映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

宮崎あおい

バースデーカード

バースデーカード オリジナル・サウンドトラック
紀子は幼い頃は泣き虫で引っ込み思案だったが、そんな彼女を母の芳恵はいつも温かく励ましてくれていた。だが紀子が10歳の時、芳恵は病魔におかされてしまう。死期が迫った母は、紀子たち姉弟が20歳になるまで毎年手紙を贈ると約束して、他界。翌年から毎年、愛情のこもった芳恵からのバースデーカードが届くようになる。そこには人生を輝かせるたくさんのヒントが込められていた。そして紀子が20歳になった時、最後の手紙を受け取るが、そこには、小学校のクイズ大会での失敗のあと紀子が母に投げかけた質問の答えが書かれていた。紀子は、10年前の“あの日”をやり直そうと決心する…。

他界した母から娘に毎年届くバースデーカードを通して成長していくヒロインを描くヒューマンドラマ「バースデーカード」。宮崎あおいと橋本愛が母娘役で共演している。残された娘への愛情を手紙という形で残す母親と、それを受け止めて少女から大人へと成長していく娘を描く物語は、いわゆる“いい話”だ。約10年もの間、娘の成長を的確に予想しながらさまざまなアドバイスを送る手紙は、少々無理があるとはいえ、優しさにあふれている。だが先回りして書くしかなかったその手紙に、ほんのちょっぴり反抗的になる紀子が「お母さんに人生を決められているような気がする」と反発する気持ちもまた分かるのだ。全体的にあまりにも小奇麗に作られているので、何だかおとぎ話のように感じてしまう作品だが、だからこそ、観客は、こんな家族愛に憧れてしまうはず。初めての恋とその後の運命、母の故郷への旅で知る若き日の母の姿。エピソードはどれも丁寧に描かれ、好感が持てるものばかりだ。中でも、幼い頃のクイズ大会での後悔を、大人になって出演したテレビ番組での勇気でリベンジする姿がいい。メールやSNSが当たり前の現代から見たら、なんとも古風な物語だが、母娘、そして家族の愛情はいつの時代も変わらずそこにある。
【60点】
(原題「バースデーカード」)
(日本/監督/橋本愛、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、他)
(母娘愛度:★★★★★)
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世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら Blu-ray 通常版
30歳の郵便配達員の僕は、ある日、余命わずかであることを宣言される。とまどう僕の前に、僕と同じ顔をした悪魔が現れ、僕に、身の回りものをひとつ消すたびに一日の命をくれると言った。この提案に乗ることにした僕のまわりで、電話、映画、時計などが消えていく。そして猫も。大切なものを失う中で、僕はかつての恋人に再会することに。恋人や親友、疎遠になっていた父の想いに触れ、亡き母の手紙を受け取った僕は、ある決断を下すことになる…。
余命わずかの青年が大切なものを失くすことで周囲の人々の想いを知るヒューマン・ファンタジー「世界から猫が消えたなら」。原作は「電車男」や「モテキ」などのヒット作で知られるプロデューサー、川村元気による同名小説だ。難病もの、空前の猫ブーム、泣けると評判の宣伝戦略…と、見る前からちょっとあざとさが気になる映画だったのだが、あえて先入観を捨てて見てみると、それほど悪くない。主人公の僕が失う、電話、映画、時計などのアイテムには、それぞれ恋人や親友や父親との大切な思い出がつまっている。それらが消えるということは、思い出や記憶を失うということなのだ。別れた恋人との思い出は、いっきに南米まで広がって、生きることを肯定する物語へと飛躍する。イグアスの滝の映像は壮観だが、どうにも話の流れが唐突すぎて、イメージ先行のような気がしてならない。ただ、この作品に登場するプロの俳優猫・パンプの名演は特筆だ。猫は、亡き母との思い出の象徴として描かれるが、動物の自然な演技は難しいのに、実にナチュラルで、このコが画面にいるだけで、ほっこりさせてくれる。劇中には、映画愛があふれていて、作品に対する物足りなさを感じつつも、映画好き、猫好きとしては、つい点数が甘くなってしまった。
【55点】
(原題「世界から猫が消えたなら」)
(日本/永井聡監督/佐藤健、宮崎あおい、濱田岳、他)
(親子愛度:★★★★☆)
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世界から猫が消えたなら@ぴあ映画生活

バケモノの子

バケモノの子 (スペシャル・エディション) [Blu-ray]
孤独な少年とひとりぼっちのバケモノの交流を描くアニメーション「バケモノの子」。暴れん坊の熊徹の心意気に惚れる。

この世界には人間界「渋谷」とは別にバケモノの世界「渋天街」が存在する。孤独な少年・蓮は、ひょんなことから、バケモノの世界に迷い込み、暴れん坊のバケモノ・熊徹の弟子となって、九太という名を授けられる。やがて成長した九太は、人間とバケモノの世界を行き来し、渋谷で出会った高校生の楓から、様々な知識を吸収して自分が生きる道を模索するようになるのだが…。

今や日本のアニメ界を背負っているといっても過言ではない細田守監督の新作は、人間とバケモノのパラレルワールドを舞台にした壮大なアクション・ファンタジーだ。細田作品の良さは、虚実ともに、ディテールが実に細かくリアルに表現されていること。賑やかな渋谷と無国籍なムードの渋天街は、共に街の喧騒が伝わってくるようだ。物語の軸は少年の成長物語で、強くなるため修行する九太と教えることで自分も学ぶ熊徹の師弟関係は、デコボコ・コンビのバディ(相棒)にして、擬似親子関係のようでもある。熊徹と九太の修行はカンフー映画好きなら「ベスト・キッド」を連想してワクワクするだろう。キャラクターもまた、演じる声優陣の好演もあって、脇役までどれも魅力的だ。問題は物語で、今回は少々要素を詰め込みすぎた感がある。渋天街の後継者争い、九太(蓮)の淡い恋や離れて暮らしていた父親との関係、九太の将来への悩みと、話があちこちに飛ぶので何しろ慌ただしい。終盤、九太と熊徹コンビの前に意外な敵がたちはだかるが、この人物の背景や心の闇に関してはあまりに表層的なのが惜しい。それでも物語は十分にまとまっているし、渋谷の街全体を巻き込むクライマックスのバトルは、九太の成長を助けた文学「白鯨」をイメージしたビジュアルで、アクションというより壮麗なアートを見ているようで思わず息を呑んだ。強くなるために修行した少年が、心と身体のバランスがとれた、本当の強さを学ぶことで成長する。すべての世代が楽しめる王道エンタメ・アニメーションに仕上がっている。
【70点】
(原題「バケモノの子」)
(日本/細田守監督/(声)役所広司、宮崎あおい、染谷将太、他)
(バディ・ムービー度:★★★★★)
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バケモノの子@ぴあ映画生活

ペタル ダンス

ペタル ダンス [Blu-ray]
女性たちの静かな旅を描くロード・ムービー「ペタル ダンス」。独特の演出だが長編映画としては少々キビしい。

大学からの友人である、ジンコと素子は、同じく大学時代の友人のミキが自殺を図ったことを知り、様子を確かめようとミキを訪ねることにする。ジンコは、勤め先の図書館で自殺に関する本を借りていた原木と偶然出会い、原木は運転手として旅に同行することに。目指すのはミキの住む北の果ての風の町。3人の、1泊2日の小さな旅が始まった…。

CMディレクターとして活躍する石川寛が「好きだ、」以来、7年ぶりに撮った長編作。主な登場人物は女性4人だが、監督は女優たちに脚本は渡さず、感じたように演じさせたという。どうりで散文的というか、とりとめがない空気感が常に漂っているのだが、その分、出演者の素の顔をカメラに収めることに成功している。小旅行を通して、自殺を図った友人の気持ちを思い、同時に自分自身を深く見つめなおしていく女性たち。大きな事件は何一つ起こらず、アクションらしいアクションもない。ジンコ、素子、ミキ、原木の4人が揃って海へ向かい、それぞれの気持ちやイメージを紙に書くシーンが印象的だが、それさえもまた結論にはならない。悩みながらも懸命に生きている若い女性のリアルな姿を切り取ったような物語で、近頃の、説明過多で分かりやすい作品ばかり見慣れた目には新鮮に写る作品だ。だが、宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵と、これだけ豪華で旬の若手女優を集めて、こんなにも地味で暗い映画を作ってしまう石川寛監督、どうやら迎合せず自分の作りたいものを作る人のようである。見終われば、彩度の低い寒々とした映像の美しさがじんわりと効いてきた。タイトルのペタル(petal)とは花びらのこと。どこに飛ぶかわからない、それでいて自由な風に乗る4枚の花びらといったところか。
【40点】
(原題「ペタル ダンス」)
(日本/石川寛監督/宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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ペタル ダンス@ぴあ映画生活

きいろいゾウ

きいろいゾウ [Blu-ray]きいろいゾウ [Blu-ray] [Blu-ray]
互いに秘密を抱えたまま結婚した男女が本当の夫婦になっていく物語「きいろいゾウ」。一見、ユルい癒し系映画だが、実はなかなかシビアなお話だったりする。

売れない小説家の無辜歩(むこ・あゆむ)と妻利愛子(つまり・あいこ)は、満月の夜に出会ってすぐに結婚した。片田舎の古い一軒家に住む二人は、互いを“ムコさん”“ツマ”と呼び合う、中睦ましい夫婦だ。実は二人は、共に、過去の傷や言えない秘密を抱えているのだが、至って平穏に暮らしている。そんなある日、ムコ宛に差出人不明の1通の手紙が届き、ムコが抱える過去の秘密を感じ取ったツマは、動揺してしまう。このことをきっかけに二人の関係に変化が生じていくのだが…。

原作は西加奈子の同名小説で、絵本も刊行されている。ナチュラルな雰囲気を持つ宮崎あおい演じるツマは、天真爛漫でエキセントリックな性格で、動物や植物の声が聞こえ、いつも会話している。さわやかで柔らかいイメージの向井理が演じるムコは、背中に大きな鳥のタトゥーがあり、過去に愛した女性の記憶にとらわれている。穏やかに見える彼らの日常の下には、いつ破裂してもおかしくない爆弾が埋まっているのだ。そもそも、毎日一緒にいる夫婦であっても、相手のことを何から何まで知ることなど不可能である。だが、それにしてもツマとムコの例は少々極端だ。互いを運命の相手と確信し、相手のことをほとんど知らずにすぐに結婚。夫婦になってから、ゆっくりと互いを知り、障害を乗り越え、本物のパートナーになっていくという“逆流”のプロセスがユニークだ。むろん流れに逆らう以上、痛みを伴う。ただならぬ雰囲気のツマが、水道の水を出しっぱなしにし、その蛇口を締めようとするムコを、文字通り傷つけるシーンは見ているだけでも痛い。しかしこの荒療治が、ムコに過去に対峙する勇気を与え、自分が帰る場所はツマの元しかないと気付かせる。ツマもまた自分がどれほどムコを愛しているかを改めて思い知るのだ。「きいろいゾウ」はいわば運命の絵本。植物や動物の声を担当するキャストも豪華で、とりわけ、ツマの良き話し相手“ソテツ”の声を務める大杉漣の穏やかな語りがとてもいい。
【60点】
(原題「きいろいゾウ」)
(日本/廣木隆一監督/宮崎あおい、向井理、柄本明、他)
(ファンタジック度:★★★★☆)
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天地明察

天地明察 ブルーレイ豪華版 [Blu-ray]天地明察 ブルーレイ豪華版 [Blu-ray]
改暦という大事業に挑んだ星オタクのまっすぐな生き方を描く「天地明察」。学術的な素材をエンタテインメントとして面白く描いている。

太平の世が続く江戸時代。碁で徳川家に仕える碁打ちの家に生まれた、会津藩士の安井算哲は、囲碁以外にも、算術や天文学などの学問に通じていた。算哲は、藩主の命令で日本全国をめぐって北極星を観測し、暦にズレがあることを報告する。算哲は改暦という一大事業を命じられるが、それは暦を司ることで利権を握っていた朝廷への挑戦を意味していた。算哲は、妻のえんや、彼の良き理解者である水戸光圀、さらに算術や天文学を愛する多くの仲間たちに支えられ、時に朝廷からの理不尽な仕打ちに耐えながら、暦を正すという一大事業に生涯を賭けて挑んでいく…。

原作は冲方丁の同名ベストセラー小説。算術や天文学というと難しく聞こえるが、この物語の基本は、天文学者・安井算哲、後の渋川春海が挑んだ“プロジェクトX”なのだ。今では正しくて当たり前の暦だが、江戸時代の暦はズレまくっていた上に、それを指摘するのさえはばかられるというから、困ったものである。だが、改暦は朝廷への挑戦という以前に、実に困難を極めることだったのだ。日本全国を回って星を観測するのも、日本や中国の過去の暦を検証するのも、膨大なデータから自らの研究をまとめ結論を導き出すその過程も、何もかもが、気が遠くなるような時間と労力を必要とする難事業。だが、算哲という男は、星を見るのが大好きで、夢中になると周りが見えなくなる一本気な性格だ。この“好きなことに熱中する”オタク精神と、ずば抜けた集中力こそが、改暦を成功に導いた原動力と言っていい。加えて新しいことに挑戦しようという気風は、本職の囲碁の上にもにじみ出ていた。そんな算哲の資質を見抜いた会津藩主の保科正之の卓見もまた、改暦成功の鍵だったことは言うまでもない。劇中には、江戸時代の天文観測や算術に使う道具が再現されているのが大変珍しく、興味をそそるが、物語に、算哲と朝廷側の“試合”を盛り込んだのが上手かった。度々起きる日蝕・月蝕の予想合戦は、庶民にとっては格好のエンタテインメント。その興奮は、クライマックスに頂点に達することに。主人公を演じる岡田准一が、仕事は几帳面、性格はまっすぐで律儀、ライバルや仲間が思わず助けたくなるような好人物・算哲を、さわやかに演じている。何度も何度も失敗を繰り返しながら、決してあきらめない主人公の情熱は、現代を生きる私たちにも勇気を与えるものだ。何より、太平の世に、武士でも公家でもない、一介の碁打ちが、大好きな星を研究することで、ついに歴史を変えてみせたというのが痛快ではないか。「おくりびと」の滝田洋二郎監督の、けれん味のない演出に品格があり、夜空に輝く星の輝きにも似て、壮大で美しい物語に仕上がっている。
【70点】
(原題「天地明察」)
(日本/滝田洋二郎監督/岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、他)
(スケール度:★★★★☆)
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おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]
ファンタジーと日常が絶妙な割合で同居する「おおかみこどもの雨と雪」。異形の存在を認めた母と子の選択の物語でもある。

大学生の花が恋したのは、人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”だった。それでも二人は愛し合い、やがて雪と雨の二人の子供を授かる。都会の片隅で幸せに暮らしていた一家だが、その幸せはおおかみおとこの突然の死によって崩れ去る。花は、二人の子供と幸せに暮らすため、都会を離れ、厳しくも豊かな自然に囲まれた田舎に移り住むことを決意する…。

人間の女性とおおかみおとこの恋。人間とおおかみの二つの血を受け継ぐ子供。いかにもおとぎ話の世界だが、そのことを別にすると、これは、シングルマザーが懸命に生きていく姿を通して描く、恋愛、出産、育児、対人関係などの、リアルな人生の営みそのものである。“おおかみ”という要素は、社会一般でいうところの異形ということ。人は誰もが何らかの形で“おおかみ”を内に秘めているのだ。花は最初は、人間とおおかみの二つの血を持つ子供を隠すため、他者とのつながりを避けて暮らそうとする。田舎に引っ越すことでそれはある程度は成功するが、結局は、人間同士のつながりの大切さを知るというテーマもまた、リアリティがあって胸に響いてくる。だがこの物語が素晴らしいのは、最初は母である花の視点から人生を語り、やがて、おおかみこどもである姉弟が、おおかみとして生きるか、人間として生きるかの選択へと視点がスライドしていく点だ。おてんばで明るい姉の雪と、引っ込み思案で泣き虫の弟の雨は、成長するにつれて、さまざまな出会いと自らの変化を経験する。他者との違いを受け入れる母の花が、「しっかり生きて!」と二人の生命力を肯定する言葉を授ける場面は、感動的だ。前作「サマーウォーズ」では、思春期の少年の淡い恋と大家族の絆を描いた細田守監督。本作ではファンタジーという形をとるが、家族愛を高らかに歌い上げるスタンスは変わらない。母子3人が雪の斜面を疾走し、抱き合って笑い転げる場面のエモーショナルな躍動感が忘れがたい。
【70点】
(原題「おおかみこどもの雨と雪」)
(日本/細田守監督/(声)宮崎あおい、大沢たかお、他)
(家族愛度:★★★★☆)
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わが母の記

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昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を映画化した「わが母の記」。ユーモアとすごみが同居する樹木希林の演技が素晴らしい。

小説家の伊上洪作は、高齢のため、認知症の症状が進んだ母・八重をひきとることになる。洪作は、幼い頃に一人だけ他所に預けられて育った経験から、母から捨てられたとの思いを抱きながら生きてきた。妻、3人の娘、妹たちから支えられ、洪作は初めて母と向き合うことになる。母・八重もまた薄れゆく記憶の中で、息子への思いを確かめようとしていた…。

昭和の時代の、中・上流家庭の家族劇。原田眞人監督自らが公言しているように、本作は名匠・小津安二郎の映画を強く意識している。だが家族の静かな崩壊を描き続けた小津映画との違いは、本作が、記憶をたどりながら描く家族の再生の物語だということだ。自分を捨てた母と距離を置いてきた洪作は、同居することになって初めて母に自分の本心をぶつけるが、認知症が進んだ母から帰ってきた言葉は意外なものだ。映画は、母の“本心”をじわじわとあぶり出し、洪作の記憶と八重の記憶の距離を縮めながら、大きく深い母親の愛を映し出していく。八重の秘めた想いは、主人公だけでなく、見ている観客も、はっと驚かされ、涙を誘うものなのだが、決して大仰ではなく、あくまでもさらりと描く筆致に感銘を受けた。幼い頃に書いた詩、離れて暮らす真意、背中に背負う老いた母の重み。昭和の時代の、端正な暮らしぶりを丁寧に描きながら、3世代の家族の確執と和解のドラマを、ユーモアも交えて活写した本作、原田眞人監督の新境地といえよう。俳優陣は皆、好演だが、とりわけ、記憶を失っていても、すべてを理解しているかのような母・八重を演じる樹木希林の妙演にはうなる。主人公をとりまく、にぎやかな女性キャラはこの映画を楽しく、華やかに彩って魅力的。そんな中、妻・美津の「あなたは捨てられたと思っていていい。それで素晴らしい小説を書けるのなら」との、さりげなくも残酷なセリフにドキリとした。凄味ともいえる愛情で息子に接していた母・八重とともに、常に寄り添い夫を支える控えめな妻・美津のしたたかさ。女たちの優しさと怖さを感じさせる物語だ。
【70点】
(原題「わが母の記」)
(日本/原田眞人監督/役所広司、樹木希林、宮崎あおい、他)
(家族愛度:★★★★★)
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ツレがうつになりまして。

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シリアスな題材をあえて軽やかに描く、ハートウォーミング・ストーリー「ツレがうつになりまして。」。“篤姫”コンビが絶妙だ。

売れない漫画家の晴子と夫の幹男(通称ツレ)は、結婚5年目の仲の良い夫婦。外資系の会社のクレーム処理係のツレは、真面目で几帳面な性格だが、ある日突然、会社に行けなくなり、うつ病と診断される。夫の病気の原因が仕事にあると知った晴子は「会社を辞めなければ離婚する」と宣言し、ツレの療養に専念しつつ、家計を支えるため真剣に漫画に取り組むようになる…。

うつ病というシリアスな題材を、壮絶な闘病記にはせず、ある夫婦が困難を乗り越えていく絆の物語にしたのは、人間の善の側面を見つめてきた佐々部清監督らしい演出だ。もちろん細川貂々(てんてん)の原作にコミカルな味や自虐ネタが満載なのもあるが、大河ドラマ「篤姫」でも夫婦役を演じた主演の二人の相性の良さもあり、ハートウォーミングな物語になっている。実際に画面に登場するユーモラスなイラストの効果も大きい。ツレの経済力に頼りきりで、漫画に対してもどこか“甘え”があった晴子が、世間に対して「ツレがうつになったので、自分が家計を佐支えねばならない。仕事が欲しい!」と宣言し編集者に直訴する場面は、この夫婦の大きなターニングポイントだ。うつという心の病が、計らずも晴子自身を本物の漫画家にする起爆剤となるだけでなく、支え合うという対等な立場になることで、二人を真の夫婦に変えていく。この映画では、心因性うつ病を“宇宙かぜ”と呼ぶ。現代の社会問題であるうつ病には、実際にはより重い側面もあろう。だが、あえて深刻ぶらずに描き、上手な付き合い方をエッセイ風に指南する軽やかさが心地よかった。
【65点】
(原題「ツレがうつになりまして。」)
(日本/佐々部清監督/宮崎あおい、堺雅人、吹越満、他)
(ほのぼの度:★★★★☆)



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神様のカルテ

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地方医療の現実や医師としての悩みを真摯に描くヒューマン・ドラマ。人を生かす仕事である医者とは、“死”の在り方にも責任がある職業なのだ。

長野県松本の本庄病院で、医師として働く栗原一止(イチ)は、昼間は内科医として、夜間は緊急医として専門外の治療もこなし、不眠不休で激務をこなしている。イチにとって、最愛の妻の榛名(ハル)や、変わり者ばかりが住むアパート御嶽荘の住人との語らいが、唯一の安らげるひと時だ。ある時、末期ガンで大学病院から見放された患者、安曇雪乃がイチを頼ってやってくる…。

櫻井翔の髪型がヘン!ということはさておき。原作は現役医師・夏川草介によるベストセラーだ。主人公イチや妻のハル、そしてアパートの住民たちはどこか浮世離れした性格で、古い旅館である御嶽荘の風情は、時間が止まったかのよう。だからこそ、私生活とは真逆の、地方医療のあまりにもシビアな現実がくっきりと浮かび上がる。医師不足、最先端医療への渇望、延命治療。多くの問題を前にして悩む主人公は、安曇さんという1人の患者と向き合うことによって、自分が医師として、さらには人間としてどうあるべきかという答えを探っていくのだ。最期のときをどうすごすかは、それぞれに違った意見があろう。だが、大学病院から「あとは好きなことをして過ごして下さい」と見放された安曇さんにとって、自分の病気に真剣に向き合ってくれるイチは、真っ暗な中でみつけた小さな明かりに見えたに違いない。すがる思いでイチを頼った彼女に対してイチが示した誠実さは、医療のひとつの理想型だ。妻のハルがあまりにも完璧な女性で現実味がなさすぎるが、彼女はイチにとって母性愛そのものなのだろう。終盤、タイトルである“神様のカルテ”の意味がわかるとき、じんわりと感動が広がり、イチやハル、安曇さんたちと共に信州の山々を見たくなる。
【60点】
(原題「神様のカルテ」)
(日本/深川栄洋監督/櫻井翔、宮崎あおい、要潤、吉瀬美智子、他)
(夫婦愛度:★★★★★)



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神様のカルテ@ぴあ映画生活
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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