映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

池松壮亮

デスノート Light up the NEW world

デスノート Light up the NEW world オリジナル・サウンドトラック
デスノートの力で世の中に野放しになっていた凶悪犯を破滅させたキラこと夜神月と、命をかけてキラを食い止めたLとの天才同士の死闘から10年。またしても死神がデスノートをばらまき、世界は大混乱に陥った。デスノート対策本部の、キラ事件に精通した三島ら捜査官たちが捜査に当たり、さらに世界的私立探偵にして“Lの正統な後継者”竜崎が加わる。地上には6冊のデスノートが存在する事が判明。その矢先にキラウィルスと呼ばれるコンピューターウィルスが世界中に拡散された。そのメッセージは「他の所有者に次ぐ。速やかに私に差し出せ」とデスノートの提出を呼びかけていた…。

大ヒット作「DEATH NOTE デスノート」シリーズの10年後を背景に、6冊のデスノートがばらまかれた地上での新たなバトルを描く「デスノート Light up the NEW world」。名前を書いた人間を死なせる事ができる死神のノート“デスノート”をめぐる天才同士の死闘は、彼ら亡き後も別の形で受け継がれた。ただ、それぞれの後継者や信奉者が登場する本作は、アクションに舵を切っていて、謎解きや人物造形はきわめて表層的だ。もちろん終盤に、ある人物の驚きの真実が隠されていて、それが大きな仕掛けになっている。だが、頭脳戦こそがデスノートの魅力だと思っているファンには、少々残念な内容だと言わざるをえない。キラやLは未来の世界を見据えて行動していたが、本作の主要キャラ3人は、キラやLを通して自分探しをしているように思えてならない。話が小さくなってしまっては、21世紀の今、続編を作る意味は薄くなるが、この物語が、まだまだ続くとしたら、本作の中途半端なストーリーテリングも、納得するしかなさそうだ。今回はおなじみの死神リューク以外にもベポ、アーマといった新しい死神が登場。そのビジュアルは、美しく個性的で引きこまれる。それにしても死神の世界にもトップがいて序列や競争があるとは。あちらの世界でも人間関係(死神だが…)が面倒そうだ。東出昌大、池松壮亮、菅田将暉といった旬の若手俳優が豪華競演するのが一番の見所である。
【55点】
(原題「デスノート Light up the NEW world」)
(日本/佐藤信介監督/東出昌大、池松壮亮、菅田将暉、他)
(頭脳戦度:★★☆☆☆)
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セトウツミ

セトウツミ 豪華版 [Blu-ray]
高校2年生の瀬戸と内海は、性格は正反対だが何となく気が合う友達同士。放課後はいつも河原でしゃべりながら一緒に過ごしている。くだらない会話、言葉遊び、気になる女の子の話、時にはちょっぴりシリアスなことも話す。そんな二人を見守る同級生の女の子、樫村に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いていた…。

男子高校生がただしゃべるだけという異色の青春会話劇「セトウツミ」。原作は此元和津也による人気漫画だ。大きな事件は起こらない。激しいケンカなどのアクションもなければ、障害を乗り越える情熱的な恋愛もない。そんなユルい物語がめっぽう面白いのだから、映画というのは見てみないとわからないのだ。ストーリーらしいストーリーはないが、クールな性格でかぎりなくツッコミに近いボケ役の内海、天然キャラで限りなくボケに近いツッコミ役の瀬戸という脱力系コンビが最高にキャラ立ちしていて、魅せられる。しかも演じるのは、それぞれ池松壮亮と菅田将暉という、今、最も旬な若手演技派俳優たちなのだから、芝居もしっかりしていて、これまた魅力的だ。関西弁の独特のあたたかさや可笑しみも効いている。とりとめのないことをしゃべるだけだが、そのユルい会話のふしぶしに立ち現れるのが、青春期特有の不安、焦燥、そして希望である。ばかばかしくも楽しい時間や理由もなく無気力になる瞬間などが巧みに描かれ、放課後の河原がかけがえのない場所へと昇華していくのだ。主な登場人物は3人(瞬間的に現れては消えていく脇役はかなりいい味!)、ほぼ同じロケーション、上映時間はわずか75分。起承転結という約束事から解き放たれた、秀作青春映画である。
【80点】
(原題「セトウツミ」)
(日本/大森立嗣監督/池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ、他)
(まったり度:★★★★☆)
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シェル・コレクター

シェル・コレクター [Blu-ray]
貝類学の権威である盲目の学者は、家族と離れひとり沖縄の孤島で貝を兎集する厭世的生活を送っていた。ある日、島に流れ着いた女流画家・いずみの奇病を、偶然にも貝の毒で治してしまったことから、静かな日々が一変。人々が貝毒による奇跡的な治療法を求めて次々と島に押し寄せるようになる。そこには、学者の息子・光や、同じく奇病を患う娘・嶌子を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった。同じ頃、島の近くの火山が静かに噴火のきざしをみせていたが…。

盲目の貝類学者が、生きる意味を探る異色ドラマ「シェル・コレクター」。原作は、アメリカの作家アンソニー・ドーアの短編で、本作では、舞台をケニア沖の孤島から沖縄の離島へと移し、沖縄特有の基地問題もさりげなく反映している。また震災後の日本の不穏な空気や、自然に対する畏敬と恐れ、怒りや不条理など、さまざまな感情を盛り込んでいる。ストーリーはどこか寓話のようで、主人公の学者の心象風景は、貝の美しい螺旋や、女流画家が描く抽象的な絵、また水中撮影でとらえられた海の映像で表現。雄大な自然と小さな人間との対比、蔓延する奇病やそれを治す不思議な貝、学者と画家とのエロスなども、すべては映像で語る趣向だ。説明はほとんどない。だからこそ、学者が盲目という設定が効いてくる。目で見るのではなく、触って感じて物事を見極める、体感する作品ということだ。決してわかりやすくはないが、時にはこんな映画で感性をきたえてみるのもいいだろう。久しぶりの単独主演となるリリー・フランキーは、イラストレーター、作家、ミュージシャンなど、俳優以外にも多くの顔を持つ才人。いい意味でのボーダーレスな雰囲気を醸し出していた。
【60点】
(原題「シェル・コレクター」)
(日本/坪田義史監督/リリー・フランキー、池松壮亮、橋本愛、他)
(カルト度:★★★★☆)
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海を感じる時

海を感じる時 [Blu-ray]
ヒロインが満たされない愛を経て女として成長していく青春ドラマ「海を感じる時」。市川由衣の体当たりの演技が唯一の見どころか。

恵美子は高校の新聞部の先輩の洋にキスを迫られ衝動的に体を預けてしまう。「君が好きだったわけじゃない。女性の体に興味があっただけ」と冷たく突き放す洋に、恵美子は、愛されず大切にされないと分かっていても、会うたびに身を委ねていく。東京の大学に進学した洋を追うように上京した後も同じような関係が続いた後、やっと想いが通じ合う時がくるのだが…。

原作は中沢けいが第21回群像新人賞を受賞したデビュー作。1970年代を背景に、愛を知らない女子高校生が一人の男性と出会い、成長していく姿を描くものだ。ヒロインの恵美子は拒絶されても拒絶されても相手を追い求める、かなりイタいキャラクター。ほとんどストーカーに近い存在で、見ていて、うっとうしくてたまらない。恵美子と衝動的に関係を結ぶ洋もまた、愛してもいないくせに“据え膳食わぬは男の恥”とでも言わんばかりに、肉体関係を結んでは自己嫌悪に陥る。このキャラもかなりイタい。70年代らしい生真面目さを念頭に入れておかないと、この物語の機微は味わえないし、母親との愛憎からみあう関係性は現代にも通じるものだが、それにしてもやはり感覚が古臭く、共感する部分があまりに少ない。ただ、市川由衣は28歳にして初脱ぎということで、女優としての覚悟を感じさせた。物語のラストでヒロインが下着姿で海辺を歩き、ふっきれたような表情を見せるが、それがアイドル女優から脱皮した市川自身に重なって見える。
【55点】
(原題「海を感じる時」)
(日本/安藤尋監督/市川由衣、池松壮亮、阪井まどか、他)
(イタい度:★★★★☆)
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ぼくたちの家族

ぼくたちの家族 特別版Blu-ray
母の余命宣言で揺れる家族の本音と再生を描く「ぼくたちの家族」。難病ものなのに湿っぽさがないところがいい。

若菜家はごく平凡な家族。だが重度の物忘れで検査を受けた母・玲子に脳腫瘍が見つかり、余命1週間を宣告されてしまう。玲子は認知症にも似た言動で、今まで話すことがなかった家族への不満や本音をぶちまけ、夫・克明と独立した長男の浩介、大学生の次男・俊平を動揺させる。やがて経済破綻や家族間の亀裂などが明るみに出る中、浩介と俊平は、母のために何かしなくてはと動き始める…。

早見和真の同名小説が原作で、作者の実体験をもとにしているという本作は、家族の愛情が奇跡を呼ぶという物語だ。いわゆる難病ものだが「舟を編む」「川の底からこんにちは」の俊英・石井裕也監督の演出は、これみよがしの感動や修羅場、涙を極力避けた。母の余命宣言という非常事態によって、バラバラだった家族の本当の姿を浮き彫りにした上で、男たちがジタバタしながらも母の救済に向けて団結する姿を、ひょうひょうとしたユーモアを交えて描いていく。多額の借金を抱えた父のふがいない姿もさることながら、真面目すぎて悩みぬく性格の長男とどこか冷めている次男の対比が効いている。母親の余命を宣言されても、何をしていいかもわからない男たちが、それでも何かしようと動きだし、不恰好ながらも奮闘する姿は、難病ものというより、むしろ成長物語のようだ。不満な点をあげるとすれば、母の治療に奔走する姿よりも、金銭面でのゴタゴタの方が印象に残ってしまうことだろうか。本作は、石井監督のテーマである家族映画を、若い感性で切り取って見せた意欲作といえよう。妻夫木聡と池松壮亮の若き演技派2人が好対照で、両親役の原田美枝子、長塚京三のベテラン勢とのアンサンブルも魅力になっている。
【65点】
(原題「ぼくたちの家族」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、他)
(お涙頂戴度:★☆☆☆☆)
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上京ものがたり

上京ものがたり [DVD]
人気漫画家・西原理恵子の自伝漫画を実写映画化した「上京ものがたり」。「女の子ものがたり」の前日譚で、ヒロイン役の北乃きいが好演。

美大に通うために田舎から上京した菜都美だが、暮らしは家賃を払うのに精一杯の極貧生活。生活のために始めたキャバクラのアルバイトも、慣れないホステスの仕事でセクハラを受けるなど、つらいものだった。やがて菜都美は、店で知り合った良介と一緒に暮らし始める。良介は優しいが、働かず毎日ぶらぶらしているプー太郎だった。子供の頃から大好きだった絵も美大での成績は最下位で、上京したことを後悔し始めていたが、ある日、先輩ホステスでシングルマザーの吹雪と彼女の娘の沙希が、菜都美の絵を好きだと言ってくれる。「最下位には最下位の戦い方がある」との吹雪の言葉に奮起した菜都美は、その日から毎日のように出版社へ自分の絵を売り込みに通いはじめる…。

叙情的で可愛らしい絵柄が特徴で、波乱万丈の人生を歩んできた漫画家の西原理恵子。この人の作品で映画化されるのは、自らの体験をつづった自伝的作品が多い。本作は、成功はしたがスランプ気味の漫画家が故郷での少女時代を回想する「女の子ものがたり」の、前日譚にあたり、西原自身を投影したヒロインが、上京し大学に通いながら漫画家としてデビューするまでと、さまざまな人との出会いと別れを通して、成長していく様を描いていく。アーティストには特有のこだわりがあるものだが、菜都美は生活していくのが精一杯で、「食べていける」仕事を目指している。そのことで友人からうっすらと軽蔑の目を向けられるが、成績最下位の彼女とは対極にいる大学でトップの成績の友人からは「ただ、ただ、描け、描け」と激励されるのが印象的だ。落ち込んでいた菜都美に「アンタの絵、好きだよ」と言ってくれるその一言で奮起する姿もいい。少数派の励ましは、やがて、自分のマンガを読んで、おちこんでいた人がちょっとだけ笑ってくれれば…という作者自身の願いにつながっていくのだ。プー太郎のくせに拾った子猫の治療費に大金を使う恋人に振り回されながらも、東京での暮らしで愚痴をこぼす自分のそばにずっといてくれた彼の優しさにも、最後にはちゃんと気付くのだから、このヒロインは人の痛みをきちんと受け取れる人物なのだ。めげずに出版社めぐりをする。他人が軽蔑するような仕事もちゃんとこなす。そして夢をあきらめない。いつしか主人公を応援してしまいたくなる。涙あり笑いありの、いつもの西原ワールドだが、人生それほど悪くないと思わせてくれる、ほろ苦い青春ストーリーだ。明るいのに、憂いをおびた表情の北乃きいのたたずまいがとてもいい。
【60点】
(原題「上京ものがたり」)
(日本/森岡利行監督/北乃きい、池松壮亮、谷花音、他)
(人生応援度:★★★★☆)
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上京ものがたり@ぴあ映画生活

行け!男子高校演劇部

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全編をギャグの連続で構成したような学園コメディ。劇中劇がユニークで魅力的だ。

池松男子高校に入学したオガは、女の子にモテる部活を探していたところ、演劇部のジュリエット役に一目ぼれ。廃部寸前の演劇部に入部してしまう。実はジュリエットは男子と知りショックを受けた上、なりゆきで部長になったオガは、親友のカジを幽霊部員にするなどの苦肉の策でなんとか部員をかき集め、廃部は免れる。そんな時、総合演劇祭にむけて演劇の見学に行った女子高で、美少女の舞にまたしても一目ぼれ。猛稽古したオガたち演劇部の舞台は型破りなものだった…。

女の子にもてたいお調子者のオガ。幽霊部員で現実的なカジ。単位をとりたいヤンキーのタムラ。ケガでスポーツができないおバカのハシモト。自称イケメンの勘違い男ジョー。まったく存在感がないウエダ。アイドルおたくの顧問。すべてがデフォルメされているが、抜群にキャラが立っているのがいい。「ハンサム★スーツ」の英勉監督らしい、ポップではじけた世界が、男子校という異空間を舞台にスピーディに展開。あまりにバカバカしいギャグの連打には逆に感心してしまうほどだ。説教くさいメッセージなどあっさりと切り捨て、元気でポジティブに徹しているところが潔い。さまざまなモチベーションでやる気を出した部員が演劇祭で選んだ演目は「最後の一葉」。O.ヘンリー原作の感動作を、ユニークな手法で舞台化した劇中劇が最高だ。葉っぱの立場から語る「最後の一葉」は“バカに徹する”ことで演劇を、引いては、二度と来ない青春という季節を目いっぱい楽しむゾ!という彼らの情熱の表れ。ハジケる笑顔の中村蒼もいいが、珍しくギャグ満載の作品に出演し、なんだか楽しそうな池松壮亮が好演。彼はやっぱり上手い。
【55点】
(原題「行け!男子高校演劇部」)
(日本/英勉監督/中村蒼、池松壮亮、冨田佳輔、他)
(お笑い度:★★★★☆)



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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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書籍はもちろん、コミック、TVアニメなど、幅広く展開する大ベストセラーの映画化は、高校野球と経営学という組合せの妙がポイント。前田敦子の演技にはこの際目をつぶって、物語の個性を楽しみたい。

都立程久保高校の弱小野球部に、マネージャーとして入部した川島みなみは、甲子園出場を目指すと宣言する。勘違いから手にした、経営学の父・ドラッカーの名著『マネジメント』に感動したみなみは、ドラッカーの理論を、高校野球に活かせるのではないかと考え、次々に実践して成果をあげていくが…。

岩崎夏海の原作は“もしドラ”の愛称で呼ばれ、社会現象になった大ベストセラーだ。近年の映画の脚本は、小説ばかりではなく、古文書や新書のような専門書の行間から物語を抽出してみせるが、この作品もその部類に入るだろう。とはいえ、高校生が甲子園を目指すという定番すぎるほど定番のストーリーがベースにあり、その夢をかなえるツールにドラッカーの教えを応用したところが原作の面白さだ。無駄に熱いスポ根のイメージを、経営学というミスマッチで絶妙に中和している。結果、青春映画で経営のキモを学んだ気になるから、お得な気分にもなれる。ヒロインのみなみは、やる気のないエースや事なかれ主義の監督を、ドラッカーの“指示に従って”意識改革していく。展開はトントン拍子だし、病気の親友の悲しい運命もとってつけたよう。それでもドラッカーの示したキーワードの「真摯」や「ひたむき」は、なるほど実生活でも応用可能の理論と納得するだろう。ヒロインのみなみには、正直、まっとうな演技ができる“女優”がほしかったが、甲子園への道のりをなめまくったストーリーを、アイドルグループのAKB48が演じるというのは、案外マッチングしているのかもしれない。
【45点】
(原題「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」)
(日本/田中誠監督/前田敦子、瀬戸康史、峯岸みなみ、他)
(アイドル映画度:★★★★☆)



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半分の月がのぼる空

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ドラマやアニメで人気のベストセラー小説の映画化である本作は、いわゆる難病もの。またか…と思っていたら後半に意外な仕掛けがあって驚いた。そのことにより青春恋愛映画から、長い年月を懸命に生きた人間ドラマにシフトする。平凡な高校生の裕一は退屈な入院生活を送る病院で、心臓病を患う少女・里香と出会う。最初は里香のわがままに振り回されるが、次第に彼女に惹かれていく裕一。9歳の頃から病院で暮らし、「銀河鉄道の夜」を愛読する孤独な里香もまた、外の世界を見せてくれる裕一に好意を持つ。一方、病院の医師の夏目は、医者でありながら最愛の妻を救えなかった過去に縛られていた…。

純愛プラス難病。日本映画のヒットの方程式ともいえる構図で、物語はまさにその通りに進んでいく。だが本作は、医療環境を含む地方都市の現状やそこで生活する人々を丁寧に描くため、雰囲気重視で、現実離れした恋愛映画とは一線を画している。裕一は、わがままだが不思議な魅力にあふれた里香にどんどん惹かれていき、彼女のために何でもしてやりたいと、病院を抜け出して思い出の地へと出かける。その懸命な努力は、おそらく長くは生きられない里香を少しでもつなぎとめようとする不器用な愛情表現だ。里香が学園祭の劇でいきなり主役を務めるなど、突飛な描写があるが、彼女には学校生活そのものがスペシャルな出来事。それを経験することはヒロインになることと同じなのだ。そんな、ピュアな10代の二人と、失意の中で時を止めて生きる医師・夏目が思いがけない形で“出会う”驚き。どんでん返しやトリックという言葉よりも、登場人物たちの奥行きを深める善意のミスリードである。その驚きに心地よさを感じると同時に感動を覚えた。一日でも長く一緒にいたいという願いと、一生忘れられない想い。映画を見終われば、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の主人公ジョバンニは、親友カンパネルラといつまでも共にあることを改めて思う。
【65点】
(原題「半分の月がのぼる空」)
(日本/深川栄洋監督/池松壮亮、忽那汐里、大泉洋、他)
(驚き度:★★★★☆)

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ダイブ!!

ダイブ!! 特別版
飛び込み競技を描いた青春映画だが、腹筋が割れるほど練習したという若手俳優たちの頑張りに注目したい。3人の飛び込み選手がクラブ存続のために五輪代表を目指す物語だ。池松壮亮がクールな少年を演じ、林遣都が明朗な天才を演じる意外性が見所。物語は3人を同等に描くため、やや散漫になってしまったのが惜しい。ダイビングを称して「個人競技は勝つたびに一人になる」と孤独感を表したのが、逆に友情の大切さを感じさせる。
【55点】
(日本/熊澤尚人監督/林遣都、池松壮亮、溝端淳平、他)
(さわやか度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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