映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

沢尻エリカ

不能犯

映画「不能犯」 オリジナル・サウンドトラック 音楽:富貴晴美
大都会を舞台に次々と不可解な変死事件が発生する。検死をしても何一つ証拠が出てこないそれらの事件には、決まって黒衣に身を包んだ宇相吹正(うそぶき ただし)という謎の男の姿があった。ある電話ボックスに殺人の依頼を残すと、宇相吹は、事故や自殺にみせかけて確実にターゲットを殺害する。警察は宇相吹の身柄を確保し任意で取り調べを始めるが、犯行は立件できず“不能犯”とされる。相手を見つめ話しかけるだけで相手を死に追いやる宇相吹だったが、刑事の多田友子だけは彼のマインドコントロールが効かないことが判明する…。

相手を死に追いやりながら立証不可能な犯行を繰り返す男の暗躍を描く異色サスペンス「不能犯」。原作・宮月新、作画・神崎裕也の大人気コミックが原作だ。タイトルの不能犯とは、目的は犯罪だが、常識的に考えて実現不可能な行為なので、罪に問われない。謎の男・宇相吹が行うマインドコントロールは、思い込みや先入観を利用するもので、専門用語でプラシーボ効果(別名、偽薬効果)と呼ばれるものだ。宇相吹とはいったい何者なのか?という疑問より、物語では彼に殺人を依頼する人々の殺意の純度と動機が問われる。愛、憎しみ、欲望、嫉妬が原因での殺人はブラックで皮肉な結果を伴い、宇相吹の「愚かだね、人間は」という決めゼリフへとつながる仕組みだ。

そんな宇相吹だが、唯一、彼がコントロールできない女刑事・多田に出会ったときは、なぜか嬉しそうな顔をするのが面白い。彼女は口は悪いが正義感で人情味があり、何より人間が持つ“善”を信じているのだ。「あなたなら僕を殺せるかもしれませんね」という静かなつぶやきは、人の心の闇を見すぎた宇相吹の、絶望と狂気の産物だ。主人公を演じる松坂桃李は、最近、単なるイケメン俳優ではないことをその挑戦的な役選びで証明しているが、本作はハマリ役。ダークヒーローを気持ちよさそうに怪演していて、興味深い。
【60点】
(原題「不能犯」)
(日本/白石晃士監督/松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、他)
(ブラック度:★★★★☆)


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新宿スワン

新宿スワン [Blu-ray]
(ショートバージョン)
一文なしで新宿・歌舞伎町をさまよっていた白鳥龍彦は、スカウト会社・バーストの幹部で、伝説のスカウトマン・真虎に助けられ、スカウトの世界に足を踏み入れる。女性たちに声をかけては、水商売、風俗、AVなど“就職先”をあっせんし、スカウトマンとして成長するが、そこにバーストのライバル社・ハーレムがたちはだかる。さらには龍彦に私怨を抱く秀吉が登場し、事態は混迷を極めていく…。

和久井健の人気漫画を原作とする「新宿スワン」を監督するのは、2015年は公開作が目白押しの園子温監督だ。だが思い出すのは、三池崇史監督の「クローズ」シリーズで、これはいわば歌舞伎町スカウト版「クローズZERO」といった趣。しかし、単にけんかに明け暮れる高校生とは違い、スカウトの世界はすべて金銭がからむビジネスで、そこは金、欲望、暴力に謀略までもが渦巻く混沌とした世界なのだ。主人公の龍彦は、まっすぐで情にもろく「俺がスカウトした女の子は、必ず幸せだって言わせます」などと言う熱血漢。彼の“泥臭い熱さ”が、どこかヒロイックに見えてくるが、冷静に考えると、彼らは女性を喰いものにする類の男たちだ。群雄割拠の世界観は面白いが、共感を抱くことはできなかった。映画撮影で制約が厳しい歌舞伎町ロケを敢行した映像(ただし、一部は浜松ロケ)が、異様な迫力と疾走感で記憶に焼き付いた。
【55点】
(原題「新宿スワン」)
(日本/園子温監督/綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、他)
(アウトロー度:★★★★☆)
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映画レビュー「ヘルタースケルター」

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◆プチレビュー◆
全身整形の美女りりこの疾走を活写する「ヘルタースケルター」。沢尻エリカのいなおり的熱演にシビれる。 【65点】

 美、名声、金、愛。すべてを手に入れたトップモデルのりりこ。だが彼女の美しさは全身整形によって作られたものだということは、限られた人間しか知らない究極の秘密だった。手術の後遺症と決して知られてはいけない秘密を抱えるストレスで、りりこは、次第に精神的に追いつめられていく…。

 原作は岡崎京子による伝説的コミック。それを映画化するのが極彩色を見事に使いこなす蜷川実花監督で、主演は5年ぶりのスクリーン復帰となる沢尻エリカ。どうだ!と言わんばかりの話題性だが、沢尻自身が、映画を上回る混乱としっちゃかめっちゃか(Helter Skelter)を実演中で、商業的価値を大いに上げた。おかげで、イベント・ムービー的高揚感があり、観客の満足度はかなり高いだろう。

 ともあれ、美しさというのは、お金と時間と労力がかかる。りりこの人工美は、術後のメンテナンスなしではキープできない。劇中には「神様は人間に若さと美しさを与え、そして奪う」との哲学のごとき深いセリフも。だが、ヒロインはそんな運命に宣戦布告した。自分と周囲をとことん傷付けながら、欲望うずまく世界で次々に事件を起こすりりこという存在は、誰もが自分の中に飼っているケダモノのようなもの。りりこはいわば、全女性の闇のアイコンなのだ。

 それにしても沢尻エリカの体当たり演技ときたら、あきれるほどすがすがしい。脱ぎっぷりの良さは言うまでもなく、あえぎ声も高らかに濡れ場を熱演。ここではとても書けないような言葉も叫ぶ。だが、まるでバービー人形のようなルックスの彼女からは、生身のエロスより、サイボーグの持つ機能美しか感じない。むしろ、寺島しのぶが演じるドM女の、暗いエロティシズムに注目したいところだ。

 整形手術の後遺症で顔にアザが浮かび、玉の輿を狙っていた御曹司は他の女と婚約。ナチュラル・ビューティーの後輩モデルの台頭に、美容クリニックの歪んだ秘密。何より、転落する自分をシュミレートする恐ろしさ。はたして追いつめられたりりこの選択とは? 良くも悪くもドギついこんな物語は、落としどころが難しい。このオチには少々甘さを感じるが、一瞬の美を切り取って、それをバベルの塔のように積み上げる蜷川実花監督の美学と見た。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)スキャンダラス度:★★★★★

□2012年 日本映画 □原題「ヘルタースケルター」
□監督:蜷川実花
□出演:沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ、他
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ヘルタースケルター@ぴあ映画生活

クローズド・ノート

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行定監督得意のセンチメンタルでノスタルジックな恋愛映画。物語終盤には驚きが用意されているが、これは最初から読めるオチなので効果は薄い。偶然に頼りすぎるし、女の子好みの設定に甘さがあるが、誠実な教師役を繊細に演じた竹内結子の透明感あふれる演技で救われた作品だ。久しぶりにフツーの演技を見せる伊勢谷友介も新鮮。窓から外を眺めるシーンが印象的に使われている。
【50点】
(日本/行定勲監督/沢尻エリカ、伊勢谷友介、竹内結子、他)
(純愛度:★★★☆☆)

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パッチギ!

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◆プチレビュー◆
ケンカ、出産、友の死…。様々なエピソードが重なるラストにかぶる「イムジン河」の熱唱には、思わず号泣。オダギリ・ジョーの壊れた姿が笑える。

1968年の京都。府立東高校の康介は、朝鮮高校に通う美少女キョンジャに一目惚れ。フルートを吹く彼女が演奏していた「イムジン河」という曲を知り、ギターを買って音楽をはじめる。キョンジャの兄で朝鮮高校の番長のアンソンや周囲の人々とも知り合うが、日本人と朝鮮人の間のトラブルは絶えなかった…。

井筒監督の作品に音楽は欠かせない。そして自らのホーム・グラウンドである関西の空気。監督自身が青春をおくった60年代は、関西のみならず、日本や世界が熱く燃えたぎっていた時代なのだ。世界中が権力に対し“意義申し立て”を叫んでいた時代。「イムジン河」はそんな中で生まれた名曲だ。

タイトルの“パッチギ”とは、突き破る、乗り越えるという意味のハングル。頭突きの意味もある。京都を舞台に、日本人と在日朝鮮人の高校生どうしがケンカに明け暮れる中、出会った男女が恋に落ちる物語は「ロミオとジュリエット」のよう。だが、単なる恋愛物語ではなく、政治や歴史、青春時代特有の熱い気持ちが物語の底辺に流れている。権力側が歌うことを禁じた歌を口にするのは、障害を乗り越え、自らの生き方に根性を据えることだ。

争いの中で若者が命を落とす。通夜の席で老人が、日本での在日朝鮮人としての苦しみを吐露する場面が胸を打つが、そういう歴史の痛みを教えてくれる映画が存在することに感謝する気持ちが強かった。「イムジン河」はもちろん「悲しくてやりきれない」などの当時の名曲の歌詞が、物語と見事にシンクロし、観客の感動を誘う。井筒節とも言える、ユーモアや若者たちへのあたたかい視線も健在だ。

ロミオとジュリエットは悲劇で終わるが、康介とキョンジャの物語のラストには確かな希望の光がある。38度線を流れる河は朝鮮半島を分断するだけでなく、日本人と在日朝鮮人の間にも横たわるのだ。しかし、時を経て“イムジン河”が歌える日がやってきたように、その河を渡って出会える日は必ずやって来る。

□2004年 日本映画
□監督:井筒和幸
□出演:塩谷瞬、江尻エリカ、高岡蒼佑、他

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