映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

森田芳光

の・ようなもの のようなもの

の・ようなもの のようなもの [DVD]
東京の下町、谷中。師匠・出船亭志ん米の家に住み込みながら修業する若手落語家の志ん田(しんでん)は、真面目すぎて全然パッとしない。師匠の娘の夕美にひそかに想いを寄せているが、いつもイジられてばかり。そんなある日、志ん田は、師匠から、かつて一門にいた兄弟子の志ん魚(しんとと)を探し出すように命じられる。スポンサーのご機嫌をとるためお気に入りの志ん魚を落語に復帰させようとの魂胆だったが、志ん魚は落語とは無縁な世界で自由に生きていた…。
2011年12月に亡くなった森田芳光監督の劇場デビュー作「の・ようなもの」の35年後を描く続編「の・ようなもの のようなもの」は、全編、森田作品へのオマージュに満ち溢れている。小さなシーン、何気ないせりふ、主要キャスト、チョイ役で登場するまさかの大物俳優たち(そのほとんどが森田作品出演者)と、ファンサービスは過剰なほどだが、この続編の作り手が、いかに森田芳光という稀有な才能を愛していたかが伝わってきた。いつまでも前座の若手落語家・志ん田は、このまま落語を続けるべきか悩んでいたが、落語とは無縁の世界で自分らしく生きる兄弟子・志ん魚と接するうちに自分に何が足りないのかに気づいていく。一方、落語を捨てた志ん魚もまた、一途な志ん田の姿に若き日の自分を重ね、忘れていた落語への情熱を取り戻す。志ん田と志ん魚。年齢こそ異なるが、これは二人の落語家が、何者かになろうと自分を探す青春映画なのだ。恋愛も仕事も将来も、何もはっきりしていない“の・ようなもの”たちを、映画は決して否定しない。あらゆる世代がどこか途方にくれている現代社会には、昨日よりは今日、今日よりは明日の、小さな希望を信じるこんな映画が、心にじんわりしみてくる。
【55点】
(原題「の・ようなもの のようなもの」)
(日本/杉山泰一監督/松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、他)
(オマージュ度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
の・ようなもの のようなもの@ぴあ映画生活

僕達急行 A列車で行こう

僕達急行 A列車で行こう  [Blu-ray]僕達急行 A列車で行こう [Blu-ray]
クチコミを見る
鉄道オタクの青年二人が仕事に恋に奮闘する「僕達急行 A列車で行こう」。森田芳光監督の遺作は、軽妙な良作だ。

大手企業のぞみ地所に勤める小町は、音楽を聴きながら鉄道に乗るのが趣味のマイペース男子。ひょんなことから知り合った、下町の鉄工所二代目の小玉と、同じ鉄道好きということで意気投合する。九州支社に転勤になった小町は、そこで、頑固者でクセ者の社長がいる九州の大企業の仕事をまかされる。のぞみ地所が長年苦戦していたその企業の社長とは、同じ鉄道ファンということで、ちょうど九州に遊びにきていた小玉共々大いに盛り上がり、事態は一気に好転する。だが、仕事は順調でも恋となると、そう簡単にはいかなくて…。

主人公たちは大の鉄道好きの、いわゆる“鉄男”くん。仕事より趣味に生きると聞けば、すぐに思い浮かぶのは「釣りバカ日誌」だが、本作の主人公たちは、案外仕事もまじめにやっているのだ。だがその頑張りやこだわりは、大げさではなく、汗臭さもない。このあたり、イマドキの若者の感覚を上手くつかんでいる。さらに感心するのは、同じものを愛する者同士の、礼儀正しい距離感だ。もともとオタクとは自分の愛するポイントに徹底した持論がある。例えば小町は列車の音や風景よりも揺れに身を任せて音楽を楽しむ。小玉は鉄工所の跡取りらしく、鉄道を構成する金属にこだわりをみせる。彼らの“鉄男”っぷりには違いがあるのだが、二人ともその差異を埋めようとはせず、互いの好きな部分を尊重し決して侵害しないのだ。この気遣いが何とも心地よい。小町は眼鏡会社のあずさや社長秘書のみどりから好意を寄せられているし、小玉はお見合い相手のあやめに夢中。でも彼らは、本当は女性といるよりも、同じ鉄道好きの仲間といる方がずっと楽しそうだ。それでいいのか?とツッコミたくなるが、肩の力を抜きながら好きなものに夢中になる彼らがちょっとうらやましくもある。登場人物の名前がすべて特急の名前だったり、九州ロケの美しい風景、軽やかな会話や心地よい効果音など、すべてが旅情を喚起させて楽しい。主演の松山ケンイチ、瑛太をはじめ、出演者は皆、好演。森田監督の早すぎた遺作が、さらりとした幸福感に満ちた佳作だったことが何より嬉しい。
【65点】
(原題「僕達急行 A列車で行こう」)
(日本/森田芳光監督/松山ケンイチ、瑛太、松坂慶子、他)
(ゆるやか度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

僕達急行 A列車で行こう@ぴあ映画生活

映画レビュー「武士の家計簿」

武士の家計簿(初回限定生産2枚組) [DVD]武士の家計簿(初回限定生産2枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
下級武士がそろばんで守ったのは家族の絆。古文書のデータから物語を創造するセンスが見事だ。 【75点】

 猪山家八代目・直之は、加賀藩の財政に携る御算用者。同僚から“そろばんバカ”と揶揄されるほどの男だ。直之は一家の借金が膨らんでいることに気付くと、家財道具を売り払い、詳細な家計簿をつけ、家計を立て直そうとする…。

 かつて秀作「家族ゲーム」で現代日本の中流家庭を鋭い視点から描いてみせた森田芳光監督。この人にとって家族とは、つきせぬ魅力のテーマのようだ。本作の原作は、偶然発見された古文書「金沢藩士猪山家文書」の中に残っていた家計簿を、綿密に分析してまとめあげた研修書で、歴史学者の磯田道史のベストセラー『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』。データベースのような学術書から、その行間を読み、ハートウォーミングなストーリーをつむいでみせたアイデアと力量に感服する。

 まず主人公の下級武士・猪山直之の“武器”が、刀ではなく算盤(そろばん)というのがいい。激動の時代・幕末を、会計能力で生き抜く彼は、現代のサラリーマンのよう。ただし、この男、凡百の事務方ではない。彼には、見栄や世間体を重んじる武家社会にあって、どんなにみっともないマネをしてでも、絶対に家族を守り抜くとの決意があった。幸いにも、一芸に秀でたことが、藩の時流と時代の流れに合致。結果的に直之の正直な生き方が、猪山家存続への扉を開く。地味で堅実、そして真摯な生き方が報われる物語に、希望の光を見出す観客は、きっと多いだろう。

 印象的なエピソードは数多いが、直之が、息子の着袴の祝いに、高価な祝い鯛が買えず“絵鯛”で代用する、切実かつユーモラスな場面が、やはり秀逸。それから直之が妻のお駒にプレゼントした櫛(くし)のエピソードも忘れ難い。直之同様、お駒も質素倹約を貧乏ではなく工夫ととらえて楽しむ賢妻だった。幼い息子が絵鯛を「鯛じゃ、鯛じゃ」と無邪気に喜ぶ姿と、それを見守る一家の不思議な幸福感。これだけで、猪山家がいかにポジティブかが分かる。

 借金を返し、倹約し、実直に生きる直之が、幼い息子に徹底的に算術をたき込むのは、それこそが自分たち家族が生き抜く唯一の武器だと信じたからだ。御算用者とは、いわば経理担当の事務職。そこには世間一般の考える武士道の凛々しさはないが、自分の仕事と能力に確固たるプライドを持つ主人公の姿は、不安な時代を生きる現代人に訴えかける強い同時代性がある。そろばん侍・直之は、いかなる時でも家計簿をつける姿を息子に見せることで、確かな芸があればどんな時代も家族を守って生き抜くことができると教えたのだ。

 チャンバラだけが時代劇ではない。物語だけが原作ではない。刀だけが武器ではない。この映画は、固定概念を崩し、物事を違う角度から見直すことで、活路を見出すチャンスがあることを示してくれる。直之の息子・直吉が新時代の明治をどう生きたか。それを知れば、家芸を守りながらしっかりと現実を見据えることの大切さが理解できる。そろばん侍の生き方が、私たちにこんなにもたくさんの生きるヒントをくれるとは。主演の堺雅人をはじめ、出演する俳優たちが皆、絶妙な演技で素晴らしい。何より、監督の森田芳光の的確な演出手腕が光った。このタイムカプセルの中には、家族愛があふれている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)家族愛度:★★★★★

□2010年 日本映画 原題「武士の家計簿」
□監督:森田芳光
□出演:堺雅人、仲間由紀恵、松坂慶子、他

映画レビュー用BRバナー

←応援ポチ、よろしくお願いします!

わたし出すわ

わたし出すわ [DVD]わたし出すわ [DVD]
何だかドキッとする響きのタイトルだが、出そうとしているものはお金だ。この映画には、本来、お金というのは何かの目的のためのツールであるべきなのに、いつしかお金そのものが目的になっている世の中への素朴な疑問がある。と同時に、目的のための大金を手にしたら、それがその人の幸せにつながるのかとも問いかける。東京から故郷の函館に突然もどってきた摩耶は、再会した高校時代の同級生たちの夢や希望を叶えるために、大金を差し出す。陸上選手としての再起、世界の市電めぐり、魚類の研究資金などの夢はかなうのか。そして、大金を提供する摩耶の真意とは。

「(ハル)」以来13年ぶりのオリジナル脚本となる本作には、森田芳光監督の原点ともいえる、間(マ)の魅力が満載だ。森田監督の最高傑作は「家族ゲーム」だと疑わないが、お金の使い方を描く本作は、あえて説明的な要素を省いた演出や、謎めいた主人公のクールなたたずまいなど、共通項が多い。お金の“量と質”とは、これまた現実的かつ哲学的なテーマだが、語り口はあくまでもサラリとしたものだ。どうやって稼いだかもわからない大金をポンと出されて、友人たちがあっさり受け取る様子に唖然とするが、本題はそこではなく、摩耶が“投資”したその大金が、手にした者の人生をどう変えるかに真意がある。もちろん、お金イコール幸福と安直につながるはずはなく、結果は概ね予想はつくのだが。それでも冷静な結論に達するものやビックリの秘密を隠したものがいて、終盤は見所が多い。人を幸せにしようとするヒロインの行為も、ことお金となると単純な善意とはなりえないのだ。地味な服装で、ちっとも幸福そうに見えない摩耶が一人でしりとりをする場面が印象的。そんな寂しげな彼女に、最後に訪れる奇跡には、人生に必要な信念や希望が感じられ、幸せの意味が少し分かった気がしてくる。

【70点】
(日本/森田芳光監督/小雪、黒谷友香、井坂俊哉、他)
(アイロニー度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

椿三十郎

椿三十郎 通常盤 [DVD]椿三十郎 通常盤 [DVD]
何をやっても文句が出るであろう黒澤明作品のリメークに、挑戦した気概は買う。だが、見ている間はそれなりに楽しいものの、後には何も残らない。物語は、陰謀を阻止しようとする若侍たちを、型破りな浪人が助ける痛快時代劇だ。ラストの決闘を除いて、黒澤本人の脚本をそのまま使用し、まるで“安全運転”。映画は拡大再生産型のメディアなのでリメークすることに異論はないが、名匠への敬意だけでは才人森田の名が泣く。
【50点】
(日本/森田芳光監督/織田裕二、豊川悦司、松山ケンイチ、他)
(可もなし不可もなし度:★★★★★)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

サウスバウンド

サウスバウンド スペシャル・エディション [DVD]サウスバウンド スペシャル・エディション [DVD]
骨太な映画を予想したが、意外にも軽い感じに仕上がっていた。全共闘の心意気を今も引きずる破天荒な父親を息子の視点で描く物語。悪しき社会への熱い反抗は、現代にも必要だというメッセージは分かるが、南の島へ移住してからの行動は疑問も多い。影の大黒柱である母親の力をもっと強調してほしかった。トヨエツは熱演だが、地元住民や子役のセリフがあまりに棒読みで苦笑する。
【65点】
(日本/森田芳光監督/豊川悦司、天海祐希、北川景子、他)
(視点がブレてます度:★★★★★)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

それから

本物の芸術は、たとえ何年経っても色褪せない。文豪・夏目漱石センセイの作品は、学校で習うお堅い文学のイメージだが、なんの、なんの、やっぱり素晴らしいのだ。そんな夏目漱石原作の映画化作品の中で「それから」を紹介したい。何回か映画化されているが、今回紹介するのは多芸多才の森田芳光監督のものだ。

それから
「それから」は森田監督の初期の作品で、あまり評価が高くなかった映画だが、堂々たる正統派の文芸作。明治の空気が美しい映像からしっかりと伝わってくる。

“新人監督”ではなく、今、世に問うたならば評価は違ったかもしれないが、その後の松田優作の夭折、藤谷美和子の迷走を思うと、それもかなわないことだ。時折、挿入される鈴木清順風のシュールな映像に注目。

(1985年/日本/森田芳光監督)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ