映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

岡田将生

映画 ひみつのアッコちゃん

映画 ひみつのアッコちゃん(本編BD1枚+特典DVD1枚) [Blu-ray]映画 ひみつのアッコちゃん(本編BD1枚+特典DVD1枚) [Blu-ray]
赤塚不二夫の国民的マンガを実写映画化した「映画 ひみつのアッコちゃん」。綾瀬はるかのコスプレがなんとも楽しい。

10歳の小学生・加賀見あつ子、通称アッコちゃんは、ある日、鏡の精から魔法のコンパクトをもらう。テクマクマヤコン…と呪文をとなえるとどんな人にも変身できるそのコンパクトで、アッコは22歳の大学生に大変身。偶然出会った、大手化粧品会社の社員・早瀬尚人に気に入られ、企画開発室でバイトすることになる。大人の世界を満喫するアッコだが、その会社は実は買収の危機にさらされていた。見た目は大人でも心は小学生のアッコは、子供らしいアイデアとコンパクトの魔法で、淡い恋心を抱く尚人と、会社を助けようと奮闘するのだが…。

原作は、故・赤塚不二夫が1960年代に少女マンガ誌で連載した名作漫画。いつの時代にも乙女心を刺激する変身願望と、今や不動の人気ジャンル“魔法少女”ものの原点ともいえるアイデアは、常に人々を魅了してきた。過去にもTVアニメ化はされたが、今回は誕生50周年ということで、まさかの実写映画化である。綾瀬はるかと岡田将生という美男美女を得たものの、基本的にはキワモノすれすれのこのお話、ポップでカラフルな映像と徹底した明るさで、スラップスティック・コメディ路線で楽しむのが良さそうだ。アッコちゃんは、最初は大好きなおしゃれやメイクのし放題で「大人ってサイコー!」とはしゃぐが、やがて真の大人に必要なのは、責任感と努力で、仕事とは地道な作業の積み重ねだということを理解していくから、なかなかまっとうな筋である。企業買収の裏側にある陰謀を、子供らしい“正論”で論破するあたりなど、正しい行いとは?と、思わず襟を正したくなるはずだ。まぁ、そんな真面目なテーマはさておき、綾瀬はるか演じるアッコちゃんの変身ぶりが実に楽しい。似合うか似合わないかは問題外のコスプレと、さまざまな人の内面にアッコちゃんがいる楽しさ。演じるベテラン俳優たちも、小学生になりきってコミカルな名演技を披露する。10歳のヒロインが大人の世界に紛れ込むことで、社会というのも所詮は子供の世界の延長線上にあることを教えられた。モラルや正直な生き方など、大人は言いたくても言えないときがあるが、それを真正面から言ってくれるのがアッコちゃんだ。映画では人気のジャンルで、人の中身が入れ替わる“入れ替わりもの”のパワーの源は、願うということなのかもしれない。
【50点】
(原題「映画 ひみつのアッコちゃん」)
(日本/川村奏祐監督/綾瀬はるか、岡田将生、香川照之、他)
(キュート度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
映画 ひみつのアッコちゃん@ぴあ映画生活

宇宙兄弟

宇宙兄弟 Blu-ray スペシャル・エディション宇宙兄弟 Blu-ray スペシャル・エディション
クチコミを見る
宇宙への夢とロマンを描く「宇宙兄弟」。荒唐無稽な物語だが、夢を追い続けることこそが勇気と教えられる。

兄ムッタと弟ヒビトは、幼い頃UFOを目撃し、共に宇宙へ行こうと誓ったが、約束通り宇宙飛行士になったヒビトとは対照的に、兄ムッタは就職した自動車開発会社もクビになり、やさぐれた日々を送っていた。そんなムッタのもとへ、宇宙飛行士選抜試験の書類選考通過の知らせが届く。ムッタに内緒でヒビトが応募していたのだ。「忘れたのかよ、あの約束」。ムッタは弟への劣等感を抱えながらも再び宇宙への夢に挑戦することになるのだが…。

原作は、小山宙哉の大人気コミック。共に宇宙にロマンを抱く兄弟の物語だが、もじゃもじゃ頭の兄ムッタ(六太)と、無邪気な性格の弟ヒビト(日々人)は、子供時代を除いて、ほとんど同じ画面に登場しない。ムッタが宇宙飛行士の最終試験で奮闘するその時、ヒビトは月でとんでもない事態に。とてつもない距離感がそこにあるが、二人が常に心の底でつながり、支えあっていることを私たち観客はひしひしと感じ取る。宇宙飛行士というと、とびきりのエリートのイメージなのに、人生ドロップアウト気味のムッタが懸命にチャレンジする姿は、リアリティは薄くても思わず応援したくなるはず。ムッタというキャラクターが持つ、優しさ、ユーモア、独特のスケールの大きさが、荒唐無稽なこのスペース・エンタテインメントを支えているのだ。出演者は、W主演の小栗旬と岡田将生はもちろん、脇役まで味のある実力派をそろえた豪華な布陣。コールドプレイが主題歌を提供するというのもこれまた豪華。JAXAの協力だけでなく、NASAケネディ宇宙センターでの撮影というウルトラ級の贅沢も。さらに、さらに!悩めるムッタに、ロケット打ち上げの成功の秘訣を語る老人は、なんとアポロ11号乗組員で月面を踏んだ英雄バズ・オルドリン本人だ。何から何までゴージャスな内容だが、本作は、難しい宇宙の説明やロケット理論は控えめで、対照的な兄弟の心の葛藤と、宇宙へのロマンをストレートに描いた。わかりやすい内容で、間口の広い作品になったことが一番の長所だろう。
【60点】
(原題「宇宙兄弟」)
(日本/森義隆監督/小栗旬、岡田将生、麻生久美子、他)
(青春映画度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
宇宙兄弟@ぴあ映画生活

アントキノイノチ

アントキノイノチ Blu−ray プレミアム・エディション [Blu-ray]アントキノイノチ Blu−ray プレミアム・エディション [Blu-ray]
クチコミを見る
遺品整理業を通し成長する若い男女の姿を描く「アントキノイノチ」。重く痛々しいテーマだが、主演の二人の抑えた演技と丁寧な演出に好感が持てる。

高校時代の親友・山本の死に責任を感じ、自らも心を閉ざして生きる杏平は、父親の紹介で“遺品整理業”の仕事をすることになる。杏平は、そこで出会った同僚のゆきや会社の先輩・佐相らと過ごすうちに、少しずつ他人に対して心を開いていく。そんなある日、いつも明るいゆきから、衝撃的な過去が語られ、ゆきは杏平の前から姿を消してしまう。彼女の行方を懸命に捜す杏平だったが…。

原作はさだまさしの同名小説だ。遺品整理業という聞きなれない職業は、なんらかの理由で孤独死した故人の遺品を、不要品と供養品に分けて、遺族に渡す仕事である。人間関係が希薄な現代社会を象徴するような仕事だが、モノが遺品という死の象徴になると同時に、生きていた証でもある点が興味深い。杏平は、陰湿な同級生の悪意のせいで親友を失うが、唯一親しかった友をかばえなかった自分や、見てみぬふりをする周囲の無関心に耐えられず、重度のうつ病になってしまう。そんな杏平にとって、遺品整理業という仕事は、生と死という名前の“薬”で、壊れてしまった心を癒す治癒のように見える。だからこそ、淡い恋心を抱いていたゆきの過去を知ったとき、死にたいほどの出来事さえ乗り越える、人間が持つ原初的な生命力を信じるようになるのだろう。杏平とゆきの過去は共に悲痛だが、映画は過剰な情緒や激情を前面には出さない。岡田将生と榮倉奈々の両若手俳優は、繊細な表情や仕草でキャラクターに説得力を与えて素晴らしい。杏平はかつて無関心な周囲に「関係なくないだろう!」と叫んだ。だがそれは、他人との関わりを恐れていた自分にも跳ね返る。生きている間は、人と人とはつながっている。いや、生きているものと亡くなった人もまた。そのことを杏平が改めて知るのが、終盤に彼が行うある人の遺品整理だ。とてもつらい場面だが、その先には確かな明るい希望がみえる。
【70点】
(原題「アントキノイノチ」)
(日本/瀬々敬久監督/岡田将生、榮倉奈々、松坂桃李、他)
(命の尊さ度:★★★★★)
チケットぴあ


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

アントキノイノチ@ぴあ映画生活

↓さだまさしの原作はこちら
【送料無料】アントキノイノチ

【送料無料】アントキノイノチ
価格:630円(税込、送料別)

プリンセス トヨトミ

プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディションプリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション
荒唐無稽で壮大なホラ話系エンタテインメントだが、父と子の絆が謎解きの鍵。中井貴一の存在感が際立っている。

国家予算が正しく使われているかを調査する会計検査院調査官、松平元、鳥居忠子、旭ゲーンズブールの3人が大阪にやってくる。調査は順調に進むが、不審な社団法人「OJO(大阪城址整備機構)」の存在が浮かび上がる。やがて、大阪国総理大臣の真田幸一が現れ、400年に渡り封印されていた豊臣家の末裔に係わる秘密を語り始めた時、大阪の公共機関や商業活動など、あらゆる機能が停止する事態へと発展していく…。

関西を舞台に奇想天外な物語を生みだして大人気を博す万城目学のベストセラー小説が原作だ。東京と大阪、徳川と豊臣という対立構図以上に、現代の指導力欠如の政治構造の情けなさと、地下に潜った一枚岩の大阪男たちの団結力を比べたとき、こんなことがあってもいいんじゃないのかという気分になる。何しろ“鬼の松平”と呼ばれる調査官に「嘘をつかない男は手強い」と言わせる、普段はお好み焼屋の無口なおやじ、実は大阪国総理大臣を演じる中井貴一の、キモの座った存在感が素晴らしい。国家予算が豊臣の末裔を守ることにどう使われているかを描かないことや、個性豊かなはずの大阪女をまったく無視したストーリー、商店街の少年と少女の物語に魅力がないことなど、ツッコミどころは多い。だが、後半に大阪中の男たちが集結する場面は、不思議と胸が熱くなる。登場人物の名前に、豊臣、徳川両陣営の歴史上の人物を配するなど、歴史好きをニヤリとさせる仕掛けも楽しかった。大阪独立は昔からひそかに叫ばれる夢のプロジェクト。この映画への大阪人の率直な反応が知りたい。
【55点】
(原題「プリンセス トヨトミ」)
(日本/鈴木雅之監督/堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、他)
(ありえない度:★★★★☆)
チケットぴあ



にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

プリンセス トヨトミ@ぴあ映画生活

雷桜

雷桜 スタンダード・エディション [DVD]雷桜 スタンダード・エディション [DVD]
日本版「ロミオとジュリエット」との触れ込みなので悲劇に終わるのは予想はつくが、美しすぎる山の自然のためか、むしろおとぎ話のような浮遊感が漂っている。徳川将軍・秀斉の十七男、清水斉道は、心の病の静養のため家臣・瀬田助次郎の故郷・瀬田村に向かう。そこには雷に打たれた銀杏に桜が芽をつけた不思議な巨木“雷桜”があった。一人で山に分け入った斉道は、そこで自由奔放な山の娘・雷と運命的に出会い、恋に落ちる。雷は実は幼い頃行方不明になった助次郎の妹で、庄屋の娘・遊だった。山から里へ降りることになり息苦しさを感じる遊と将軍家の血をひく斉道。共に生きる場所を模索する2人だったが、それは所詮許されない恋だった…。

身分違いの恋という手垢のついた素材を、岡田将生と蒼井優の若手実力派コンビに演じさせたことで、野原に一陣の涼やかな風が吹くような透明感が生まれた。特に雷/遊を演じる蒼井優の山娘が非常に魅力がある。天狗のコスプレで暴れる様子といい、生家に戻って美しい着物を着ても寂しげな表情といい、インパクトのある男言葉といい、もしやこの娘は、雷桜と呼ばれる樹の精なのではないかとさえ思ったほどだ。だが物語は表層的で、雷/遊を連れ去る原因となる藩同士の諍いも、斉道のトラウマとなっている亡き母の血を受け継ぐ心の病についても、まるで深みがない。物語はあくまでも純愛ラブストーリーで、しかも、時代的の形をしているが、ムードは現代劇そのものだ。何しろ斉道のセリフが軽い。徳川将軍家の殿さまがこの時代に「愛している」という言葉を言う陳腐さに脚本家は気付いていないのか。最後の経年のエピソードもありがちなものだ。ただ、遊が一世一代の賭けに出る場面の「おまえをかどわかしに来た!」というセリフはいい。子供の頃に自分を連れ去った育ての親への愛と、叶わぬ恋に挑戦するには、今いる場所から消えるしかないという悲しい決意が込められている。斉道の飼う鷹が最初と最後に効果的に登場し、鷹の視点で下界を見下ろすショットがあるのが、ひらめきを感じさせ印象に残った。居場所がないと感じる男女の出会いと別れを俯瞰で見下ろし、運命に抗って愛を貫こうとする二人を見守っているかのようだった。
【55点】
(原題「雷桜」)
(日本/廣木隆一監督/岡田将生、蒼井優、小出恵介、他)
(現代風度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

瞬 またたき

瞬 またたき [DVD]瞬 またたき [DVD]
不幸な事故で恋人を失ったヒロインが、失った記憶をたどる喪失と再生の物語だ。泉美は恋人の淳一とバイクで花見に出かけた帰り、交通事故に遭ってしまう。一人だけ生き残った彼女は、事故当日の記憶を失ってしまい、精神科で治療を受けながら失意の日々を過ごしていた。偶然知り合った女性弁護士の真希子の力を借りて、失われた記憶を取り戻そうと決心し、事故原因の解明を真希子に依頼する。自らも心に傷を負っている真希子は、最初は「知らないほうがいいこともある」と断ろうとする…。

薄紅色の桜の花や緑の木々、水色の空など、北国・北海道ならではの透明感ある情景にまず惹かれる。その美しい風景と、一人生き残った罪悪感で抜け殻のようなヒロインがくっきりと対比する。泉美は、自分の記憶の欠如の中に、大切な何かが残されていると感じている。それを探ろうとするきっかけとなるのが弁護士の真希子との偶然の出会いだ。真実と対峙するのは怖いけれど、それでも何が起こったのか知りたい。物語は少しずつ事故の断片を拾い集めて真実のパズルを埋めるミステリーのように進んでいく。泉美が必死で真実に向き合おうとする姿は、過去に妹を傷つけてしまい家族から逃げている真希子をも前向きに変えていくことになるが、このサブ・ストーリーは部分的に記憶を失ったヒロインとの共通性が見られず、あまり効果的とは思えない。とはいえ、真希子の協力で、やがて事故当時のことが分かり、恋人の純一がいかに自分を愛していくれていたかを知る展開は、通常の純愛ものとは一味違う面白味がある。ただ、ついに思い出した事故の場面が、あまりに凄惨なので、思わず目をそむけた。いわゆる純愛ものなので安心して見ていたのに、こんなに残酷なシーンを見せられるとは。北川景子が、一見弱くみえて、実は芯が強い一途なヒロインを好演している。
【55点】
(原題「瞬」)
(日本/磯村一路監督/北川景子、大塚寧々、岡田将生、他)
(衝撃度:★★★★☆)

人気ブログランキン  グ←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

僕の初恋をキミに捧ぐ

僕の初恋をキミに捧ぐ スタンダード・エディション [DVD]僕の初恋をキミに捧ぐ スタンダード・エディション [DVD]
純愛と難病という二本柱で、ティーンエイジャーの女子の涙を誘導するラブ・ストーリー。ヒロインの周囲の人間の死亡率はハンパじゃない。医師を父に持つ少女・繭は、父の患者である少年・逞と出会い、幼い頃から互いに惹かれあう。だが逞は20歳まで生きられない重い心臓病だった。「大人になったら結婚しよう」と誓う二人だったが、高校に入学し、逞と同じ病気を患う年上の女性・照や、繭に好意を寄せる同級生の昂らの登場で、二人の思いは揺れ始める。

原作は青木琴美の大ベストセラー・コミックだ。このテの話は飽きられるということはないのか、ほとんど同じ骨格で繰り返し描かれる。とても病人には見えない元気な難病美少年と、やたらとモテるヒロインは、ロマンチック路線を爆走するのみだ。女の子の妄想の域を出ない新鮮味のない物語には苦笑するしかない。だがそんな中にもひとつだけ見所があるのだ。それは後半に登場するドナー提供のパート。植物人間になった病人にも家族がいる。その家族の、目覚めるかもしれないという万に一つの可能性と願いを描くのは真摯な姿勢だ。しかも臓器をもらうその人が友人だったなら。こんな作品で…というのはシャクだが、大いに考えさせられるテーマではある。
【30点】
(日本/新城毅彦監督/井上真央、岡田将生、杉本哲太、他)
(死亡率度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

魔法遣いに大切なこと

劇場版 魔法遣いに大切なこと プレミアム・エディション [DVD]劇場版 魔法遣いに大切なこと プレミアム・エディション [DVD]
ティーンエイジャーの揺れる心情を丁寧に描くことで定評がある、中原俊監督の青春ラブ・ファンタジー。コミックス、アニメ、小説などメディアミックスとして人気がある原作を、実写映画化したものだ。

“魔法遣い”が当たり前に人間社会に存在する現代。16歳の女の子ソラは、正式な魔法士になるため、北海道から上京する。同じく魔法士になるための研修を受ける仲間たちとともに、職業としての魔法の基礎を学んでいく。ソラは、魔法を上手く使えない少年・豪太と、同じ魔法事務所にホームステイすることになり、互いに気になる存在になっていくが…。

魔法は、人の生命にかかわることはできないというのが、物語の大前提として存在する。死んだ人の記憶を再生することはできるが、死者を生き返らせたり、寿命を延ばしたりはできないということだ。ソラは、先輩魔法士に付き添って研修を行うが、魔法を使って依頼を忠実に再現することが、必ずしも依頼主の幸福につながらないということを知る。

魔法の場面のCGは迫力や精密さに欠けるのだが、劇中に、イルカの救出シーンが用意されていて、これがちょっと面白い。イルカ(海豚、鯆)は、哺乳綱鯨偶蹄目クジラ類ハクジラ亜目に属する種のうち、小型の種の総称。海岸に大量に座礁したイルカを海へ返すべく、魔法士が集まって救助するという場面なのだが、イルカの体に水で膜を作り水分を与えてから、空中へ浮かせ、いっきに海へと返すという作戦だ。低予算の悲しさで、この、本来はダイナミックな場面になるであろうシークエンスが迫力に欠けるのは残念。だが、このイルカ救出場面は、案外この物語の中で意味深い。本来は、生命にかかわってはいけない魔法が、人は不可だが動物ではOKというのは、シニカルな設定だ。また、実際には、イルカが座礁した場合、野生動物保護の観点からは救助が必要だが、座礁した原因が、病気などイルカの側にあるとの懸念がある場合は、人命、安全面を最優先に考えながらの救助では、救える命はごくわずかなのだ。実は、ソラには魔法遣いゆえの哀しい宿命がある。イルカ救助のシーンで、いつになくソラが強い意志を示すのは、そんな自分の運命を知っているからだろう。

ティーン向けのラブ・ファンタジーの要素を重視したため、脚本もユルく、随所に甘さが目立つ作品だが、魔法遣いは、魔法局が管轄する“国家公務員”であるなど、基本的な設定は非常に面白い。魔法の費用や魔法遣いの遺伝の条件など、あと一歩踏み込めば、工夫次第ではより深いドラマになっただろうと思うと、惜しい作品だ。ラストには、主人公のソラが、最初で最後の“違法の魔法”を使うことに。「ルールは必要。でも人生はもっと柔軟で複雑なもの。だから判断力を養うことが大切だ」。劇中のこの言葉、なかなか深い。それは魔法遣いに大切なことであると同時に、人間にとっても忘れてはいけない生きる術(すべ)だ。

(出演:山下リオ、岡田将生、田中哲司、他)
(2008年/日本/中原俊監督)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

重力ピエロ

重力ピエロ 特別版 [DVD]重力ピエロ 特別版 [DVD]
毎度のことだが私は伊坂幸太郎原作の映画とは相性が悪い。残念ながら今回も同じだ。一見関係のない出来事が最後にピタリと合致するのが伊坂ワールドの特徴で、本作もそれを踏襲し、ミステリーとしての完成度は高い。だが、この作者の魅力と言われる名台詞は、文字で読む分はいいが、声に出した途端に色褪せる。兄・泉水と弟・春は、街で発生する連続放火事件の謎を追うが、その事件は彼らにかかわる哀しい過去へと繋がっていた。

最強の家族ならどんなことも乗り越えられる。だからといって、どんなことでも許されるのか。「メチャクチャだよな」のセリフのとおり、作者自身も承知なのだが、これを優しさや切なさという言葉でありがたがるのが理解できない。つまりは、モラルを超越したところに価値を見出す物語なのだろう。春が、消されてにじむグラフィティアートを見つめる様子は不条理を象徴する映像で面白い。身勝手な理論で犯罪を正当化する渡部篤郎の不快な存在感は、印象的だ。
【45点】
(日本/森淳一監督/加瀬亮、岡田将生、小日向文世、他)
(家族愛度:★★★★☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

ホノカアボーイ

ホノカアボーイ [DVD]ホノカアボーイ [DVD]
南の島の空気とおいしい食べ物で癒されたい。そんな願望がバーチャルでかなうユルい作品だ。この展開ですぐに思い浮かぶのは「めがね」あたりか。彼女にフラれたレオは大学を休学してハワイ島の北のホノカアで暮らし始める。そこは“伝説の虹”がかかる時、願いがかなうという場所だが、住人は風変わりな老人ばかりだった。一応、青年の成長物語のスタイルだが、こんなかったるい生活で大人になれるなら苦労はない。倍賞千恵子演じる老女のキモい恋心など、かんべんしてと言いたくなる。蒼井優や深津絵里など、むやみに豪華なゲストを見ながら、まったりするにはいいだろう。
【30点】
(日本/真田敦監督/岡田将生、倍賞千恵子、長谷川潤、他)
(グルメ度:★★★☆☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が趣味で運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり更新中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
当サイトはリンクフリーです
★相互リンクは設けておりませんが、当サイトはリンクフリーなので自由にリンクしてください。リンクの報告は基本的に不要です。
リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ