映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アサシン・クリード」「ラビング」「お嬢さん」etc.

生田斗真

土竜の唄 香港狂騒曲



交番勤務のダメ巡査から潜入捜査官、通称モグラになった菊川玲二。犯罪組織・数寄矢会に潜り込んだはいいが、クレイジーパピヨンこと日浦匡也と兄弟の契りを交わすハメに。その日浦が日浦組組長となり、玲二は若頭に就任する。さらに最終ターゲットである数寄矢会会長・轟周宝から、極悪非道のチャイニーズマフィア・仙骨竜の撲滅、そして、轟周宝とその娘・迦蓮のボディーガードを任される。その頃、警察では、エリート警察官の兜真矢が、組織犯罪対策部課長に就任し、警察官とヤクザの癒着撲滅をモットーに掲げて、玲二の逮捕に向けて動き出した…。

高橋のぼるの大ヒットコミックを映画化した人気作の続編「土竜の唄 香港狂騒曲」。今回は原作の「チャイニーズマフィア編」がベースになっていて、前作にもまして、三池崇史監督の演出も、宮藤官九郎の脚本もハイテンションである。続編ではすべてにVS(バーサス・対決)の構図が見られるのが特徴だ。正義のモグラの玲二VSエリート警官の兜。クレイジーパピヨンこと日浦VS日浦の元兄貴分で暴走ヤクザのモモンガ。玲二が唯一惚れた婦警の純奈VS轟周宝の娘で奇跡の処女こと迦蓮。全身ヒョウ柄ヒットマン・剣太VSチャイニーズマフィアの美脚ヒットガール・胡蜂。前作からの続投組と新規参入組が入り乱れて、もはやカオス状態だ。宮藤官九郎の脚本は、例によって情報過多でギャグ満載なのだが、一応、チャイニーズマフィアの台頭の裏側でうごめく巨大な陰謀というサスペンス(?!)もある。主人公の玲二は、どこまでも熱血漢で、そんな彼に突如モテ期が訪れるのだが、女優陣のお色気…というより暴走は、男性ファンには目の保養といったところだ。香港狂騒曲という割には、ほとんどがセット撮影で香港は実景部分のみというところが、トホホだが、この“作りもの”テイストが、逆に土竜らしいととらえるべきだろう。例によって生田斗真の捨て身の全裸シーンあり。さらに今回は、虎(注:CG)、女装、宙刷りと、出演者を遊び倒す三池ワールド“バッチ来ーい”である。
【60点】
(原題「土竜の唄 香港狂騒曲」)
(日本/三池崇史監督/生田斗真、瑛太、本田翼、他)
(ド派手度:★★★★☆)
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秘密 THE TOP SECRET

秘密 THE TOP SECRET 豪華版(初回限定生産) [Blu-ray]
近未来の日本。死者の脳をスキャンし、生前の記憶を映像化するMRIスキャナーを捜査に導入し、迷宮事件を解決する科学警察研究所法医第九研究室、通称、第九。室長で若き天才、薪剛や、新しく第九に配属された新人捜査官の青木一行らは、家族を惨殺した罪で死刑になった男・露口の記憶を映像化するミッションに挑む。だが男の脳をスキャンすると事件を根底から覆す真犯人が映っていた。さらに、事件は次々に連鎖し、決して触れてはならない第九の闇、貝沼事件へとつながっていく。薪の親友で元・第九メンバー、今は亡き鈴木が自分の命と引き換えにしてまで守ろうとした、第九最大の秘密がそこに隠されていた…。

清水玲子の人気コミックを実写化したサスペンスミステリー「秘密 THE TOP SECRET」。死者の記憶を映像化できるMRIスキャナーを駆使した科学捜査という設定が、まるでアメリカのTVドラマのようでユニークだが、ここには大きな問題がある。目に映ったものは個人の感情が受け止めるため、事実が記憶に変化する際に、情報を受け取った人が持つ主観や視点に左右されてしまうのだ。歪められた記憶が、この奇想天外なサスペンスを複雑、かつ、人間臭くしている。第九の室長・薪と、彼の親友の今は亡き鈴木が共有しているのは、人の人生を狂わせる凶悪犯・貝沼の脳の映像だ。禁断の貝沼事件へと導く入り口となるのは、露口一家殺人事件にかかわる謎の少女・絹子である。モデル出身の織田梨沙が演じるサイコな少女は、一般的な意味の美少女とは少し違うのに、圧倒的な存在感と目力で強烈な印象を残す。絹子に翻弄されながら、青木や薪がたどり着くその先には、ある秘密が。絹子が登場するシーンのほとんどが、夢と現実が混濁する残酷なファンタジーのような映像美に彩られていて、幻想的だ。死者の脳を使って行う捜査は他人の記憶や秘密を覗き見ること。明るみにしてはいけない真実もあり、自分自身の深淵を見ることにもつながる、禁断の行為だ。そこには、死者のプライバシーの侵害という、決して小さくない問題が浮かび上がる。映像は斬新なセンスでビジュアル化されていて、引きこまれる。どこか無国籍な世界観や、科学という理詰めの中に怒涛の感情が流れ込む矛盾した設定など、不思議な手触りの作品に仕上がっている。
【60点】
(原題「秘密 THE TOP SECRET」)
(日本/大友啓史監督/生田斗真、岡田将生、吉川晃司、他)
(映像美度:★★★★☆)
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秘密 THE TOP SECRET|映画情報のぴあ映画生活

グラスホッパー

【早期購入特典あり】グラスホッパー スペシャル・エディション(A4クリアファイル付き) [Blu-ray]
世界でも屈指の過密都市、東京・渋谷。この街で起こった事故で恋人を失った元中学校教師の鈴木は、犯人に復讐するために裏社会に潜入する。だが、鈴木が復讐を果たそうとしたその瞬間、彼の目の前で犯人が車にはねられて死亡。それは“押し屋”と呼ばれるプロの殺し屋の仕業だった。組織から追われ、おびえながらも真相を追う鈴木、人を絶望させる特殊な力で標的を自殺に追い込む自殺専門の殺し屋・鯨、鯨を殺すよう命じられたナイフ使いの殺し屋・蝉。出会うはずのなかった3人の運命が、この事件によって交錯する…。
人気作家・伊坂幸太郎のベストセラー小説を映画化した「グラスホッパー」は、闇の中でもがく3人の男たちの運命が交錯する様を描く物語だ。本来、裏社会などとは無縁の、気弱で心優しい草食系男・鈴木がビクビクしながら事件を追うが、彼はいつのまにか危険な事件の渦中に放り込まれ、犯人にされてしまうという典型的な巻き込まれ型サスペンスである。謎解きは映画を見て確かめてもらうとして、展開は二転三転、伊坂幸太郎らしい大掛かりな仕掛けがラストに向かって繋がっていく構成になっている。鈴木のパートと、心に闇を抱える凄腕の殺し屋2人のパートは、基本的には接点がないので、二つの別の映画が同居しているような印象は否めない。ラストにすれ違うことになるが、やや強引でとってつけたようだった。面白いのは自殺専門の憂える殺し屋・鯨のキャラ。彼はダークファンタジーのような存在だが、浅野忠信が演じると不思議としっくりくる。タイトルのグラスホッパー(トノサマバッタ)は、密集して育つと黒く変色し、凶暴になるそう。人間も同様だ。異様なまでに人が群がる渋谷・スクランブル交差点は、人間が黒く変貌する象徴なのだ。群衆の中から生まれる狂気は映画のテーマだが、鈴木、鯨、蝉の3人は決して群れることはない。群衆の中で浮いた人間もまた、結局は孤独という狂気に苛まされる運命なのかもしれない。実は私は、映画化された伊坂幸太郎作品とは相性が良くないのだが、本作には不思議と惹かれてしまった。
【65点】
(原題「グラスホッパー」)
(日本/瀧本智行監督/生田斗真、浅野忠信、山田涼介、他)
(疾走感度:★★★★☆)
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グラスホッパー@ぴあ映画生活

予告犯

映画 「予告犯」 (通常版) [Blu-ray]
ネット上で予告犯罪を繰り返す集団と彼らを追う女性捜査官の攻防を描くサスペンス・スリラー「予告犯」。後半が少々しめっぽい。

ある日、インターネットに、新聞紙で作られた頭巾を被ったTシャツ姿の男が、犯罪を予告する動画を投稿する。男は通称シンブンシと呼ばれ、世間を欺く企業や会社、無思慮な個人に容赦なく制裁を加える犯罪を予告しては実行していた。警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香が捜査に着手し、シンブンシが複数犯であることを突き止め、彼らの背景に肉薄していく。しかし、ネット上では、シンブンシの犯罪を支持する投稿や模倣犯までもが出現。ついには政治家の殺害予告の動画まで投稿され、“シンブンシ事件”は社会現象となっていく…。

原作は筒井哲也による人気マンガで、ネット犯罪の恐怖を描いて大反響を呼んだ作品。中村義洋監督は「白ゆき姫殺人事件」でも、同じくネットの無責任な言動の恐ろしさを描いているが、今回は、画面に向かって語りかける犯罪予告という演出がより映画向けの雰囲気を作りだしている。映画は、謎の予告犯罪を繰り返す犯罪集団“シンブンシ”は、誰が何のために行っているのか?という疑問を、回想も含めて紐解いていくが、そこには、格差社会の歪や、ネット上の無思慮な言動が織り込まれている。謎解きは映画を見て確かめてもらうとして、後半はシンブンシたちのつながりや犯罪の動機が描かれ、サスペンスというよりやるせないヒューマン・ドラマに。これが少々しめっぽいので、スピード感が失われるのがちょっと惜しい。さらにシンブンシと捜査官の対立の構図も迫力不足だ。それでも主人公のシンブンシ(ゲイツ)を演じる生田斗真は、顔を覆って目だけの演技で凄味を出しているし、シンブンシ集団の仲間の友情には時にはユーモアも混じるので、ほっとさせられる。シンブンシが最終的にとる行動は意見が分かれるところだろうが、鑑賞後にいろいろと語りあってみるのも良さそうだ。劇中の「誰かのためであれば、小さなことでも人は動く」という言葉が物語の軸になっている。
【65点】
(原題「予告犯」)
(日本/中村義洋監督/生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、他)
(ヒューマン・ドラマ度:★★★★☆)
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予告犯@ぴあ映画生活

MIRACLE デビクロくんの恋と魔法

MIRACLE デビクロくんの恋と魔法 Blu-ray 愛蔵版【初回限定生産3枚組】
それぞれが片思いの4人の男女の恋模様を描く「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」。クリスマスらしいきらめきに満ちた恋愛ファンタジー。

漫画家になる夢をあきらめきれない書店員の光は、優しすぎて気弱な性格。デビクロ君はそんな光にしか見えない不思議な相棒だ。光の幼馴染でオブジェ作家の卵の杏奈は、幼い頃から光に恋しているが言い出せない。ある日、光が世界的な照明アーティストのソヨンに一目ぼれする。ソヨンは杏奈の仕事仲間だったため、杏奈は光の恋を応援することに。だが、ソヨンは光の同級生で売れっ子漫画家の北山の元恋人で今も彼を愛していた。それぞれが片思いの中、デビクロ君による奇跡が訪れる…。

原作は作家の中村航が山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」をベースに執筆した小説。監督が切ない恋愛映画の名手の犬童一心監督なのでひねった物語を期待したのだが、意外なほどストレートなラブ・ストーリーだった。光と杏奈の恋模様は、ヘタレ男子と姉御肌の女子の組み合わせが面白い。彼らの心情が丁寧に描かれるのに対し、ソヨンと北山の描写はやや表層的だ。個人的には、光にしか見えないデビクロ君をもっと掘り下げてほしかった。デビクロ君は優しすぎる光のダークサイドともいえる存在で、デビクロ君との関係性に変化が訪れた時、2組の恋が動きだすというキーパーソンなのだ。何しろクリスマスにふさわしい光り輝くイルミネーションが、これでもか!と言わんばかりに華やか。ジャニーズ祭りともいえるこの作品、このキラキラを見るだけで、デート・ムービーとして十分にモトがとれる。
【50点】
(原題「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」)
(日本/犬童一心監督/相葉雅紀、榮倉奈々、ハン・ヒョジュ、生田斗真、他)
(キラキラ度:★★★★☆)
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MIRACLE デビクロくんの恋と魔法@ぴあ映画生活

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI

土竜の唄 オリジナルサウンドトラック
ヤクザに潜入した警察官の奮闘を描くバイオレンス・コメディ「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」。テンション高すぎ!バカやりすぎ!

正義感は強いものの、ドジばかりの巡査・菊川玲二は、突然上司にクビを言い渡される。だが実は、関東一の広域暴力団・数寄矢会の轟周宝を逮捕するため、潜入捜査官、通称モグラになれという命令だった。ひょんなことから、数寄矢会傘下の阿湖義組若頭・日浦匡也に気に入られた玲二は、組織にもぐりこむことに成功するが、そこに、内部の権力闘争、さらには関東進出を狙う日本最大の暴力団組織・関西の蜂乃巣会との抗争も勃発。玲二は次から次へと過酷なピンチに陥ってしまう…。

原作は「ビッグコミックスピリッツ」に連載中の高橋のぼるの人気コミック。この原作を、映画化として迎え撃つのは、宮藤官九郎脚本、三池崇史監督という、ハイテンション・コンビだ。何しろ、美形の演技派としてならす生田斗真が、映画冒頭から全裸で車のボンネットにしばりつけられているというトンデモない状況から物語は始まる。これはタランティーノ映画のパロディなのか?!と勘ぐるヒマなど与えず、そこから延々とおふざけが続くのだ。蝶好きで、面白いことに目がないクレイジー・パピヨン、全身タトゥーのヒットマンの黒河、猫語も何やら可愛い(?)凶暴な猫沢、無駄にエロい婦人警官の純奈など、畳み掛けるように、濃いキャラが登場し、いかにもマンガ的なエピソードが繰り広げられる。その容赦ないバカバカしさは、三池・宮藤コンビがとことん映画を遊び倒している証拠だ。爆笑必至、一方で、このノリと相性が合わなければ、最後まで置てきぼりになるという諸刃の剣。まぁ、これでいいのだろう。熱血で正義感、ドジな上に童貞という警官がモグラとして活躍するという粗筋自体、マジメに映画化などしてもシラけるだけだ。それにしても生田斗真のこわれっぷりは一見の価値がある。原作ファンの感想が聞きたいところだが、映画は別モノとして楽しむべきだろう。
【50点】
(原題「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」)
(日本/三池崇史監督/生田斗真、堤真一、仲里依紗、他)
(ハイテンション度:★★★★★)
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土竜の唄 潜入捜査官 REIJI@ぴあ映画生活

脳男

脳男 [Blu-ray]
感情がない美しき殺人マシーンを描くバイオレンス・ミステリー「脳男」。正義の実態は常にあいまいなものなのだ。

都内近郊で無差別連続爆破事件が発生。その手口は異常なほど猟奇的なものだった。刑事の茶屋は爆破現場の遺留品から犯人のアジトを突き止め踏み込むが、そこにいたのは「鈴木一郎」と名乗る男。犯人はすでに逃亡し、鈴木は共犯とみなされ逮捕される。裁判の前に精神鑑定を受ける鈴木だったが、彼は並はずれた記憶力、知能、身体能力を持ちながら、感情を持ち合わせない「脳男(のうおとこ)」だった。やがて茶屋は、鈴木は共犯ではなく犯人を殺そうとしていたことを知るのだが…。

原作は、第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於の小説。冒頭から猟奇的なシーンが登場しドキリとするが、物語は、感情を持たない特異な人間“脳男”が、手段を選ばず正義を成すという“必殺仕事人”的ストーリーだ。それだけなら話は単純なのだが、ここに「悪いコトをするヤツは捕まえる!」の正義感の塊の刑事・茶屋と、「人間、本当に悪い人はいないはず」とやみくもに信じる女性精神科医・鷲谷がからむので、コトがややこしくなる。正義の概念がいかに曖昧かは本作の大きなテーマだ。脳男こと鈴木一郎、本名、入陶大威が、生まれながらの能力を祖父に利用され殺人ロボットになったという背景が丁寧に描写されるので、この悲しくも美しい殺戮者に、観客はいつしか感情移入してしまうはずだ。それに対し、一郎と同じく天才的な能力を持ち一郎に一方的なシンパシーを感じている連続爆破事件の主犯の緑川紀子に関しては、あまりにもディテールがおそまつすぎる。このキャラクターは非常に重要で、原作とは大きく異なるのだが、彼女がCIAばりの大がかりな犯罪で、病院を占拠、一郎との直接対決に臨むプロセスは、いくらなんでも現実離れしすぎている。若き演技派の二階堂ふみは熱演だが、この犯人像にリアリティがないのは致命的だ。警察のマヌケぶり、女医のお人よしぶりもいただけない。だがそれらを差し引いても、本作の主人公“脳男”というキャラは面白い。心身ともに痛みを感じない特異体質の主人公を、生田斗真がいっさい瞬きをしない無表情で演じきった。ハリウッドでも大活躍の日本人撮影監督・栗田豊通による、ハイクオリティな映像が大きな見所になっている。
【60点】
(原題「脳男」)
(日本/瀧本智行監督/生田斗真、松雪泰子、江口洋介、他)
(正義感度:★★★★☆)
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脳男@ぴあ映画生活

僕等がいた 後篇

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小畑友紀の大人気コミックを2部構成で実写映画化した「僕らがいた 後篇」。甘く切ない前編のトーンから、後篇はドロドロの展開に。

東京と北海道で遠距離恋愛を続けていた、矢野と七美。七美は東京の大学へと進学し、出版社に就職するが、彼女の隣に矢野の姿はなかった。消息不明となった矢野の代わりにそばにいるのは、矢野の親友で、七美をずっと見守ってきた竹内。ある日、出版社の同僚で、矢野の高校時代の同級生の千見寺が彼の姿を目撃。矢野と七美は久しぶりに再会するが、彼はまるで別人のようだった。空白の6年間に矢野に何があったのか、なぜ七美の前から姿を消したのか。そんな中、七美は竹内からプロポーズされるが…。

まるで制服のコスプレのようだった前篇と違い、後篇は、見た目が落ち着くので、ひとまず安心できる。初恋の、甘く切ないムード全開だった前篇は、10代の恋愛のある種の理想を描くもの。社会人となり分別が出来たはずの後篇も、基本的に恋の切なさを描くのは同じだ。働くことのやるせなさや疲労感とは無縁で、愛に生きる主人公たちの姿は、まだ社会の荒波をかぶったことがないティーンエイジャーには、これまた理想と写るのだろうか。それはさておき、後篇では、矢野が七美の前から姿を消した理由が明かされ、二人とも別の相手へどう対処するかが問われることになる。この物語の重要なポイントは、主人公たちは、いつもいつも、自分のことより、相手のことを思いやるということ。「私の願いは、矢野の願いが叶うこと」とのセリフがそれを如実に表している。ドロドロの修羅場も用意されている後篇には、もうひとつのチェックポイントが。それは“後悔してはいけない”ということだ。「伝えたいことはちゃんと伝えないと後悔する。後悔ってイヤなもんだ」とつぶやく矢野は、20数年の人生を、母親や、事故死した恋人、恋人の妹など、他人に振り回されて生きてきた人物。このキャラクター設定が、感情移入を難しくするし、そもそも矢野と七美の二人が別れなければいけない理由が弱いのが、物足りなさを感じさせる。前後篇共通して、北海道の空気感があまり生きてないのも個人的には残念だった。ともあれ、2部構成をごく短いスパンで劇場公開するという異例の映画だったこと、原作より先に映画でエンディングを描いたことなど、流行の漫画原作の実写版としては、スタイルに個性を感じる作品だ。ひたむきに愛を貫く主人公たちに共感できれば楽しめる。
【55点】
(原題「僕等がいた 後篇」)
(日本/三木孝浩監督/生田斗真、吉高由里子、高岡蒼甫、他)
(ひたむき度:★★★★★)
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僕等がいた 後篇@ぴあ映画生活

僕等がいた 前篇

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大長編コミックを2部作で映画化した「僕等がいた 前篇」。高校時代を中心に描く前篇はみずみずしさを前面に出している。

北海道・釧路に住む高校2年生の高橋七美は、同じクラスになった、人気者だがどこか陰のある矢野元晴に惹かれていく。彼は年上の恋人・奈々から裏切られ、さらに彼女を事故で失くすというつらい過去を引きずっていた。それでも矢野への思いが抑えられない七美は、ついに矢野に告白。一途な七美に対し、矢野も次第に心を開いていくが、2人には次々に試練が訪れる…。

原作は、小畑友紀による大ベストセラー・コミック。主要キャスト3人が高校生を演じるというのはいくらなんでも年齢的に無理がある…というツッコミはさておき。壮大な“回想”スタイルで描く、純愛路線ド真ん中のラブストーリーは、くっついたり離れたりしながら、韓国ドラマ並みの数々の障害が用意されている。ただし、本当にドロドロ状態になるのは後篇の方で、この前篇は、出会いのみずみずしさと初恋の喜びを中心に描くので、むしろ学園ものといえようか。過去の恋愛のトラウマを抱える矢野と、どこまでも一途な高橋。そこに高橋に思いを寄せる、矢野の親友で心優しい竹内や、奈々の妹で、矢野の秘密を握りながら彼を慕う有里らがからみ、四つ巴状態。この構図そのものは、手垢がついたもので、新鮮味はほとんどない。本作を楽しむには、後篇も含めて、主人公の高橋、もしくは矢野にどれだけ感情移入できるかにかかっている。10年という長期連載の原作では、キャラクターの一人一人について詳細な背景やエピソードがあるのだろう。映画ではどうしても駆け足になるのはやむを得ないが、矢野のキャラの魅力が、前篇ではまったく伝わってこなかったのは残念。これでは、名セリフと言われる大切な言葉の数々も、どこか白々しく聞こえてしまう。この映画の評価を下すことや、原作ファンの感想は、後篇まで待つとして、まずは大人になる前の高橋と矢野の“ひたむき”モードにどっぷり浸ってみてほしい。
【50点】
(原題「僕等がいた 前篇」)
(日本/三木孝浩監督/生田斗真、吉高由里子、高岡蒼甫、他)
(キャスティング度:★☆☆☆☆)
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僕等がいた 前篇@ぴあ映画生活

源氏物語 千年の謎

源氏物語 千年の謎 Blu-ray豪華版(特典DVD付2枚組)源氏物語 千年の謎 Blu-ray豪華版(特典DVD付2枚組)
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古典文学をフレッシュなキャストで映像化した「源氏物語 千年の謎」。現実世界と物語世界を交錯させた構成は新機軸で面白い。

平安時代。絶大な権力を握る御堂関白・藤原道長は、その栄華をさらに極めるべく、紫式部に物語を書くことを命じる。式部の物語によって、娘・彰子のもとに一条天皇を少しでも長く留まらせ、天皇の子を宿させることが目的だ。式部は道長への思いを秘めながら、絶世の美男・光源氏と、彼を取り巻く宮中の女性たちの物語を紡ぎ出す…。

世界屈指の恋愛小説「源氏物語」は、数え切れないほどの研究書があるが、何しろ謎が多い。それだけに想像力も広がり、さまざまな解釈が可能となる。高山由紀子の原作による本作では、物語が権力の道具として誕生したこと、式部の道長への思い、物語世界と現実世界の重なりと、まさに自由奔放だ。光源氏を中心に、さまざまな愛が描かれるが、原作からピックアップされる女性は、藤壺、葵の上、夕顔、六条御息所の4人。物語も現実も宮中が舞台で、すべてが幻想的な人工美にあふれている。生田斗真が元祖・イケメンをハマリ役で演じ、華麗な舞「青海波」まで披露する熱演ぶりだが、新鮮なのは、情念や嫉妬から生霊となる六条御息所を、田中麗奈が演じていること。見る前はミスキャストに思えたが、フタを開けてみれば彼女の切れ長の瞳に狂気が宿って、女優としての新境地を拓いたように思う。壮麗な寝殿作りのセット、優雅な衣装、美男美女の登場人物たち。美しき王朝絵巻は、時空をも越える陰陽師・安倍晴明を登場させて、アクション・ホラーの隠し味も。映画は、女性の手の中で踊る光源氏の、マザコン風味の青春物語というイメージだ。しばし風雅な世界を楽しみたい。
【60点】
(原題「源氏物語 千年の謎」)
(日本/鶴橋康夫監督/生田斗真、中谷美紀、窪塚洋介、他)
(優雅度:★★★★☆)
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源氏物語 千年の謎@ぴあ映画生活
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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