映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワイルド・スピード ICEBREAKE」「無限の住人」「帝一の国」etc.

映画

無限の住人

無限の住人 不死身の用心棒編 (講談社プラチナコミックス)
100人斬りの異名を持つ伝説の侍・万次は、罠にかけられて目の前で最愛の妹を殺される。自身も瀕死の重傷を負うが、謎の老婆によって永遠の命を与えられてしまう。死ぬことができず、無限の身体となった万次は、生きる意味を見失い、孤独で退屈な日々を送っていた。そんなある時、剣客集団・逸刀流の首領である天津影久に両親を殺された少女・凜から、仇討ちを遂げるため用心棒を依頼される。どこか妹に面影が似た凜を見て、彼女を守ろうと決心する万次。だが、万次と凛の前に、逸刀流の最強の暗殺者たちと、同じく天津を狙っていた幕府軍が、天津もろとも襲い掛かり、想像を絶する死闘が繰り広げられる…。

不死身の剣士・万次の壮絶な闘いを描くアクション時代劇「無限の住人」。原作は、沙村広明の同名人気コミックだ。万次は望んでもいないのに不死身となるが、不老不死で無為の時を過ごしたため剣術の腕は衰え気味。傷は再生するが、斬られれば痛みを感じ、血も流れる。体内の魔虫による治癒力を弱められれば、最強ではいられない。事実、万次は、何度も腕を切り落とされたり、ザックリと斬られたりと、不死身とはいえ、強いんだか弱いんだか微妙なキャラクターなのだ。心の奥底にある優しさゆえに、不死を終わらせることさえできない万次は、切ない男なのである。1対1の戦いでは刺客の個性が際立ち、敵側の中には心が通じあうものもいれば、同じ運命を共有する刺客もいる。だがクライマックスの300人を相手にする壮絶なバトルになると、もはや敵味方や善悪を超越した死闘となっていく。このカオスの趣や、宿場の密室的空間での活劇は同じ三池崇史監督の「十三人の刺客」を思い起こさせるものだ。ほぼ全編、殺陣が続くが、バラエティに富んだ武器や、キャラ毎のイメージカラーなどで映像的にもメリハリがあって飽きさせない。顔に傷を持ち片目だけの眼力で熱演する木村拓哉、可憐な杉咲花、初の悪役ながらどこかさわやかな福士蒼汰と、俳優たちは皆好演だ。とりわけ、少林寺拳法の心得があり、身体の柔軟性から美しくキレがあるアクションをみせる戸田恵梨香が素晴らしい。映画の中の不死身の戦士といえば、ハリウッドではその強さが全面に出る。一方、本作の主人公は、人を殺し続ける呪われた運命と愛するものを失う哀しみを知る心優しき刺客だ。生きるのにうんざりしていた万次が、誰かを守るという目的を持ったことで輝きだす。俳優・木村拓哉の本気が伝わるアクション活劇となった。
【70点】
(原題「無限の住人」)
(日本/三池崇史監督/木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、他)
(流血度:★★★★★)
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ワイルド・スピード ICE BREAK

ワイルド・スピード アイスブレイク
長い逃亡生活と最悪の敵との闘いを終えたドミニク・トレット(ドム)は、愛するレティや仲間たちと固い絆で結ばれた“ファミリー”を誰よりも大切に思っていた。そのドムが謎の女サイバーテロリスト・サイファーの側に寝返る。残されたレティたちは突然の裏切りにショックを受けながらもドム奪還を狙うが、犯罪のエキスパートにして史上最強のドライバーである彼にかなうものはいなかった。一方、ホブスはドムの裏切りによる任務失敗の責任をとって刑務所送りに。残された手段は、ファミリー最大の敵だったデッカート・ショウと手を組むことだったが…。

大人気カーアクションシリーズの第8弾「ワイルド・スピード ICE BREAK」。ポール・ウォーカーの突然の事故死という悲劇を乗り越えた前作は見事な出来だったが、本作の暴れっぷりはさらに上を行く。ドムの裏切りというまさかの事態には、もちろん深い理由があるのだが、仲間たちはドムをとことん信じて彼を取り戻すために奮闘しつつ、シャーリーズ・セロン演じる天才ハッカーが仕掛ける最凶のテロに立ち向かうというのが大筋だ。ワイ・スピらしい、あきれるほどブッ飛んだカーアクションが次々に登場する。キューバの公道での炎のカーレースに始まり、NYでは無人の車が大挙して暴走し高層ビルから車の“雨”が降る。クライマックスは、氷上で潜水艦や装甲車とのカーチェイスなのだから、もう、笑うしかない…というより、素直に興奮するしかない。ストーリーなどもうでもよろしい!と思ってしまう怒涛の136分では、今回共闘するデッカート役のジェイソン・ステイサムが最も美味しい役どころだ。ロック様演じるホブスとのガチンコバトルも用意されているが、この二人、いがみ合いながらも心の底では互いを尊敬していて、いいコンビなのである。毎回のお約束で、豪華な新キャラが登場するが、今回はあの名女優が意外な役で登場。ワクワクさせてくれる。本作は新たなワイスピ3部作のはじまりとなる作品だ。常識を超えた圧巻のカーチェイス、全員主役級の個性豊かなキャラクター、何よりも大切なのは家族。この3つさえ覚えておけばワイスピは楽しめる。ド派手なお祭りムービーなので、ぜひ映画館の大スクリーンで堪能してほしい。
【70点】
(原題「THE FATE OF THE FURIOUS」)
(アメリカ/F・ゲイリー・グレイ監督/ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、他)
(ありえない度:★★★★★)
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帝一の國

「帝一の國」オリジナルサウンドトラック
国内屈指の名門校・海帝高校に首席で入学した新1年生の赤場帝一は、将来、総理大臣になって自分の国を作るという野望を抱いていた。その夢を叶えるため、政財界に強いコネ持ちを、将来の入閣が確約されている生徒会長の座を目指すことに。2年後の生徒会長選挙を見据え、誰よりも早く動き出した帝一だったが、彼の前には800人の超エリート高校生たちというライバルがいた。やがて帝一は、想像を絶する罠と試練が待つ、壮絶な派閥闘争に巻き込まれていく…。

名門高校の生徒会長の座を巡る激しいバトルを描く学園闘争コメディ「帝一の國」。原作は古屋兎丸の大人気同名コミックだ。菅田将暉演じる主人公・帝一が野心の男なら、ライバルキャラたちは、策略、正義、支配、戦術と、それぞれの役割が分かりやすく描き分けられていて、戯画的演出とギャグのつるべうちで笑わせる。時代が昭和という設定なので、どこか浮世離れした雰囲気や、テクノロジーに頼らない戦略が、物語にフィットしているのだ。親の代からの因縁や腐れ縁、誤解に策略が交錯し、生徒会長選挙は余談を許さない。1年生の帝一は、まずは次期生徒会長になる2年生を見極めてその派閥に入るが、そこで、姑息なライバルに罠をしかけられたことで大ピンチに。そんな中、状況を一気にひっくりかえす奇策“マイムマイム事変”には大爆笑した。生徒会長になるためには、どんな汚いことも辞さないと心に決めている帝一が自分の国を作りたい本当の理由は、意外にもセンチメンタルなもの。原作に登場する、帝一の恋人の美美子を巡る恋愛バトルはバッサリと割愛されてしまったので、物語は、イケメン男子たちの学園闘争に絞られた印象だ。恋愛より野心と友情。負けるのではなく勝たせてやる懐の深さに、ピアノ曲・マリオネット(操り人形)のメロディーが不敵に響いた。
【65点】
(原題「帝一の國」)
(日本/永井聡監督/菅田将暉、野村周平、竹内涼真、他)
(カリカチュア度:★★★★★)
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パージ:大統領令

The Purge: Election Year (Blu-ray + DVD + Digital HD)
年に1度、12時間だけ全ての犯罪が合法化される法律“パージ”。貧困層を排除しようするパージに反対する上院議員ローンと、犯罪率を低下させたパージを擁護する極右政権NFFAが、国内を分裂させていた。パージの是非を問う大統領選が進行中に、運命を左右する新たなパージがスタートする。NFFAから命を狙われるローン上院議員と彼女の護衛を務めるレオは武装集団に襲われる。はたして彼らは悪夢の12時間を生き延びることができるのか…?!

年に1度だけどんな犯罪も許可されるという歪んだ制度が存在する社会を描く人気シリーズの第3弾「パージ:大統領令」。第1作目のイーサン・ホークが早々と降板したせいか、第2作「パージ:アナーキー」ではトーンダウンした感があったが、この第3弾は、幸か不幸か、苛烈な大統領選挙やトランプ政権誕生といったアメリカの現実を反映してしまい、シリーズ最高の問題作になってしまった。非現実的な設定が持ち味だったこのシリーズが、あまりにリアルに傾いたのは、皮肉な話である。狂気の法律パージは、表向きは、国民のガス抜きのためのもの。犯罪は確かに激減したが、真の目的は、富裕層による、貧困層や弱者という経済的負担の排除と、差別主義的な人口抑制なのだ。パージを利用して、政敵を亡き者にしようと企むNFFA。ローン側には内部に裏切者もいる。ついにパージの火ぶたが切って落とされ、そこからは怒涛のサバイバルが始まるという展開だ。パージの裏側で、富裕層や保守系政治家、教会や保険業界、そしてマスコミの思惑がからみ、事態はカオス状態に。パージ反対派のローグ上院議員はヒラリー・クリントンを意識しているのは明らかだが、彼女を守るシークレット・サービス役で警官レオが登場するのが、シリーズを見てきたものとしては嬉しいところだ。トンデモない設定ながら、スマッシュ・ヒットを記録し第3作まで作られたのは、こんな法律があるのも悪くないと、心の奥底で共鳴している人がいるからだろうか。そう思うと背筋が凍る。ともあれ痛烈すぎる政治的メッセージが込められたサバイバル・スリラーとなった。
【65点】
(原題「THE PURGE: ELECTION YEAR」)
(アメリカ/ジェームズ・デモナコ監督/フランク・グリロ、エリザベス・ミッチェル、ミケルティ・ウィリアムソン、他)
(無法地帯度:★★★★★)
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イップ・マン 継承

Ip Man 3 [Blu-ray] [Import]
1950年代の香港。武術家のイップ・マンは、妻や息子と共に静かな毎日を送っていた。だが、裏社会を牛耳る外国人の不動産王フランクの暴挙から街を守るために、ついに立ち上がることに。さらに、車引きのシングルファーザーで武術の使い手チョンから、武術“詠春拳”の正統をめぐる戦いを挑まれる。そんな時、長年自分を支えてくれた最愛の妻ウィンシンが病に倒れてしまう…。

ブルース・リーの唯一の師匠として知られる武術家イップ・マンを主人公にした人気アクションシリーズの第3弾「イップ・マン 継承」。冒頭に青年ブルース・リーが登場し、その後は、街を守るために悪徳不動産王と闘い、イップに対抗意識を燃やす同じ詠春拳の使い手の挑戦を受け、さらに重い病に倒れた愛する妻を支えるという見所3段構えで描く本作は、盛り沢山の内容ながら、ドニー・イェンの存在感のおかげで飽きることはない。ドニー自身が本物の武術家なので、強く美しいアクションはスクリーン映えするものだが、今やハリウッド大作でもひっぱりだこの売れっ子俳優になった彼は、今回は夫婦愛のドラマでもいい味を出している。何しろ本作では、ロマンティックな社交ダンスまで披露してくれるのだ。だがやっぱりこのシリーズはアクションあってこそ。元ボクシング世界王者のマイク・タイソンとの“3分間の死闘”の密度もすごいが、実はムエタイを操るタイ人刺客とのエレベーターを降りる間の異種格闘のバトルの緊迫感がすさまじい。そして敵なのか味方なのか分かりづらいのが玉にキズなチョンとの詠春拳VS詠春拳の戦いは、もはや名人芸で、ほれぼれしてしまった。ちなみに、清朝後期に生まれた詠春拳は、もともと女性の護身術として誕生したそう。街を守るための勧善懲悪の分かりやすい戦いから、詠春拳の誇りを賭けた複雑なせめぎあいまで。“イップ・マン”シリーズは、いつの時代も、愛するものを守るために戦う男の物語なのだ。
【65点】
(原題「IP MAN 3/葉問3」)
(中国・香港/ウィルソン・イップ監督/ドニー・イェン、マックス・チャン、リン・ホン、他)
(愛妻家度:★★★★★)
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3月のライオン 後編

映画『3月のライオン』オリジナルサウンドトラック
プロ棋士の桐山零が、川本家の3姉妹と出会い、家族同然に食卓を囲むようになって1年。零は、初めて感じる家庭のぬくもりに安らぎを感じる一方で、獅子王戦という厳しい戦いに挑もうとしていた。父親代わりの幸田は息子の暴力が原因でケガをし緊急入院、幸田の長女・香子はプロ棋士・後藤との不倫の恋を持て余すなど、幸田家は崩壊寸前。零の周囲の棋士たちにも、病や重圧など、さまざまな問題が降りかかる。川本家でも、3姉妹を捨てた父親が突然舞い戻り、とんでもない要求を突きつける。人を愛することを知った零は、強くなることで大切な人々を守ろうと決心するが…。

孤独な青年プロ棋士の成長と闘いを描いた、羽海野チカのベストセラー漫画を実写化した2部作の後編「3月のライオン 後編」。零が抱える孤独や闘うしかない運命と共に、零の周囲の人々の悩みや葛藤など、青春群像、人間ドラマとして充実した仕上がりとなった。後編では、はじめての安らぎを与えてくれた川本家の3姉妹を守りたいという、零の強い思いが全面に出ている。同時に、闘いしか知らなかった彼が、自分自身を見つめ直し、ライバルや先輩棋士たちと、初めて自分から深く関わっていく。羽海野チカの原作の持つ魅力はもちろんのこと、アクション映画を得意とする大友啓史監督のキレの良い演出が、青年棋士の心の成長という静かなドラマを、激しい戦いのドラマへと昇華させてくれた。零が学ぶことは、たとえ負けたとしても努力し続ける意味。そして強さの本質だ。主人公を演じる神木隆之介がラストシーンに見せる“背中の演技”には、毅然とした決意が感じられ、感動的である。ただ、川本家3姉妹だけは、考えた末に決めた“次の一手”で、困難な人生にひとつの答えを出したが、登場人物それぞれが抱える問題のほとんどが未解決。映画は、闘いの前編、愛の後編という位置付けだが、2部作後編は完結ではなく、新たな始まりへのスタートラインという印象が残る。桐山零のその後を見てみたくなった。
【70点】
(原題「3月のライオン 後編」)
(日本/大友啓史監督/神木隆之介、佐々木蔵之介、有村架純、他)
(成長度:★★★★☆)
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バーニング・オーシャン

Deepwater Horizon [Blu-ray + DVD + Digital HD]
メキシコ湾沖80キロに位置する海底油田施設・ディープウォーター・ホライゾン。石油会社が、スケジュールの遅れを理由に掘削再開を迫ったことから工事が強行され、天然ガスへの引火と大爆発による大事故が発生する。作業員126名がいるディープウォーター・ホライゾンはたちまち炎に包まれた。チーフ技師のマイクは、一人でも多くの作業員の命を救い、被害拡大を食い止めながら、必死で脱出方法を探るが…。

2010年4月に起こったメキシコ湾原油流出事故を描いた実録ディザスター・ムービー「バーニング・オーシャン」。巨大な海底油田施設・ディープウォーター・ホライゾンで発生した引火・爆発の大事故は、世界最大級の人災と呼ばれ、多数の死者・負傷者を出したこと、周辺の自然環境や住民の生活に甚大な被害を与えたことで知られる。主人公を熱演するマーク・ウォールバーグは、ピーター・バーグ監督とは、ネイビーシールズの兵士がタリバンから追い詰められるサバイバル・アクション「ローン・サバイバー」で組んでいるし、公開待機中のボストンマラソン爆弾テロ事件を扱った実録もの「パトリオット・デイ」でもタッグを組んでいて、このコンビは、実話の社会派アクションがトレードマークになりつつある。本作で描かれた事故は、営利優先の石油会社の幹部が、工事の遅れを取り戻すため、安全テストを省略して工事の強行稼働を迫ったことが発端。巨大な石油掘削施設での、泥水噴射、原油逆流、ガス引火、大爆発と、次々に起こる大災害の恐怖を臨場感たっぷりに描いている。ただ、ディープウォーター・ホライゾンを忠実に再現した巨大セットや、決死の脱出劇は確かに迫力たっぷりで見応えがあるが、石油掘削現場という一般人がほとんど知らない場所での災害のために、どうしても説明パートが多く、ディザスター・ムービーとしての訴求力が削がれたことは否めない。映画は、事実を追うのに精一杯で、人間の内面に迫るドラマとしての魅力には欠けてしまった。それでも、この大事故の原因が、安全より利益を優先させた結果の大惨事だったことを思うとき、遠い場所で起こった過去の出来事というだけでは片づけられない危機感が浮かび上がってくる。実際に事故に遭った人々が写真で登場し、彼らのその後を紹介するエンドロールが、強く印象に残る。
【65点】
(原題「DEEPWATER HORIZON」)
(アメリカ/ピーター・バーグ監督/マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ケイト・ハドソン、他)
(スペクタクル度:★★★★★)
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美女と野獣

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック<英語版[1CD]>
ある城に魔女の呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまった、一人の美しい王子が住んでいた。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、誰かを心から愛し、愛されることができなければ、永遠に人間には戻れない。希望を失いかけたその時、美しい村娘のベルが城に現れる。聡明で進歩的な考えを持つベルは閉鎖的な村になじめず悩みながらも、人と違うことを受け入れる女性だった。そんなベルと触れ合ううちに、外見に縛られて自分の価値を見出せずにいた野獣の心は変化していく。互いに惹かれあう二人だったが…。

アニメーションとして初のアカデミー賞作品賞にノミネートされたディズニー・アニメの不朽の名作を実写映画化したラブ・ストーリー「美女と野獣」。近年のディズニー・アニメの実写化では、おとぎ話を現代的な解釈で再構築するのがコンセプトだったが、本作は、1991年のアニメ版をほぼ忠実に実写化しているので、ストーリー的な驚きはほとんどない。だがその分、実写ならではの絢爛豪華な美術、衣装などのきらびやかな映像と、抜群に芸達者な俳優たちの素晴らしい歌声で、観客の心を鷲づかみにしてくれる。もともとはフランスの民話なので、フランスで何度かの実写化がなされているが、本作はアニメ版はもちろん、1946年のジャン・コクトー版へのリスペクトが見て取れる。「ドリームガールズ」のビル・コンドンはミュージカルが得意な監督で、本作でも美しく繊細、かつスピード感あふれる演出が冴えていた。ベルと野獣のダンスシーンは有名な主題歌“美女と野獣”も含めて最高にロマンチックだし、ベルを迎えて城の住人(ポットや時計、燭台たち)がファンタジックな大騒ぎを繰り広げる“ひとりぼっちの晩餐会”の躍動感は、近年のミュージカルでは出色の楽しさだ。そして、自分の輝きを信じること、本物の美しさは外見ではなく内面に宿るという、いつの時代も変わらない「美女と野獣」の普遍的なメッセージが、しっかりと伝わってくる。アニメ版に忠実すぎる実写化という点は、賛否が分かれるかもしれないが、完成度が極めて高いエンタテインメントを見る幸福感に素直に酔いしれたい。
【80点】
(原題「BEAUTY AND THE BEAST」)
(アメリカ/ビル・コンドン監督/エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス、他)
(エンタテインメント度:★★★★★)
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バーフバリ 伝説誕生

Baahubali (Malayalam) DVD by Rana, Ramya Krishnan, Kichaa Sudeep, Sathyaraj Prabhas
無数の兵士から滝へと追い詰められた老女が自分の命とひきかえに守った赤ん坊は、滝の下に住む村人に救われる。シヴドゥと名付けられ、たくましい青年に成長した彼は、外の世界に憧れ、巨大な滝を上るが、そこで運命的に出会った美貌の女戦士アヴァンティカに恋をする。彼女の一族が暴君バラーラデーヴァが君臨する王国と戦い続けていることを知ったシヴドゥは、戦士となって王国に乗り込むが、そこには王国に25年もの間囚われている実の母がいた。そして自分こそがこの国の王子バーフバリであることを知る…。

インドの伝説の戦士バーフバリの活躍を描くスペクタクル・アクション「バーフバリ 伝説誕生」。インド映画の興収記録を塗り替えたという評判のエンタテインメントは、ハエを主人公にした快作「マッキー」のS・S・ラージャマウリ監督によるアクション大作だ。数奇な運命に導かれた孤児が、実は自分は王子だと知り、蛮族に略奪された王国を取り戻すため、戦いに身を投じるというのが大筋。堂々のR15指定作品なので、首や腕が飛び、血しぶきが舞うなど、戦闘シーンはかなり激しい。セピア色のトーンの画面は、旧約聖書のモーゼを描いた「エクソダス:神と王」や、ギリシャ神話を題材にした「インモータルズ」を思い起こさせるものだ。神話的世界観の英雄伝説を描くのに、CGやスローモーションを多用して、迫力と荘厳さを演出している。だが、そこはやはりインド映画。突如、極彩色の画面に切り替わり、歌とダンスが挿入されたり、コミカルなシーンがひょっこり現れるなど、インド映画らしさをきっちりと踏襲しているのが嬉しい。主人公が一人二役を演じるのもお約束だ。バーフバリは、ヒーローとして覚醒したら、勧善懲悪に向かって迷いなしのフルスロットル。ハリウッドのアメコミ・ヒーローのように、うじうじ悩んだりしないのが潔い。そしてもちろん美女とのロマンスも。ヒロイン役のタマンナーは“ミルク・ビューティー”と呼ばれる人気女優で、ナチュラルな美貌が売りの美女だ。天女が舞い踊るシーンは、まるで夢のような異世界へと誘ってくれる。それにしてもこの波乱万丈、荒唐無稽な物語が“たったの2時間18分”とは、インド映画も随分と洗練されたものだ。昔だったらゆうに4時間はかかるシロモノである。ちなみに本作は本国インドでの大ヒットをうけて続編も待機中(ただし、現時点では続編の日本公開は未定)。英雄伝説は止まらない。
【60点】
(原題「BAAHUBALI: THE BEGINNING」)
(インド/S・S・ラージャマウリ監督/プラバース、ラーナー・ダッグバーティ、タマンナー、他)
(スケール度:★★★★☆)
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人生タクシー



イランの首都テヘラン。ジャファル・パナヒ監督が運転する1台のタクシーに、さまざまな乗客が乗り込んでくる。死刑制度について議論する女性教師と路上強盗、海賊版DVDを売って一儲けを企むビデオ業者、ある女性は夫が交通事故に遭ったと泣き叫び、金魚鉢を抱えた老女2人は何やら急いでいる。さらに、映画の題材に悩む小学生の姪っ子まで。個性豊かなな乗客たちが繰り広げる人生模様から、知られざるイラン社会の“今”が見えてくる…。

ジャファル・パナヒ監督がタクシー運転手に扮してテヘランに住む人々の人生模様を切り取る異色のドキュメンタリー風ドラマ「人生タクシー」。アッバス・キアロスタミ監督の愛弟子のジャファル・パナヒ監督は、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界三大映画祭を制覇したイランの名匠だ。だがパナヒは、2010年に、反体制的活動を理由に“20年の映画製作禁止令”を言い渡されている。つまり母国イランで映画を作っちゃダメ!と法的に言われてしまっているのだ。もちろん勝手に出国するのも禁止である。だがパナヒはそんな圧力には屈しない。自らタクシーを運転し、ダッシュボードに置かれた監視カメラで撮影した映像を通して、厳しい情報統制下にあるイラン社会を映し出した本作には、ドキュメンタリー風でありながら、かなり綿密な演出が感じられる。タクシーには、さまざまな境遇の人々が乗り込んでくるが、その会話はどれも軽やかでユーモラス、同時に鋭く深いもので、飽きさせない。特に監督の実の姪で、小学生の少女が“国内で上映可能な映画”を撮ろうと頭を悩ませるエピソードは秀逸だ。少女らしい無邪気さと大人顔負けの聡明さを併せ持つこのタフな少女が、カメラに映るものの裏と表をしっかりと体現し、汚い現実を覆い隠してしまうイラン映画の情報統制を鮮やかに皮肉ってみせる。それにしてもタクシーというのは実に映画的なモチーフだ。「ナイト・オン・ザ・プラネット」では社会の縮図を、「タクシードライバー」では都会の孤独を、「月はどっちに出ている」では方向音痴のタクシードライバーの恋模様を描いた。一定の空間(狭い車内)に現れては消えていく乗客と常にそこにいる運転手という構図は、人生そのもののように感じてしまう。一時期、自宅に軟禁されていたパナヒの日常の詳細は分からないが、映画製作禁止令をものともせず、理不尽な圧力への怒りを映画愛に昇華し、驚くべき方法で秀作映画を作っては届けてくれる。監督にはただ一言、“ありがとう”と言いたい。
【75点】
(原題「TAXI」)
(イラン/ジャファル・パナヒ監督/ジャファル・パナヒ、他)
(風刺度:★★★★★)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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