映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

林遣都

荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE

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荒川河川敷が舞台のシュールな青春ラブ・ストーリー「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」。ヘンなキャラばかりだがよく見ると豪華キャストなのだ。

厳格な父親から「他人に借りを作るな」「他人を信用するな」という教えを受けて育った大会社の御曹司・行。再開発ために荒川河川敷の視察にやってくるが、そこで不本意にも自称・金星人の美少女“ニノ”に助けられる。借りを返そうとすると、彼女は「私に恋をさせてくれないか」と頼むので引き受けることに。ニノに連れられてやってきた河川敷には奇妙な人々が暮らしていた。彼らから“リク”と名付けられた行は、視察を兼ねて河川敷で暮らし始めるが…。

原作は、中村光の人気コミックで、TVドラマ化もされている。河童姿の“村長”、黄色の星をかぶったロックミュージシャン“星”、尼僧姿の“シスター”(男)、村のために酪農をしているドSの美女“マリア”など、河川敷の不法占拠者は誰もがあまりに風変わり。彼らの言動に振り回されるリクの生真面目なツッコミが、クスクス笑いを誘う。だが常識が通用しない異界にまぎれこんだことで、主人公の価値観は徐々に変わりはじめる。過去に受けた傷から息子を素直に愛することが出来ない父との関係性にも変化が。河川敷で暮らす人々と彼らの暮らしを守りたいという気持ちから、ついにリクは、初めて父へ反抗するという勇気ある行動へと至る。つまりこれは健全な反抗心が促す青年の成長物語なのだ。河童の村長の正体は? ニノは本当に金星人なのか? これらの謎の答えより、奇妙奇天烈な荒川ワールドを楽しむべき。ただ、小栗旬や山田孝之ら、豪華キャストがヘンテコな役を楽しそうに演じているのは愉快だが、漫画と違って、実写映画ではギャグ漫画的なキャラの面白さは限界があった。その意味でも、リクとニノのファンタジックな恋愛を主軸にしたのは正解だったかもしれない。賑やかで不思議な世界観を形作った美術スタッフの頑張りに拍手である。
【55点】
(原題「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」)
(日本/飯塚健監督/林遣都、桐谷美玲、小栗旬、山田孝之、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)
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荒川アンダーザブリッジ@ぴあ映画生活

風が強く吹いている

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風を感じるさわやかな映画だ。駅伝に賭ける若者たちの絆を、けれん味のない演出で描いて感動を呼ぶ。事件を起こして競技から遠ざかった天才走者カケルと、故障によりエリート・ランナーの道を諦めたハイジ。二人の若者が出会い、彼らの才能に引っ張られる形で、寄せ集めに等しい大学陸上部のメンバーたちが、無謀ともいえる箱根駅伝に挑戦する物語である。

個性的な10人がつなぐタスキは、自分を待つ仲間に手渡した時、確かな“生きる手応え”となる。野球、水泳(飛び込み)、ボクシングと、スポーツ映画の常連になった林遣都がカケルを、生真面目だが熱い思いを胸に秘めるキャラがぴったりの小出恵介がハイジを演じて、キャスティングは適材適所だ。走るというと単調な動きに思えるが、陸上競技を描いた映画には意外にも秀作が多い。「炎のランナー」や「長距離ランナーの孤独」、廣木隆一監督の「800 TWO LAP RUNNERS」も秀作だ。本作では、区間賞や繰り上げスタートなどの駅伝独特のルールを巧みに盛り込み、緊張感が味わえる。走者のモチベーションも、ライバルとの確執や過去の自分との戦い、好きな女の子への思いなどメリハリがあって上手い。さらに、沿道の景色や起伏のあるコースの映像も魅力だ。違うタイプの心の傷を抱えた部員それぞれの長所を活かして戦術を練る様子は、個人ではなくチームで戦う駅伝競技の素晴らしさを伝えてくれる。「長距離選手に必要なもの。それは速さではなく強さだ」という言葉は、この作品を象徴している。伝説のOBである監督の存在感が薄いのは不満だが、共通の夢を目指して成長する青春映画の後味はさわやかだ。冒頭とラストに映る空と、走るシルエットの美しさが忘れられない。
【75点】
(日本/大森寿美男監督/小出恵介、林遣都、中村優一、他)
(さわやか度:★★★★★)

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引き出しの中のラブレター

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メールや携帯電話がコミュニケーションの中心になった現代でも、手紙の持つぬくもりは独特のものがある。ラジオ・パーソナリティの真生(まい)は、番組に寄せられた、笑わない祖父を笑わせたいとの少年の相談内容から、絶縁したまま他界した父への思いを受け止めることになる。北海道に住む少年と家族、東京で暮らす真生とその恋人や友人らが織りなす群像ドラマは、大切な人に伝えられなかった思いに改めて向き合うことで、徐々に繋がっていく。

切ない思いをラジオを通して伝える。分からないでもないが、現実でははたして相手がそれを聞いているかどうかは不確かで、直接言えないことを伝えるツールとしてはリアリティが薄い。それでも各々のエピソードは丁寧で誠実なものだ。常盤貴子演じる真生の行為は、おせっかいスレスレなのだが、彼女が父との確執を抱えていることで、説得力を持ってくる。素晴らしいのはやはりベテラン陣の静かで抑えた演技。特に八千草薫が演じる母親が真生に手紙を託すときに披露する短いエピソードが秀逸で、これで一気に家族のわだかまりが溶解するようで涙を誘う。いい人ばかりの“きれいごと”の物語だが、見えない相手との心の交流を音だけで可能にするラジオというメディアの力を再認識できるだろう。何より、あたたかいあと味がいい。
【60点】
(日本/三城真一監督/常盤貴子、林遣都、中島知子、他)
(家族愛度:★★★★☆)

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ラブファイト

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幼馴染の男女が、お互いを好きな気持ちに気付くツールがボクシングという設定がユニーク。いじめられっ子でヘタレ男子の稔はケンカが得意の美少女・亜紀に助けられてばかり。亜紀より強くなろうと内緒でボクシング・ジムに通うが、それを知った亜紀もまたボクシングの魅力に目覚めていく。スポ根としての迫力は希薄だが、その分、素直になれないティーンエイジャーの男女の初恋を、コメディタッチで描いて楽しい佳作となった。終盤、稔を好きな少女の意外な素顔が唐突で大爆笑。並行して描かれる大人の恋が、ややテンポを削いだが、それでも二人を見守る大沢たかおは好演だ。
【65点】
(日本/成島出監督/林遣都、北乃きい、大沢たかお、他)
(ガチンコ勝負度:★★★★☆)

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ダイブ!!

ダイブ!! 特別版
飛び込み競技を描いた青春映画だが、腹筋が割れるほど練習したという若手俳優たちの頑張りに注目したい。3人の飛び込み選手がクラブ存続のために五輪代表を目指す物語だ。池松壮亮がクールな少年を演じ、林遣都が明朗な天才を演じる意外性が見所。物語は3人を同等に描くため、やや散漫になってしまったのが惜しい。ダイビングを称して「個人競技は勝つたびに一人になる」と孤独感を表したのが、逆に友情の大切さを感じさせる。
【55点】
(日本/熊澤尚人監督/林遣都、池松壮亮、溝端淳平、他)
(さわやか度:★★★★☆)

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ちーちゃんは悠久の向こう

ちーちゃんは悠久の向こう〈通常版〉
幼馴染のちーちゃんとモンちゃんのラブストーリーには、不思議な秘密が隠されている。題名と、劇中の小さな伏線から、その“不思議”の正体は、映画ファンならすぐに推察できるだろう。物語にさしたる驚きはないのだが、主演の若手俳優二人の相性の良さと嫌味のない演技に救われている。特に林遣都の繊細な雰囲気が印象的だ。学校の七不思議という設定はおもしろい素材なので、もっと活かせればと少し残念。桜の場面が美しい。
【55点】
(日本/兼重淳監督/仲里依紗、林遣都、堀部圭亮、西田尚美、他)
(驚き度:★★☆☆☆)

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バッテリー

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天才的な野球の才能を持つ少年が主人公の青春映画。仲間の大切さや家族の絆など、直球勝負のさわやか映画だが、展開が読めすぎで見ている方はすこぶる退屈。とはいえ、今の時代にこそ、こういう物語を作る意味も分かるので、悪口が言いにくい。原作はあさのあつこ。
【50点】
(日本/滝田洋二郎監督/林遣都、山田健太、天海祐希、菅原文太、他)
(ストレート度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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