映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「美しい星」「光をくれた人」「家族はつらいよ2」「光」etc.

映画

スプリット

スプリット(Blu-ray + DVD + Digital HD)日本のプレイヤーで再生可能 [並行輸入品]
孤独な女子高生ケイシーは、クラスメートのクレアの誕生日パーティにお情けで招待される。その帰り、クレアの親友マルシアと共に家まで車で送ってもらうことになるが、突如見知らぬ男が車に乗り込んで、3人の少女は拉致されてしまう。目覚めるとそこは殺風景な密室だった。やがて彼女たちは、この正体不明の男が“ひとりではない”ことを知る。彼の中には、神経質な男、人当たりのいい青年、9歳の少年、エレガントな女性…と、23人もの人格が潜んでいた。なんとか脱出を試みるケイシーたちだったが、ついに男の中で、驚くべき24番目の人格が誕生してしまう…。

女子高生3人が23人の人格を持つ男に対峙する異色の監禁サスペンス「スプリット」。前作「ヴィジット」でようやく軌道修正したM・ナイト・シャマラン監督の新作だ。23人の多重人格というと突拍子もない設定に思えるが、同様の多重人格者ビリー・ミリガンが実在していることを考えると、絵空事とは言えない。それはさておき、シャマランが確信犯的に描くB級テイストたっぷりのこのスリラーは、とにかく主演のジェームズ・マカヴォイの演技力に圧倒される。衣装は変わるが特殊メイクやCGなしで人格を演じ分けるのだから、たいしたものである。実際、ギャグすれすれのシーンも多く、監禁されている少女たちには気の毒だが、この犯人に魅了されてしまった。だが内向的な性格のケイシーには、優れた観察眼や戦略があった。彼女のトラウマである、過去のシーンをはさみながら、ケイシーが謎の男に対峙する様は、なかなかサスペンスフルである。演じるアニヤ・テイラー=ジョイの意志の強いまなざしが、素晴らしい。精神科の主治医が語る男の過去、少女たちの運命、24人目の人格“ビースト”の衝撃、そして、あのスターが登場する、驚愕のラストまで。単なる多重人格者の恐怖を描くだけではおわらない、シャマラン・マジックとでも言うべき仕掛けは、怖いやら、可笑しいやら。悪ノリにも似たサプライズに、シャマラン復活の確かな証を見た。
【60点】
(原題「SPLIT」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、他)
(衝撃度:★★★★☆)
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ノー・エスケープ 自由への国境

Desierto
メキシコとアメリカの国境地帯。不法入国を試みるモイセスは、15人の仲間と共に国境を越え、自由の国アメリカに入国しようと、灼熱の砂漠地帯を歩き続けていた。だが、突如そこに不法移民たちをライフルで撃ち殺す謎の狙撃者が現れ、仲間は次々に命を落としていく。狙撃者の正体は不明、摂氏50度の砂漠、水も武器も逃げ場もないという極限状況の中、モイセスは何とかして生き延びようと、命懸けで逃走するが…。

不法移民と彼らを狙う謎の狙撃者との攻防を描くサバイバル・スリラー「ノー・エスケープ 自由への国境」。監督は名匠アルフォンソ・キュアロンの息子にして「ゼロ・グラビティ」の脚本家であるホナス・キュアロンだ。本作の製作年は2015年。「ゼロ・グラビティ」より本作の脚本の構想が先だったこと、さらに、今、メキシコ国境との壁建設の問題で揺れているトランプ政権誕生以前の作品ということを思うと、その先見性に感服する。物語はキリリと短い88分で、終始、抜群の緊張感を味わえる。トラックの故障で図らずも徒歩で灼熱の砂漠地帯を横断することになったメキシコ人の移民たちを、人間狩りよろしくライフルで狙い撃ちにするのは、移民を憎悪する謎の白人だ。広大な砂漠は、究極の密室と化し、まったく先読みできないサバイバル劇が繰り広げられる。いきなりの銃撃、獰猛な猟犬による襲撃と、流血のバイオレンス描写は、容赦がない。秀逸なのは、移民たちや、謎の狙撃者の背景をほとんど説明せず、最小限のせりふと小道具、表情のみで描き切ったことである。その潔い演出に、ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガンら、実力派がきっちりと演技で応え、只事ではない緊迫感を生み出した。不法移民、差別主義、排他性、行き過ぎた自警に人命軽視。社会派ドラマに傾く要素満載だが、本作に説教臭さは皆無で、サバイバルという娯楽作として成立している。不法移民たちが命懸けで目指すアメリカは、本当に“自由の国”なのだろうか。そして砂漠の向こう側に、希望や未来はあるのだろうか。本作で父アルフォンソは製作にまわり、ホナスは商業映画デビューだ。その才能のDNAは確かに受け継がれている。
【75点】
(原題「DESIERTO」)
(メキシコ・仏/ホナス・キュアロン監督/ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガン、アロンドラ・イダルゴ、他)
(タイムリー度:★★★★★)
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赤毛のアン



カナダ、プリンス・エドワード島。春のある日、農場を営む年配の兄マシュウと妹マリラの家に、孤児院から、赤毛でそばかずだらけ、やせっぽっちの少女アン・シャーリーがやってくる。本来は、農場の働き手となる11歳の男の子を引き取るつもりだったのだが、手違いでアンがやってきたのだ。兄妹はとまどうが、むげに追い返すわけにもいかず、別の引き取り手が見つかるまで、アンを家に置くことにする。豊かな想像力のせいでしばしば騒動を起こすアンだったが、兄妹は、夢見がちでおしゃべり好きなアンに次第に魅了されていくのだった…。

世界中の人々に愛され続けるルーシー・モード・モンゴメリの名作児童文学を実写映画化した「赤毛のアン」。アンの物語は、アンの青春、アンの愛情…と次々に続いていくが、本作は、アンがマシュウとマリラと出会い、グリーン・ゲイブルス(緑の切妻)で暮らし始める、いわば“はじまり”の物語。元々はTV用作品というだけあって、分りやすくコンパクトにまとまっている。80年代に「赤毛のアン」で主役を演じたミーガン・フォローズのイメージが強いアンだが、今回のエラ・バレンタイン版のアンは、知的でどこか現代的な魅力があり、とてもいい。寡黙だが心優しいマシュウに、シリアスな役が多い名優マーティン・シーンとはちょっと意外なキャスティングだが、これまた実にぴったりくる。アンは、いつも元気で明るいが、つらい環境で育ったことと、自分の容姿にコンプレックスを持っているため、どこか悲観的なところがあって、それがアンの性格に豊かな陰影を形作っているのだ。悪口への反撃、飲酒や盗み疑惑…。過剰な想像力と自意識から、さまざまな騒動を引き起こすが、それらはいつも微笑ましく、既存の価値観や古い因習を打ち破るアンの行動力に、感心させられる。花が咲き乱れる春から始まり、白銀の冬と、季節がめぐった頃、思いがけない知らせが届く。その時、兄妹、そしてアンを愛するすべての人々は、自分の心に正直に、最善の答えを導き出すことになるのだ。アンはただの夢見がちな女の子ではなく、どんなつらい環境でも決して夢をあきらめない強い意志の持ち主なのである。知り尽くした物語だが、その温かさやユーモアは、いつの時代にも心に響いてくる。
【65点】
(原題「L.M. MONTGOMERY'S ANNE OF GREEN GABLES」)
(カナダ/ジョン・ケント・ハリソン監督/エラ・バレンタイン、サラ・ボッツフォード、マーティン・シーン、他)
(普遍性度:★★★★☆)
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追憶

追憶 オリジナル・サウンドトラック
富山県警捜査一課の四方篤は、漁港で、刺死体となって発見された旧友の川端悟と再会する。捜査が進むにつれ、かつて、篤と悟とともに幼少時代を過ごした田所啓太が容疑者として浮かび上がる。1992年、親に捨てられた境遇の3人は、能登半島の軽食喫茶「ゆきわりそう」を営む仁科涼子、山形光男を慕い、家族のような日々を送っていた。だがある事件をきっかけに二度と会わないと誓い、離れ離れになったのだ。刑事、被害者、容疑者という形で25年ぶりに再会した彼らは、心の奥底に封印してきた過去と向き合うことになるが…。

過去のある秘密を共有し封印してきた幼馴染3人の男たちの運命を描く人間ドラマ「追憶」。1990年代の過去と25年後の現代を交錯させながら、殺人事件の被害者、容疑者、刑事が再会するという展開は「ミスティック・リバー」を思い起こさせる。美しく寒々とした北陸の風景、忌まわしい事件のトラウマ、捜査によって次第に明かされる悲劇的な過去。ドラマそのものは堅実なミステリー仕立てだ。だが、しかし。この何とも古臭いテイストはいかがなものか。スマホ(携帯電話)がなかったら、昭和30年代の話と言っても納得してしまう。いや、むしろ昭和を背景にした方が良かったのでは?とさえ思ってしまう、古色蒼然とした演出で、物語も、音楽も、映画そのものも、あまりに大時代的なので驚いてしまった。ミステリーなので詳細は明かせないが、殺人事件の真犯人とその動機が、唐突すぎて、これまた驚く。犯人を知った登場人物の一人が「なんだ、それ?」と言うが、それはこっちのせりふだ。99分という短さは、何かしばりがあったのかもしれないが、それにしても事件の真相に深みがなさすぎる。役者はいいのだ。主要キャストに若手実力派が揃い、脇役も含めて丁寧な演技をみせてくれているだけに、なおさら惜しい。本作を日本映画の良心的な原点回帰とみるか、時代錯誤とみるかで、評価が分かれるだろう。「俺たちはもっと早く会うべきだった」。この言葉が心に残っている。
【50点】
(原題「追憶」)
(日本/降旗康男監督/岡田准一、小栗旬、柄本佑、他)
(古色蒼然度:★★★★★)
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カフェ・ソサエティ

CAFE SOCIETY
1930年代。ニューヨーク出身の平凡な青年ボビーは、刺激的な人生を求めてハリウッドにやってくる。映画業界で大物エージェントとして成功した叔父フィルを頼って彼の元で働き始めたボビーは、フィルの美しい秘書のヴェロニカ、愛称ヴォニーに心を奪われる。ヴォニーと親しくなったボビーは彼女との結婚を夢見るようになるが、ヴォニーにはひそかに交際中の男性がいることに気付いていなかった…。

NY出身のユダヤ系青年が経験する華やかなセレブの世界と恋の行方を描くラブストーリー「カフェ・ソサエティ」。本作は、1930年代を背景に、ハリウッドの映画業界で働くことになった青年が、やがて生まれ故郷のNYに戻り成功をつかむ物語だ。両方の場所で出会った同じ名前の女性、二人のヴェロニカの間で揺れ動く心情を、軽快なテンポで描いている。前半のハリウッドのパートは、映画業界の狂乱や大スターの豪邸見物など、極めて俗っぽい。後半のNYパートも、ある意味同様だ。ギャングの兄の手伝いとして始めたNYのナイトクラブ経営も、表面はきらびやかだが裏社会との付き合いもあり、虚無的な華やかさに満ちている。それでもNYの方が魅力的に映るのは、やはりアレンのNY愛ゆえだろうか。タイトルのカフェ・ソサエティとは、1930年代に夜ごと都会のおしゃれなレストランやクラブに繰り出すライフスタイルを実践したセリブリティを指す。ボビーが望んだのは、より刺激的で胸のときめく人生。だが人はいつでも“ないものねだり”だ。映画では、好きな人と結ばれても、結ばれなくても、“もしかしたら、存在したかもしれない、もうひとつの人生”に想いをはせる登場人物たちの複雑な心情がにじみ出ている。ジェシー・アイゼンバーグはもちろんアレンの分身。クリステン・スチュワートは美しくファッショナブル。だがNYパートで登場するもう一人の美女ブレイク・ライヴリーの役柄がほとんど活きていないのが残念。80歳を超えた名匠ウディ・アレンは、年に1本のペースで律儀に新作映画を届けてくれるが、作品の出来不出来の波があるのは否定できない。本作はパンチ不足で物足りなさが残るが、シャネルの華やかな衣装と、アレンと初コラボの名撮影監督ビットリオ・ストラーロが映し出す魔法のような光が、人生のほろ苦さを雄弁に語っている。
【60点】
(原題「CAFE SOCIETY」)
(アメリカ/ウディ・アレン監督/ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、ブレイク・ライヴリー、他)
(ファッショナブル度:★★★★★)
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フリー・ファイヤー

Free Fire
1978年のボストン。銃密売取引のため、場末の倉庫に2組のギャングがやってくる。簡単な取引かと思われたが、チンピラ同士のいざこざから交渉がこじれ、口論の末、壮絶な銃撃戦が始まってしまう。クセ者ばかりの悪党たちは、全員が瀕死の傷を負い、罵声とうめき声が飛び交う発狂状態の中、銃を撃ちまくる。双方の思惑、仲間割れ、謎のスナイパーの出現…。最後まで生き残るのは一体誰なのか?!

武器取引の交渉が決裂し壮絶な銃撃戦となるバイオレンス映画「フリー・ファイヤー」。上映時間はわずか90分だが、映画の8割は銃撃戦という異色作だ。倉庫という密室空間の中で、2組のギャングが全員参加で延々と撃ちまくる。だが、雨あられの発砲で傷だらけになるのに、登場人物たちはなかなか死なないのだ。射撃の腕が悪いのか、はたまた銃の精度が低いのか、さっぱり致命傷を与えられない。足や肩、脇腹や太腿のようなハンパな部位に当たっては、痛みでうめきながら身体ごとズルズルとひきずって物陰に隠れるというトホホな状況なのだ。考えてみれば、西部劇の凄腕ガンマンや、訓練を積んだスナイパーじゃあるまいし、フツーのギャングたちが撃っても、こめかみや心臓に簡単に当たるはずがない。いつまでも生きているため会話も弾み(?)、そこには思わぬ本音や腹の探り合いがあって、次第にそれぞれの欲望が露わになる。死ねない、殺せないで、物語はウダウダしたカオス状態が続き、スピード感には欠けるのだが、その分、奇妙な緊張感があって先読みできない面白さも。70年代への偏愛、激しい暴力描写、クセモノ揃いのキャラ、とぼけたユーモアや無為な会話と、これはもう完全に初期のタランティーノ作品と同じテイストだ。俳優たちは皆好演だが、とりわけ、紅一点の女ギャングを演じるオスカー女優のブリー・ラーソンがいい。銃撃戦の激しさと、車の中から流れるジョン・デンバーのさわやかすぎるメロディーの対比には唸った。冒頭にベン・ウィートリー監督の注釈ともいえる字幕が入る。「CIAの資料を山ほど呼んだが、人は銃で撃たれても、かなりの時間、生きている」。人間はそう簡単には死なないのだ。ウン、これがこの怪作のテーマに違いない。
【70点】
(原題「FREE FIRE」)
(英・仏/ベン・ウィートリー監督/ブリー・ラーソン、アーミー・ハマー、キリアン・マーフィ、他)
(カオス度:★★★★★)
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無限の住人

無限の住人 不死身の用心棒編 (講談社プラチナコミックス)
100人斬りの異名を持つ伝説の侍・万次は、罠にかけられて目の前で最愛の妹を殺される。自身も瀕死の重傷を負うが、謎の老婆によって永遠の命を与えられてしまう。死ぬことができず、無限の身体となった万次は、生きる意味を見失い、孤独で退屈な日々を送っていた。そんなある時、剣客集団・逸刀流の首領である天津影久に両親を殺された少女・凜から、仇討ちを遂げるため用心棒を依頼される。どこか妹に面影が似た凜を見て、彼女を守ろうと決心する万次。だが、万次と凛の前に、逸刀流の最強の暗殺者たちと、同じく天津を狙っていた幕府軍が、天津もろとも襲い掛かり、想像を絶する死闘が繰り広げられる…。

不死身の剣士・万次の壮絶な闘いを描くアクション時代劇「無限の住人」。原作は、沙村広明の同名人気コミックだ。万次は望んでもいないのに不死身となるが、不老不死で無為の時を過ごしたため剣術の腕は衰え気味。傷は再生するが、斬られれば痛みを感じ、血も流れる。体内の魔虫による治癒力を弱められれば、最強ではいられない。事実、万次は、何度も腕を切り落とされたり、ザックリと斬られたりと、不死身とはいえ、強いんだか弱いんだか微妙なキャラクターなのだ。心の奥底にある優しさゆえに、不死を終わらせることさえできない万次は、切ない男なのである。1対1の戦いでは刺客の個性が際立ち、敵側の中には心が通じあうものもいれば、同じ運命を共有する刺客もいる。だがクライマックスの300人を相手にする壮絶なバトルになると、もはや敵味方や善悪を超越した死闘となっていく。このカオスの趣や、宿場の密室的空間での活劇は同じ三池崇史監督の「十三人の刺客」を思い起こさせるものだ。ほぼ全編、殺陣が続くが、バラエティに富んだ武器や、キャラ毎のイメージカラーなどで映像的にもメリハリがあって飽きさせない。顔に傷を持ち片目だけの眼力で熱演する木村拓哉、可憐な杉咲花、初の悪役ながらどこかさわやかな福士蒼汰と、俳優たちは皆好演だ。とりわけ、少林寺拳法の心得があり、身体の柔軟性から美しくキレがあるアクションをみせる戸田恵梨香が素晴らしい。映画の中の不死身の戦士といえば、ハリウッドではその強さが全面に出る。一方、本作の主人公は、人を殺し続ける呪われた運命と愛するものを失う哀しみを知る心優しき刺客だ。生きるのにうんざりしていた万次が、誰かを守るという目的を持ったことで輝きだす。俳優・木村拓哉の本気が伝わるアクション活劇となった。
【70点】
(原題「無限の住人」)
(日本/三池崇史監督/木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、他)
(流血度:★★★★★)
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ワイルド・スピード ICE BREAK

ワイルド・スピード アイスブレイク
長い逃亡生活と最悪の敵との闘いを終えたドミニク・トレット(ドム)は、愛するレティや仲間たちと固い絆で結ばれた“ファミリー”を誰よりも大切に思っていた。そのドムが謎の女サイバーテロリスト・サイファーの側に寝返る。残されたレティたちは突然の裏切りにショックを受けながらもドム奪還を狙うが、犯罪のエキスパートにして史上最強のドライバーである彼にかなうものはいなかった。一方、ホブスはドムの裏切りによる任務失敗の責任をとって刑務所送りに。残された手段は、ファミリー最大の敵だったデッカート・ショウと手を組むことだったが…。

大人気カーアクションシリーズの第8弾「ワイルド・スピード ICE BREAK」。ポール・ウォーカーの突然の事故死という悲劇を乗り越えた前作は見事な出来だったが、本作の暴れっぷりはさらに上を行く。ドムの裏切りというまさかの事態には、もちろん深い理由があるのだが、仲間たちはドムをとことん信じて彼を取り戻すために奮闘しつつ、シャーリーズ・セロン演じる天才ハッカーが仕掛ける最凶のテロに立ち向かうというのが大筋だ。ワイ・スピらしい、あきれるほどブッ飛んだカーアクションが次々に登場する。キューバの公道での炎のカーレースに始まり、NYでは無人の車が大挙して暴走し高層ビルから車の“雨”が降る。クライマックスは、氷上で潜水艦や装甲車とのカーチェイスなのだから、もう、笑うしかない…というより、素直に興奮するしかない。ストーリーなどもうでもよろしい!と思ってしまう怒涛の136分では、今回共闘するデッカート役のジェイソン・ステイサムが最も美味しい役どころだ。ロック様演じるホブスとのガチンコバトルも用意されているが、この二人、いがみ合いながらも心の底では互いを尊敬していて、いいコンビなのである。毎回のお約束で、豪華な新キャラが登場するが、今回はあの名女優が意外な役で登場。ワクワクさせてくれる。本作は新たなワイスピ3部作のはじまりとなる作品だ。常識を超えた圧巻のカーチェイス、全員主役級の個性豊かなキャラクター、何よりも大切なのは家族。この3つさえ覚えておけばワイスピは楽しめる。ド派手なお祭りムービーなので、ぜひ映画館の大スクリーンで堪能してほしい。
【70点】
(原題「THE FATE OF THE FURIOUS」)
(アメリカ/F・ゲイリー・グレイ監督/ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、他)
(ありえない度:★★★★★)
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帝一の國

「帝一の國」オリジナルサウンドトラック
国内屈指の名門校・海帝高校に首席で入学した新1年生の赤場帝一は、将来、総理大臣になって自分の国を作るという野望を抱いていた。その夢を叶えるため、政財界に強いコネ持ちを、将来の入閣が確約されている生徒会長の座を目指すことに。2年後の生徒会長選挙を見据え、誰よりも早く動き出した帝一だったが、彼の前には800人の超エリート高校生たちというライバルがいた。やがて帝一は、想像を絶する罠と試練が待つ、壮絶な派閥闘争に巻き込まれていく…。

名門高校の生徒会長の座を巡る激しいバトルを描く学園闘争コメディ「帝一の國」。原作は古屋兎丸の大人気同名コミックだ。菅田将暉演じる主人公・帝一が野心の男なら、ライバルキャラたちは、策略、正義、支配、戦術と、それぞれの役割が分かりやすく描き分けられていて、戯画的演出とギャグのつるべうちで笑わせる。時代が昭和という設定なので、どこか浮世離れした雰囲気や、テクノロジーに頼らない戦略が、物語にフィットしているのだ。親の代からの因縁や腐れ縁、誤解に策略が交錯し、生徒会長選挙は余談を許さない。1年生の帝一は、まずは次期生徒会長になる2年生を見極めてその派閥に入るが、そこで、姑息なライバルに罠をしかけられたことで大ピンチに。そんな中、状況を一気にひっくりかえす奇策“マイムマイム事変”には大爆笑した。生徒会長になるためには、どんな汚いことも辞さないと心に決めている帝一が自分の国を作りたい本当の理由は、意外にもセンチメンタルなもの。原作に登場する、帝一の恋人の美美子を巡る恋愛バトルはバッサリと割愛されてしまったので、物語は、イケメン男子たちの学園闘争に絞られた印象だ。恋愛より野心と友情。負けるのではなく勝たせてやる懐の深さに、ピアノ曲・マリオネット(操り人形)のメロディーが不敵に響いた。
【65点】
(原題「帝一の國」)
(日本/永井聡監督/菅田将暉、野村周平、竹内涼真、他)
(カリカチュア度:★★★★★)
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パージ:大統領令

The Purge: Election Year (Blu-ray + DVD + Digital HD)
年に1度、12時間だけ全ての犯罪が合法化される法律“パージ”。貧困層を排除しようするパージに反対する上院議員ローンと、犯罪率を低下させたパージを擁護する極右政権NFFAが、国内を分裂させていた。パージの是非を問う大統領選が進行中に、運命を左右する新たなパージがスタートする。NFFAから命を狙われるローン上院議員と彼女の護衛を務めるレオは武装集団に襲われる。はたして彼らは悪夢の12時間を生き延びることができるのか…?!

年に1度だけどんな犯罪も許可されるという歪んだ制度が存在する社会を描く人気シリーズの第3弾「パージ:大統領令」。第1作目のイーサン・ホークが早々と降板したせいか、第2作「パージ:アナーキー」ではトーンダウンした感があったが、この第3弾は、幸か不幸か、苛烈な大統領選挙やトランプ政権誕生といったアメリカの現実を反映してしまい、シリーズ最高の問題作になってしまった。非現実的な設定が持ち味だったこのシリーズが、あまりにリアルに傾いたのは、皮肉な話である。狂気の法律パージは、表向きは、国民のガス抜きのためのもの。犯罪は確かに激減したが、真の目的は、富裕層による、貧困層や弱者という経済的負担の排除と、差別主義的な人口抑制なのだ。パージを利用して、政敵を亡き者にしようと企むNFFA。ローン側には内部に裏切者もいる。ついにパージの火ぶたが切って落とされ、そこからは怒涛のサバイバルが始まるという展開だ。パージの裏側で、富裕層や保守系政治家、教会や保険業界、そしてマスコミの思惑がからみ、事態はカオス状態に。パージ反対派のローグ上院議員はヒラリー・クリントンを意識しているのは明らかだが、彼女を守るシークレット・サービス役で警官レオが登場するのが、シリーズを見てきたものとしては嬉しいところだ。トンデモない設定ながら、スマッシュ・ヒットを記録し第3作まで作られたのは、こんな法律があるのも悪くないと、心の奥底で共鳴している人がいるからだろうか。そう思うと背筋が凍る。ともあれ痛烈すぎる政治的メッセージが込められたサバイバル・スリラーとなった。
【65点】
(原題「THE PURGE: ELECTION YEAR」)
(アメリカ/ジェームズ・デモナコ監督/フランク・グリロ、エリザベス・ミッチェル、ミケルティ・ウィリアムソン、他)
(無法地帯度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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