映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ラ・ラ・ランド」「トリプルX 再起動」「彼らが本気で編むときは、」etc.

映画

トリプルX:再起動

トリプルX:再起動
エクストリーム・スポーツ界のカリスマ、ザンダー・ケイジは、世間から身を隠して生きていたが、再び政府の極秘エージェントとして呼び戻される。今回の任務は、制御不能になった軍事兵器“パンドラの箱”を奪回すること。命知らずの仲間たちを集めて新しい最強チーム・トリプルXを結成し、世界壊滅の陰謀に立ち向かう。だが、彼らの前に最強の敵ジャンが現れる…。

エクストリーム・スポーツのカリスマが腕利きシークレットエージェントとして活躍するスパイ・アクションシリーズの新作「トリプルX:再起動」。「ワイルド・スピード」が代表作のヴィン・ディーゼルの単独主演作が「トリプルX」なのだが、この新作は前作から10年以上もたっているので、もはや記憶も薄れかけていた。だが世界を揺るがす陰謀をムチャぶりで解決してしまうやんちゃなストーリーを見ると、一気に記憶が蘇る。とはいえ、本作は過去作を見てなくても大丈夫な作りなのでご安心を。もちろん「ワイスピ」と区別がつかないノリでもOKである。トリプルXとは主人公のザンダーの別名だったが、この最新作では、常識の枠からはみ出してムチャをやってのけるアウトローたちすべてを指す言葉と解釈していいだろう。アクションは笑いが出るほどやりすぎ感満載で、かなり楽しめる。水上スキー付のバイクで巨大チューブの中をサーフィンなんて、もはやギャグの域だ。中国からは武術の達人のドニー・イェン、タイからムエタイの使い手のトニー・ジャー、ボリウッドから美女ディーピカ・パーデュコーンが参加するなど、昨今のハリウッド大作の流れと同様、アジア重視が見て取れる。主演のヴィン・ディーゼル、格好だけはつけているが、肝心のアクションに切れ味がないのがご愛敬ではあるが…。それでも見ている間はしっかりと楽しめ、見終わればすっきりと忘れられる、そんな本作が憎めない。特別ゲストでサッカー界のスーパースターのネイマールが本人役で出演するなど、無駄に豪華な演出もすてき!だ。このお祭り騒ぎのアクション大作、実は女性の活躍度が高く、誰もが美しくカッコイイということを、付け加えておきたい。
【60点】
(原題「xXx: RETURN OF XANDER CAGE」)
(アメリカ/D・J・カルーソー監督/ヴィン・ディーゼル、ニーナ・ドブレフ、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(型破り度:★★★★☆)
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ラ・ラ・ランド

ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック
夢追い人が集まる街ロサンゼルス。女優の卵のミアは映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受けているが落とされてばかり。一方、場末のバーで、ピアノを弾いているセバスチャンは、いつか自分の店を持ち、思う存分大好きなジャズを演奏したいと願っていた。そんな二人が偶然出会い恋に落ちる。互いの夢を応援し合いながら一緒に暮らし始めるが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが売れたことから、二人はすれ違いはじめ、溝が出来ていく…。

女優の卵と売れないピアニストの恋の顛末を華麗な歌とダンスで描くミュージカル「ラ・ラ・ランド」。往年のハリウッド製ミュージカルへのオマージュをふんだんに取り入れながら、いつの時代も変わらない、夢を追う若者たちの揺れ動く心情を組み合わせる。一見クラシックなスタイルに思えるが、「セッション」で緊張感あふれる音楽ドラマを作り上げた俊英デイミアン・チャゼル監督は、そこに21世紀ならではの息吹を吹き込んだ。仕事へのこだわりと妥協、キャリアや野心とが、恋愛の幸福や不安と共にせめぎ合う物語は、非常に現代的である。ストーリーはとてもシンプルで、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールもの。同時に、映画や芸能界の舞台裏を描くバックステージものでもある。アーティストとして自分の夢を追うべきか、あるいは現実と妥協すべきか。仕事の浮き沈みが同じタイミングならば、ミアとセバスチャンがすれ違うこともなかっただろうに。運命のいたずらに翻弄される二人の姿に、ふと「シェルブールの雨傘」が重なって見えたりもする。出会いから恋の喜びを歌い上げる前半は、ダイナミックでエモーショナルな魅力にあふれ、流麗な映像に目を奪われる。だが圧巻はやはりラストの15分だ。人生の“もしも…”が怒涛の歌とダンスで表現され、感動と興奮は頂点に達するだろう。これこそ観る者を幸せにする映像マジックと呼ぶべき映画の力だ。主演のエマ・ストーンとライアン・ゴズリングの見事な演技と、歌と踊りにも魅了される。懐かしいのに新しい、新たなミュージカル映画の傑作の誕生だ。
【95点】
(原題「LA LA LAND」)
(アメリカ/デイミアン・チャゼル監督/ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ、他)
(映像マジック度:★★★★★)
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トッド・ソロンズの子犬物語

Wiener-Dog [Blu-ray]
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アメリカ中を彷徨うことになる一匹の可愛いダックスフンド。まず病弱な子どもがいる一家に引き取られるが、あまりにも問題を起こすため、たちまち別の人の手に渡る。崖っぷちの映画学校講師兼脚本家、大人になっても自分探しを続ける女性、偏屈な老女。ダックスフンドは、そんな問題山積みの冴えない飼い主たちの間を渡り歩くことになる…。

アメリカ中を旅する一匹のダックスフンドを通して愚かで残忍な人間の本質を浮き彫りにするオムニバス形式の異色作「トッド・ソロンズの子犬物語」。ほのぼのとした邦題がついているが、何しろ監督がヘンテコな映画ばかり作ってはファンを熱狂させているインディーズ映画の雄トッド・ソロンズだ。当然、動物で癒される話などではない。ダックスフンドはいわば神の視点で、しょうもない人間のしょうもない人生をオフビートな笑いでスケッチしていく。思い出すのは孤高の巨匠ロベール・ブレッソンが、ロバの一生を通して人間の本質や原罪を描いた名作「バルタザールどこへ行く」である。むろんブレッソンの持つ崇高さは、ソロンズ風味のブラックな笑いに還元されてはいるが。名優たちが暴言を吐きまくるエピソードはどれも味わい深いが、ラストに登場するエレン・バースティン扮する老女が、過去の“もしかしたらこうだったかもしれない”自分に出会うシーンは、幻想的な優しさに満ちていた。そんなしんみり感を、唐突でぶっ飛ぶ残酷シークエンスで締めくくり、ドン引きさせる。この露悪趣味がたまらない!何といっても一番シビれたのは、わずか88分の上映時間に挿入されたインターミッションである。緑の大地を、吹雪の山裾を、時には都会の喧騒の中を、スタスタと横切る足の短いダックスフンドの後ろには、西部劇風のメロディーが高らかに流れ、受難の旅を物語る。あぁ、このセンスに爆笑必至。忘れられない1本になりそうだ。
【70点】
(原題「WIENER-DOG」)
(アメリカ/トッド・ソロンズ監督/ダニー・デヴィート、エレン・バースティン、ジュリー・デルピー、他)
(ユニーク度:★★★★★)
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海は燃えている イタリア最南端の小さな島

イタリア最南端部に位置するランペドゥーサ島は、北アフリカに近い小さな島だ。そこに暮らす12歳のサムエレ少年は、友だちと手作りのパチンコで遊んだり、漁師である父から教えてもらって船酔いを克服する練習をしたり、毎日平和に暮らしている。一方、ランペドゥーサ島は、ヨーロッパへ密航する難民や移民たちの玄関口となっていた。カメラは、島の人々のごくありふれた日常と、命がけで海を渡る難民の実態、ひっきりなしに到着する難民船の救援活動を、静かに映し出していく…。

ヨーロッパへ密航する難民到達の最前線であるイタリア最南端の小島、ランペドゥーサ島を舞台にしたドキュメンタリー「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」。今でこそ、難民や移民問題が世界中で大々的に叫ばれているが、地中海のシチリア島南方、アフリカに近いランペドゥーサ島は、何十年も前から中東やアフリカからの難民が毎日のように押し寄せ、彼らを救助する活動が日常的に行われている。一方で、5500人の島民が静かに生活する素朴な暮らしもそこにある。映画は12歳のサムエレ少年の視点で描かれているが、本作ではサムエレ少年と難民が接触することはない。というより、難民たちは救助されるとすぐに収容センターのようなところに送られるので、島民との接触はほとんどないのだ。難民救助の現場に据えられたカメラは、容赦ない現実を映し出すが、彼らを診察するバルトロ医師が、多くの命が日々失われることに葛藤する姿が象徴的である。監督のジャンフランコ・ロージは「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」でベネチア映画祭金獅子賞受賞の実力派で、本作では、第66回ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞している。救援活動を行うイタリア海軍の船に乗船し撮影することを許されるほど、現場で働く人々や島民、さらには難民とも信頼関係を築いたロージ監督は、タイムリーな政治的問題を全面に押し出さない。淡々と現実を映しながら、その映像は、原初的な力強さを持つ島の自然や、慎ましい島民の暮らし、悲劇と憔悴の中でも生命力を失わない難民たちの表情を、美しくポエティックにとらえている。テロップ、ナレーションなどで詳細に語らないので決して分かりやすい作品ではないが、映像の力で勝負する21世紀のネオリアリズモだ。
【80点】
(原題「FUOCOAMMARE/FIRE AT SEA」)
(伊・仏/ジャンフランコ・ロージ監督/サムエレ・プチッロ、マティアス・クチーナ、サムエレ・カルアーナ、他)
(映像美度:★★★★☆)
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ナイスガイズ!

The Nice Guys (OST)
1970年代のロサンゼルス。13歳の娘ホリーを抱えるシングルファーザーで、酒浸りの情けない私立探偵マーチは、口より先に手が出る、腕っ節の強い示談屋ヒーリーに強引に相棒にされ、失踪した少女を探すことに。簡単な事件のはずだったが、二人は、ある映画に関する連続不審死事件にたどり着き、さらには、巨大な利権をめぐる、国家規模の陰謀へと巻き込まれてしまう。マーチとヒーリーは、次々に現れる殺し屋の襲撃をかわしながら、事件の真相に迫っていくが…。

ハチャメチャな探偵コンビが陰謀に巻き込まれるコメディタッチのバディ・ムービー「ナイスガイズ!」。70年代が舞台ということで、設定といい音楽といい、激しくレトロなのだが、ヘタレと乱暴者のコンビは、アクションもギャグもノリノリ(悪ノリと呼ぶべきか)で、70年代の懐かしさを醸し出すいきのいい活劇に仕上がった。前半はとにかく笑わせ、後半はまったく別モノに見えた事件がからみあう、ちょっとユルめのハードボイルドへ。ポルノ女優の怪死、排ガス規制訴訟、政府高官へとつながり、巨大な陰謀へと発展していく。監督のシェーン・ブラックは、監督作は多くはないが、脚本家としてはベテランの人だ。「リーサル・ウェポン」の脚本家で、凸凹コンビが活躍するオフビートなサスペンスアクションの「キスキス、バンバン」の監督と聞けば、バディ・ムービーが上手いのも納得である。情けないシングルファーザーの探偵を演じるライアン・ゴズリングは、今、一番旬な俳優だが、本作ではコメディ・センスも見せてくれた。対して、役作りか、はたまた素なのかは不明だが、そのでっぷりと膨張した体形が“くまモン”化しているオスカー俳優のラッセル・クロウもまた、乱暴者の無免許探偵を巧みに演じている。だが本作で一番魅力的なのは、マーチの娘ホリーをキュートに演じるアンガリー・ライスだろう。度胸があって機転がきく13歳は、車の運転までこなしながら、時には頼りない父親の相棒となり、時には母親のような妻のような包容力さえ感じさせる。そんなしっかりもののホリーの存在が、ダメダメの負け犬の大人たちに、人間として一番大切な優しさを教えるのだ。ちなみにアンガリー・ライスは「スパイダーマン」の新作にも出演予定。要注目のニューヒロインである。
【60点】
(原題「THE NICE GUYS」)
(アメリカ/シェーン・ブラック監督/ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング、アンガーリー・ライス、他)
(レトロ度:★★★★☆)
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う



エリート銀行員ディヴィスは、富も社会的地位も手に入れ何不自由ない人生を送っていた。だがいつも通り仕事へ向かう朝、突然事故に遭い、妻が他界してしまう。ところがディヴィスは妻が死んだというのに、涙どころか悲しみの感情も感じない。自分はいったいどうしてしまったのか。彼は義父であり会社のボスでもあるフィルのある言葉をきっかけに、パソコンや冷蔵庫、会社のトイレまで、身近なものを次々に壊し始める…。

妻を亡くしたのに悲しみを感じない男が、自分の周りのものを破壊することで再生への道を探る人間ドラマ「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」。妻の死を悲しめない男という設定は西川美和監督の「永い言い訳」とよく似ている。だが、本作の主人公ディヴィスは、それまで無自覚だっただけに自分自身の空虚さを自覚した時のショックは計り知れない。人間性を取り戻すための行為が、物理的な破壊というのもまた興味深い。破壊行為は、義父の「心の修理も車の修理と同じこと。まず解体し隅々まで点検して組み立て直すんだ」との言葉がきっかけだ。一方で、シングルマザーとその問題児の息子との出会いからも、少しずつ人生を取り戻していくことになる。「ナイトクローラー」以降、狂気をはらんだ人物を演じて抜群の上手さを見せるジェイク・ギレンホールが、本作でも、ひたすらモノを“ぶっ壊す”ことで、同時に自分の心を一度壊して再構築する現代人を怪演している。風変わりな邦題は、どこかふんわりとした詩のような雰囲気だが、原題はストレートに“破壊、解体”の意味。主人公が次々にモノを破壊しいったいこの男はどうなってしまうのか…と心配になるのと同様、この物語がどう決着するのかがなかなか読めないので、ある意味、スリリングだ。そして、今まで知らなかった事実を知ってはじめて感じた妻への思いや、自分がいったい何を求めているのかが、ラストに明かされるとき、自己修復という“旅”が終わる。味わいのある作品だが、内容が伝わりにくい邦題がちょっと惜しい。
【65点】
(原題「DEMOLITON」)
(アメリカ/ジャン=マルク・ヴァレ監督/ディヴィス: ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、他)
(再生度:★★★★★)
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一週間フレンズ。

映画ノベライズ 一週間フレンズ。
高校2年の祐樹は、初めて出会った日から心惹かれていた同級生・香織に、勇気を振り絞って「友達になってください」と声をかける。だが香織は、頑なにそれを拒む。実は彼女には、友達のことを1週間で忘れてしまうという記憶障害があったのだ。それでも香織のそばにいたいと願う祐樹は、毎週月曜日、香織の記憶がリセットされるたびに会いに行く。やがて二人は交換日記を始め、少しずつ距離を縮めていくが、ある日、香織の過去を知る中学時代の同級生・九条が転入してくる…。

一週間で友達の記憶を失くしてしまう女子高生と、そんな彼女をひたむきに思い続ける男子高生の恋愛や友情を描く青春ストーリー「一週間フレンズ。」。原作は葉月抹茶によるベストセラーコミックで、アニメ化もされている人気作だ。一週間で友達のことだけを忘れる記憶障害という、都合がいいのか悪いのか判別できない、困った病気は、通常ならばありえない設定だが、脳や記憶というのは非常に複雑で、強いストレスや衝撃によってさまざまな現象が起こるらしいので、絶対にないとは言い切れない。まぁ、そこにツッコみはじめると先に進めなくなるので、ひとまず脇に置くとして、そんな記憶障害を持つ美少女・香織を好きになった祐樹が望むのが、友達という関係なのが何とももどかしい。告白したり、つきあったりを望む恋愛感情なのが普通じゃないのか? なぜ友達? もちろん祐樹の思いは友情以上なのは本人も周囲も、香織だってわかっているのに。この物語がかけがえのない友達をテーマにしているのはわかるが、どうにもすっきりしない。結末は映画を見てもらうとして、登場するキャラクターに共感するのは難しいだろう。切なくひたむき、という言葉は本作にぴったりのフレーズだが、この切なさやひたむきさが不毛に思える自分が、あまりに“大人になりすぎたのか”と不安を煽られた。川口春奈、山崎賢人と旬な若手俳優を起用しているだけに、残念な作品である。
【45点】
(原題「一週間フレンズ。」)
(日本/村上正典監督/川口春奈、山崎賢人、上杉柊平、他)
(リアリティ度:★☆☆☆☆)
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愚行録

愚行録 (創元推理文庫)
エリート会社員の夫・田向浩樹とその美しい妻・友季恵、幼い娘の一家が何者かによって惨殺される事件が発生し、世間を騒がせる。未解決のまま1年が過ぎ、事件が風化していく中、週刊誌記者の田中武志は、改めて事件の真相に迫ろうと、関係者に取材を始める。そこから浮かび上がってきたのは、理想の家族に見えた田向夫婦の、外見からかけ離れた実像、そして証言者たちの思いもよらない姿だった。一方、田中自身も、妹の光子が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた…。

未解決の一家惨殺事件の真相を、一人の記者が関係者の証言からあぶり出すミステリー「愚行録」。原作は貫井徳郎の同名ミステリーだ。理想的に思えた夫婦の真実の姿を浮き彫りにしていく仮定から見えてくるのは、人間が行う数々の愚かしい行為である。冒頭に、関係者に取材を行う記者の田中が、バスの中で席を譲る短いエピソードがあるが、このシークエンスから、語り部、あるいは傍観者役に見える彼の心にも、歪んだ闇があることが見て取れる。物語には、嫉妬、見栄といった感情的な悪意から、恋愛や就職で他人を利用し、弄ぶ悪行もある。過去の証言で中心になるのは、名門大学内での階級格差とでも呼べる陰湿な差別構造だ。田中が一人一人を訪ね歩きながら田向夫婦の裏の顔が明らかになる一方で、育児放棄の容疑で逮捕されている妹・光子の告白が同時進行し、やがて予想もしない形でそれらが結びついていく語り口は、見事なまでに衝撃的だ。劇中には、いくつかの驚きの仕掛けがあって、そのことが“愚行”という言葉を決定づけている。物語と呼応するかのように、映画全体の色彩が暗いトーンで統一されているのが印象に残る。本作が初長編となる石川慶監督は、ポーランド国立映画大学で演出を学んだのだそうだ。どうりで、初期のロマン・ポランスキーや、イエジー・スコリモフスキ作品と、映像全体の沈んだ色調が共通している。容赦ない現実を突きつける不穏でドライな作風もしかり。この監督、次回作が気になる人だ。
【65点】
(原題「愚行録」)
(日本/石川慶監督/妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、他)
(陰鬱度:★★★★☆)
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王様のためのホログラム

王様のためのホログラム
大手企業を解雇され、車も家も妻さえもなくしたアランは、何とか再就職したIT企業で、業務を言い渡される。それは、アメリカから遠く離れた国サウジアラビアで、国王に最先端の映像装置・3Dホログラムを売りつけるというもの。さっそく砂漠に到着するが、オフィスはただのボロテント、エアコンは壊れ、Wi-Fiはつながらず、ランチを食べる店さえない。抗議しようにも、担当者は不在で、国王がいつ現れるかもわからない。上司からのプレッシャーと慣れない土地でのストレスで、アランはついに体調を壊してしまう。そんなアランを助けたのは、予想もしない人物だった…。

異文化の中で奮闘する中年男の危機と再生を描くドラマ「王様のためのホログラム」。中東で欧米人が孤軍奮闘するといえば「砂漠でサーモン・フィッシング」が思い浮かぶが、本作の原作はデイヴ・エガーズ。むしろ、現実と幻想が溶け合う「かいじゅうたちのいるところ」や、エリートの都会人が農民相手に悪戦苦闘する「プロミストランド」との共通点が透けて見える。主人公アランがやってきたのは砂漠のド真ん中。それまでの常識や既成概念はいっさい通用しないイスラム文化とのカルチャー・ギャップに、身も心もヘトヘトだ。うまくいかない仕事のストレスを、一杯のアルコールで癒そうにも、ここはアルコール禁止のイスラム圏(実は、隠れて飲んだりしている)。ついに背中にできたしこりが悪化してしまい…という展開から、それまでビジネスライクだった物語が、一気に恋愛へと傾くのはご愛敬だろうか。最新鋭のテレビ会議システムである“3Dホログラム”を売るという興味深いビジネスの行方をもっと突き詰めてほしかった気もするが、すったもんだの末に主人公がみつけるのは人生の輝きだ。目が覚めるように青い海がスクリーンに広がって、幸福感を感じてしまう。通常のサクセス・ストーリーとは一味違う物語で主人公に希望を与えるのは、ウォシャウスキー監督との共作「クラウド・アトラス」でもハンクスと組んだトム・ティクヴァ監督だ。あくまでも小品だが、芸達者なハンクスの軽妙な演技を楽しめるほか、異文化や相互理解といった、タイムリーな素材をコメディ・タッチでサラリと描いた佳作である。
【60点】
(原題「A HOLOGRAM FOR THE KING」)
(アメリカ/トム・ティクヴァ監督/トム・ハンクス、アレクサンダー・ブラック、ベン・ウィショー、他)
(再出発度:★★★★☆)
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抗い 記録作家 林えいだい



福岡県筑豊を拠点に、朝鮮人強制労働の実態、公害問題、戦争の悲劇など、さまざまな取材活動を行ってきた記録作家・林えいだい氏。林氏は、幼い頃、神主だった父親が朝鮮人炭鉱労働者をかくまったことで、特高警察から拷問を受けて亡くなった経験から、抑圧された民衆の姿を記録の残そうと決意する。映画は、80歳を超えてガンと闘いながらも、膨大な資料を集め、粘り強く関係者に取材、執筆活動を続ける林氏の姿を映し出す…。

記録作家の林えいだい氏の活動を記録したドキュメンタリー「抗い 記録作家 林えいだい」。福岡県の筑豊地方の旧産炭地には、今もアリラン峠と呼ばれる場所があり、そこは、かつて強制労働に従事した朝鮮人たちが炭鉱に向かう時に歩いた道で、その周辺にある多くの石が、名前さえ刻まれない朝鮮人労働者の墓だということを、本作で初めて知った。林えいだい氏の活動の根底には、弱者を命がけで助けた父親の人生が投影されているのだろう。林氏は、太平洋戦争時に特攻隊員だった一人の兵士が、ただ朝鮮人だったというだけで無実の罪をきせられ無念の死を遂げた事件を、自身の取材活動の集大成と位置付けて、こつこつと取材を続ける。その粘り強い姿勢は、遠い過去を忘れようと記憶を封印してきた人々の口を開かせて、やがて真実へとたどりついていくのだ。個人で作った“ありらん文庫”には、膨大な古い資料が保存されているが、それらは名もない人々が歴史の闇に葬り去られるのを懸命に防ぐ盾のように見える。1933年生まれの林えいだい氏は、すでに80歳を過ぎ、重いガンと闘ってる。それでも、思うように動かなくなった指にセロハンテープでペンを巻きつけて執筆するその姿は、虐げられ記録から抹殺された民衆を決して忘れるなと訴えているかのようだった。舞踏家の田中泯が淡々と語る朗読がずっしりと心に響く。
【60点】
(原題「抗い 記録作家 林えいだい」)
(日本/西嶋真司監督/林えいだい、他)
(資料的価値度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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