映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

押井守

GARMWARS ガルム・ウォーズ

ガルム・ウォーズ Blu-ray豪華版
遙かなる古代。戦いの星アンヌンには、ガルムと呼ばれるクローン戦士がいて、部族間で果てしない争いを繰り広げている。8つの部族を作った創造主・ダナンが突然去り、残ったのは、空を制するコルンバ、陸を制するブリガ、そして情報技術に長けたクムタクの3部族だけとなる。コルンバの女性飛行士・カラは、ブリガの兵士スケリグとの戦闘の最中、クムタクの老人ウィドと出会う。やがて敵同士である3人には不思議な連帯が生まれる。3人はガルムで神聖視される犬・グラを連れて、海の向こうの遥か彼方にある伝説の聖なる森・ドゥアル・グルンドを目指す旅に出ることになるが…。

戦うためだけに作られたクローン戦士3人が、自らの存在意義を探る旅に出るSFファンタジー「GARMWARS ガルム・ウォーズ」。本作は、アニメ界の鬼才・押井守監督が、構想15年の末に、製作費20億円、オール北米ロケで、海外のスタッフ、キャストと共に完成させた念願の企画だ。偶然にも「THE NEXT GENERATION パトレイバー」「東京無国籍少女」と、実写映画が続く押井監督だが、本作は実写とアニメが融合した、幻想的なビジュアルに仕上がっている。クローン戦士は、何度死んでもその個体の記憶をクローンの脳に転写することで再生を繰り返し、幾世代も生き延びてきた。自分たちは何のために作られ、どこから来てどこへ行くのか。創造主ダナンは、なぜ去っていったのか。それらの答えを知るのは、クムタクの老人ウィドが連れている、絶滅した部族・ドルイドの最後の生き残りであるナシャンだ。創造主ダナンの声を伝える役割を担っていたドルイドの“声”は、クライマックスにようやく聞くことができるが、日本語吹替え(それ自体の出来はかなりいい)だと、その声が聞き取りにくいのが惜しい。凝り性でミリタリー・オタクの押井守監督らしく、空中に浮かぶ戦艦や昆虫を思わせる飛行装置、主要キャラが身にまとう衣装や武器などが個性的で美しく、思わず見入ってしまうほどだ。とりわけ暁や深い森を背景にした戦いは一枚の絵のようである。肉体が変わっても記憶は受け継がれるという設定や、押井作品ではおなじみの川井憲次による詠唱的サウンドは「イノセンス」を連想させる。それにしても本作のヒロインのカラは、今までの押井映画とは少し違って、タフなだけでなく、どこかもろいキャラクターだ。カラとスケルグの間にうっすらと生まれる愛とその顛末も含めて、不安や寂しさを内包したヒロイン像が本作の魅力となっている。
【55点】
(原題「GARMWARS」)
(カナダ・日本/押井守監督/メラニー・サンピエール、ランス・ヘンリクセン、ケヴィン・デュランド、他)
(壮大度:★★★★☆)
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東京無国籍少女

東京無国籍少女 [DVD]
女子美術高等専門学校に通う、かつて“天才”と呼ばれ将来を有望視された少女、藍。事故によって心に傷を負った彼女は、眠ることも、授業に出ることもできず、ただ一人で謎のオブジェを作り続けていた。特別扱いされる藍を快く思わない教師や生徒から執拗なイジメや嫌がらせを受ける日々の中で、藍の日常は崩壊していく…。

押井守が監督する実写映画「東京無国籍少女」は、押井監督お得意の“自分とは何者か”がテーマ。類まれな能力を秘めているがPTSDによって心を病む少女・藍には、ある大きな秘密がある。ネタバレは避けるが、このオチは禁じ手ではないのか?! 映画では何度もみてきたオチだが、往々にしてこれを使う監督は、アイデアに困っていることが多い。だって“これ”ならば、何でもアリだし、つじつまなど合ってなくてもOKなのだから。オチの是非はひとまず置くとして、押井映画にしては、珍しく、流血描写がてんこもりだ。美術学校が舞台だが、教室はほとんどスプラッタ状態。さらにクライマックスには驚愕のアクション・バトルも登場し、かなりハイ・テンションである。軍事オタクの押井監督らしく、戦車や軍用ヘリ、超ド級の武器なども登場。美術学校でのトラウマ持ちの美少女の話に、なぜこんな描写が? それは映画館で確かめてほしい。それにしてもやっぱり押井守という監督は、実写映画の出来栄えにはムラがある。アニメと同等の、平均したクオリティを待ちたいところだ。
【50点】
(原題「東京無国籍少女」)
(日本/押井守監督/清野菜名、金子ノブアキ、田中日奈子、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)
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東京無国籍少女@ぴあ映画生活

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦

THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット特別版 [Blu-ray]
2014年からスタートした「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズの最終章となる長編劇場版「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」。最終章だけあってシリアス、アクション路線で決めまくる。

人間型ロボット・レイバーの衰退を受け、ついに警視庁特車二課パトレイバー中隊の解隊が現実的に。そんな中、最新鋭の戦闘ヘリを自衛隊から強奪し、首都の住民1000万人を人質に東京を混乱に陥れる謎のテロリスト集団が現われる。テロリストの暴挙を止めるため特車二課が出動。型落ちの警察用ロボットVS熱光学迷彩を施した最新鋭戦闘ヘリの壮絶なバトルが始まるが…。

シリーズすべてを見届けてきたものには、感慨無量の長編劇場版・最終章だ。今までのおふざけが嘘のように、危機とアクションと警察の暗部のストーリーがシリアスに展開する。見どころは、何と言っても、AH-88J2改グレイゴーストこと、機関砲、対地ロケット、ミサイルで完全武装し、最新の熱光学迷彩を身に纏って“消えるヘリ”となった脅威の戦闘ヘリと、ついについに動きだしたパトレイバーとの激突。「いよっ、待ってましたぁ!」状態なのだが、実は1993年のアニメ「機動警察パトレイバー2 the Movie」を再構築した、ドラマパートも見ごたえがある。無論、この1993年版や、シリーズを見てこなかったファンには分かりにくい部分も多いのだが、レインボーブリッジや都庁の爆撃シーンなどのVFX技術の高さや、押井守監督らしいスタイリッシュな構図などを見ていると、魅力は十分に伝わってくる。後藤田隊長、明、佑馬、カーシャら、おなじみのメンバーの活躍もうれしいが、銃をぶっ放す高島礼子の雄姿がいい。防衛省の全面協力で、邦画としては迫真の映像に仕上がった。押井ワールドを堪能したければ、ぜひ劇場の大スクリーンでの鑑賞をおすすめする。
【70点】
(原題「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」)
(日本/押井守監督/筧利夫、真野恵里菜、福士誠治、他)
(シリアス度:★★★★☆)
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦@ぴあ映画生活

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第7章

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第7章(完全初回生産限定版)(限定特典:エピソード12シナリオブック付き) [Blu-ray]
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第7章(完全初回生産限定版)(限定特典:エピソード12シナリオブック付き) [Blu-ray] [Blu-ray]
名作ロボットアニメを完全オリジナルで実写映画化した「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第7章」。まるで長めの予告編という感じの1時間。

エピソード12:大いなる遺産
警視総監の後継者人事が噂される中、特車二課の解体が遂に現実となり始め不穏な空気が漂い始める。隊長の後藤田は、先代の隊長が特車二課の存続のために残していた警察内部に仕掛けた“遺産”を探る。後藤田が辿りついたのは、かつて幻のクーデターを率いたが、今は収監されているひとりの男だった…。

第7章では、まずシリーズ総集編、さらに1993年に公開された劇場版アニメ「機動警察パトレイバー 2 the Movie」の後日譚で、2015年公開の長編劇場版「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」にも繋がるエピソード12「大いなる遺産」で構成されている。押井守自らが監督する「大いなる遺産」の一番のウリは、キーパーソンとして、ファンの中でも人気の高いキャラ・南雲しのぶが登場(チラリとだが…)することと、彼女と関係の深い柘植行人の登場だろう。シリアスという意味ではシリーズ屈指だが、話は少しも進まないので力が抜けた。さらに言えば、既視感満載なダイジェストと、長編版に向けた長〜い予告編のようなエピソードで構成された1時間足らずの作品で堂々と入場料を取るのはいかがなものか…という気がしないでもない。ラストに登場する長編版の予告編を見る限り、かつてしかけた“遺産”を巡り、激しいバトルが繰り広げられる様子。ともあれ、ここまでつきあってきたシリーズだ。「首都決戦」に期待!である。特殊な公開形態ということで、長編映画に至るまでの章は、例によって今回も得点は表記しないこととする。
【(ー)点】
(原題「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第7章」)
(日本/押井守監督/真野恵里菜、筧利夫、福士誠治、他)
(第7章度:★★★★★←暫)
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第7章@ぴあ映画生活

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第6章

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第6章 [Blu-ray]
名作ロボットアニメを完全オリジナルで実写映画化した「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第6章」。やっと戦うレイバーの姿にしばし感動。

エピソード10:暴走!赤いレイバー
旧ソ連の軍用レイバーが新潟経由で密輸されるとの情報が公安部から寄せられる。協力を要請してきた公安部を特車二課第二小隊隊長の後藤田はたくみにかわすが、以前捕えたテロリストの蜂谷が、レイバー強奪を狙って逃亡したため、アキラとユウマは新潟へ出張することになる…。
エピソード11:THE LONG GOODBY
特車二課で、イングラムの操縦と格闘ゲームに明け暮れるアキラ。そんな時、同窓会の招待状が届く。仕事を抜けだし、ほろ苦い思い出を胸に出席した彼女は、かつて想いを寄せていた男と再会し、胸をときめかせる。クルーズ船に乗り遅れた2人は、先輩の一人とともに船を待つことになるが、男にはある秘密があった…。

第6章は、色々な意味で画期的だ。エピソード10では、ついにレイバーが戦う姿を目にすることができる。軍用レイバーVS警察用レイバーのバトルは、膝をつき、奇策を秘めたレイバーの銃砲が火を噴く…と言いたいところだが、ギャグ系のこのシリーズのこと、予想外の展開に。むしろ見どころは、思いがけず同じ部屋で一夜を過ごすことになったアキラとユウマの微妙な関係かもしれない。ともあれ、待ち望んだレイバーの戦う雄姿に「いよっ!待ってました〜♪」と叫びたくなる。一方でエピソード11は、ほとんどレイバーは関係なしというから、メリハリがあるというか、やけっぱちというか…。色気ゼロのアキラの恋愛(未満だが)模様の物語だ。高校時代の想い人と再会し胸をときめかせるアキラだが、その結末はほろ苦い。ちょっと嬉しいのは、映画「ロング・グッドバイ」のセリフの解釈で、これがこのエピソードの結末にリンクしている。第6章は久しぶりにアキラが主役。キュートな女子高校生姿やドレスアップしたエレガントな姿など、アキラファンには至福の時だろう。特殊な公開形態ということで、長編映画に至るまでの章は、例によって今回も得点は表記しないこととする。
【(ー)点】
(原題「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第6章」)
(日本/押井守監督/真野恵里菜、筧利夫、福士誠治、他)
(第6章度:★★★★★←暫)
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第6章@ぴあ映画生活

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章 [Blu-ray]
実写シリーズ第2章「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章」。ギャグのみで構成された内容に、ファンのぼやきが聞こえてきそう。

エピソード2:98式再起動せよ
レイバー犯罪も下火となってほとんど出番がない特車二課の98式イングラム。特車二課の解体を目論む警視庁上層部の陰謀で、警視総監の前で礼砲を打つことに。ろくに立つこともできないイングラムを、整備班は総力を結集して修理するが…。
エピソード3:鉄拳アキラ
脅威の動体視力と反射神経で、レイバーの操縦とゲームに青春を捧げた、一斑操縦担当のアキラ。非番の日に出かけたゲーセンで、アキラは最強の中年オヤジに遭遇し、完敗する。衝撃を受けた彼女は、非常識なまでの修行を積んで中年オヤジとの対決の時を向かえるが、そこで“勝つための思想”を知ることになる…。

前作未見ではつらいし、一見さんお断りの作りは不親切だが、前作とは違い、本作ではズバリ本題に入っていくので、話は早い。エピソート2は、一応、イングラムが主役だ。整備班がゾンビのようになりながら修理したイングラムはついに動きだすが、予想通りトンデモな結果となる。だが、このオチはいくらなんでも無神経すぎやしないか?!それでもイングラムの数々の“型”が披露されるなど、お楽しみは用意されている。それに対し、悪ふざけがすぎるのがエピソード3だ。イングラムはほとんど無関係。ゲーム決戦に臨むアキラと、最強オヤジとの対決は、寺山修司の引用に、立喰師列伝的演出と、やりたい放題だ。ゲスト出演・竹中直人の長台詞の果てに明かされる“勝つための思想”のオチが、これまた脱力必至である。いったいいつロボット映画らしくなるのだろうか? コネタとギャグの応酬、過去作のセルフ・パロディに、いつしか慣れつつある自分がコワいが、まぁ、いいだろう。この一連のシリーズは映画というよりイベントなのだから。特殊な公開形態ということで、長編映画に至るまでの章は、例によって今回も得点は表記しないこととする。
【(ー)点】
(原題「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章」)
(日本/押井守、辻本貴則、湯浅弘章監督/真野恵里菜、福士誠治、竹中直人、他)
(第2章度:★★★★★←暫)
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第2章@ぴあ映画生活

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章


THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章 [Blu-ray]
名作ロボットアニメを完全オリジナルで実写映画化した「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章」。まだウォーミングアップの状態。

21世紀。かつて軍事、産業とあらゆる分野で活躍した汎用人間型作業機械“レイバー”は、長引く不況により、手間やコストがかかるという理由から無用の長物と化していた。大幅に人員を減らした特科車両二課パトロール中隊(特車二課)、通称パトレイバーも、レイバー運用経験の継続のためにかろうじて存続するのみ。3代目・特車二課の面々は、今日も“待機”という日々の業務にいそしんでいたが…。

人気アニメ「機動警察パトレイバー」が、ドラマシリーズ(全7章)と劇場長編映画で実写化するプロジェクトで、本作はそのスタート。まずはエピソード0を含むドラマシリーズ第1章ということになる。個性的な初代、凡庸な2代目、そして無能な3代目。こんな自虐的な言葉でスタートする本作には、3代目・特車二課の泉野明や塩原祐馬、カーシャや後藤田隊長ら、メンバーの顔見世的な色合いが濃いので、話はまったく進まない。エピソード0にいたってはシバ班長のぼやきと思い出のみというから、いったい本気なのか?!と言いたくなるが、このユルさがパトレイバーと言われれば、納得もできよう。もともとアニメの頃からレイバーが動かず、ダラダラと進む展開は見慣れている。食べ物ネタや無駄な歌や踊りも、これが“間(マ)”なのだと思えば腹も立たない。何しろ全7章という大長編シリーズだ。無駄も含めて、今後、凝り性の押井守がどういう映像を見せてくれるのか、楽しみに待つしかない。…ということでこのシリーズ、レビューをアップはするが、評価は最終章までおあずけだ。
【(ー)点】
(原題「THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章」)
(日本/押井守、田口清隆監督/真野恵里菜、筧利夫、福士誠治、他)
(第1章度:★★★★★←暫定)
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章@ぴあ映画生活

宮本武蔵 双剣に馳せる夢

宮本武蔵‐双剣に馳せる夢‐ [DVD]宮本武蔵‐双剣に馳せる夢‐ [DVD]
アニメーションにしてドキュメンタリー、さらに一級のエンタテインメントでもある本作は、壮大な「たら・れば」映画だ。歴史において、もし〜だったら…、もし〜していれば…、と想像するのは、後世に生きるものの楽しみであり、見果てぬロマンでもある。

江戸時代(17世紀)に実在した不敗の剣豪・宮本武蔵。片岡千恵蔵、三船敏郎、中村錦之助ら、大スターたちが演じてきたこの伝説の剣聖が、生涯かけて望んだものとは? また、最も有名な“巌流島の決闘”について彼自身が決して語ろうとしなかったのはなぜか? 映画はこの2つの謎を、有名な二刀流“二天一流”と、武蔵の著書「五輪書」をベースにして、史実はもちろん大胆な仮説と解釈で紐解いていく。

武蔵を読む鍵としたのが「馬」。騎馬戦で功を成すことこそが彼の悲願だったとするのが本作のスタンスだ。宮本武蔵というと、決闘というイメージだが、一級の軍師、兵法家、戦略家として武蔵を、西洋の騎士道や中国の戦法にも触れながら、構築していく。その根拠を、膨大な知識と雑学が支え、不思議な説得力で迫る展開は、スピード感に溢れていて飽きさせない。

本作で監督を務めるのは押井守作品で演出を担当してきた西久保瑞穂だ。作画はもちろんプロダクション I.Gである。当の押井は、原案・脚本を務め裏方に徹しているが、すさまじい情報量だった「立喰師列伝」を彷彿とさせる理論はまさに押井節。ただ、「立喰師列伝」と違い、語りは分かりやすく平易だ。大胆な理論が、ポップでコミカルな解説者(及びアシスタント)によって、楽しく、かつ骨太に展開されていくさまを見ると、本作が決して一部のマニアックなファンではなく、より一般向けの作品を目指して作られていることが分かる。音楽がまた素晴らしい。多くのクラシックの名曲が効果的に使われ、それに講談調の語りをぶつけるなど、ユニークなセンスを発揮。独特の呼吸と節回しで繰り広げられる武蔵とライバル達との剣劇シーンは、音楽剣劇ともいえるもので、思わず手に汗を握る魅力を備えている。

「五輪書」は自筆本とされながら、原本は焼失、それぞれに差異がある数多くの写本が存在する。そんな書物だからこそ、大胆な仮説が成り立つ。宮本武蔵という手垢のついた素材を再構築した新しい着眼点「馬」。可愛らしいうんちくと迫力のドラマとの鮮やかな対比。ファンク調やロック調など縦横なアレンジで登場する浪曲など、見所は数多い。何より、歴史好き、映画好きの両方が満足する作品が、アニメーションという日本が誇る文化の立地点から生まれたことを評価したい。

(2009年/日本/西久保瑞穂監督/原案脚本:押井守)

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アサルトガールズ

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鬼才・押井守の久々の実写映画には、監督がこだわる美しい女戦士と銃器に対するフェティシズムが満載だ。舞台は、アヴァロン(f)と呼ばれるゲームの仮想空間。荒廃した砂漠を模した場所で、突然変異で生まれた巨大モンスター“マダラスナクジラ”を仕留めるべく、3人の女ハンター・グレイ、ルシファー、カーネルと、強力な武器を持つ一匹狼の男性ハンター・イェーガーが、パーティーを組むことに。はたして彼らは敵を倒しポイントをゲットできるのだろうか…。

黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子がそれぞれセクシーで個性的なコスチュームをまとった女ハンターに扮し、時に素手で戦い、時に銃をぶっ放す様は文句なしに絵になる。うねる蛇のようなスナクジラの造形も見事。ビジュアルは相変わらずハイ・クオリティだ。だが、ストーリーを追うにはコツがいる。まずゲームの世界観は映画「アヴァロン」に、女ハンターたちも過去の押井作品にリンクしている。それらを見ていない観客が作品を楽しむには、物語を追うのは潔くあきらめ、ひたすら視覚的な快感に身をませるのが正解だろう。一方、押井作品に精通するファンにとっては、時折挿入される二宮金次郎の像のように、意味深なようで意味がないような細部を独自の視点で分析するマニアックな楽しみがある。かつてないほどの激しい闘いの果てに、皮肉な仕掛けを施して、バトルはまだ終わらないと示唆。飛び立つ女戦士たちと地上で吠える男性ハンターの構図に押井監督の男女観を見るのもいいだろう。虚構の中の闘いが永遠に繰り返されるスパイラルもまた、監督がデビュー以来、ずっとこだわってきたファクターだ。セリフがなくパントマイムのような動きで演じた菊地凛子の存在感が際立っで面白い。
【55点】
(日本/押井守監督/黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子、他)
(スタイリッシュ度:★★★★★)

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映画レビュー「スカイ・クロラ」

『スカイ・クロラ』 [DVD]『スカイ・クロラ』 [DVD]
◆プチレビュー◆
伝えたいのは希望。難解さを排除したストーリーは、押井アニメ初心者にもおすすめだ。 【85点】

 思春期のままで永遠に生き続ける子供“キルドレ”により、ショーとしての戦争が行われる時代。戦闘機のパイロットで、新しく前線基地に赴任してきたユーイチは、元エース・パイロットの女性指揮官スイトと出会う…。

 押井作品で、これほど切ないラブ・ストーリーがあっただろうか。共にキルドレの、ユーイチとスイトの間には初対面から懐かしい感情が漂っている。それだけではない。マッチを折って捨てる癖、初めてなのに体になじむ戦闘機、何度出会っても愛してしまう人。基地のすべてにうっすらと甘い記憶がにじんでいた。リピートは、押井監督が好んで使うモチーフだが、本作のループ・エネルギーの本質には、明日への希望が感じとれる。

 戦争以外で死ぬことはないキルドレの中では、生と死が同居していて、そのどちらもイメージは希薄だ。平和を実感するために、ゲーム、すなわち戦争を行うという大人の歪んだ発想が、彼らの感覚を奪っていく。企業が商売として取り仕切る戦争を終わらせないため、絶対に倒せない敵“ティーチャー”を配するが、彼はキルドレではなく本物の大人の男だ。つまり、永遠の子供キルドレにとってティーチャーは、決して越えられないバーチャルな父として存在し続ける。絶望的な閉塞感に、息が詰まりそうだ。

 その息苦しさは、濃密な映像とも無縁ではない。偽りにも似た平和と激しい空中戦は、地上は2次元、空中は3次元と描き分けられている。平面的な人物の顔には、生きる目的が分からず行き場のない不安が垣間見える。対して、背景となる空や戦闘機は、実写かと見紛うほど緻密な奥行きがあり、思わず見惚れてしまうほどリアルなのだ。近年の押井作品の映像の作りこみは狂おしいほどだが、本作は心象風景とのコントラストがとりわけ見事だ。

 膨大な量のセリフと哲学的な世界観が知的探究心をくすぐり、ファンを熱狂させる押井ワールド。だが今回は趣が違う。情報量は少ないが、メッセージはストレートで分かりやすい。伝えたいのは未来への希望だ。そもそも押井監督が語るストーリーは、SFながら強烈に現代社会を照射するから惹き付けられる。それはキルドレが生まれた経緯や、日系と欧州の企業が競う戦争という設定にも色濃く表れていた。物語の根源は、あくまで身近なところにある。成長しないキルドレは、現代社会を手探りで生きる若者と、大切なものを見失ったことに気付かない大人の姿だ。この複眼が物語に深みを与える。

 「君は生きろ。何かを変えられるまで」。愛しているなら殺してほしいとせがむスイトにユーイチはこう言って飛び立った。切なすぎる想いが爆音と共鳴し、胸が痛む。キルドレが飛ぶ大空に正義はない。だが瞳のその先には愛があった。たとえ一筋でも希望の光があれば、新しい価値観で時を生きてみせよう。このやるせない愛の物語の、エンドロールの後のワン・シークエンスは、絶対に見逃さないでほしい。そこで、私たちはユーイチとスイトの存在を肯定する言葉を聞くだろう。そのひと言こそが彼らの記憶の福音となる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)切なさ度:★★★★★

□2008年 日本映画 英題「The Sky Crawlers」
□監督:押井守
□出演:(声)菊地凛子、加瀬亮、栗山千明、他


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スカイ・クロラ The Sky Crawlers@ぴあ映画生活
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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