映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

玉木宏

探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海

探偵ミタライの事件簿 星籠の海 [Blu-ray]
瀬戸内海の小さな島に身元不明の死体が6体流れ着くという不可解な事件が発生。通称“死体島”と呼ばれるその事件を、編集者の小川みゆきから聞いた天才脳科学者の御手洗潔は、この難事件に関心を持ち、すぐに瀬戸内海へと飛ぶ。御手洗は、そこが太古の昔から変わることなく6時間ごとに潮の満ち引きが繰り返される時計仕掛けの海であることから、死体は広島県福山市から流れ着いたことを突き止める。だが、時を同じくして、外国人女性の変死事件、滝つぼに口と目をふさがれた男女が拘束されるなどの怪事件が次々と起こる。御手洗は、歴史を遡って事件を調べはじめるが…。

島田荘司の長編ミステリーで、人気シリーズ「御手洗潔シリーズ」のエピソードをもとにした謎解きミステリー「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」。物語は、死体が流れ着くことを発端に、複数の事件や歴史の謎がからみあい、複雑な様相だ。事件のつながりは、比較的わかりやすいのだが、何しろ説明しないといけないことが多すぎるので、観客が考えるヒマもなく、天才脳科学者ミタライが一瞬のうちに答えを出してしまう。おかげで延々とミタライの説明を聞いている有様だ。これでは、まるでテレビの2時間ドラマを見ているようで、さっぱり盛り上がらない。おまけに、映画オリジナルのヒロインである広瀬アリスの存在が謎解きのテンションを下げまくる。劇中でミタライから「うるさい」と言われる場面があるが、まさにそれだ。はっきり言って、浮いている。映画なので華やかさは必要だが、ミステリーの主人公の相棒にはもう少し知性がほしい。「相棒」シリーズの和泉聖治監督なので、そこはなおさら残念だった。文句ばかり言っているが、見所はもちろんある。まず風光明媚な瀬戸内海と福山市の描写が魅力的だ。穏やかで陽光きらめく瀬戸内海、撮影に全面協力している福山市の魅力的なたたずまいは十分に伝わるので、観光PR映画としてはかなり成功している。さらに、福山に伝わる村上水軍の歴史やクビナガリュウの伝説などのロマンも。そしてタイトルにもなっている星籠(せいろ)とは…。これが実にロマンチックだ。まぼろしの歴史がふと顔を出すその瞬間を楽しんでほしい。
【45点】
(原題「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」)
(日本/和泉聖治監督/玉木宏、広瀬アリス、石田ひかり、他)
(説明口調度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海|映画情報のぴあ映画生活

神様はバリにいる

神様はバリにいる ブルーレイ豪華版 [Blu-ray]
バリ島で成功した日本人実業家アニキと、彼との出会いで変化・再生していく人々を描く「神様はバリにいる」。実話がベースだが全体的に過剰演出。

事業で失敗し借金を背負った元起業家・祥子は、失意の中訪れたバリ島で大富豪の実業家“アニキ”と出会う。自称さわやかだが、どう見ても胡散臭いアニキだったが、バリ島では子供からお年寄りまで誰からも慕われていた。アニキとの出会いで人生が変わったという元エリート医師のリョウや祥子を追ってきた元顧客の杉田らもまた、アニキの人柄に魅せられた人々だ。祥子は再起を図るためアニキのもとで金持ちになるための人生哲学を学ぼうとするのだが…。

ベースになっているのはハウツー本「出稼げば大富豪」。元露天商で大富豪の実業家アニキの独自の人生哲学と、破天荒なキャラが魅力のサクセス・エンタテインメントだ。感謝して生きること、ピンチをチャンスととらえる逆転の発想、人との縁を大切にする、などの考え方は、ビジネスというより生き方のお手本として学ぶようなことばかり。演じる堤真一の怪演に近い熱演で、アニキは“いかにも”の人物像として説得力がある。だがアニキの考え方をすべてセリフにすると、なぜかウソくさくて引いてしまうのは私だけ? 祥子を追ってバリにやってきた、倒産させた婚活ビジネス会社の客・杉田のエピソードがほとんど活きていないのも気になる。それでも、祥子の心の変化は、アニキが言う「幸せを循環させる」効果といえる。神々が宿る島バリに暮らす人々のように感謝の気持ちを持てば、自分を変えるきっかけになりそうだが、まずは自分が行動すること!ということだろう。一度は自殺も考えたヒロインの根っこの部分のタフネスが、この“ご利益ムービー”の元気のもとなのだ。
【55点】
(原題「神様はバリにいる」)
(日本/李闘士男監督/堤真一、尾野真千子、玉木宏、他)
(破天荒度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
神様はバリにいる@ぴあ映画生活

幕末高校生

幕末高校生 ブルーレイ豪華版 [Blu-ray]
現代から幕末へとタイムスリップした教師と高校生たちを描くSF時代劇コメディ「幕末高校生」。偉人らしくない勝海舟がちょっと新鮮。

高校で日本史を教える教師の未香子は、ひょんなことから問題児の生徒3人と共に幕末にタイムスリップしてしまう。捕えられた未香子と生徒の雅也は、勝海舟と出会って保護されるが、時代は、新政府軍と幕府軍とが戦いか和平かで一触即発という大変な時。未来から来た未香子たちが現代に戻らないと歴史が変わってしまう。未香子は、行方不明になった2人の生徒の恵理と慎太郎を探して現代に戻ろうとし、勝は彼女らの未来を守り、江戸を戦火から救うために奔走する…。

日本映画の伝統的ジャンルといえば時代劇。重厚だが少々古臭いと煙たがられるが、これはタイムスリップで江戸時代にやってきた現代人が、騒動を巻き起こすコメディなので、楽しく見ることができる。高校教師と生徒は、タイムスリップしたおかげで、受験用の勉強ではなく、激動の日本史を実習で体験することに。ユニークなのは、幕末の偉人・勝海舟の描き方だ。飄々として、女房の尻にしかれ、暴漢に遭遇すれば一目散に逃げ出す陸軍総裁・勝海舟など見たことがないが、当然、本当の彼は、やるときはやる男。その後の歴史を知ってみる私たちには、見た目と違う、勝の器の大きさが分かるからますます魅力的だ。一方で、バカッぽい高校生という姿は、ある意味、見慣れたもので、新鮮味はない。しかし、そこは過去と未来のカルチャーギャップという定番の笑いで乗り切っている。教師の未香子も生徒たちも、自分に自信がなく、悩んだり迷ったりする度に言い訳ばかり。だが、勝は、究極の非常事態を前に、人事を尽くして天命を待ちながらも、自分の信念は決して曲げず、愛する日本の未来のためなら命さえ捧げる覚悟なのだ。これには、現代人の教師と生徒たちの背筋も伸びる。そんな彼女たちの心の成長は小さなものだが、それこそが未来を作るのだと共感してしまうだろう。なにしろ、車や携帯という文明の進化には大いに感心した勝海舟から「時代は変わっても人間は進化してねぇんだな」と言われてしまうのだ。ウ〜ン、反省せねば。
【60点】
(原題「幕末高校生」)
(日本/李闘士男監督/玉木宏、石原さとみ、柄本時生、他)
(コメディ度:★★★☆☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
幕末高校生@ぴあ映画生活

すべては君に逢えたから

すべては君に逢えたから(初回限定生産) [Blu-ray]
クリスマスの東京駅を舞台に6つのラブストーリーが交錯する「すべては君に逢えたから」。よくある企画だがデートムービーにはお勧め。

クリスマス直前の東京駅周辺。さまざまな男女がこのメガステーションを背景にすれ違う。女性不信の若くハンサムな社長は、恋人を亡くした女性と偶然出会う。東京と仙台に離れた恋人同士は遠距離恋愛で悩んでいる。ケーキ屋でアルバイトをする女子大生の恋、養護施設で暮らす少女の母へ思い、余命3ヶ月と宣告された新幹線の運転手は息子に思いを託す。さらに49年前に駆け落ちを約束するも相手が現れず、ずっと一人で生きてきた女性が経営するケーキ屋には見知らぬ男性が訪ねてくる。6つの物語でそれぞれの思いが交錯し、クリスマスの奇跡を呼び起こす…。

クリスマスをテーマにしたオムニバス・ストーリーは、2014年に開業100周年を迎える東京駅が舞台。年齢、性格、置かれた境遇、胸に秘めた思いなど、バラエティに富んだ設定でのラブ・ストーリーが紡がれる。若者たちの恋愛だけではなく家族愛や過去の恋の思い出など、さまざまなスタイルなので、誰もが自分と重なる物語を発見できるだろう。玉木宏や東出昌大、高梨臨、木村文乃らの若手から、小林稔侍、倍賞千恵子らベテランまで、キャストも多彩で豪華だ。クリスマスのオムニバス・ストーリーでは大ヒットしたイギリス映画「ラブ・アクチュアリー」がすぐに思い浮かぶが、本作はクリスマスだけではなく、出会いと別れが繰り返される駅を裏テーマにしているところがポイントだ。利用者が1日100万人を超えるメガ・ステーション東京駅では、夜間や早朝でも撮影が困難だが、JR東日本の全面協力という商業的な宣伝効果もあり、美しい撮影が実現。外壁の赤レンガや駅舎内部などの映像は、映像資料としても価値がある。6つの物語は独立しているが、少しずつ重なる部分も。その中で、遠距離恋愛を描いたパートだけが他の物語と重ならないのがちょっと疑問だ。個人的には、全体的に生真面目すぎてユーモアが不足しているのが残念。それでも6つの切ない愛の物語はどれも心温まるものばかり。やっぱりクリスマス・ムービーの最高の小道具は“偶然と奇跡”なのだ。
【65点】
(原題「すべては君に逢えたから」)
(日本/本木克英監督/玉木宏、高梨臨、木村文乃、他)
(ロマンチック度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

すべては君に逢えたから@ぴあ映画生活

マダガスカル3

マダガスカル3 3Dスーパーセット [Blu-ray]マダガスカル3 3Dスーパーセット [Blu-ray]
人気アニメシリーズ第3弾「マダガスカル3」は、サーカスに逃げ込んでヨーロッパを駆け巡る!初の3Dのため、歌や踊りよりアクション重視の作りだ。

都会の動物園で暮らしていたライオンのアレックスら、4頭の動物たちは、マダガスカル島やアフリカでいやというほど野生の厳しさを味わい、今度こそ生まれ故郷のNYに戻ろうと決意する。頼みの綱のペンギンズを追って、モンテカルロのカジノに忍び込むが、そこで大騒動を起こし、動物管理局のスゴ腕女警部のデュボアに追われるハメに。指名手配された彼らたちが逃げ込んだのはおんぼろサーカスの一団。サーカスを立て直し、NY公演を目指して奮闘するのだが…。

シリーズ初の3D映像で描く大冒険は、格段にアクション場面が増えた。ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、カバのグロリア、キリンのメルマンというおなじみのメンバーは、モンテカルロ、ローマ、スイス・アルプス、そしてロンドンと、ヨーロッパ中を駆け巡る。ライオン狩りに執念を燃やすデュボア警部との激しいカーチェイスや、サーカス団に逃げ込んだ一行がサーカスのメンバーらとみせるパフォーマンスの華やかさが3Dにぴったりで、アトラクション・ムービーとして楽しめる。ストーリー的には、新しい仲間との出会いが見所。同じように都会で生きる野生動物でも、動物園とサーカスでは価値観が違う。秘密を隠してサーカス団にもぐりこんだアレックスらは、ほとんどなりゆきでダメダメサーカス団を立て直すことに。心優しく美しいジャガーのジアや、かつてのスターのトラのジアーリなどのキャラが立っていて、サーカス団もメリハリたっぷりだ。個人的にごひいきのペンギンズの見せ場は最初だけか…と思っていたら、最後に大活躍してくれて大満足。3Dを意識した飛行シーンは実写さながらのワクワク感だ。いままでになく“人間くさい”ドラマが満載のエンタメシリーズは、大興奮のラストとその後のエピソードから、“たぶん”完結編。だが、ファンの熱い声援が動物たちを復活させるかも…と期待している。
【60点】
(原題「MADAGASCAR 3: EUROPE'S MOST WANTED」)
(アメリカ/エリック・ダーネル監督/(声)ベン・スティラー、クリス・ロック、ジェイダ・ピンケット=スミス、他)
(アクション映画度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
マダガスカル3@ぴあ映画生活

聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [Blu-ray]聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [Blu-ray]
クチコミを見る
最も戦争に反対しながら開戦の口火を切ることになった指揮官の苦悩を描く「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」。運命の皮肉というしかない。

1939年、海軍次官の山本五十六は、圧倒的な軍事力を持つ米国との戦いを避けるため、日独伊三国軍事同盟に強く反対の立場を貫く。だが、第二次世界大戦が勃発し、1941年、ついに対米開戦となる。連合艦隊司令長官に任命された山本が、早期終戦を目指し、練った策が真珠湾攻撃だった。奇策は効を奏するが、目的の空母撃破には失敗。山本は意に反して悪化する戦況へと巻き込まれていく…。

古くは名優・三船敏郎が演じた山本五十六の半生を、現代の名優・役所広司が重厚に演じて感動を呼ぶ戦争大作だ。だが戦闘の場面は意外なほど少ない。映画の本意は、激戦の模様を再現することではなく、誰よりも開戦に反対しながら、陣頭指揮を取る司令長官にならざるをえなかった軍人の苦悩と、それでも失わなかった温かい人間性を描くことだ。山本と彼の周囲のわずかな理解者だけが、戦況を冷静に見極めているが、無謀な精神論や好戦ムードの中、日本は戦争へとなだれこんでいく。山本は自分がこうむる理不尽を叫びたい気持ちを押し殺して、軍人として職務をまっとうする覚悟があり、それが終始、固い表情から伺える。そんな彼が唯一、心安らぐのが、甘いものを食べるときだ。山本は、故郷・長岡の名物である水饅頭にさらに砂糖をふりかけて食べるほどの甘党。この姿はちょっと意外だったが、それ以外は、本作で描かれる山本五十六という人物に一瞬のスキもない。世界情勢を見極める視野の広さ、部下に慕われる人徳、良き家庭人。戦闘ではなく人間を掘り下げるという、異色のアプローチだけに、主人公の弱さや欠点も少しは描いても良かったのでは。とはいえ、主役の役所広司をはじめ、柳葉敏郎や阿部寛など、共演者は皆、好演。苦渋の連続だった、真珠湾攻撃とミッドウェー海戦、ブーゲンビル島上空での非業の死まで、骨太なドラマとして仕上がっている。
【65点】
(原題「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」)
(日本/成島出監督/役所広司、玉木宏、柄本明、他)
(シニア向け度:★★★★☆)
チケットぴあ


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

聯合艦隊司令長官 山本五十六@ぴあ映画生活

のだめカンタービレ 最終楽章 後編

のだめカンタービレ 最終楽章 後編 スタンダード・エディション [DVD]のだめカンタービレ 最終楽章 後編 スタンダード・エディション [DVD]
のだめと千秋の恋の結末が気になるグランドフィナーレの後編だが、見終わってみると、わざわざ2部構成にする意味があったのだろうか??と大いに疑問だ。音楽に集中するため、互いに距離を置こうと離れ離れに暮らすことになったのだめと千秋。孫Ruiと共演し大成功を収める千秋とは対照的に、のだめはコンクールへの参加さえ許してもらえず焦る日々だ。千秋との恋愛にも限界を感じ、失意ののだめに、シュトレーゼマンが共演話を持ちかける…。

相変わらずのメンバーと相変わらずの展開で、安心感満載…と言えば聞こえはいいが、物語に新鮮味はまったくない。ヨーロッパロケの驚きは前編ですでにを経験済み。不思議な電子楽器テルミンを操る新キャラの活躍もごくささやかものだ。この後編のウリはいったい何なのか?と首をかしげたくなる。千秋に追いつこうと必死ののだめが、天才ぶりを発揮し、今度は千秋が焦る。やがて二人は、音楽と互いへの強い愛を認識する。最終楽章だというのに、お話は今までも何度も目にしたこのパターンの繰り返しではないか。のだめはプラハで遂に世界デビューを飾ったというのに、物語はみるみるスケールダウン。しかも本作にはコミカルな要素はほとんどなく、シリアス一点張りだ。本気モードは、本物の音楽があれば十分なのに。ついに実現した二人の“共演”は、グランドフィナーレにはあまりにも地味すぎやしないか。このために前・後編という長い時間を費やしてきたのかと思うと力が抜けた。ラストにガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」が流れるが、映画は、狂詩曲というより未完成交響曲。いつものように、クラシックの名曲をオーケストラとピアノ、さらに千秋の解説付きでたっぷりと堪能できるのは嬉しいが、ファンにとっては見届けた気持ちはあっても達成感のないフィナーレだろう。
【30点】
(原題「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」)
(日本/武内英樹監督/上野樹里、玉木宏、竹中直人、他)
(シリアス度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

のだめカンタービレ 最終楽章 前編

のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スタンダード・エディション [DVD]のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スタンダード・エディション [DVD]
二ノ宮知子の同名コミック、TVドラマともに大人気のラブ・コメディの劇場版。国際音楽コンクールでの優勝後、千秋は仏のルー・マルレ・オーケストラの常任指揮者に。だが、そのオケは財政難の上、団員の雰囲気は最悪だった。愕然とする千秋だったが、気を取り直して、のだめに定期公演での演奏を頼む。音楽学校の進級試験の練習に励んでいたのだめは、ついに千秋と初共演できると大喜び、妄想が広がるが、その大役は意外な人物にさらわれてしまう…。

一流の指揮者を目指す“オレ様キャラ”の千秋真一と、変態かつ妄想癖があるなど独特の感性と天才的なピアノの腕が同居する野田恵、通称のだめの、コミカルな恋物語を描いたこの作品は、お茶の間にクラシックを浸透させた功績がある。今回は劇場版にふさわしく、ウィーンやパリなど、欧州の華麗な都を舞台にする豪華なもの。TVドラマの安易な劇場版が氾濫する中、本作は名曲の数々を劇場のクリアな音響で堪能できる点に映画版ならではの説得力がある。外国人キャストに吹き替えで日本語を話させるという、映画として画期的な大冒険も。物語は、千秋とのだめの恋と、音楽的な成長のどちらも気になるところだ。見ているこっちが恥ずかしいほどのドタバタが、格調高いクラシックの名曲にのって繰り広げられるアンバランスは、一度見たらクセになる。個人的には、千秋先輩との初共演で妄想がふくらみ、のだめとアニメの動物たちの大競演(狂演?)となるシークエンスが気に入っている。ファン待望の最終章となるこの作品、わざわざ前・後編に分けて公開するという、あこぎな商売…、もとい、ファンサービスに、観客が喜ぶ姿が目に浮かぶようだ。前編は、やきもきする場面で終わるが、エンドロールの後に後編の予告があるので、最後まで席を立たずに鑑賞しよう。
【55点】
(日本/武内英樹監督/上野樹里、玉木宏、竹中直人、他)
(音楽堪能度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

MW−ムウ−

MW‐ムウ‐ [DVD]MW‐ムウ‐ [DVD]
日本が誇る漫画家・手塚治虫の偉大さは確認できても、映画化が成功したとは言い難い。物語は、16年前、ある島の島民全員が死滅した事件を発端に、生存者の壮絶な復讐と、鍵である謎の物質“ムウ”による世界滅亡の危機を描くものだ。話は荒唐無稽だが、善も悪もなく次々に命を落とす登場人物たちに、冷酷な殺人者・結城のどす黒い怒りを感じる。

映画は、アクション・エンタテインメントの方向を目指したようだが、これがマズかった。結城ともう一人の生存者の神父・賀来。二人の断ち切ることのできない絆や歪んだ関係性を掘り下げ、人間ドラマとしてまとめるべきだろう。原作にある同性愛要素を省くなど、弱腰の演出もいただけない。冒頭のタイ・ロケはなかなか見応えがあるが、残念ながらそれを活かす脚本が用意できず、先が続かない。懸命にワルを演じる玉木宏が痛々しいが、彼の美しさを称えるイメージビデオのようになってしまっては、ファンにはいいかもしれないが映画として評価できない。巨匠・手塚治虫の作品の中で最大の問題作を映画化することは、容易ではない。
【45点】
(日本/岩本仁志監督/玉木宏、山田孝之、石田ゆり子、他)
(ピカレスク度:★★★★☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

真夏のオリオン

真夏のオリオン [DVD]真夏のオリオン [DVD]
終戦まであと数日というのに、何もかもがこざっぱりしてまったく極限状況に見えない戦争映画だ。悲壮も絶望も、むろん希望も感じられない。亡くなった祖母が持っていた楽譜「真夏のオリオン」の哀しい由来を語る形で、米国海軍駆逐艦と決死の駆け引きを繰り広げたイ-77潜水艦の艦長・倉本をはじめ、親友や恋人、同船した部下たちの思いを描く。

そもそもすべてにユルい演出を施す篠原哲雄監督に、ハードな戦争ものを描かせるなど無茶なのだ。だが、海中深く身を潜めチャンスを伺う様子、人間魚雷“回天”を使った酸欠を防ぐ奇策など、潜水艦ものならではの描写は興味深い。お国のための死より生きることを肯定するスタンスは、現代の観客に受け入れられよう。ただし、好敵手同士のスポーツの対戦のような軽い物語として。
【45点】
(日本/篠原哲雄監督/玉木宏、北川景子、吉田栄作、他)
(リアリティ度:★★☆☆☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
震災には負けない!
リンクシェア・ジャパン 東北地方太平洋沖地震 義援金プロジェクト

犬・猫の総合情報サイト『PEPPY(ペピイ)』

icon icon
おすすめ情報
おすすめ情報

twitterやってます!
おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
いいね!もよろしく♪
Facebookをご利用の皆さん、このブログが気に入ったら、ぜひ「いいね!」ボタンをポチッと押してください。 渡まち子の励みになります!
タグクラウド
  • ライブドアブログ