのテーマ」といった昭和歌謡で、それに付随するダンスは確信犯的に学芸会レベルの稚拙なものという凝り様だ。すべての場面が、バラエティ番組のようなギャグに見えて仕方がない。しかも終盤には、お涙頂戴の母子ものを経て、予定通りの純愛ロマンチシズムに着地するという強引さには恐れ入った。意欲は買うが、この演出で2時間14分の長尺は苦痛で、笑いをとるならせめて短くしてくれというのが正直なところである。いずれにしても愛の本質の“滑稽さ”をデフォルメした、誰も思いつかない奇天烈な作品で、三池流の純愛ものと言っておこう。
【40点】
(原題「愛と誠」)
(日本/三池崇史監督/妻夫木聡、武井咲、斉藤工、他)
(無秩序度:★★★★★)
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スマグラー おまえの未来を運べ

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死と隣り合わせになって初めて知る、真剣に生きる瞬間の快感を描く「スマグラー おまえの未来を運べ」。抜群に立ったキャラとエキセントリックなストーリーでラストまでテンションが落ちない。

25歳のフリーターの砧涼介は、役者の夢も敗れ毎日を無為に過ごしていた。儲け話にひっかかり多額の借金を背負った彼は、ワケありの荷物を運ぶ危険な運送屋(スマグラー)の仕事をするハメに。仕事を仕切るジョーと相棒のジジイと共に初仕事に取りかかった砧だったが、運ぶ荷物はなんとヤクザの組長の死体だった。やがて、伝説の2人組の殺し屋「背骨と内臓」、ヤクザたちとの争いに巻き込まれた砧は、たった一度のミスが命取りになる、危険な闇の世界に足を踏み入れたことを知る…。

原作は、真鍋昌平の同名コミック。稀代の映像クリエイターの石井克人が映画化した本作は、刺激的なアクションとコメディの要素を盛り込んだ、スタイリッシュなエンターテインメントに仕上がった。すさまじい暴力に、残酷な拷問シーンまであるのだが、それがどこかファンタジーのように見えてしまうのは、ハイスピード・カメラとCGを駆使したぶっ飛んだ映像のおかげ。登場人物は、チャイニーズ・マフィアの伝説の殺し屋、何事にも動じない組長の若妻、ゴスロリ・ファッションの便利屋に、キレやすい上に変態趣味のヤクザなど、誰もが強烈な個性の持ち主だ。裏社会のプロフェッショナルに囲まれて、ヘタレの主人公は、生まれて初めて真剣に生きることを知る。これは何者でもなかった青年が、試練を経て、一世一代の“役柄を演じる”成長物語なのだ。血や汗がゆっくりと飛び散り、顔が歪むデフォルメされたアクションとキレのあるセリフは、閉塞的な現代社会にケリを入れるかのような爽快さ。クライマックスに凄まじい形相を見せる妻夫木聡がいいのは言うまでもないが、寡黙なスマグラーのジョーを演じる永瀬正敏の存在感が際立っていた。
【65点】
(原題「スマグラー おまえの未来を運べ」)
(日本/石井克人監督/妻夫木聡、永瀬正敏、松雪泰子、満島ひかり、他)
(エキセントリック度:★★★★★)
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スマグラー おまえの未来を運べ@ぴあ映画生活
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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