映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

映画

残像



1945年。スターリンが侵略の手を伸ばすポーランドで、アヴァンギャルドなスタイルで有名なポーランド人画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキは、情熱的に創作活動を続けていた。だが彼の作品は社会的リアリズムに反するとして当局から迫害を受け、大学教授の職を追われた上、美術館からも作品を破棄されてしまう。ストゥシェミンスキは彼を崇拝する数名の学生たちの援助で懸命に活動を続けレジスタンスのシンボルとなっていくが、食糧配給も受けられずに困窮する生活は次第に彼を追い詰めていく…。

スターリン体制に反抗し自らの信念を貫いた実在の画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキを描く伝記映画「残像」。ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督は、一貫して理不尽な権力への反骨精神を描いたが、本作もまさにその系譜で、レジスタンスの塊のような主人公の生き様は、まるでワイダ自身の肖像画のようだ。先駆的画家・マレービチの弟子になった画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキは、カンディンスキーやシャガールらとも交流があった前衛画家。祖国を愛してやまないが、その思いは報われない。当局による熾烈な迫害の中で、食べるものもなく、食糧よりも熱望する画材さえ入手できない生活は、主人公にとっては死に等しい。それでも彼は祖国を捨てないし、体制側に迎合もしない。象徴的なのは、娘との関係性だ。まだ幼い娘のニカは、母ではない別の若い女性と親密な父親に、愛憎入り混じる複雑な思いを抱いてる。祖国を愛しながら、芸術を政治に利用しようとする当局に断固として抵抗するストゥシェミンスキの生き方と、この父娘の関係性が重なって見えた。ストゥシェミンスキが非業の死を遂げたのは歴史の事実だが、そのラストは、ワイダの初期の傑作「灰とダイヤモンド」の主人公がゴミ捨て場でぼろきれのようになって死んでいく場面を連想させ、戦慄する。左手と右足のない松葉杖のストゥシェミンスキが、冒頭で、なだらかな草原の丘の斜面を、笑いながら転がり落ちて、目的地に到着する場面がある。それは難しい時代にポーランドで生きる芸術家が幸せを謳歌する幻想のように、はかなく幸福な場面だ。「残像はものを見た時に目の中に残る色だ。人は認識したものしか見ていない」とは、主人公が劇中に学生に語る言葉。アートの表現の自由を決してあきらめなかった不屈の精神が、威厳を持って響いてくる、ワイダ渾身の遺作だ。
【70点】
(原題「POWIDOKI/AFTER IMAGE」)
(ポーランド/アンジェイ・ワイダ監督/ボグスワフ・リンダ、ゾフィア・ヴィフラチュ、ブロニスワヴァ・ザマホフスカ、他)
(反骨精神度:★★★★★)
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22年目の告白 私が殺人犯です

22年目の告白-私が殺人犯です-
1995年、5人の命が奪われる凄惨な連続殺人事件が発生。新米刑事の牧村は、あと一歩のところまで犯人を追い詰めながら取り逃がし、敬愛する上司まで殺されてしまう。それから22年後。突如、事件の犯人を名乗る男・曾根崎雅人が告白本を手にし、盛大な記者会見を開いて、自分こそが犯人だと名乗り出る。不敵な笑みを浮かべる彼は、時効が成立し法では裁けないことを知って、世間やマスコミの前に姿を現したのだった。この美しくも大胆な犯人に、ネットは熱狂し、賛否両論を巻き起こす。マスコミを引き連れて被害者遺族に謝罪するかと思えば、事件を執念深く追う牧村刑事を挑発する曽根崎。だが彼の行動は、日本中を巻き込む新たな事件の始まりだった…。

未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件の犯人が世間に現れたことで新たな事件が巻き起こる「22年目の告白 私が殺人犯です」。オリジナルは韓国映画の秀作サスペンス「殺人の告白」だ。オリジナル既見のファンには、前半の、犯人である曾根崎の言動の真意については察しがつくだろうが、この日本版リメイクは、その先にもうひとつのどんでん返しを用意している。1995年といえば、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した年。ギラギラした怒りや恨みが際立った韓国版に対し、日本版には深い哀しみと嘆きが漂うのは、国民性もさることながら、理不尽な大惨事が続発した1995年を背景にしたことと無縁ではないだろう。謎解きの詳細は映画を見て確かめてもらうとして、なかなか意欲的なリメイクであることは認めるが、終盤の展開は、どうも納得できない。自分への罰、あるいは歪んだ虚栄心、はたまた心の奥底のトラウマが判断を狂わせたと考えるべきなのか。ともあれ、時効への法制度の変化の意味や、天災、人災、戦争、テロなどが人間の心をいかに深く蝕むかを改めて考えさせられた。藤原竜也、伊藤英明、両名の抑制のきいた熱演には、思わず感服したが、個人的には韓国映画の衝撃に軍配をあげたい。
【60点】
(原題「22年目の告白 私が殺人犯です」)
(日本/入江悠監督/藤原竜也、伊藤英明、野村周平、他)
(どんでん返し度:★★★★★)
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パトリオット・デイ

Patriots Day
2013年4月15日。ボストン警察の刑事トミーは、アメリカ独立戦争開戦を記念した“愛国者の日(パトリオット・デイ)”に毎年開催されるボストンマラソンの警備にあたっていた。約3万人のランナーと50万人の観客で賑わう中、突如、ゴール付近で大爆発が発生し、歓声は悲鳴へと変わる。FBIはテロと断定。監視カメラに写った、不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”の存在が、容疑者として浮上する。多くの負傷者を目の当たりにしたトミーは、犯人への怒りを抱えながら、生存者に丁寧に聞き込みを開始し、手がかりを探していく…。

ボストン・マラソン中に起きた爆弾テロ事件の顛末を描く実録サスペンス・ドラマ「パトリオット・デイ」。ボストン・マラソンで大規模な爆発テロが起こり、犯人はイスラム過激派思想にそまった兄弟だったことは知っていたが、事件解決へ向けて、ボストン市民や警察の数々の勇気ある行動があったことを、本作で初めて詳細に知った。主演のマーク・ウォールバーグとピーター・バーグ監督は3度目のタッグで、すべて実話がベースになっているが、本作が最も出来がいい。ただ前2作でウォールバーグが演じたのは実在の人物だったが、本作で演じた警察官のトミーは架空の人物。事件解決に奔走した警察の、さまざまな思いや勇気、葛藤や悲しみを体現する人物として描かれている。登場人物は非常に多いのだが、ボストンの街に精通したトミー、立場上慎重に動くFBI捜査官、老保安官のような警察巡査部長など、主要キャラが立っていて分かりやすい。さらには、犯人であるツァルナエフ兄弟、ツァルナエフ兄の妻、事件で大怪我を負うカップルや、人質になる中国系の青年など、周辺の人物たちのドラマも丁寧で、観客は事件を俯瞰しながら、緊迫した犯人逮捕の瞬間へとスムーズに導かれる。途中で絶妙に挿入されるニュースや監視カメラの映像が緊張感をより高めて、実録サスペンスとしても群像劇としても見事な演出だ。何よりも、テロには決して屈しないと決意したボストン市民が一致団結して戦うクライマックスは感動的である。特殊能力を持つ一人のスーパーヒーローが活躍するのではなく、テロによって傷ついたボストンの街を愛する平凡な市民それぞれが、自分の役割を愚直に果たすことで最大の勇気と奇跡を呼び寄せた。語り継ぐのは悲劇ではなく希望。昨今、何かと評判が悪いアメリカの警察が、正義を守るために命がけで戦う姿にも間違いなく希望がある。ラストに登場する、当事者たちの今の姿とコメントが深く心に響いた。
【70点】
(原題「PATRIOTS DAY」)
(アメリカ/ピーター・バーグ監督/マーク・ウォールバーグ、ケヴィン・ベーコン、J・K・シモンズ、他)
(愛国心度:★★★★★)
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怪物はささやく

Ost: a Monster Calls
イギリスに住む13歳の少年コナーは、難しい病気を抱えた母と二人で、墓地が見える家で暮らしている。コナーは毎晩のように悪夢にうなされていたが、ある夜、樹木の姿をした怪物がやってくる。怪物はコナーに3つの真実の物語を語るから、4つめはコナーが隠している物語を話せと迫る…。

怪物が語る奇妙な真実の物語を通して人間の本質に迫っていくダーク・ファンタジー「怪物はささやく」。原作は児童文学で、シヴォーン・ダウドの未完の遺作を、パトリック・ネスが引き継いで完成させた。ネスは本作で脚本も担当している。スペイン出身の監督J.A.バヨナは長編デビュー作「永遠のこどもたち」同様、本作でも母親と息子の関係性に重点を置いて、現実と空想の間を行き来する不思議なストーリーを作り上げた。主人公のコナー少年が生きる現実は、とてつもなく過酷である。母はガンのためゆっくりと死に向かっており、母と離婚した父は遠いアメリカで新しい家庭を持っている。怖い祖母とは折り合いが悪い。学校ではいじめを受けている。彼の周囲は苦難に満ち、居場所がないコナーは毎晩悪夢にうなされているのだ。そんなコナーに、巨大なイチイの木の姿をした怪物が語る物語は、決して単純なおとぎ話ではない。3つの真実の物語は、どれも意外な結末でコナーを翻弄し、現実の不条理をつきつける寓話である。怪物は、安易なハッピーエンドや単純な善悪でコナーを子ども扱いせず、人間としてしっかり現実と対峙できるよう導こうとしているのだ。そして、ついにコナーが心の奥底にひた隠す真実の物語を話すときが訪れる。コナーが話す“告白”は、衝撃的だが切なく、激しく胸が揺さぶられるものだ。何千年も生きて、人間の美醜のすべてを見てきた怪物は、決して恐ろしいだけの存在ではない。コナーのメンターであり、コナーの心の奥底にある潜在意識であり、母親からのメッセンジャーでもある。幻想的なアニメーションの素晴らしいビジュアル、怪物の声を担当するリーアム・ニーソンの深くしみいるような声、コナーを演じるルイス・マクドゥーガル少年の繊細な演技が心に残る。そして原作にはない新たな結末が深い余韻と感動を残してくれた。物語の力を描く映画は数多く存在するが、本作の物語はどれも複雑で深く、考えさせられるものばかりだ。不安な現代を生きるための沢山のヒントが隠されている秀作である。
【85点】
(原題「A MONSTER CALLS」)
(米・スペイン/J・A・バヨナ監督/ルイス・マクドゥーガル、フェリシティ・ジョーンズ、リーアム・ニーソン、他)
(大人向け度:★★★★☆)
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」オリジナル・サウンドトラック
2017年、東京。美香は、昼は看護師として、夜はガールズバーで働きながら日々をやり過ごしていた。言葉にできない不安や孤独を抱えながら生きる美香は、ある日、偶然、工事現場で日雇い労働者として働く慎二と出会う。二人はその後もさまざまな場所、さまざまな場面で出会いながら、少しずつ距離を縮めていく…。

大都会の片隅で生きる孤独な若者たちの出会いと恋の予感を描く「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」。物語のベースになっているのは独特の感性で人気を博す詩人・最果タヒのベストセラー詩集だ。詩がベースの映画というのは珍しいが、この人の詩は暗いのにどこか前向きになれる不思議な雰囲気を持っている。何でもタヒという名前は死という言葉を意味しているとか。そう思うと、本作のキャラクターが死の気配を濃厚に感じ取っているのも理解できる。物語は、都市を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガール(あるいはガール・ミーツ・ボーイ)のストーリーだ。大都会・東京にうごめく無数の人々の中で言葉にできない不安を感じて生きていた二人は、おそらく互いに同じ思いを感じ取ったのだろう。愛なんか信じない。生きづらさを常に感じている。そんな二人は他人に甘える術さえ知らないが、それでも二人は出会った。この出会いに未来への希望を託しているのだ。渋谷や新宿でゲリラ撮影されたという映像や、抽象的な言葉も多数ある演劇的演出など、どちらかというと実験的な要素が強いこんな小品を、若くしてベテランの風格が漂う石井裕也監督が作ったというのが少し意外だ。安定した上手さをみせる若き演技派の池松壮亮と、石橋凌と原田美枝子の次女で、演技経験がほとんどない石橋静可という不思議な組み合わせが、孤独な男女のぎこちなさにフィットしていた。
【60点】
(原題「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
(日本/石井裕也/石橋静河、池松壮亮、佐藤玲、他)
(孤独度:★★★★☆)
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武曲 MUKOKU

武曲 (文春文庫)
鎌倉。矢田部研吾は剣道5段の腕前を持ちながら、剣道の師である父にまつわる、ある出来事によって、生きる気力を失い、酒におぼれ自堕落な日々を送っていた。そんなある時、研吾のもう一人の師匠である光邑師範が、研吾を立ち直らせるため、一人の少年を送り込む。ラップの作詞に夢中な高校生・羽田融は、本人も知らない“天性の剣士”の素質を持っていた。二人は、剣道八段の光邑師範の教えを受け、人間として、剣士として精進していくが…。

古都・鎌倉を舞台に、年齢も境遇も違う二人の男が剣士として高め合い、命懸けでぶつかりあう姿を描く「武曲 MUKOKU」。原作は芥川賞作家・藤沢周の小説「武曲」だ。研吾は厳しすぎる父親が敷いたレールに反発し、かつては“殺人剣の使い手”だった父に対して屈折した愛憎の思いを抱え、もがいている。父とのある事件がきっかけで、進むべき道を見失って剣を捨てた研吾の宿命の相手が、ラップに夢中な高校生という設定がまず意外性がある。どこから見てもイマドキの少年の融だが、実は彼は、過去に台風の洪水で死にかけた経験があり、その臨死体験以来、死に魅入られているのだ。研吾は、融の中に、父と同じ“天性の剣士”を見るが、それ以上に、死を感じながら闘う魂の叫びに共鳴したに違いない。描かれるのは現代の剣道だが、これはまさに時代劇の剣士そのものだ。息詰まるほどの緊張感の中で、自分の、そして相手の心の闇を垣間見て、弱さを克服するには命懸けで戦うしかないことを知るのである。綾野剛の鍛え上げた肉体と狂気のまなざしが素晴らしい。一方で、まだ若い俳優・村上虹郎が演じる融の、思春期特有のナイーブさや傲慢さ、りりしさなどにも魅了される。夜の闇の中、豪雨にうたれながらの死闘は、圧巻だ。剣豪という言葉が、現代劇でこれほどフィットするとは。父と子。剣士と剣士。生と死。闘うことでしか生きられない男たちの異様な気迫が、鮮烈な光のようにスクリーンに焼き付けられている。
【70点】
(原題「武曲 MUKOKU」)
(日本/熊切和嘉監督/綾野剛、村上虹郎、前田敦子、他)
(迫力度:★★★★☆)
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バイオハザード:ヴェンデッタ

バイオハザード ヴェンデッタ (角川ホラー文庫)
対バイオテロ組織BSAAのクリス・レッドフィールドは、武器密売組織の拠点である謎めいた洋館に突入する。国際指名手配犯グレン・アリアスと対峙するが、クリスはそこで信じがたい光景を目にし、アリアスを取り逃がす。一方、かつてラクーン市警の特殊部隊S.T.A.R.S.だった大学教授レベッカ・チェンバースは、死者をよみがえらせる新型ウイルスの治療薬の開発に成功する。だが、その直後に研究所が襲撃され、レベッカは死の危険にさらされるが、駆け付けたクリスに救われる。クリスとレベッカは、新型ウィルスが関わる事件をよく知る、大統領直轄のエージェント組織「DSO」のレオン・S・ケネディを訪ねる。彼らはアリアスの目的がバイオテロだということを知り、その策略を阻止するためにNYへと向かう…。

世界的な大ヒットアクションホラーゲーム「バイオハザード」シリーズをフルCGで描く長編アニメーション「バイオハザード:ヴェンデッタ」。「ディジェネレーション」「ダムネーション」に続く、フルCGアニメの最新作だ。ゲームファンにはおなじみのキャラクターが勢ぞろいするが、何と言ってもクリスとレオンが共闘するのが本作の最大の魅力である。生き返った凶暴な死者を治療する新薬を開発したレベッカが、バイオテロを目論むアリアスに狙われるが、彼女の命はもちろん、全人類の命をも危険にさらすバイオテロは、アリアスにとっては狂気にも似た復讐なのだ。冒頭の不気味な洋館の雰囲気は、ゲームファンには嬉しいビジュアルだし、田舎町で自らの人生を呪いながら酒におぼれていたレオンが、クリスとレベッカの要請で復活するやいなや、最強の戦士と化すあたりも胸がすくだろう。ストーリーは、正直、ご都合主義が目に付くのだが、何と言っても気合の入ったアクションがスゴイ。とりわけ、接近戦で威力を発揮する戦闘射撃術は、実写では絶対に不可能な、ありえないレベルの強さだ。もうクリスもレオンも笑いが出るほど強いのである。銃とアクションを融合した“ガンフー”は他の実写映画でもおなじみだが、CGレベルだと、やりたい放題のガンアクションになることが改めて確認できた。監督は「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズの辻本貴則。音楽も同じくパトレイバーの川合憲次。押井守作品の常連の名前が連なっているのが、アニメファンとしては興味深いところだ。次なる戦いを予感させるラストと共に、次回作を期待したい。
【60点】
(原題「バイオハザード:ヴェンデッタ」)
(日本/辻本貴則監督)
(アクション度:★★★★★)
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ラプチャー 破裂

蜘蛛(クモ)が何よりも嫌いなシングルマザーのレネーは、ある日突然、見知らぬ男たちに拉致される。目覚めるとそこは、不気味な隔離施設。監禁されたレネーは、その人物が最も嫌う物を与え続けるという、異様すぎる人体実験の被験者にされてしまう。拘束され動けないレネーは、執拗なまでの“蜘蛛攻め”を受け続けるが、その果てに、彼女の身体は驚くべき変化を見せ始める…。

最も嫌いなものを与え続けるという謎の人体実験にさらされる女性の運命を描く異色ホラー「ラプチャー 破裂」。ラプチャーとは、副題にある“破裂”を意味するが、本作の場合、人間の中にあるものが、極限状態に達した時、何かを破って外に出てくるという、内部からの圧力による破裂である。大嫌いなものとは、例えば、ヘビだったり、幼少期のトラウマである親の叱咤だったり…とさまざまだが、本作のヒロインの場合は、蜘蛛(クモ)。これは、変質者による嫌がらせレベルなどではなく、目的は極限の恐怖と嫌悪感を引き出すことなのだ。こんな実験で、いったい何をしようとしているのか?という謎が物語を引っ張る。レネーや、他の被験者には共通の特徴があるが、レネーの場合、スカイダイビングをして従来の自分を変えたいという変身願望がある。この変身が、すなわち破裂(ラプチャー)だと考えれば、彼女に“素質”があることは納得できるのだ。拉致、監禁、蜘蛛攻め…。こう聞くと、バカバカしくもB級臭たっぷりの話に思えるが、終盤、物語が、ホラーからSF的要素を帯び始めると、これが宇宙空間ではなく見慣れた地球の日常で起こることに戦慄を覚える。秘めた強さを感じさせるノオミ・ラパスが、不思議なほど適役。それにしてもこの終わり方、あるのか、続編?ともあれ、「セクレタリー」で注目されたスティーヴン・シャインバーグ監督のカルトな感覚には、引き続き注目しておきたい。
【60点】
(原題「RUPTURE」)
(アメリカ/スティーヴン・シャインバーグ監督/ノオミ・ラパス、ピーター・ストーメア、マイケル・チクリス、他)
(不快度:★★★☆☆)
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20センチュリー・ウーマン

20センチュリー・ウーマン
1979年、アメリカ、カリフォルニア。15歳の一人息子ジェイミーを育てるシングルマザーのドロシアは、思春期の少年の育て方で悩んでいる。そこでドロシアは、ルームシェアしているパンクな写真家のアビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに相談し、ジェイミーの教育と成長を助けてほしいと頼む。多感な15歳の少年が、3人の年上の女性と過ごす、特別なひと夏が始まった…。

70年代の南カリフォルニアを舞台に3人の年上の女性とのさまざまな経験で成長していく少年の姿を描く「20センチュリー・ウーマン」。監督のマイク・ミルズは、秀作「人生はビギナーズ」で、ゲイであることを晩年にカミングアウトした父親を、ユーモアを交えたあたたかなまなざしで描いたが、本作で描くのは自らの母親のこと。ミルズ監督の半自伝的な作品だけに、影響を受けた時代背景やカルチャーなど、彼の少年時代の思い出がたくさん詰まった内容は、もう二度とは戻れない“あの頃”へのノスタルジーが感じられてちょっぴり切ないテイストが特徴的だ。“大恐慌時代の女”こと、55歳のドロシアは、自由な考えを持つシングルマザーだが、自らの保守的な道徳観に屈折したコンプレックスを抱いている。ジェイミーにとっては、この個性的な母親が最も影響力が大きいが、他の2人の女性も負けていない。20代半ばのパンクな写真家のアビーはジェイミーにNY仕込みのポップ・カルチャーとフェミニズムの本質を教える自由奔放な姉貴のようだし、17歳のジュリーは、友達以上恋人未満の存在で、ジェイミーにはリアルな女の子と理想の恋人が混在するファンタジックな美少女だ。ジュリーときたら、添い寝はするが、男女の関係になってジェイミーとの友情が壊れることを恐れているという悩ましい存在でもある。こんな異世代の女性3人を、アネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニングという超強力トリオの女優が演じるのだから、それだけでも引き込まれる。パンクな生き様を見せるガーウィグや小悪魔美少女のファニングもいいが、やはりベニングの貫禄と哀愁が頭ひとつ抜けていた。ティーンエイジャー特有の不安やとまどい、性の悩み、生きることの難しさなどを、女性たちは、時には失敗やとまどいさえさらしながら、導いてくれる。彼女たちが正直で自然体だからこそ、監督のパーソナルな思い出は、普遍的な物語に昇華していくのだ。トーキング・ヘッズをはじめとする70年代を代表す音楽が効果的で、反抗期の少年時代を描く私小説的な映画でありながら、同時に、70年代というフェミニズムの時代を生きる3世代の女性を描く女性映画として、出色の出来栄えとなった。
【70点】
(原題「20TH CENTURY WOMEN」)
(アメリカ/マイク・ミルズ監督/アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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花戦さ

映画「花戦さ」オフィシャルブック
戦国時代末期。京都の中心、頂法寺六角堂の花僧・池坊専好は、天下統一目前の織田信長の前で見事な生け花を披露し、茶人の千利休らの心をつかむ。直後、思わぬ失態から信長の怒りを買うが、それを救ったのが若き武将・木下藤吉郎、後の豊臣秀吉だった。それから十数年後、秀吉が天下人となるが、愛息・鶴松を亡くして正気を失った秀吉は圧政を敷き、共に美を追い求めた専好の友・利休を自害に追い込む。さらに一般庶民をも粛清する秀吉に対し、専好は、武力ではなく生け花の力で、一世一代の戦いを挑もうと決意する…。

時の天下人・豊臣秀吉に刃ではなく花で戦いを挑んだ華道家元・初代池坊専好の姿を描く歴史劇「花戦さ」。物語の着想を得たのは、鬼塚忠による小説だ。秀吉と茶道は、茶人の千利休との確執が有名で、しばしば映画でも描かれるが、秀吉と華道という組み合わせの作品は非常に珍しい。若き池坊専好は、立花の名手だが、ひょうひょうとした性格の花僧で、戦国の乱世で命を落とした無縁仏の前で手を合わせ小さな花を供えることで、世の平穏を願う心優しい人物である。前半は、信長の前での立花や人々に生け花を教える姿、秀吉の茶会での奮闘や口をきかないワケありの少女とのエピソードなど、ほのぼのとした人情劇のよう。だが、秀吉が、極度の被害妄想のため、敵対する武将だけなく、自分の意のままにならない利休を死に追いやり、ついには冗談半分の陰口をたたいただけの庶民まで、粛清で命を奪うようになる後半の物語はシリアスで悲しみを帯びる。政治とは無縁のはずの専好だったが、狂気の秀吉の暴挙を止めるため、花を使った命がけの“戦い”を挑むクライマックスは、美しくも壮絶だ。終盤には、絵が得意で心を閉ざした少女・れんの存在が効いてくる。出世も名誉も興味がなく、ただひたすらに花を愛した人間が、花を武器に、命を賭けて、権力者に意見する。天下を取ろうとする信長のため、日々の暮らしを楽しむ町衆のため、秀吉から追い詰められた利休の翻意を促すため、幼くして逝った秀吉の子の魂を慰めるため。その時々の花は、すべて大切な人への美しくも強いメッセージとなって画面に現れた。主役級の俳優たちの豪華競演もさることながら、花そのものが主人公のような役割を果たしている。凛と咲く花の中に、生きる願いと平和への祈り、理不尽な権力に立ち向かう勇気が込められている映画だ。
【65点】
(原題「花戦さ」)
(日本/篠原哲雄監督/野村萬斎、森川葵、市川猿之助、他)
(勝負度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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