映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

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牧原亮太郎

原作が気になる:アニメーション映画「屍者の帝国」

ひとりごと今日もまたまた同じ感じで、点数なしです。その理由は一見さんだから(笑)。

先日、試写と試写の間がポコッと空いてしまったので、ふと思いついてアニメーション映画「屍者の帝国」を見ました。物語の舞台は19世紀末のイギリス。死体蘇生技術により、死人を新たな労働力として利用していたロンドンで、優秀な医学生ジョンが政府の諜報機関の一員に加わり、アフガニスタンに屍者の王国を作り上げた男の動向調査を請け負って、調査することになる…というお話。

アニメーションは「進撃の巨人」のアニメスタジオが手掛け、ヒト型ロボットとの生活を描いた映画「ハル」の牧原亮太郎が監督を務めています。

ちなみに私、予備知識ほとんどなし、原作未読、完全な一見さんだったんですが、これが意外にも楽しめました。時代は過去だけどSFに近い設定。最初は、死体蘇生で「フランケンシュタイン」や「ゾンビ」映画みたいな感じ? 次にいきなりスパイものに?! 未開の地に自分の王国を作ったって「地獄の黙示録」的な?? 偉人や有名なキャラクターの名前を持つ登場人物たちも面白い。主人公(ワトソン)と屍者の相棒(フライデー)の間にうっすらと流れるBL的気配…。もう、何でもありの寄せ鍋的な面白さと言ったらいいかな〜(笑)。

原作は、伊藤計劃の小説。早世した彼の未完の遺稿を、親友で芥川賞作家の円城塔が引き継ぎ完成させたとのこと。映画化にあたり長い原作をすべて映像化するのは無理と判断して、映画独自の世界を作り上げているのだそうです。ネタバレを避けるために結末は明かしませんが、ホラーとスパイアクションをミックスさせたエンタテインメントの形を取りながら、根っこの部分には、魂とは何か、人間の意志や記憶とは、という哲学邸なテーマが隠されているようです。しかもエンドロールの後には、意味深なワン・シークエンスが!これの意味を知るためにも、原作を読むべきなのかも。思いがけず、不思議なアニメに巡りあいました。

(出演:(声)細谷佳正、村瀬歩、楠大典、他)
(2015年/日本/監督:牧原亮太郎/原題「屍者の帝国」)

屍者の帝国 (河出文庫)
伊藤 計劃
河出書房新社
2014-11-06

←アニメーションを制作したのはWIT STUDIO


屍者の帝国
伊藤 計劃
河出書房新社
2012-08-24

← 伊藤 計劃の映画化作が3作連続公開されるらしいです。



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屍者の帝国@ぴあ映画生活

ハル

最愛の人を失った人間とロボットとの心の交流を描くSFアニメ「ハル」。近未来的設定と古風な京都の暮らしのミスマッチを味わいたい。

近未来の京都。最愛の人、ハルを飛行機事故で失ったくるみは、ハルとけんか別れしたままの自分を悔い、生きる力を失って心を病んでいた。くるみの笑顔を取り戻すため、ヒト型ロボットQ01(キューイチ)が、ハルそっくりの“ロボハル”として一緒に暮らすことになる。最初は心を閉ざしていたくるみだったが、ハルがくるみが願い事を書いたルービックキューブの色をそろえるたびに、少しずつ打ち解け、頑なだった心もほぐれていく…。

原作は咲坂伊緒の人気漫画。プロダクションI.Gから独立し、制作されたアニメスタジオ、WIT STUDIOが作画を手がけたアニメーションが本作だ。物語は人とロボットの奇跡のようなラブストーリーである。近未来ではロボットが介護を担うなど、生活に溶け込んでいることが基本背景にあり、ケアセンターの荒井博士がハルを作ったこと、人間のハルが幼い頃奴隷同然の環境から仲間のリュウと逃げたこと、貧困の中での生活からお金が第一と考えて、恋人のくるみが大切にしている“思い出の品物”を無常に売り飛ばしたことなどが判ってくる。同時にハルとくるみの幸せな日々の回想や、仲間のリュウとはなにやら危険な状態にあることもぼんやりと判明していく。何しろ上映時間が約1時間と短いので、ストーリーはかなり乱暴に進んでいくのが気になった。とはいえ、丁寧なビジュアルは好感が持てる。何より、ロボットが生活の一部となっている近未来に、京都の古い町並みや日本情緒あふれるアイテムというミスマッチが不思議な魅力になっている。物語は中盤に大きな仕掛けが隠されていて、深い心の傷を負った人間が、大切なものを守ることで再生し、生きる力を取り戻すラストへとつながっていく。もっとも個人的には、最愛の人を失った人間に対して、そっくりさんのロボットをあてがうという発想そのものが、何か間違っている気がしてならないのだが、それは言ってはならないお約束なのだ。Production I.Gやマッドハウスの作品で手腕を発揮してきた牧原亮太郎の初監督作だが、中編という中途半端な長さでは、難しさもあったはず。長編次回作に期待したい。
【55点】
(原題「ハル」)
(日本/牧原亮太郎監督/(声)細谷佳正、日笠陽子、宮野真守、他)
(日本情緒度:★★★★☆)
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