映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

映画

アウトレイジ 最終章

映画「アウトレイジ 最終章」オリジナル・サウンドトラック
関東の山王会と関西の花菱会の間で起きた熾烈な権力闘争の後、韓国に渡った元大友組組長・大友は、日韓の裏社会を牛耳る実力者の張会長のもとに身を寄せていた。ある時、大友が仕切る済州島の歓楽街で、韓国に出張中の花菱会の幹部の花田が問題を起こし、張会長の部下が殺害される事件が発生。これに怒りが収まらない大友は、手下を連れて日本に戻るが、この事件はやがて花菱会内部の権力争いと、さらには張グループとの抗争に発展していく…。

裏社会の男たちが繰り広げる極悪非道の権力闘争を描いて大ヒットを飛ばした「アウトレイジ」シリーズの完結編「アウトレイジ 最終章」。第1作では、関東の巨大暴力団組織・山王会の権力闘争を、第2作では、関東の山王会と関西の花菱会の熾烈な抗争と裏で手を回す警察組織の陰謀を描いた。北野作品初のシリーズものの完結編である本作は、どこか日本映画の伝統である任侠映画の良さを醸し出している。しぶとく生き延びた主人公・大友は、自分を守ってくれた張会長の恩義に報いるため、また、過去の抗争で殺された兄弟分・木村の仇を取るため、韓国から日本に戻り、自ら非情な抗争の渦中に飛び込んでいく。

裏切りや打算、因縁をひきずりつつ、エゴまるだしで暴走するこの群像劇は、とにかく不敵な面構えの俳優たちの顔が魅力だ。特に新キャラで、狂気と笑いが同居するピエール瀧がいい。劇中、西田敏行演じる花菱会の若頭・西野が、大友を「あんな古臭いヤクザ」と吐き捨てるように言う場面がある。つまり全員悪人のアウトレイジであっても、大友は結局、義理や恩義に囚われた過去の遺物で、そういう類の人間は消え去る運命にあるのだ。相変わらず凄惨で、それでいて笑える凝ったバイオレンス描写が満載だが、暴力の中に、古き良き任侠映画の終焉の時を見るようで、哀愁がひときわ際立つ最終章となった。だからだろうか、冒頭の済州島でのんびり釣りをしている大友の姿に、北野映画の大きな魅力である虚無感が色濃く漂っている。
【60点】
(原題「アウトレイジ 最終章」)
(日本/北野武監督/ビートたけし、西田敏行、大森南朋、他)
(クラシック度:★★★★☆)
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エルネスト

映画『エルネスト』オリジナルサウンドトラック
南米・ボリビア出身の日系二世・フレディ前村は、医者を志してキューバのハバナ大学に留学する。だが1962年、キューバ危機を迎え、大学内も混乱し、学生たちは民兵として志願するか、祖国へ帰るかの選択を迫られることに。そんな時フレディは、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと出会い、そのカリスマ性に魅了され深い理念に感銘を受ける。やがてゲバラの部隊に入隊したフレディは、ゲバラと同じエルネストを戦士ネームとして授けられた。そして彼らは、ボリビアの軍事政権を倒す戦いに身を投じていく…。

チェ・ゲバラと行動を共にした日系二世のフレディ前村ウルタードを題材にしたドラマ「エルネスト」。チェ・ゲバラのことは当然知っていたが、彼と行動を共にしたフレディ前村の存在を、この映画で初めて知った。母国ボリビアが政情不安定なため、キューバで医学を学んだこの青年は、とても誠実で、真面目で、理想と正義に身を捧げたロマンチストだ。ゲバラが目指した革命は、フレディのような、名もない戦士たちの情熱に支えられていたのだと改めて知る。そしてそこには当然、多くの犠牲が伴うことになる。

チェ・ゲバラが重要な役割を果たすが、物語の主役はあくまでもフレディである。彼は、激動の時代の中でも、友人を作り、淡い恋をし、勉学に励んでいたのだが、そこにチェ・ゲバラやカストロといった巨星がふいに現れて、人生を決定付けていくあたり、人間の運命の不思議を感じてしまう。少し残念なのは、実在の人物で、革命に準じた日系二世の英雄というフレディの出自からだろうか、作品があまりにも生真面目な作りで、見ていて少々面白みに欠けること。前作「団地」のユルさや笑いのセンスが素晴らしかっただけに、どうしても不満を感じてしまうのだ。とはいえ、全編スペイン語のせりふで静かな熱演を見せるオダギリジョーは素晴らしいし、チェ・ゲバラが日本の広島の原爆慰霊碑に献花した秘話も、とても効果的に描かれていて心に残る。アメリカに依存し続ける現代の日本には、理想に生きたフレディの存在そのものが「君たちはそれでいいのか?」との問いかけに思えた。
【65点】
(原題「エルネスト」)
(日本・キューバ/阪本順治監督/オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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スイス・アーミー・マン

Swiss Army Man [Blu-ray + Digital HD]
海で遭難し無人島に流れ着いた孤独な青年ハンクは、助けが来ない状況に絶望し自ら命を絶とうとする。だがその瞬間に波打ち際に流れ着いた死体を発見。その死体が発するおなら(腐敗ガス)と浮力を利用して、ハンクは死体にまたがり、勢いよく海に出ていった。しかも、ジェットスキーのように進むその死体には、スイス・アーミー・ナイフばりの便利さが備わっていた。メニーという名の死体とハンクは、苦境を共に乗り越えるため奇想天外な旅をすることになる…。

孤独な青年が死体と共にサバイバルを繰り広げる摩訶不思議なドラマ「スイス・アーミー・マン」。タイトルは、様々な機能を持つスイス・アーミー・ナイフ、いわゆる十徳ナイフをもじっている。多機能ナイフのように便利な死体のメニーは、まずは、おならの噴射圧力で水上スキーと化し、口から水を出す、硬直した身体で物を砕く、熊を撃退するなど、八面六臂の大活躍だ。死んだような人生を送ってきたハンクと、記憶がなく生きる喜びを知らない死体のメニーは、奇妙な友情で結ばれていく。これは“生きること”が苦手な二人が力を合わせて苦境を乗り切るサバイバル・ストーリーなのだ。

奇妙な現実にファンタジーをミックスする不思議な作風は、どこかミシェル・ゴンドリーを思わせる。死体とのサバイバルというつかみはなるほど面白いし、おならのガスを利用して勢いよく海を走る図には、思わず吹き出して笑った。だがその後の展開はと言うと、明らかにテンションが下がってしまう。死体がしゃべり出すのはハンクの心の声かと思いきや、そうとも言い切れないし、ハンクとメニーのBL(ボーイズラブ)的描写も腑に落ちない。意外な着地点を用意するこのシュールなストーリーは、結局のところ“世界と関わりながら生きていくことの素晴らしさ”を肯定しているのだろう。死体になりきったハリー・ポッターことダニエル・ラドクリフの怪演、気弱キャラがよく似合う個性派ポール・ダノの妙演、見終わった後にジワジワくるオフビートなストーリー。好き嫌いは別として、一見の価値がある珍作といえようか。
【55点】
(原題「SWISS ARMY MAN」)
(アメリカ/ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン監督/ダニエル・ラドクリフ、ポール・ダノ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、他)
(シュール度:★★★★★)
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パーフェクト・レボリューション



幼い頃に患った脳性麻痺から手足が思うように動かず車椅子生活を送るクマは、不自由な身体だがセックスが大好きで、身体障害者の性への理解を広げようと活動している。ある日、クマは、人格障害の病を抱えた風俗嬢ミツと出会う。積極的にアプローチしてくるミツに最初はとまどうが、次第にクマもまっすぐな彼女に惹かれていった。だが、二人の前には、周囲の偏見や差別、無理解など、多くの壁が立ちふさがっていた…。

脳性麻痺で車椅子の活動家と、人格障害を抱える風俗嬢の恋愛を描く「パーフェクト・レボリューション」。脳性麻痺を抱えつつ、障害者の性への理解を訴え続ける活動家・熊篠慶彦氏の実体験をベースにした作品だ。タイトルのパーフェクト・レボリューション(完全な革命)とは、ミツが言う“自分たちの本当の幸せを世界に証明すること”。抱える障害も違えば、職業や能力、年齢も違う二人には、さまざまな困難が待ち受けるが、クマとミツの、特異だがピュアな恋愛は、とびきりエネルギッシュで、悲壮感はほとんど感じない。

このテの題材は、日本映画だと腫れ物に触るかのような遠慮した描写や、感動、美談といった内容にまとまりがち。題材が複雑かつナイーブなために、製作する側も演じる側も相当に気を使ったはずだ。結果、赤裸々な性を描くというにはほど遠い内容となっている。ただ同じ障害者でも抱える悩みや心の闇の度合いはかなり異なるし、周囲の無理解の種類もまた多様なのだということはしっかり描かれていた。だからこそ、障害者自身が本当に何を望んでいるのかという心情にもっと踏み込んでほしかった気もする。ラストは一種のファンタジーで、二人の幸せを願う側としては、これはこれでありだろう。悩みながらもひょうひょうと生きるクマの役がぴったりフィットするリリー・フランキーの好演が心に残る。余談だが、同じく障害者の性や周囲の無理解を描いた作品に韓国映画の秀作「オアシス」がある。視点の鋭さ、リアルとファンタジーのブレンド、国民性の差異などを確認できるので、ぜひ比較してみてほしい。
【65点】」。
(原題「パーフェクト・レボリューション」)
(日本/松本准平監督/リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、他)
(純愛映画度:★★★★★)
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レゴ (R) ニンジャゴー ザ・ムービー

Lego Ninjago Movie: Songs From Motion Picture
Lego Ninjago Movie: Songs From Motion Picture [CD]
平和なニンジャゴーシティに、世界征服を企む悪の帝王ブラックガーマドンとその手下が現れ、街は窮地に立たされる。愛するニンジャゴーシティを守るため、世界を闇の支配から救うため、特別な力を受け継ぐ伝説のニンジャのロイドは、師匠のウー先生のもとで共に修行してきた仲間のカイ、ジェイ、コール、ゼン、ニャーたちと共に、立ち上がる…。

世界中で愛されるデンマーク発・組み立てブロック玩具LEGO(R)を基にしたTVアニメシリーズの劇場版「レゴ (R) ニンジャゴー ザ・ムービー」。劇場版「レゴ(R)ムービー」としては第3弾となる。6人のニンジャ仲間が、緑、火、雷、水、氷、地から得たエレメントパワーと、師匠ウー先生から授かった必殺技で戦う様は、さながらニンジャ版パワーレンジャー。6人の友情パートが薄味なのは残念だが、その分、父ブラックガーマドンと息子ロイドの、あからさまなスターウォーズのパロディーで笑わせて(時には泣かせて?)くれる。その他にも、悪人の息子のロイドが学校で孤立する哀しさは学園もの、ロイドであることを隠しながらニンジャゴーシティを守るジレンマはヒーローもの、トランスフォーマーばりのロボット・アクションものなど、内容はサービス精神旺盛で、盛り沢山なのだ。

「レゴ(R)ムービー」は、玩具のレゴを見事に組み立てて、表情豊かなキャラや武器、小道具を形作るのが魅力。だが劇中、重要な役割を果たすニャジラ(猫)が実写なのはいかがなものか。もちろんホンモノの猫は可愛いし微笑ましいユーモアを醸し出してはいるが、個人的にはここはレゴで作ってほしかったところだ。とはいえ、そんな“小さな不満”を吹っ飛ばしてくれるのが、冒頭と終盤に、不思議なアンティークショップの謎めいた老店主役で登場するジャッキー・チェン、その人だ。物語の語り部として、ウー先生(字幕版で声を担当)として、魅力全開。「レゴ(R)ムービー」は、過去2作品が非常に出来が良かったため、本作は、自ずとハードルが上がってしまったのが気の毒だが、今回はTV版とは別物で、お子様向き映画と割り切って見てほしい。とは言っても、往年の香港カンフー映画風のタイトルロゴで、冒頭からワクワクさせるなど、お子様向けと言いながら、やっぱり大人の映画好きをニヤリとさせるのが「レゴ(R)ムービー」。あなどれないアニメだ。
【60点】
(原題「THE LEGO NINJAGO MOVIE」)
(アメリカ/チャーリー・ビーン監督/(声)ジャッキー・チェン、ジャスティン・セロー、デイヴ・フランコ、他)
(パロディー度:★★★★☆)
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亜人

映画 亜人 オリジナル・サウンドトラック
2017年、東京。研修医の永井圭は、交通事故で死亡するが、直後に肉体が回復し生き返る。不死身の新人類“亜人”であることが発覚した圭は追われる身となり、亜人研究施設に軟禁されてからは、非人道的な実験のモルモットにされてしまう。そんな圭の前に、人類に牙をむく最凶の亜人テロリスト“佐藤”が現れ、ひとまず助けられる。だが、佐藤が計画する国家転覆計画に共感しなかった圭は、佐藤から敵視されることに。圭は、病気の妹を連れて逃亡しながら、佐藤の計画を阻止しようとする…。

不死身の新人類の終わりなき戦いを描くSFアクション「亜人」。原作は桜井画門による人気コミックで、TVアニメ化もされている。絶対に死なない亜人は、死にたくても死ねない悲劇的な存在だ。亜人であることを受け入れるかどうかで、命をリセットし続けるその後の生き方が大きく変わるというわけである。主人公の圭は、原作ではかなり非情なキャラクターなのだが、映画では見た目はクールでも共感できる部分を多くして好感度を上げている。

本作は、不死身という特性上、自殺、他殺を問わず、リセットしては復活するという繰り返しが多い。従ってバトルはエンドレスに思えるが、そこにはいろいろと裏技が。さらにIBM(インビジブル・ブラック・マター)と呼ばれる“人間には見えない分身的なもの”を使って戦うのが特徴だ。このCGのヴィジュアルとアクション感覚に優れた佐藤健らの生身のアクションとの相性はなかなか良い。ただ、圭が亜人であることを受け入れられない葛藤は薄味だし、意外な人物が亜人で、ある人物を助けている理由も説明不足で、ドラマ部分は全体的に不親切な印象が強い。人間対亜人、亜人対亜人、ループする命、とテーマはかなり深淵なのに、この作品からは深いメッセージ性が感じられなかったのが残念だ。娯楽作「踊る」シリーズの本広克行監督らしいエンタメ系アクション映画と割り切って楽しむべきなのだろう。
【55点】
(原題「亜人」)
(日本/本広克行監督/佐藤健、綾野剛、玉山鉄二、他)
(アクション映画度:★★★★☆)
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僕のワンダフル・ライフ

A Dog's Purpose (Blu-ray + DVD + Digital HD)
少年イーサンに命を救われたゴールデンレトリバーの子犬ベイリーは、飼い主となったイーサンを慕い、いつも一緒にいて強い絆を育んでいた。だが犬の寿命は人間より短く、やがて別れの時がやってくる。イーサンより先に旅立ったベイリーだったが、ベイリーはイーサンに再会したい一心で、犬種や性別を変えて、生まれ変わりを繰り返すことになる…。

飼い主と固い絆で結ばれた犬が何度も生まれ変わって再会しようと奮闘するファンタジー・ドラマ「僕のワンダフル・ライフ」。原作は、W・ブルース・キャメロンのベストセラー小説「野良犬トビーの愛すべき転生」で、監督は「HACHI 約束の犬」や「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」など、ドッグ・ムービーの秀作を作ってきた名匠ラッセ・ハルストレムだ。犬のベイリーが最愛の飼い主イーサンとの再会を目指すのは「イーサンを幸せにする」ため。これだけでも泣けるのだが、本作はただの動物ものファンタジーではない。イーサンが味わう、家庭や恋、将来の夢などでの苦い挫折を通してみれば、ままならぬ人生の複雑さが見えてくるし、50年間で3度輪廻転生を繰り返す犬の目を通して、アメリカ現代史の移り変わりをも見ることができるのだ。そんな深みがある作品だが、語り口はあくまでも軽やかで、嫌味のない感動作に仕上がっている。

ゴールデンレトリバー、シェパード、コーギーと、生まれ変わる度に、犬種や性別が変わるが、中身は愛すべき忠犬ベイリーのまま。複数のエピソードで語られる涙と笑いのストーリーは、犬好きの心をガッツリとらえて離さないだろう。いや、猫派の私(注:基本的に動物好きです)でも、涙腺決壊状態だったのだから、可愛らしい犬たちの名演技に誰もが魅了されるはずだ。ベイリーの声を担当するのは「アナと雪の女王」でオラフを演じたジョシュ・ギャッド。ちょっぴりおしゃべりが過ぎる気がするが、イーサンに会いたいベイリーの一途な思いを感情豊かに演じて素晴らしい。時に親友として喜びを分かち合い、時に悲しみや孤独を癒し、時には恋のお手伝いも。無償の愛を捧げる犬が人間の最良の友と言われる理由がよく分かる佳作だ。
【70点】
(原題「A DOG’S PURPOSE」)
(アメリカ/ラッセ・ハルストレム監督/ブリット・ロバートソン、K・J・アパ、ジョン・オーティス、他)
(ファンタジー度:★★★★★)
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ドリーム

「ドリーム」オリジナル・サウンドトラック
1960年代初頭、アメリカは、国内では人種問題、対外的には東西冷戦で揺れていた。ソ連との熾烈な宇宙開発競争が繰り広げられる中、ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な黒人女性たちが、理不尽な差別や格差に耐えながら、計算手として働いていた。天才的な数学の才能を持つキャサリンは、黒人女性として初めて宇宙特別研究本部に配属されるが、白人ばかりの職場の雰囲気は冷たく、そのビルには有色人種用のトイレもなかった。一方、管理職を目指すドロシー、エンジニアを志すメアリーらも、数々の困難の中でひたむきに夢を追い続けていた…。

NASAで宇宙開発に携わった黒人女性たちの功績を実話をもとに描く「ドリーム」。マーキュリー有人飛行計画と言えば「ライトスタッフ」がすぐに思い浮かぶが、本作で描くのは、その計画を支えたのが、ずば抜けた才能を持った黒人女性たちだったという知られざる事実だ。時は1960年代。NASAで働くキャサリン、ドロシー、メアリーの3人の黒人女性は、人種差別と女性蔑視という2つの差別と戦わねばならなかった。こう説明するとシリアスな社会派ドラマに思えるが、本作はあくまでも明るくポジティブな作風で。見れば元気をもらえる痛快エンタテインメント・ムービーなのである。1960年代当時の明るいファッションやポップな音楽が、これまたチャーミングだ。

トイレやコーヒーポットまで非白人用と区別する愚行は、コミカルな描写で笑いを誘い、同僚や上司の嫌がらせには、知性とウィットで対抗する。時に愚痴ったりあきらめかけたりもするが、そんな時の助けは、友情や家族の支え、新しい恋のときめきだ。何よりも彼女たちが本来持つ、明るい性格やあたたかい人間性が、周囲や社会、ひいては時代を動かしたのだと思えてならない。タラジ・P・ヘンソンを筆頭に、俳優陣は皆、好演だが、キャサリンの誠実な恋人を演じるマハーシャラ・アリの柔らかな雰囲気が特に印象的で、オスカーを獲得した「ムーンライト」とはまた違った魅力を発見できる。本作は、いくつもの“最初の扉”を開けたアフリカ系アメリカ人の女性たちのチャレンジを痛快なエピソードでテンポ良く描いてみせた快作だ。人種差別や性差別は今も社会にはびこり、アメリカが今までになく不安な時代を迎えている今だからこそ、彼女たちの知的な勇気がより輝いて見える。
【80点】
(原題「HIDDEN FIGURES」)
(アメリカ/セオドア・メルフィ監督/タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、他)
(歴史秘話度:★★★★★)
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パッション・フラメンコ



現代フラメンコ界最高のダンサー、サラ・バラス。革新的な舞台演出やパフォーマンスで絶賛される彼女が、フラメンコの巨匠たちに捧げる新作公演「ボセス フラメンコ組曲」の初演までの3週間と、フランス、メキシコ、アメリカ、日本、母国スペインを回る世界ツアーに密着し、フラメンコへの情熱と、家族を愛する一人の女性としての姿に迫っていく…。

スペイン出身で、現代最高峰のフラメンコダンサー、サラ・バラスを追ったドキュメンタリー「パッション・フラメンコ」。サラが率いる舞踏団の新作は、フラメンコ界の巨匠6人に捧げる舞台だ。6人のマエストロは、パコ・デ・ルシア、アントニオ・ガデス、カルメン・アマジャ、カマロン・デ・ラ・イスラ、エンリケ・モレンテ、モライート・チーコ。ギタリスト、ダンサー、歌手である彼らは皆、故人だが、中にはサラと親交があった巨匠もいる。サラ自身、天才肌の上に努力家で、既存のルールを打ち破るチャレンジャーでもあり、6人の巨匠たちと共通する部分が非常に多い。

短い期間で新作を仕上げるまでのプロセスはもちろん、サラの素晴らしすぎるダンス、彼女と一緒に舞台を作り上げるメンバーのパフォーマンスに、たっぷり酔いしれることができる。驚いたのは、サラがプロのダンサーとして覚醒した原点ともいえる場所が、日本だということ。それから、一度は子どもを持つことをあきらめかけたのに、幸いなことに母となったサラの母性も印象的だ。天才ダンサーであると同時に、母であり妻でり、何よりも女性である。さらに、若くして自分の舞踏団を率い、男性が躍ることが通例だったジャンルのダンスにも挑戦するなど、男社会で一流の仕事を続けてきた“キャリアウーマン”でもあるのだ。高い目標をかかげ、リスクを恐れず、絶えず努力を惜しまない女性サラ。フラメンコに興味がある人はその超絶技巧のダンスをたっぷり楽しむことができるし、フラメンコに詳しくない人も、彼女の情熱的な生きざまに魅了されるだろう。本作に興味を持ったら、併せてカルロス・サウラ監督の「フラメンコ・フラメンコ」「イベリア 魂のフラメンコ」もぜひ観てほしい。
【60点】
(原題「SARA BARAS. TODAS LAS VOCES」)
(スペイン/ラファ・モレス、ペペ・アンドレウ監督/サラ・バラス、ホセ・セラーノ、ティム・リース、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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プラネタリウム

1930年代。アメリカ人スピュリチュアリストである姉妹、ローラとケイトは、降霊術ツアーでヨーロッパを訪れ金を稼いでいた。美しく聡明な姉ローラはショーを仕切る野心家で、霊感が強く純粋な妹ケイトは自分の世界に閉じこもる内気な少女だ。この美貌の姉妹の才能に魅了された映画プロデューサーのコルベンは、世界初となる心霊映画の撮影を持ちかける。華やかな都パリを訪れた姉妹は、映画製作に挑むが、上手く演じられないケイトに対し、ローラは女優としての才能を発揮し始める。一方、男女の区別なく火遊びを楽しむコルベンは霊感があるのはケイトだけだと見抜き、有害な電磁波を使う実験に挑んだ。信頼関係で結ばれているコルベンとケイトを目の当たりにして、ローラは激しく嫉妬するのだが…。

心霊術師の美人姉妹が、一人の映画プロデューサーとの出会いから運命を狂わせていく様を描くミステリアスなドラマ「プラネタリウム」。物語はフィクションだが、キャラクターにはモデルがいて、実在したスピリチュアリズムの先駆者、フォックス三姉妹と、フランスにトーキーを導入した伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンからインスピレーションを得たという。一見華麗に見える1930年代は戦争の足音が聞こえる不穏な時代だ。そこに、美貌の姉妹が繰り広げる神秘的な死者との交霊や、ユダヤ人映画プロデューサーの悲劇的な運命などが複雑にからみあい、物語はミステリアスで幻想的な色合いを帯びている。

上昇志向が強く野心家の姉ローラは女優になってスクリーンにその姿を焼き付け、霊感が強い妹ケイトは危険な実験によって自ら死へと近づいてしまう。姉妹の運命を狂わせるのはユダヤ人の映画プロデューサーのコルベンだが、彼もまた反ユダヤの風潮の中、組織的中傷の犠牲になっていく。愛憎が混在するこの3人が疑似家族のような関係になる展開は興味深い。姉妹の心霊術は本物か、偽物か。信じると見える霊の存在は、昼には見えないが夜になると見える星のように、あるいは、明るいと見えないが暗くなると見える映画のように、見えない世界を見せる、儚い願いなのかもしれない。ナタリー・ポートマンは「ブラック・スワン」を彷彿とさせる知性と狂気が入り混じった迫力の演技を見せ、リリー=ローズ・デップは、ピュアな少女を初々しく好演しつつ、しっかり存在感を示している。決して分かりやすい作品ではないが、才色兼備のレベッカ・ズロトヴスキ監督の非凡なセンスが感じられる独創的な映画だ。
【65点】
(原題「PLANETARIUM」)
(仏・ベルギー/レベッカ・ズロトヴスキ監督/ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、ルイ・ガレル、他)
(疑似家族度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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