映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アサシン・クリード」「ラビング」「お嬢さん」etc.

染谷将太

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男 単行本 上下セット [単行本] [Jan 01, 2012] 百田 尚樹
1945年、東京。敗戦の焼け跡の絶望の中、石油会社・国岡商店を率いる国岡鐵造(くにおかてつぞう)は、日本人としての誇りを胸に前進しようと社員を激励する。戦後の混乱期にもかかわらず、誰も解雇せず、独自の経営哲学と破天荒な行動力で数々の苦境を乗り切る国岡は、事業を拡大していった。やがて欧米の石油メジャーも国岡を警戒し、その強大な包囲網によって国岡の石油輸入ルートはすべて封鎖されてしまう。ついに、国岡は、会社の至宝である日承丸をイランに送ろうと決意するが…。

明治から昭和にかけて石油事業に尽力した男の生き様を描く、骨太な人間ドラマ「海賊とよばれた男」。原作は百田尚樹の同名ベストセラー小説で、モデルとなったのは、出光興産創業者の出光佐三氏だ。まだ石炭が主流の時代にいち早く石油の可能性を信じた主人公の国岡は、常に未来を向いて行動する人物である。彼の前には、日本の敗戦、国内石油販売への理不尽な妨害、欧米石油メジャーからの輸入ルート封鎖と、桁外れの困難が立ちはだかる。それでも国岡がくじけないのは“士魂商才”の志があったからだ。劇中に会社内に掲げられているこの言葉は、武士の精神と商人の才能を併せ持つことを意味する。現実的な商売はするが侍魂とも呼べる誇りを失わないという志なのだ。確かに国岡の生き方を表す言葉だが、それならなぜ海賊なのか。それは、若き日の国岡が海上で石油を売った型破りな商売のやり方に起因する。自由で勇敢で誰にも支配されない“海賊”の国岡には、かけがえのない沢山の仲間がいたのだ。若き国岡を支援した実業家から、国岡を慕って集まった社員たち、英米を敵にまわす命がけの日承丸の船長まで、すべてが、国岡に惚れていて、その熱が見ている観客にも伝わってくる。物語の中心になるのは60代の国岡鐵造。主演の岡田准一は、青年期から90代までを一人で演じ切って、見事だ。個人的には、最初の妻・ユキをはじめとする女性の描き方が浅いのが少し残念なところである。「永遠の0」の作者、監督、主演が再び集結しているが、VFXの使い手の山崎貴監督がロケ撮影を駆使しているところに注目したい。特に海のシーンがいい。どんな苦境にもチャレンジ精神を忘れず立ち向かった主人公には、潮風が香る大海原が良く似合う。
【70点】
(原題「海賊とよばれた男」)
(日本/山崎貴監督/岡田准一、吉岡秀隆、染谷将太、他)
(チャレンジ度:★★★★☆)
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園子温という生きもの

園子温という生きもの [DVD]
園子温(そのしおん)は、50歳近くまで食うや食わずの映画監督だったが、「冷たい熱帯魚」から「新宿スワン」までの5年の間に激変した。国際映画祭の常連監督となり、女優の神楽坂恵と結婚し、バンドや作家活動でも才能を発揮する。そんな彼の多彩な活動を、ゆかりの人物へのインタビューを交えて検証し、生きもの・園子温の姿に迫る。

音楽、絵画、路上パフォーマンスなど、さまざまな分野で精力的に活動し、才能を発揮している園子温監督の日常を追った長編ドキュメンタリー「園子温という生きもの」。2014年にテレビ番組「情熱大陸/映画監督・園子温」を演出した大島新監督が、テレビでは収まらない規格外の園の魅力を描きたいという思いで完成させたのが本作だ。今、日本で最も多作な監督である園監督の日常は、とにかく目まぐるしいほど忙しい。新作映画の企画会議、マスコミへの露出、アトリエでの自由奔放な絵画制作、ミュージシャンとしてライブを行うかと思えば、路上パフォーマンスで警察に事情徴収されたりもする。なんだか「生き急ぐ」という言葉を思い浮かべてしまうが、それほどまでに精力的に動くのは、やはり東日本大震災を経験したこの日本で生きる以上、やれることはすべてやる!という彼なりの決意表明に思えてならない。新作「ひそひそ星」の撮影で、福島の被災地をロケ地に選んだのも、「ヒミズ」「希望の国」でいち早く福島の現状を描いたものも、そのためだろう。インタビューで登場するのは、園作品に出演した染谷将太、二階堂ふみ、妻であり園映画のミューズである神楽坂恵、映画プロデューサーや雑誌編集長など、彼を知る多彩な人々だ。また、家族(妹で、この方がまたユニーク!)が登場するなど、まさにプライベートをさらけ出している。園監督自身が、まったく芽が出ず売れなかった時代を、悲壮感よりも面白がって話す姿が興味深い。この監督、自分をむきだしにして、まだまだ面白いことをやってくれそうだ。
【50点】
(原題「園子温という生きもの」)
(日本/大島新監督/園子温、染谷将太、二階堂ふみ、他)
(むきだし度:★★★★☆)
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先生と迷い猫

先生と迷い猫 豪華版 [Blu-ray]
妻に先立たれた元校長先生は、近所では偏屈で有名だ。校長先生のところを訪ねてくるのは、先生が撮りためた古い写真を資料として残したいという市役所職員と野良猫のミイぐらい。猫が好きではない先生は、なんとかミイを追い払おうとするが、ミイはどんなに追っ払っても毎日やってきて、妻の仏壇の前に座っていた。そんなある日、ミイが突然姿を消す。そうなると気になった先生が探し始めたところ、自分の他にもミイを探している人たちがいたことが判明。先生は、ミイを探すことで次第に地域の人々と触れ合っていく…。

木附千晶さんのノンフィクション「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり」を原案とする映画「先生と迷い猫」は、一匹の野良猫が巻き起こす小さな奇跡を描く物語だ。奇跡といっても大それたことではない。カタブツで偏屈な校長先生がミイを追い払うのは、亡き妻が可愛がっていたミイを見ると、妻の死と現在の寂しい自分を再認識してしまうから。ミイを可愛がっていた町の人々もそれぞれ悩みを抱えていて、ミイによって心を癒されていた人たちなのだ。ミイは、何かをするわけじゃないばかりか、途中からはその姿さえみせない。そんな気ままで自由な猫を通して人々がつながるというところが面白い。ミイを演じるのは“プロの女優”のドロップ。通常、動物が演技をする場合は、複数で演じることが多いが、このドロップは愛らしい姿からふてぶてしい表情、のんびりくつろぐ姿まで一人(一匹)で演じきっているというからたいしたものだ。物語は猫探しではなく、いわば人情探し。偏屈だけど味がある主人公を演じるイッセー尾形のひょうひょうとした味わいと、動物ものによくある“泣かせ”がないところがかえって粋だ。
【60点】
(原題「先生と迷い猫」)
(日本/深川栄洋監督/イッセー尾形、染谷将太、北乃きい、他)
(萌え度:★★★★☆)
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みんな!エスパーだよ!

映画 みんな! エスパーだよ! Blu-ray初回限定生産版(2枚組)
嘉郎はスケベなことで頭がいっぱいの童貞の高校生。転校生の美少女・紗英に心を奪われるが、幼馴染のヤンキー少女・美由紀のこともちょっぴり気になっていた。紗英にまったく相手にされない嘉郎だったが、ある日、突如としてテレパシー能力が備わり、他人の心の声が聞き取れるようになる。同じ頃、美由紀をはじめ、ほかにも超能力に目覚めたエスパーたちが次々と現れる中、悪のエスパーによる人類滅亡計画が発覚する…。

若杉公徳の人気コミックを基にした、人気テレビドラマの劇場版「みんな!エスパーだよ!」は、おバカ(ただし徹底している)とエロ(ただし健康的である)を追求した珍作だ。本作は思春期の男子高校生なら誰もが夢見る、人類エロ化計画というワケのわからない陰謀を阻止するため、主人公がヒーローになって世界を救う、異色のヒーロー映画である。もっとも世界を救う動機は、憧れの紗英に注目されたいという極めて不純なものなのだが。悪のエスパーの陰謀の黒幕や真相は映画を見てもらうとして、あまりにもバカバカしくしょーもない展開なので、見落としがちだが、ヒーロー願望や運命を信じる純愛とエッチな妄想が同居する矛盾など、根っこの部分は、普遍的ともいえるいたって普通の青春映画。それにしても、近年、どうしてこんなにも精力的に映画を作っているのかさっぱり不明の園子温監督だが、どうにも妄想系の物語が多いのが気になる。
【30点】
(原題「みんな!エスパーだよ!」)
(日本/園子温監督/染谷将太、池田エライザ、真野恵里菜、他)
(妄想度:★★★★★)
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バケモノの子

バケモノの子 (スペシャル・エディション) [Blu-ray]
孤独な少年とひとりぼっちのバケモノの交流を描くアニメーション「バケモノの子」。暴れん坊の熊徹の心意気に惚れる。

この世界には人間界「渋谷」とは別にバケモノの世界「渋天街」が存在する。孤独な少年・蓮は、ひょんなことから、バケモノの世界に迷い込み、暴れん坊のバケモノ・熊徹の弟子となって、九太という名を授けられる。やがて成長した九太は、人間とバケモノの世界を行き来し、渋谷で出会った高校生の楓から、様々な知識を吸収して自分が生きる道を模索するようになるのだが…。

今や日本のアニメ界を背負っているといっても過言ではない細田守監督の新作は、人間とバケモノのパラレルワールドを舞台にした壮大なアクション・ファンタジーだ。細田作品の良さは、虚実ともに、ディテールが実に細かくリアルに表現されていること。賑やかな渋谷と無国籍なムードの渋天街は、共に街の喧騒が伝わってくるようだ。物語の軸は少年の成長物語で、強くなるため修行する九太と教えることで自分も学ぶ熊徹の師弟関係は、デコボコ・コンビのバディ(相棒)にして、擬似親子関係のようでもある。熊徹と九太の修行はカンフー映画好きなら「ベスト・キッド」を連想してワクワクするだろう。キャラクターもまた、演じる声優陣の好演もあって、脇役までどれも魅力的だ。問題は物語で、今回は少々要素を詰め込みすぎた感がある。渋天街の後継者争い、九太(蓮)の淡い恋や離れて暮らしていた父親との関係、九太の将来への悩みと、話があちこちに飛ぶので何しろ慌ただしい。終盤、九太と熊徹コンビの前に意外な敵がたちはだかるが、この人物の背景や心の闇に関してはあまりに表層的なのが惜しい。それでも物語は十分にまとまっているし、渋谷の街全体を巻き込むクライマックスのバトルは、九太の成長を助けた文学「白鯨」をイメージしたビジュアルで、アクションというより壮麗なアートを見ているようで思わず息を呑んだ。強くなるために修行した少年が、心と身体のバランスがとれた、本当の強さを学ぶことで成長する。すべての世代が楽しめる王道エンタメ・アニメーションに仕上がっている。
【70点】
(原題「バケモノの子」)
(日本/細田守監督/(声)役所広司、宮崎あおい、染谷将太、他)
(バディ・ムービー度:★★★★★)
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バケモノの子@ぴあ映画生活

寄生獣 完結編

寄生獣 完結編 Blu-ray 豪華版
右手に寄生生物を宿した青年と謎の生物パラサイトの最終決戦を描く「寄生獣 完結編」。原作未読のファンにも分かりやすい作り。

高校生の泉新一と彼の右手に寄生したパラサイトのミギーは、人間側からもパラサイト側からも危険視されていた。そんな中、人間の子供を産んだパラサイトの田宮良子は、新一とミギーの存在に、共存の可能性を見出すが、パラサイトから母親を殺された新一はパラサイトを憎んでいた。東福山市庁舎がパラサイトのアジトと化す中、最強のパラサイト・後藤が現れ、ついにパラサイトと人間の生き残りを賭けた最終決戦がはじまる…。

岩明均の大人気コミックを実写映画化した「寄生獣」二部作の完結編は、人類とパラサイトの戦い、新一とミギーの友情、新一と里美の恋の3つを軸に描かれる。CGを駆使した絵作りやパフォーマンスキャプチャー、壮絶なバトルなどのアクションは、日本映画のレベルとしてはまずまずではなかろうか。原作ファンには不満や疑問もあるだろうが、長い長い原作を2部作としてまとめる作業は、かなり大変だったはず。そもそもこの物語の原点ともいえる“人間は何のために生まれてきたのか”、“この世に存在が許されるのは人類だけなのか”という哲学的な問いだけでも1本の映画では語れないほど深淵なテーマなのだ。人類とパラサイトの戦いは田宮良子のある選択から意外な方向へ。新一が憎しみや悲しみの果てに下す決断とその顛末は、映画を見て確かめてほしい。新一を演じる染谷将太の、時に表情を殺しながらの演技や感情を爆発させる芝居はメリハリがあって素晴らしいが、完結編ではやはり深津絵里の存在感が圧倒的だ。新一とミギーの絆を感じるラストは、未来への希望の証。その先の物語が見てみたくなった。
【65点】
(原題「寄生獣 完結編」)
(日本/山崎貴監督/染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、他)
(警鐘度:★★★★☆)
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寄生獣 完結編@ぴあ映画生活

寄生獣

寄生獣 Blu-ray 豪華版
パラサイトと共生する高校生の戦いの日々を描く「寄生獣」。哲学的テーマの掘り下げは完結編を待とう。

謎の寄生生物・パラサイト。彼らは人間の脳を乗っ取って肉体を操っていた。普通の高校生・新一にもパラサイトが寄生するが、脳を乗っ取ることに失敗し右手に寄生する。そのことを誰にも言えない新一は、ミギーと名乗るパラサイトと奇妙な共生生活を送るが、ある日、高校に教師・田宮良子に寄生したパラサイトがやって来て、新一の秘密を見破る…。

原作は岩明均による名作マンガ。一度ハリウッドが映画化権を取得していたが、権利が日本に戻り、VFXの使い手である山崎貴監督により実写映画化となった経緯がある。2部構成の前編である本作は、右手に寄生したパラサイトのミギーと奇妙な友情を育む新一の姿が描かれるが、どこか冷めた印象の染谷将太と、ミギーを演じる阿部サダヲの軽妙さが不思議なほどマッチしている。VFXはなかなかの出来栄えで、思わずのけぞるスプラッタ状態でも、パラサイトの変形と異形に目が釘づけだ。ミギーは人間とは異なる価値観を持つが、自分の命のために宿主の新一を守って闘ううちに新一にシンパシーを持つようになる。一方で新一は、ミギーに奇妙な友情を感じつつもパラサイトが寄生することにより次第に人間らしい価値観を失っていくという、いびつな歩み寄りの構図は興味深い。さらに本作で強調されているのは、母親の存在だ。母子家庭の新一は、最善の方法で愛する母を救うことに。さらに新一とミギーの敵となる田宮良子の中にも母性が宿る兆しがある。人間とは何者か、人類と他者との共存は可能か、などの哲学的テーマは完結編に持ち越されたが、そこに母性をからめてどのように描いていくのかが非常に気になる。完結編に大いに期待したいところだ。
【70点】
(原題「寄生獣」)
(日本/山崎貴監督/染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、他)
(VFX度:★★★★☆)
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寄生獣@ぴあ映画生活

神さまの言うとおり

神さまの言うとおり Blu-ray スペシャル・エディション
不条理なゲームに命がけで挑む高校生たちの運命を描く「神さまの言うとおり」。よくあるデス・ゲームものだが、映像が凝っている。

退屈な日常にうんざりしていた高校生・瞬。だが、突如、教室にダルマが出現し、動くと首が吹っ飛ぶという命がけのゲーム“ダルマさんが転んだ”を仕掛けてくる。クラスで唯一生き残った瞬は、幼馴染の同級生・いちかと一緒に第2のゲームへと向かう。一方、世間では、この死のゲームが中継されており、生き残った高校生たちを“神の子”と崇めはじめていた…。

原作は、金城宗幸(ARTは藤村緋二)による人気漫画。素朴な遊びと不条理なデス・ゲームの組み合わせは、なるほど衝撃的だ。登場するゲームは、ダルマによるダルマさんが転んだ、巨大まねき猫による玉入れ、こけしたちのかごめかごめ、シロクマの嘘つき探し、マトリョーシカたちのカンケリ。愛くるしく不気味な敵キャラのヴィジュアルは、バイオレンスかつコミカルなところが上手い。なぜこういう状況になったのか、という説明はいっさいなし。冒頭からいきなり首がぶっ飛ぶすさまじいスプラッタ状態なので、考えるヒマもなく、観客はこの死のゲームに参加させられているというわけだ。理不尽な死の遊戯を描いた作品は「カイジ」など多数あるのだが、そこは鬼才・三池崇史。凝りに凝ったVFXで他の映画との違いを見せている。特に“だるまさんが転んだ”の血を赤いビー玉で表現するセンスには感心した。次々に繰り出される死のゲームの果てに待つ結末は、ちょっと予想外。ちなみにこの映画の原作は「壱」で、現在「弐」が連載中だそう。あるのか、続編?!
【55点】
(原題「神さまの言うとおり」)
(日本/三池崇史監督/福士蒼汰、山崎紘菜、染谷将太、他)
(スプラッタ度:★★★★☆)
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ぶどうのなみだ

ぶどうのなみだ【初回限定仕様】 [Blu-ray]
北海道を舞台にワインと小麦を作る兄弟と自由奔放な女性との触れ合いを描く「ぶどうのなみだ」。表層的な心地よさだが、空知の風景はとても魅力的。

北海道・空知。かつて家族の反対を押し切って家を出た兄アオは故郷に戻って父が残した葡萄畑でワインを作っているが、中々思うようなワインが作れず悩んでいる。一回り歳が離れた弟のロクはそんな兄を黙って受け入れながら、父から受け継いだ畑で小麦を作っている。ある日、エリカと名乗る女性がキャンピングカーで現れ、いつしか小さな町の人々に溶け込み、兄弟二人きりの静かな生活にも新風を吹き込んでいく…。

三島有紀子監督は北海道にこだわりを持っているのだろうか。前作「しあわせのパン」同様、北海道を舞台に、北海道出身の大泉洋を再び主演として、少しファンタジックなヒューマンドラマを作り上げた。兄のアオは元世界的指揮者だったが、病にかかり挫折してワイン醸造家へ。この安直な転職にそもそも疑問が沸くが、黒いダイヤと呼ばれる葡萄“ピノ・ノワール”の醸造で失敗を繰り返す設定は、ワイン作りはそう簡単ではないという真実の表れだろう。だが物語はワイン作りに特化したものではなく、どこかおとぎの国のような風景の中で、傷ついたり疲れたりした人々が、互いに関係性の中でいつのまにか癒されるという再生のドラマだ。美味しそうな食事とワイン、ゆったりとしたスローライフ、エミール・クストリッツァを思わせるようなジプシー風の楽団の演奏と、女性好みの要素がたっぷりだが、ストーリーに説得力が少ないのが残念。対照的な兄弟のわだかまりも、不思議な魅力をたたえた女性との恋も、ラストにあれよあれよとハッピーエンドへ。タイトルの“ぶどうのなみだ”とは。厳しい冬を乗り越え春を迎えた葡萄の木が雪解け水をいっぱい吸い上げて、小さな枝から落とすひとしずくのことだそう。物語は、良く言えば寓話、悪く言えばイメージ先行のファンタジーである。それでも、ロケ地の空知の四季をとらえた美しく澄んだ映像と、隅々までこだわった丁寧な小道具に好感を持った。
【55点】
(原題「ぶどうのなみだ」)
(日本/三島有紀子監督/大泉洋、染谷将太、安藤裕子、他)
(北海道の魅力度:★★★★☆)
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WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常

WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ Blu-ray 豪華大木エディション
都会育ちの青年が林業を通して成長していく青春コメディ「WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常」。矢口監督は相変わらず目のつけどころがいい。

毎日お気楽に過ごしていた18歳の勇気は、彼女にフラれ大学受験にも失敗。進路も将来の見通しも何もない彼は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することになる。携帯の電波も通じないド田舎の村での暮らし、凶暴で粗野な先輩ヨキのしごき、命の危険にさらされる過酷な林業の現場に、もう耐えられないと逃げ出そうとするが、気の強い美女・直紀と出会い恋してしまい、村にとどまることに。やがて勇気は底抜けに明るい村の人々や100年先を見据える壮大な林業の魅力に触れて、少しずつ変化していく…。

原作は三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」。村の名前“神去(かむさり)”とは神と住む村の意味らしい。さらに“なあなあ”とは「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」などを意味する方言だそう。いったいどんな物語なのかと気になる本作は、林業をテーマにした異色の青春エンタテインメントだ。男子のシンクロや航空業界、ロボットと、マニアックな専門職を取り上げてきた矢口史靖監督らしい、爆笑と感動のエピソードが、明るいタッチで描かれている。一般には林業を深く知る人は少なく、都会っ子の主人公の目はそのまま観客の視点となる。厳しい山の環境や慣れない過酷な作業に心身ともに折れそうになる勇気が、やがて村人の人情や林業の魅力に目覚めて成長するプロセスは、ウェルメイドな展開ながら見ていて清々しい。林業という切り口は新しいが、映画の作りとしては極めてオーソドックスなこの映画、実に魅力的でにくめないのだ。山での不思議な体験や、クライマックスの「!」な奇祭まで、サービス精神もたっぷり。山の厳しさや林業の実態は本当はもっとシビアで別次元のものだろう。だが自分の居場所を自分で決めた主人公の心の成長は確かなものだ。だからこそ本作の清涼感は格別なのである。
【65点】
(原題「WOOD JOB! 神去なあなあ日常」)
(日本/矢口史靖監督/染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、他)
(ウェルメイド度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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